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2016年3月

2016年3月31日 (木)

9条は縄文文化です

Dscf2782  縄文人の社会は争いが少なく平穏だった―。岡山大教授らの研究結果を山陽新聞デジタル (3/30)が伝えています。出土人骨の状態が確認できる国内242の遺跡から、成人の人骨1275体のデータを収集してわかったことです。

 13遺跡の23体に何らかの武器で攻撃を受けた痕跡があり、割合は1.8%で、子どもも含めると0.9%まで下がるそうです。これは、欧米やアフリカで、縄文期と同じ狩猟採集時代の遺跡で見られる大量虐殺を示す人骨の発掘や、暴力での死亡率が十数%を占める研究データと比べると極めて少ないようです。

 日本列島は海や山の恵みで食料が豊富だったのかも知れませんが、「戦争は人類の本能だ」とか、「平和憲法はGHQに押し付けられた」という人は、多分縄文の血統を受けついでいない人なのでしょう。

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2016年3月30日 (水)

安倍だから危ない

 3月29日、安保関連法が施行された。法律を繰り返し読んで言葉として理解した人がいたとしても、実際にはどうなるのか。公明党が憲法違反にならないよう苦心していたようだが、本当は誰もわかっていない。

 それは、誰も本当の戦争を経験していないからだ。昭和天皇は帝国憲法に沿って道を誤まらないよう細心の注意を払われた。そして国際感覚にも優れたものがあった。多くの昭和史では天皇に戦争責任がないとまではいえないものの、平和主義者の片りんをうかがわせる記述が多かった。

 それが、『昭和天皇実録』の発表によりよりはっきりしてきた。まず、第一次世界大戦の激戦地を視察されていることが大きい。戦争には関係がないが、治安維持法の罰則強化にも慎重な取扱いを何度も要求している。

 満州事変では不拡大の方針を軍部が覆して勝手に行動し、天皇の作戦の取り消し要請がご下問という繰り返されて、深夜にわたることもあった。それを、すでに出てしまったものの予算を取り消すわけにいかないというような理由をつけて既成事実化する様子も描かれている。

 終戦時には、「大元帥陛下の命令には従うが、天皇の意向に従う必要がない」とうそぶく者までいたようだ。憲法上「神聖にして犯すべからず」で「統帥権」を有する天皇がいてさえこのありさまだ。

 一般市民の大量虐殺も、それをしないと逆に狙われるとか、戦争を早く終わらせるためとか、平和実現のためやむを得ないという口実で正当化される。それが「戦争」の属性なのだ。

 これを書いている途中に30日の朝刊が届いた。中に民進党の岡田代表ら執行部が各党幹部にあいさつ回りをしたことが書いてある。そして、岡田代表は”自民の谷垣禎一幹事長と公明の山口那津男代表への親近感を強調する一方、「安倍晋三首相はかなり危ない」と厳しく批判した”とある(毎日)。

 これから政権を奪取しようとする党の代表としてはどうかと思う発言だが、塾頭はこれが言いたかったのだ。官僚や取り巻きブレーンをお友達でかため、憲法解釈を変え、世論誘導に手を選ばない環境を作ってしまう――。

 戦争を知らない連中は、このからくりに早く気が付いてほしい。アフガンも、イラクも、リビアもテロの拡大を生んでしまった大国の事実上の「敗戦」であることも――。

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2016年3月28日 (月)

「孤立寸前」(その3 )、金正恩

 このシリーズは、前々回(その2)まで書けば次は北朝鮮・金正恩ということになるが、孤立が寸前ではなく、終わっているので書きようがない。そこでアメリカのトランプとも考えたが、これも変動要素が多く、まとまらない。

 ところが、両人には共通点があった。国外では評判が悪く孤立しているようなのだが、国内では熱狂的に迎える人たちがいる点だ。もちろん、つくられたものと自然発生的という違いがあるものの、奇妙な一致点である。

 さらに、昨日の報道によると、トランプ氏は軍事費をもっと負担しなければ在日韓米軍を撤退するとか、核保有を容認するどと言いはじめた。核兵器不拡散条約(NPT)は、国によって異論があっても国連で決めたことだ。

 米・中などもこの条約に参加している。日韓がアメリカの核の傘を捨てて自前のものを持つことは、トランプ氏が認めても世界は認めない。ことに中国は、北朝鮮・韓国・日本が核武装競争をするようなことになれば、日本はもとより、中国の安全も危機にさらされる。

