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2016年3月25日 (金)

「孤立寸前」(その1)、IS

 ISは、イラク、シリアの混乱に乗じて支配地を増やし、海外から理想郷を求めて馳せ参じる兵士により、イスラム全盛時代の再現を目指すなど、それまでのテロ集団とは全く違う特異な存在としてスタートした。

 イスラム・スンニ派の過激派が主体だがアフガン生まれのアルカイダとは絶縁し、かつてフセイン政権を支えたテクノクラートが参加して行政を担っている。バグダディと名乗るカリフがいるとされるがその選定根拠は不明である。

 しかし、弱体化したとはいえイラクにはアメリカ、シリアにはロシアが支える在来政権がある。この両政権ともシーア派系なのでイランは協力しやすい。イランは長い間アメリカが不倶戴天の敵としてきたが、核開発問題で話がつき共同行動がとれるようになった。

 スンニ派でも、王制を認めないISは、サウジなど湾岸諸国にとつて危険な存在で、軍政下にあるエジプトも国内の対抗勢力、ムスリム同胞団をIS扱いするなどIS攻撃有志国に加わっている。そこへロシアも話に乗るという機運となり、難民やテロで悩むEUも加わって世界中から敵にされてしまった。

 特に大きいのがフランスとベルギーでのテロだ。そこを攻撃する必然性も大義もない。堕落した西欧文明の中心地だから、十字軍に参加した子孫がいるかもしれないから、そんな理由で、カリフがジハードの対象に選ぶはずはないし、コーランとも縁がない。

 ISが犯行声明を出したという。集中的な空爆によりイラク・シリアで劣勢化し、存在感が薄れたため、事件の発生に便乗した苦肉の策に過ぎないという論評があるが、正鵠を得ているだろう。

 イスラムの大義が見えなくなれば、ISで理想を実現させようという若者が兵士を志願して結集することもなくなる。残るのは自殺願望とか大量殺人という特殊要因が残るだけだ。ISが孤立し、然るべき対応と世界が落ち着きを取り戻せば、やがて消滅の道をたどるしかない。

 それには、このような事態を招いた欧米先進国をはじめ、民族・宗教・文化に差別を内在させるような国があれば深甚な自省が必要であろう。

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