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2016年3月 1日 (火)

東電、強制起訴へ

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人が29日、業務上過失致死傷罪で強制起訴された。この件では過去2度にわたり検察官が不起訴にしているが、これを京第五検察審査会がくつがえし、起訴議決をしたため弁護士が検察官役をつとめて開かれるものである。

 簡単に言うと、「わかっていたのにトップが必要な措置を取らなかったため、事故が原因の死傷者を出してしまった」というものである。

 その、「わかっていたこと」というのは、国の地震調査研究推進本部が02年7月に出した「福島第一原発の沖合を含む日本海溝沿いでマグニチュード(M)8クラスの津波地震が30年以内に20%の確率で発生する」との予測に対し、東電が福島第一原発に高さ15.7メートルの津波が押し寄せる、との試算結果を出していたことだ。

 それについて、起訴された3人のうちすくなくとも武藤栄元副社長(65)は、当時立地などに責任を持つ担当役員をつとめており、知らぬ存ぜぬは通用しない立場だ。無罪を主張するものと見られるが、早い段階で防波堤の高さが10メートルしかなく、「判断スミスがありました」と頭を下げていれば、こんなことにならなかったかもしれない。

 本塾は、事故発生当時より原子力村、特に東電役員の発言には不信感を持っており、それは日を追って強くなった。事故発生当時の3月14日付毎日新聞によると、東電は、非常用発電機は原子炉やタービンと同じ重要度で、もう少し標高の高い場所にあるが、ポンプなどは重要度がやや落ち、津波に冠水したといい、さらに小森常務が次のようにコメントしている。

 「あまりに想定外の高さだった。原発はかなりのタフネス(頑健さ)を持っていると思っていたが、電源の重要性を再度、しっかり考えなければならない。重い、厳しい教訓だと、率直に受け止めている」と唇をかむ。

 最初にカチンと来たのが「想定外」だ。こういった面は過去何度も取り上げているが、2014年には”原子力の「想定外」は犯罪”という記事も書いた。塾頭は、原発とは比較にならない小さな公共施設の安全管理を仕事にしていたことがある。

 想定外の事を想定して事故に備えるのが安全管理である。とくに原発の事故は、放射能被害という取り返しできない苛酷な事態を生む。津波の高さは想定外であっても、電源喪失の可能性は想定外というわけにいかない。

 事故を聞いて、原発ならそれに備えて電源車の常備はもとより、電気がいらず水にも強く、石炭か薪で動く蒸気ポンプぐらいあってもいいのにと思った。事故が起きる前から、原発の安全性について学者や専門家の議論は盛んであり、裁判もたびたびあった。

 放射能のこわさは、元会長は、広島・長崎を知っており、第五福竜丸事件の知識もある。その他の役員は身近に体験したことがない。だから「想定外」などと平気で言えるのだろか。

 新聞各社は、この裁判をそれぞれ社説で取り上げており、その意義について解説しているが、5大紙のうち産経だけが「識者からは強制起訴制度そのものの見直しを求める声も出ている」と、東電・政権よりに書いているのが目立った。

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コメント

福島県での津波の死者行方不明者の人数は1600人だが、原発事故の関連死はすでに2000にを超えていて、今後も増える見込みです。
これで誰一人責任を取らないでは、おさまらない。
今回の強制起訴は当然でしょう。
ただ、原発事故ですが津波の浸水による全電源喪失『ブラックアウト』によるものと、政府やマスコミ、東電が主張しているだけで、少しも科学的に証明されていないのですよ。
事故から1年後に政府や国会の事故調が報告書を出しているが、そこでも事故の原因は不明だとされています。
津波によるブラックアウトですが、これは関係する全員が言っているが、真偽不明の都市伝説の類ですね。本当かどうかはさっぱり分からない。
5年が過ぎたが一日も早い、東京電力の強制捜査が待たれるゆえんです。

投稿: 宗純 | 2016年3月 1日 (火) 14時54分

見えないところで起きたことなので難しいのでしょうが、福島第2とか、女川との比較でみるしかないのでしょうか?

投稿: ましま | 2016年3月 1日 (火) 16時51分

勝又元社長、苦労して邪魔な佐藤栄佐久元福島県知事を辞職に追い込んだのに、今頃になって自分が同じ目に遭うとは想像しなかったでしょうね。

そんなことより、1999年(平成11年)の3月に‘旧国土庁(現:国土交通省)’が、巨大津波が発生した際の全国にある原子力発電所の影響予想図を作成して、福島第一原発もその危険性を予想していたのに、当時の政府が何も指導しなかった方がもっと責任があると思います

投稿: 玉井人ひろた | 2016年3月 1日 (火) 18時27分

裁判所の包丁さばきに期待したいところですが、あまり獲物の図体が大きすぎて歯が立たないようなら、素人判断として、もう、原発は放射能廃棄物処理と廃炉だけに徹し、新規運転をしないという結論を最善とするほかありません。

原子力村解体は思いのほか困難なのですね。簡単にはいきません。

投稿: ましま | 2016年3月 1日 (火) 20時59分

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