 そうなる前に、中国は中朝国境を越えて軍事行動に出る可能性さえある。トランプ氏は日米安保廃棄も視野に入れている。民主党政権成立当初考えられていた「東アジア共同体構想」が、違う意味で再検討されることになるだろう。

 そして、アメリカの太平洋・アジア地区への軍事戦略シフトは意味をなさなくなり、アメリカの孤立はますます深まるだろう。その時、朝鮮半島と金正恩氏がどうなっているか、全く想像がつかない。一方、トランプが大統領になり、以上のような結果になる可能性は99%ない、と塾頭は考える。

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2016年3月27日 (日)

ここが違うよ!日本の新聞

 今日書こうと思ったきっかけになったのは、廃刊が決まっていたイギリスの日刊紙「インディペンデント」が紙による最期の新聞を昨日(26日)付で発行し、以後電子版に移行するという朝日の記事である。

 日本でも、活字離れの購読者減は新聞社を直撃しているようだ。イギリスのようになってしまうのはそう遠くない将来のような予感がする。ワープロがスタートした頃から電子画面に親しんでいる塾頭だが、紙の新聞がなくなれは、即、大混乱になる。

 昔は、トイレに新聞を持ち込んだり食事しながら新聞を読んだりすると叱られたものだが、今はスマホや携帯が完全にそれにとってかわった。そしてそういう人はあまり新聞を見ない。

 携帯を持たない塾頭は、その面ですっかりIT難民になってしまった。この頃のテレビは、どの局も日本の食い物、人情、景色などのお国自慢で覆い尽くされている。

 そこで、日頃はマスコミ批判で人後に落ちない当塾だが、今回は日本の新聞の素晴らしさを再認識し、廃刊にならないよう応援することにした。

Rmrb2016032701_b1_2  まず、本文が縦書きであることである。これは多分、世界で日本だけであろう。漢字文化圏である韓国は、国字・ハングルを優先して横組みにしてしまった。写真のように中国をはじめ、アラビア語なども、すべて横書きである。

 横書きが多いのは、「人間の目が横に切れているから」というのは俗説(笑)で、横にあまり長いと行が変わった時続く行を見失ったり、英語のスペルが長ければ、ハイフンでつなかけなければならない。数字も千、万、億、兆の一字の方が読みやすい。

 日本語は、縦書き、横書きどちらてでも使える。英字はデザインとして大文字を縦に並べることはあっても、文章は文字を寝せないと書けない。日本の縦書きは、本文で文字数12から15で行が移る。英語の場合どうかすると、1単語でそれくらいの字数になる。

 さらに、見出しは縦でも横でも、大小多様なフォントを使って、それこそ縦横無尽にデザインできる。本文も囲みにして横組みにしたり、畳んで特定の位置に置いたりして目立ちやすくし、多くの情報を盛り込むことができる。

 要は、検索したりクリックしなくても、ひとつの面を開けば、知るべき情報や関心ある情報が見つけやすく、他国の新聞よりよほどビジュアルで親しみやすくできているということだ。

 これを、独特の特技として日本のウリにし育てることによって、廃刊を防ぎ、言論大国のシンボルにしようではないか。

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2016年3月26日 (土)

「孤立寸前」(その2 )、習金平

 3月22日のエントリーは、「中国のパワーポリティクス」 だ。インドネシア・ナトゥナ諸島沖での中国とインドネシア公船の衝突事件を書いた。ナトゥナ諸島は南シナ海南方にあって村落まで明記されているインドネシア領の島だ。

 その沖合で不法操業していた中国漁船を、インドネシアが摘発、取り調べようと曳航していたのを中国公船が体当たりをして奪い返したという事件である。これまで南シナ海の殆どを「九段線」で取り囲み、浅瀬を埋め立て滑走路や基地などを作ったことで、ベトナムやフィリピンと激しく対立していた。

 しかし、南シナ海でインドネシアとの抗争はなく、A.S.E.A.N.で問題になってもインドネシアは、中立の立場でノータッチを通した。中国側は九段線と重複する場所があると言っているが、A.S.E.A.N.の中核を意識するインドネシアの対応次第では、中国がA.S.E.A.Nの中で孤立することになりかねない。

