« もうあかん!、民進党 | トップページ | 野党共闘失敗 »

2016年4月23日 (土)

国際法違反、天皇は承知

 本塾では、かねてより「帝国主義的侵略は第1次大戦以降」という解釈をしている。これに対して、明治の「富国強兵」を軍国主義とみなす反対論者から抗議されたこともある。

 帝国主義的侵略主義を公言したのは、死の直前に撤回したとはいえ、古くは吉田松陰、明治になって途中で転向宣言をした福沢諭吉などであり、そういった雰囲気が当時からあったことは否定できない。

 拙著に、榎本武揚が五稜郭を明け渡す際に、肌身離さず持っていた『海律全書』、つまり国際法全集を、「新政府で役に立ててほしい」と黒田清隆に届させ、清隆を感激させたことを書いている。

 文明開化は、鎖国を解いて文明国の仲間入りすることだった。従って、外国に認められないことは決してしないという信念が、政治家を支配していた。日清戦争から第一次大戦までまでは、帝国主義ではあっても、国際法に則ってということなのだ。

 つまり、戦争そのものが国際法による行為であり、文明国のあかしともとられていた。そのことを、松本健一『明治天皇という人』という本で改めて確信するようになった。その本に日清・日露の開戦の詔勅が載っている。

 そこでは、いずれも交戦権行使は国際法に基ずくものであることを強調している。以後の戦争開始の詔勅は、どうなっているかチェックしてみた。問題は、現行憲法9条1項のよりどころとなっている昭和3年の不戦条約締結以後、さきの戦争の詔勅だ。

 日清戦争以来続いていた、モットーが、見事に抜け落ちている。以下に各詔勅を列記するが、先の戦争を除いては該当部分、太平洋戦争は、ないことの証明にするため、全文にした。

 今、アメリカもロシアも国際法違反のような軍事行動を繰り返している。しかし、自衛とか集団的自衛権のような口実は使うが、帝国主義的侵略ととられかねないようなことは、巧みに避けている。

 先の戦争開戦の詔勅にも「自衛」という言葉はあるが、3回続いてきた「国際法」とか「国際条規」という文言はどこにも見当たらない。そのことは、昭和天皇も知っていたのだ。

清国に対する宣戦の詔
苟(いやしく)モ国際法ニ戻(もと)ラサル限リ各々機能ニ応シテ一切ノ手段ヲ尽スニ於テ必ス遺漏(いろう)ナカランコトヲ期セヨ

露国に対する宣戦の詔
凡(およ)ソ国際条規ノ範囲ニ於テ一切ノ手段ヲ尽シ遺算ナカランコトヲ期セヨ

独逸国に対する宣戦の詔書
凡ソ国際条規ノ範囲ニ於テ一切ノ手段ヲ尽シ必ス遺算ナカランコトヲ期セヨ

米英両国に対する宣戦の詔書
天佑ヲ保有シ萬世一系ノ皇祚ヲ踐(ふ)メル大日本帝國天皇ハ昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス

朕茲(ここ)ニ米國及英國ニ対シテ戰ヲ宣ス朕カ陸海將兵ハ全力ヲ奮テ交戰ニ從事シ朕カ百僚有司ハ

勵精職務ヲ奉行シ朕カ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ盡シ億兆一心國家ノ總力ヲ擧ケテ征戰ノ目的ヲ

達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ抑々東亞ノ安定ヲ確保シ以テ世界ノ平和ニ寄與スルハ丕顕(ひけん)ナル

