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2016年3月 4日 (金)

日中を結ぶ「お宝」検証

Dscf2763   ”三角縁神獣鏡 中国も発見?”という題で、3/2毎日新聞のコラム<記者の目>に記事が載った。手前みそではあるが、塾頭には「古代ロマン文学大賞」を受賞した既著がある。題名は『海と周辺国に向き合う日本人の歴史』である。

 うかつながら、こんな「ロマン」に満ちた「?」つきのニュースがあることにこれまで気が付かなかった。最初に報じたのはちょうど1年前の朝日新聞だったようだ。それ以後もこれほど、考古学そして古代史に決定的影響をしそうなニュースが、黙殺と言っていいほどの扱いを受けたのは何故だろう。

 それは、中国で発見されたものには発掘の学術的記録がなく、当時都のあった洛陽のあたりで拾ったとして、骨董屋に持ち込まれたものらしい。そういった類のほとんどが、巧妙な贋作であり、だまされるのはいつも日本人、という一方的な思い込みがあるようだ。もちろん、それが本物であると判定する専門家も、日中双方に存在する。

 ロマンに満ちた大昔の話とはいえ、両国の歴史認識におおいにかかわってくる。しかし、南京虐殺や尖閣領有などとは違う。不毛な衝突に明け暮れする問題ではない。相互不信のぶつけ合いをしても得るものはなく、夢をぶちこわすだけだ。

 塾頭は、むしろ「贋作さえでてくる」という点に大いに興味を持った。マスコミも専門家も黙殺ではなく、両国の交流と研究の中から古代のロマンに1ページを加える結果を出してほしい。

 毎日の「記者の目」は、これまでの経過や問題点を指摘し、塾頭と同じ結論に至ったものだが、ここで三角縁神獣鏡について簡単におさらいをしておく。

 塾頭が最初に取材で訪れたのは、JR桜井線・柳本駅を降りてすぐの黒塚古墳であった。ここは、1997年に三角縁神獣鏡が一挙に33面も発見されたことで有名である。その先をさらに東へ進むと行燈山(崇神陵)という巨大古墳に突き当たる。

 そして、山の辺の道を南下すると渋谷向山(景行陵)古墳があり、その先には、巨大宮殿跡と見られる遺跡が発見された桜井線・纏向駅がある。さらに駅前の踏切を渡ると、目の前に卑弥呼の墓ではないかとされる箸墓古墳が横たわる。

 以上3つの黒塚古墳以外の古墳は、いずれも全長200~300メートルに達する出現期の大古墳で、3世紀から4世紀かけての大和朝廷・大王級の墓に擬せられており、発掘は許可されていない。

 中国古典の魏志倭人伝が伝える邪馬台国の女王・卑弥呼と、『日本書紀』で箸墓に葬られたとされる、倭迹迹姫命(やまととびめのみこと)が同一人物であるかどうか、古代史最大のなぞとロマンの中心がここにある。

 もちろん物的証拠は、まだ何も発見されていない。しかし、状況証拠のようなものならまだまだ積み重なる可能性がある。三角縁神獣鏡もその一つである。魏志倭人伝に、銅鏡100枚が卑弥呼に贈られたとあり、それが魏の景初三年(239)とか正始元年(240)のこととされる。

 三角縁神獣鏡に、その年代が刻まれたものが何枚かあったので、この鏡が魏王からの贈物であるとして俄然注目されることになった。この鏡の特徴は、縁取りが三角の山形になってたいることと、伝説の神や獣がデザインの中心であることからきている。

 大和を中心とする東日本で大量に発見されるため、邪馬台国は九州でなく大和にあったとする説の補強材料になっている。ところが、発見が相次ぎ、100枚どころか540枚を越してしまった。それなのに中国からは1枚も発見されない。

 そこで日本で鋳型をとり、複製を大量生産したとか、魏で作ったが日本向けの特注品で中国には残らなかったという説、神獣デザインが好まれる南部の中国から工人が渡来し、魏鏡に似せて日本で作ったなど、さまざまな説が説かれている。そうすると、贋作は日本の方が最初ということにもなる。

 今の先進技術である同位元素でしらべるとか、多次元映像を駆使するなどの手もある。これまでもそうしてきたように、日中での1000枚を超すサンプルの比較検討で真相に近い結果が出せるかもしれない。双方が納得できる線は必ず存在する。

 2、30年以上も前の事だったと思うが、日韓双方で前方後円墳の起源が争われたことがある。しかしお互いに史料を交換し合う中で双方に納得できる定説が確立したこともあるのだ。

 以下、<記者の目>と、さまざまな問題を指摘している<第337回 邪馬台国の会>をリンクしておく。
http://mainichi.jp/articles/20160302/org/00m/030/004000c 
http://yamatai.cside.com/katudou/kiroku337.htm

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