 中国の世界戦略にとってのマイナスは、計り知れないものがある。中国の方針、行動は誰がどういう目的で決め、実行したのか、パワーポリティクスだけでは説明がつかない。そんな折、毎日新聞の客員編集委員で中国の権力機構に鋭い観察眼を持つ金子秀敏氏がこんなコラム(木語3/24)を書いていた。

 北京の政局が荒れている。李克強(りこくきょう)首相が額から汗を流して政府活動報告を読んだ。習近平(しゅうきんぺい)国家主席は拍手もしなかった。全国人民代表大会(全人代)初日の異変のわけが見えてきた。

 「習近平、辞めろ」という内容の公開書簡が3月4日夜、中国のサイトに流れた。外交も経済も失敗、国内では文革もどきの言論弾圧だと非難し、「本人と家族のためだ」という脅し文句まであった。

 連絡を受けた習主席はほとんど眠らずに翌朝の全人代に出たに違いない。朝、事件を知った李首相も自分が疑われていないかと冷や汗を流したのだろう。

(中略)習主席は今年1月、「習総書記を核心(最高指導者)と呼ぼう」運動を始め、独裁体制の引き締めを図った。メディアが非協力的だと、自ら中国中央テレビ(CCTV)など主要メディアに乗り込み「斉看(チーカン)!」(おれの言うことを聞け)と怒鳴った。それに対する回答がネット公開書簡だとすると大胆不敵。誰の仕業か。

 北京から香港に向かおうとした若い評論家、賈葭(かか)氏が失踪した。友人の無界新聞編集長も消えた。すぐに国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が救援活動を始めた。大事件になりそうだ。

(中略)習主席は、秋までに自分の後継者を決める。「赤い2世」(江沢民派)グループは自分たちの時代になると期待したが、習主席は側近から後継者を選ぼうとしている。それで「赤い2世」の誰かが不満を高めた−−そういう香港情報がある。誰だろう。

 こうして見ると中国の権力者の最大の敵は孤立であり、習主席もその呪縛を逃れることができない。中国の権力者は「お友達を集めればいい」などと、そんな簡単なものではなさそうだ。我々から見て不可解な現象は、党内の孤立から逃れるためのものではなかろうか。

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2016年3月25日 (金)

「孤立寸前」(その1)、IS

 ISは、イラク、シリアの混乱に乗じて支配地を増やし、海外から理想郷を求めて馳せ参じる兵士により、イスラム全盛時代の再現を目指すなど、それまでのテロ集団とは全く違う特異な存在としてスタートした。

 イスラム・スンニ派の過激派が主体だがアフガン生まれのアルカイダとは絶縁し、かつてフセイン政権を支えたテクノクラートが参加して行政を担っている。バグダディと名乗るカリフがいるとされるがその選定根拠は不明である。

 しかし、弱体化したとはいえイラクにはアメリカ、シリアにはロシアが支える在来政権がある。この両政権ともシーア派系なのでイランは協力しやすい。イランは長い間アメリカが不倶戴天の敵としてきたが、核開発問題で話がつき共同行動がとれるようになった。

 スンニ派でも、王制を認めないISは、サウジなど湾岸諸国にとつて危険な存在で、軍政下にあるエジプトも国内の対抗勢力、ムスリム同胞団をIS扱いするなどIS攻撃有志国に加わっている。そこへロシアも話に乗るという機運となり、難民やテロで悩むEUも加わって世界中から敵にされてしまった。

 特に大きいのがフランスとベルギーでのテロだ。そこを攻撃する必然性も大義もない。堕落した西欧文明の中心地だから、十字軍に参加した子孫がいるかもしれないから、そんな理由で、カリフがジハードの対象に選ぶはずはないし、コーランとも縁がない。

 ISが犯行声明を出したという。集中的な空爆によりイラク・シリアで劣勢化し、存在感が薄れたため、事件の発生に便乗した苦肉の策に過ぎないという論評があるが、正鵠を得ているだろう。

 イスラムの大義が見えなくなれば、ISで理想を実現させようという若者が兵士を志願して結集することもなくなる。残るのは自殺願望とか大量殺人という特殊要因が残るだけだ。ISが孤立し、然るべき対応と世界が落ち着きを取り戻せば、やがて消滅の道をたどるしかない。

 それには、このような事態を招いた欧米先進国をはじめ、民族・宗教・文化に差別を内在させるような国があれば深甚な自省が必要であろう。

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2016年3月23日 (水)