皇祖考丕承(ひしょう)ナル皇考ノ作述セル遠猷(えんゆ)ニシテ朕カ拳々措(けんけんお)カサル所而シテ列國トノ交誼ヲ篤クシ萬邦共榮ノ

樂ヲ偕(とも)ニスルハ之亦帝國カ常ニ國交ノ要義ト爲ス所ナリ今ヤ不幸ニシテ米英両國ト釁端(きんたん)ヲ開クニ至ル

洵(まこと)ニ已ムヲ得サルモノアリ豈(あに)朕カ志ナラムヤ中華民國政府曩(さき)ニ帝國ノ眞意ヲ解セス濫ニ事ヲ構ヘテ

東亞ノ平和ヲ攪亂シ遂ニ帝國ヲシテ干戈ヲ執ルニ至ラシメ茲ニ四年有餘ヲ經タリ幸ニ國民政府更新スルアリ

帝國ハ之ト善隣ノ誼ヲ結ヒ相提携スルニ至レルモ重慶ニ殘存スル政權ハ米英ノ庇蔭ヲ恃ミテ兄弟尚未タ牆ニ

相鬩(あいせめ)クヲ悛(あらた)メス米英両國ハ殘存政權ヲ支援シテ東亞ノ禍亂ヲ助長シ平和ノ美名ニ匿(かく)レテ東洋制覇ノ非望ヲ

逞(たくま)ウセムトス剰(あまつ)ヘ與國ヲ誘ヒ帝國ノ周邊ニ於テ武備ヲ增強シテ我ニ挑戰シ更ニ帝國ノ平和的通商ニ有ラユル

妨害ヲ與ヘ遂ニ經濟斷交ヲ敢テシ帝國ノ生存ニ重大ナル脅威ヲ加フ朕ハ政府ヲシテ事態ヲ平和ノ裡ニ囘復

セシメムトシ隠忍久シキニ彌(わた)リタルモ彼ハ毫(いささか)モ交讓ノ精神ナク徒ニ時局ノ解決ヲ遷延セシメテ此ノ間却ツテ

益々經濟上軍事上ノ脅威ヲ增大シ以テ我ヲ屈從セシメムトス斯ノ如クニシテ推移セムカ東亞安定ニ關スル

帝國積年ノ努力ハ悉ク水泡ニ帰シ帝國ノ存立亦正ニ危殆ニ瀕セリ事既ニ此ニ至ル帝國ハ今ヤ自存自衞ノ爲

蹶然(けつぜん)起ツテ一切ノ障礙(しょうがい)ヲ破碎スルノ外ナキナリ皇祖皇宗ノ神靈上ニ在リ朕ハ汝有衆ノ忠誠勇武ニ信倚(しんき)シ祖宗ノ

遺業ヲ恢弘(かいこう)シ速ニ禍根ヲ芟除(せんじょ)シテ東亞永遠ノ平和ヲ確立シ以テ帝國ノ光榮ヲ保全セムコトヲ期ス

  御 名 御 璽

昭和十六年十二月八日

|

« もうあかん!、民進党 | トップページ | 野党共闘失敗 »

戦争とは」カテゴリの記事

コメント

誰が?どの国が?最初にやったか分りませんが「今回の交戦権行使は国際法に基ずくものである」と宣言してしまえば、その具体的・詳細の説明をしなくても戦闘を正当化してしまえるんですから、うまいやり方を考えたものです。

投稿: 玉井人ひろた | 2016年4月24日 (日) 14時50分

そうなんです。昔から戦いに勝った方が都合のいいルール(国際法)や正義を決めてしまうのです。

だからと言ってルールを無視すると、破滅に向かいます。それを是正していくのは、やはり大衆の力しかありません。

大体、歴史はそう動いていきます。その点、アメリカのトランプ現象は、どっちに向かうのか、まさに注目に値します。

勝におごったり、唯我独尊になると必ず反動が来ることも、歴史が証明してます。

投稿: ましま | 2016年4月24日 (日) 15時15分

なんはそりゃ?

なんで、東京大空襲や原爆落として一般市民を虐殺しまくったアメリカは破滅に向かっていないんだ?
なんで、チベット、ウイグルを侵略している中国は破滅に向かっていないんだ?

投稿: makoto | 2016年4月25日 (月) 01時57分

なんじゃそりゃ?