「害」と「碍」

 朝日新聞のオピニオン欄を見る。障害者に「害」の字を使うのは不当という投書に対し、賛否や提案など意見が寄せられ、そのうちの数通が掲載されていた(3/23)。気が付かなかったがもっともだ。なぜ、新聞紙や文科省が見過ごしていたのだろうか。

 昔は「障碍者」と書いた。「害」と「碍」では意味が全く違う。詳しくは辞書で見ていただきたいが、漢和辞典で「碍」の字がなかなか出てこない。埋もれるような小さい字でようやく見つけたものの、それは「礙の俗字」とあるだけだった。

 投書の中に「碍」は、そう難しい字でないから当用漢字として復活させたら、という意見があった。審議会の偉いさんがそうしなかったのは、多分「俗字を採用させるわけにはいかない」といったのだろう。

 中国の押しつけ略字はなじめないが、日本で俗字として通用していたものなら復活させてほしい。それまでは漢字にルビを振って馴れさせればいい。英語やアルファベットの頭文字、これだけは絶対ごめんだ。

 ところで、大手窯業メーカーの「日本碍子」さんはどうしているだろう。碍子は電線につきものの、白い不導体の焼き物だ。検索してみると「日本ガイシ」さんだった。頼山陽の『日本外史』よりはずーと前に出てくるが、碍子には変るべき言葉が見当たらない。ガイシでは何の会社かわからず、企業イメージの構成に随分困っただろう。

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2016年3月22日 (火)

中国のパワーポリティクス

 インドネシア・ナトゥナ諸島沖での中国とインドネシア公船の衝突事件は、日本にとって看過できないニュースである。以下の産経新聞(3/21)記事の全文引用は、読売の現地特派員電を除くと毎日が簡単な共同電、朝日・日経は見当たらずで、国民が知りたいことが端折られていたように感じられたからだ。

 中国漁船が摘発されたのは、南シナ海の南端に位置するインドネシア領ナトゥナ諸島沖で、インドネシアの排他的経済水域(EEZ)。中国は、ナトゥナ諸島はインドネシアに帰属するとしているが、南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張する根拠としている「九段線」の一部とこのEEZが重複している。

 スシ氏によると、海洋・水産省の監視船が19日午後、EEZ内で違法のトロール漁をしていた中国漁船を発見。職員3人が漁船に移り船員8人を拘束し、捜査のため漁船を領海に向けて曳航した。だが、20日未明に中国の監視船から体当たりを受け、さらにもう一隻の中国公船が駆けつけ、漁船を奪い取られた。

 スシ氏は、拘束した8人の事情聴取を進めるとともに、外交ルートを通じて中国に漁船の引き渡しを求める方針を示した。これに対して在インドネシアの中国大使館は声明で、「(現場は)中国の伝統的な漁場」とし、「通常操業中に武装したインドネシア船に追い回された」と反論した。

 この海域では、2013年3月にも摘発した中国漁船が中国側に奪われている。諸島を管轄するインドネシア国軍指揮官は、中国公船に守られた中国漁船による違法操業が常態化しつつあると指摘し、国防省は「海洋権益を守る」として防衛体制を増強する方針だ。海洋・水産省は、中国側の監視船がインドネシア側より2~3倍大きいため、船を大型化して対抗する姿勢も示している。

 なお、北京発の産経ニュースでは、「中国を国際司法機関に提訴する構えを示していることに関し、中国政府は同諸島への“野心”を否定し、提訴の阻止を図っている。」という情報もある。

 日本人として関心があるのは、尖閣諸島沖の漁船体当たり事件などとどうしても二重写しになってしまうからである。「中国の伝統的云々」の口実も、至って抽象的で実態が伴わない理由しか示さないことと、「九段線」や第一列島線、第二列島線など、国際法の裏付けのない線引きで勝手に行動していることである。

 インドネシアは、ベトナムやフィリピンなどと違って、南シナ海に関し対中国関係で中立を保ってきた。 もとより、アメリカ同様、日本も他国の領土問などに口出し、介入すべきではない。しかし、中国のようなパワーポリティクス(力による強圧政治)が、平和を害し戦争の火種を招くおそれがないとは言えない。

 日本は、尖閣の領有権を堅持するとともに、漁業権や海底資源などについては、資源保護を第一にした話し合いに持っていく姿勢をとり、中国の軍事的野心にブレーキをかける方策を考えるべきではないか。

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2016年3月20日 (日)

二元論・反知性は世界的

 「へえー、知らなかった」ではすまされない。
 昨年12月12日、「トランプ現象と反知性」という題で、日本語だと思っていた「反知性」という言葉が、アメリカ生まれで Anti-intellectual からからきていることを知ったと書いた。

 さらに、イタリア・国際研究センター、アンドレア・マルジェレッティ所長という人が毎日新聞(3/20)で

 欧米では長年、「常に自分たちが正しく、相手が悪い」わけではないにもかかわらず、善悪のイデオロギーがもてはやされ、(理念より現実の力関係や利害を重んじる)リアルポリティクスが軽視されてきた。その間違いを繰り返さないのが人類の知恵だ。

と、ISやイランの動静を論ずる中で書いている。当塾ではここ3度にわたり、「敵」を作る政治関連の記述をしているが、この善悪二元論も、相当前から世界の潮流として定着していたのだ。

 最初は、スマホなどの普及で情報過多になり、人類から「思索」が奪われているせいかとも思った。しかし、安倍首相をはじめ、テレビ全盛時代の人にして既にそうなのだ。塾頭が時代遅れなのか。でなければ「人類の知恵」をとりもどすため、今、何をすべきか。これを喫緊の世界的課題にしなければならない。

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2016年3月19日 (土)

海底資源大国「日本」

 3月18日付産経新聞に、経産省が海底資源・メタンハイドレートを商業化した場合、3兆3千億円程度の売り上げが見込めると経済産業省が試算したことが報じられていた。

  塾頭は、原発事故が起きる前から、日本周辺海域に賦存するメタンハイドレートに関心を持っていた。メタンハイドレートは、深海の海底に低温と高圧でシャーベット状になったメタンガスをいい、一部は露出しているところもある。

 調査では、予定通り30年代後半に商業化したとの想定で、市場での販売額を積み上げた。愛知県沖の東部南海トラフで10カ所以上の濃集帯(ガス田)が確認され、1カ所当たり1日100万立方メートル程度の生産が期待できる。1カ所の操業期間は15年程度と想定し、仮に10カ所で操業できれば総生産量は547億5千万立方メートルに上るとの前提で試算した。

 愛知県沖以外に四国沖や日本海にもあり、秋田では融けたメタンハイドレートの気泡が見られるところもある。メタンガスは、都市ガスとして多く使われるが、そのまま大気中に放出すると、CO²以上に温暖化に悪影響があるとされる。牛のケップまで規制しようかという話があるそうだ。

 これを放っておく手はない。現在、天然ガスの国際価格が低下し、コストがそれを下回ることができるかどうかであるが、燃料電池の水素も得やすく、放射能廃棄物の処分もできない原発エネルギー依存より、はるかにクリーンだ。 

 ほかに、最近のニュースでは、電子機器に多用されるレアメタルの最多輸出国であった中国が、禁輸措置をとったとして騒ぎになったが、これらの鉱物資源も日本近海に多く眠っているとされる。日本は「海の幸」で世界的な大国なのだ。

 その意味で、歴史的根拠や占有に実績のある尖閣諸島の領有権は堅持しなければならない。ただし、排他的・独占的権利の行使ではなく、共同開発、事業参加その他グローバルな観点でその「幸」を分け合う心構えがなくてはならない。

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2016年3月17日 (木)

トランプ旋風の効用

 前回のエントリーは、「敵」を作る政治、だった。この中で、米共和党の大統領候補・トランプ氏の名を上げたが、狙いは、言わずと知れたわが安倍首相。このところ、新聞もテレビも米大統領予備選関連の記事満載だ。

 各州での選挙では、共和党はトランプ、民主党のクリントンでほぼ決まり、といった内容や、その生い立ちなどという記事が多いのだが、党の顔としてそれが決まるのが7月、日本の参院選、ことによると衆参同時選の時期とほぼ重なる。

 ところが、「米大統領が誰になったら日本の選挙ににどういう影響があるのか、ないのか」という記事はほとんど見かけない。「日本がアメリカの一州になったら」という、丸山和也自民党参院議員発言があるぐらいだ。もっとその点をしっかり取り上げてもいいのではないか。

 塾頭の希望は、トランプ氏が高支持率をそのまま維持できるよう、過激発言を次々と爆裂させて本選に向かうことだ。日本国民は、いかに安保条約抑止論を持ち出しても、もっとカネを出さなければ守ってやらないなどという彼でいいのか。