でした

投稿: makoto | 2016年4月25日 (月) 01時58分

原爆についてアメリカの言い逃れはご存知のはず。それを言うなら「沖縄米軍基地は侵略では?」というべきでしょう。

チベットをよく出されますが、同地(民族)は過去中国と一体になったり別国になったり長い歴史の変遷を経ています。

中国人民解放軍がチベット侵攻したことを言っておられるなら、こういうことです。

中華民国との激しい内戦で敗退した国民党軍は、チベットに退却せざるを得ず、そこで「共産党は宗教を抹殺する」と宣伝、仏教徒たちは国民党軍と組んで激しく戦火を交わしました。

相互の反感はその時以来です。敗れたダライラマなどはインドに逃げ込み、亡命政権をたてました。

ダライダマは、独立を望んでおらず、共産党支配でない自治権拡大を望んでいますが、中国がそれに応じていないのです。

投稿: ましま | 2016年4月25日 (月) 09時00分

原爆投下に関して、アメリカの言い逃れが何の意味があるんですか?

まさかそれを信じているから、
「アメリカは国際法を無視していないから、アメリカは破滅しない」
なんていう、めちゃくちゃな論法を展開するわけではないですよね。

それに、東京大空襲は?

あれは、国際法違反ではないんですか?

中国の肩を持つこと、ほんとすごいですね。
中国のスポークスマンになれますよ。
ダライラマだって、「独立を目指す」と言いたいでしょうよ。
それがあなたのような中国に味方をする勢力のせいで、仕方なくあんなふうにいっているのでhそう。

投稿: makoto | 2016年4月25日 (月) 09時24分

アメリカにしてみれば、原爆投下も、東京大空襲も国際法違反だというのであれば、中国や韓国にしてみれば、南京大虐殺や大日本帝国軍性奴隷問題、そのものも、国際法違反ではないのか、ということは、簡単に想定出来ることなのですが?

ましてや大日本帝国軍性奴隷問題そのものは、これはもう国際法違反による戦争犯罪ではなく、女性に対する重大な人権侵害の何ものでもないということは、国際社会全体の常識からして当たり前のことだし、この戦前の日本をナチスドイツに置き換えれば、韓国がフランスをロールモデルとするならば、ドイツやイタリアであっても、これを認めないわけにはsいかないことは言うまでもありませんが、これをなかったことにしようとしたところで、容赦なく、これを逆手にとれば、ドイツがコケにされることになろうとも反論の余地はどこにもないことは、日本にとっても当たり前のことですよね。

アメリカを戦前の日本に置きかえれば、イギリスのキャメロン首相が日本国首相であれば、この安倍首相からして、自らはヒトラー総統の猿真似をしているつもりが、ドイツのメルケル首相にしてみれば、肝心のヒトラー総統の足元にも及ばないだけのボス猿bにすぎませんから、どうか、このボス猿にだけは、絶対に騙されないように、ご留意のほど、どうぞよろしくお願い申しあげます、ということで日本人として、誇りをもって、応えてやりたいくらいですね。

投稿: asa | 2016年4月29日 (金) 11時27分

国際法というのは、国際慣習と成文化した国際条約(たとえば不戦条約など)から成り立っています。

しかし国別の国内法のようにシカとしたものではなく、批准せず無視したり脱退したり勝手に解釈したりで権威があるとは言えません。

そして、大抵は戦争に勝った国、実力のある国の価値判断で決められます。世界はこれに準拠するしかないのです。

もちろん、矛盾や不公平あるいは時代の変化などで徐々に改善されてはいます。

昔は、帝国主義的戦争は国権の一つとして合法でした。今は、国連憲章に「軍事行動」ということばはあっても戦争という言葉はありません。

人権に関する委員会決議や機関などはありますが、従軍慰安婦イコール性奴隷などという取り決めもありません。

投稿: ましま | 2016年4月29日 (金) 12時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/65123931

この記事へのトラックバック一覧です: 国際法違反、天皇は承知:

« もうあかん!、民進党 | トップページ | 野党共闘失敗 »