 集団的自衛権とか、切れ目のない共同作戦で遠く離れた外地の敵に、好戦的なアメリカと一緒に戦争をする、そういった場面が増えてきたらどうするのか――。

 トランプ氏は、それを問い直すチャンスを作ってくれる。その結果は、アメリカの本選にもすくなかからず影響するだろう。アメリカの一州以上の効果があるかもしれない。そして、日米友好に、これまでにない新時代が訪れれば最高なのだが。

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2016年3月15日 (火)

「敵」を作る政治

民主党の枝野幸男幹事長は13日、安倍晋三首相が自民党大会で夏の参院選を民共の「無責任勢力」との対決と位置付けたことに対し、「自民党と公明党は憲法観が全然違うのに、選挙のためなら何だってする。そっくりそのままお返ししたい」と反論した。(時事通信3/13)

夏の参院選まであと4か月。衆参同時選挙などと言いはやす向きもあり、にわかに政局づいてきた。安倍首相は、選挙戦を「反共ムード」で敵対意識を高める作戦のようだ。選挙である限り政策論争は自由だが、わかり易い「敵」を仕立て上げる点は、米共和党のトランプ戦術と一脈通じるところがある。

 それは、「宿敵創出政治」とでもいうべき古くから使い古されてきた手で、ヒトラーがユダヤ民族を宿敵と見なし、それを抹殺することを戦争目的としたのが苦い歴史の教訓だ。メキシコとの間に壁を作れ、とかイスラム教徒は入国禁止になど、ヒトラーと50歩100歩の発言を繰り返すトランプ候補に、支持者は危惧の念を持たないのだろうか。

 それと安倍首相を同列に置くのは、木を見て森を知らない過剰反応という人もいるだろう。しかし、これまでの政治姿勢や、国会答弁のはしはしからそれはにじみ出ている。また、「敵を作り、敵と闘う」、それが彼の信条であることは、彼の著書『美しい日本へ』で確かめることができる。

――はじめに
 (前略)時代は変ったが、わたしは政治家を見るときこんな見方をしている。それは「闘う政治家」と「闘わない政治家」である。「闘う政治家」とは、ここ一番、国家のため、国民のためとあれば、批判を恐れず行動する政治家の事である。「闘わない政治家」とは、「あなたのいうことは正しい」と同調はするものの、けっして批判の矢面に立とうとしない政治家だ。

 (中略)初当選して以来、わたしは、つねに「闘う政治家」でありたいと願っている。それは闇雲に闘うことではない。「スピーク・フォー・ジャパン」という国民の声に耳を澄ますことなのである。

 下線は、同じページにあるやや矛盾めいた言い回しだが、まあいい。次の「第一章 わたしの原点」を見よう。

  (20ページ)日米安保を堅持しようとする保守の自民党が悪玉で、安保破棄を主張する革新勢力が善玉という図式だ。マスコミも意図的に、そう演出していた。打倒する相手は、自民党の政治家だったわたしの父や祖父である。とりわけ祖父は国論を二分した一九六〇年の安保騒動のときの首相であり、安保を改定した張本人だったから、かれらにとっては、悪玉どころか極悪人である。

 後段にも触れておこう。25ページに「歴史を単純に善悪二元論でかたずけることができるのか。当時のわたしにとって、それは素朴な疑問だった」とある。さきの大戦の経緯についてであるが、至極まっとうな意見だ。ところが第二章ではこのようにも書いている。

 (46ページ)外務省の一部の人たちは、拉致問題を日朝正常化の障害としかとらえていなかった。相手の作った土俵の上で、相手に気に入られる相撲をとってみせる――従来から変わらぬ外交手法、とりわけ対中、対北朝鮮外交の常道だった。つねに相手のペースをくずさぬように協力して相撲をとれば、それなりの見返りがある。それを成果とするのが戦後の外交であった。

 歴史については、善悪二元論を批判している。ところが対中・北については歴史問題を素通りして、相手の土俵など先方を悪とする二元論に立ってしまっている。この矛盾撞着には、一向に気が付かないようだ。要は、政治に必要なのは「敵」であり、なければ作り出せばいいということだ、

 安倍政治は、それ以上でも以下でもない、反知性政治であるということに尽きる。

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2016年3月14日 (月)

囲碁ソフトに勝つ!

 韓国のプロ棋士、イセドル(李世のあと、石の下に乙)九段が、米グーグル傘下企業の作成したソフト「アルファ碁」と対戦、五番勝負で三連敗し四回目にようやく一勝をあげた。塾頭も若い時からヘボ碁をたしなみ、今でも続けているので、一瞬、快哉を叫んだ。

 勝因は、機械が予想しないよな奇想天外の一着を打ち、機械を混乱させて以後は、素人有段者でも打たないようなペースに持ち込み、投了させたという。「はめ手」という言い方もあるが、要は昔から言われてきた「芸」なのである。

 芸達者な棋士では、藤沢秀行や呉清源などが思い出される。「碁」といえば。台湾を含む日中韓のお家芸である。これを「芸」と称した古い文献を、拙著『海と周辺国に向き合う日本人の歴史』の中から紹介しよう。

 (阿倍)仲麻呂と安倍晴明は、吉備真備を介して説話の世界で結びつけられた。そのきっかけが十二世紀初頭に成立した『江談抄』で、それに続けて土御門神道を発展させた人たちにより、清明伝説として江戸時代までに完成させた。(豊嶋泰國『安倍晴明』読本)

 その内容はおおむね次のようなことである。
 仲麻呂は、真備が再渡航する前に博学多才を恐れた唐の手で楼に閉じ込められ、餓死して鬼になっていた。真備も同じ楼に閉じ込められたが夜中に仲麻呂の鬼が出てきて、故郷のこと唐土のことなど互いに教え合い旧交を深めた。

 次の日、唐が真備に難解とされる『文選』を突きつけてなぶりものにしようとしていることを鬼が察知し、一緒に楼を抜け出して読み方や解釈についてすべての準備を整え、一両日後に試しにやってきた唐の勅使をだし抜いた。

 続いて技芸を試そうと囲碁の勝負を持ちかけられた。真備はいかに「才」があろうとも「芸」はなかろういうことである。これも鬼から聞いていたので一夜で持碁(引き分け)にもちこむ手を考えておいた。あらかじめ相手の石一個を飲み込んでおいたので、それで勝つことができた。

 このほか、幻術の話などが続くが、真備は無事帰国、朝廷で栄達を果す。真備は呪術・占術などの奥技を書いた書を持ち帰っていたが、世話になった仲麻呂の縁者ということで、これが晴明の手にわたることになる。

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2016年3月12日 (土)

風評被害と差別

 消費者庁は10日、東京電力福島第一原発事故に伴う風評被害に関し、2月におこなった意識調査の結果を公表した。福島県産食品の購入を「ためらう」と答えた人の割合は15.7%で、昨年8月の前回調査から1.5ポイント減った。2013年2月の第1回調査からでは3.7ポイント減った。事故から5年がたち、減少傾向(朝日新聞デジタル、3/11)

 要は、減ってきてはいるけどスーパーで野菜などを買うとき、「○○県産」などと数種類ある中で「福島県産」とあるのがあれば、それ以外のものに手をだす、という人が15%以上にのぼるということだ。

 戦後間もない頃だが、「広島の原爆症はうつる」といううわさが、まことしやかにささやかれたことがあった。放射能のことなど報道されず知識がなかったことや、「黒い雨」などの話が伝わったからかもしれない。

 「広島の子にはなるべく近づかない方がいい」などというものさえいた。しかし、それが理由のないデマであることがやがてわかってきた。それから5年後、塾頭は就職した。職場に一水会会員という、絵の達人がいた。

 彼は、広島で被爆していたのである。その彼がある時肺結核と診断され、茨城県にある専門診療所に入院した。同僚たちは「原爆には、関係ないのだろうか」とか、「合併症で退院が遅れるようなことにならないか」などと気遣った。

 結局無事退院され、定年まで勤め上げられた。広島は関係ないが、長期療養が災いしてか、役職につかれるようなことはなかった。

 統計によると、福島県には甲状腺がんの疑いがある子供が異常に多いという。その人たちに、いわゆる「風評被害」が及ばないよう、これから最大限の知恵を働かせてほしい。

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2016年3月11日 (金)

抱きつき戦術

 最近、選挙などで使われるやや品のないこの言葉は、一体どこから出てきたのだろう。ネットで検索すると、産経新聞が共産党の野党統一候補優先方針などで、大見出しに使っているほか、同紙系や2チャンネルが圧倒的に多いのがわかった。

 ほかの各紙に見当たらないので、電子版で各紙の記事を調べたら、読売は「抱きつき戦術 に一致する情報は見つかりませんでした。」となり、他紙も同様だった。塾頭は「産経」をとっていないので、「毎日」をよく調べたら、京都衆院補選記事の中で、自民党幹部のことばとして紹介されているのを見つけた。

 そう、言葉として市民権を得るはずがない。だって、その最たるものが自民と公明の間柄に他ならないことを、みんな知っているからだ。政治家、そしてマスコミも、下手な冗談はやめて言葉の大切さを金科玉条にしてほしい。

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2016年3月10日 (木)

名将

 「名将」、漢字転換すればまだ出てくるが、この言葉は全く死語になった。日本では東郷平八郎、乃木希典を思い出す。乃木は、明治天皇崩御を知り、夫人と共に殉死した。

 二〇三高地攻略をはじめ数万を超える皇軍を失った責任を痛感していたともいわれる。また、敗軍の将・ステッセルと水師衛で会見、敬意をもって接したことなどで、外国からも高く評価されている。

 また、その後学習院の院長をつとめ、昭和天皇の教育係としても知られている。昭和天皇は祖父の明治天皇を深く尊敬しており、歴代天皇の平和志向は、乃木の教育にその一端があるようにも思われる。

 敗戦がなければ、海軍の山本五十六や陸軍の山下奉文などが名将になったかもしれないが、以後は全く聞かない。テロとの戦いでミサイルや無人機猛撃が主となるこれからは、「名将」が生まれる余地がないのないだろうか。

 こんなことを思い出したのは、元航空幕僚長・田母神(たもがみ)俊雄氏(67)の資金管理団体を巡る横領事件で、政治資金の一部が田母神氏の個人的な訴訟費用などに充てられていた疑いのあることが報道されたからだ。本人は否定しているが、マスコミの書きぶりからすると、事務員の横領をピンハネしていたということだろう。

 彼は、第一次安倍内閣当時に航空幕僚長に推された。その現役時代に、さきの戦争は正しかったという趣旨の懸賞論文が当選して問題となり、地位を失った。引退後は、自民党から議員になろうとして落選、右翼の旗頭・石原慎太郎氏の後押しで都知事選に出たもののこれも惨敗。

 「名将」とは天地の差以上に開きがある人しかいないのだろうか。栄えある自衛隊を持つ日本人のひとりとして、さびしい限りだ。安倍さんなら、「それもこもも憲法に書いてないから」だというに違いない。

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2016年3月 9日 (水)

菅官房長官しっかり!

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が最終見解で慰安婦問題に対する日本政府の取り組みが不十分と指摘したことについて「(昨年末の)日韓合意を批判するなど政府の説明を十分踏まえていない。極めて遺憾で受け入れられない」と批判した。 (毎日・東京3/9)

 菅官房長官は、いつもは安倍首相の出来の悪い傀儡に見えて、当然のことながら評価したことはなかった。上記委員会は、夫婦同姓に関する最高裁の憲法判断や、目下見直し中の女性再婚に対する議論にも口出しし、撤回はしたものの、皇室典範に干渉するようなことまで言ったらしい。

 ことの是非はともかく塾頭も、菅長官と全く同意見だ。偏見に満ちた内政干渉であり、善隣外交の成果を台なしにしようという暴挙だ。しかも、これを国連の名を冠した委員会が、浅薄な知識や一方的な判断だけで結論を出すことがあってはならない。明らかな越権行為だ。

 もしそうでない、というなら、日本政府の国連外交のまずさということになるが、抗議はしっかりとすべきだろう。また、そういった誤解をされるような理由がどこにあるか、徹底的な究明がなされてしかるべきである。

 産経・読売などによると、日本からも、同委員会の結論に影響を与えようとする団体が渡航し工作をしているというが、根拠のないことで単に日本を貶めることが目的であれば、「反日」といわれても仕方がない。

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2016年3月 7日 (月)

党名を変えたくない民主党員へ

 これまで長い間、街頭で、選挙民に慣れ親しんでもらおうと声をからし、チラシやポスターで、、頭に刻み込んでもらうため力を振り絞った名前だ。夫婦別姓ではないが、体の一部のような気持ちがするだろう。それを変えろとうのは、身が切られる思いがすることはわかる。

 合流を目指す維新の党には、その苦痛を乗り越えて党籍を移した人が多い。その人たちに「また元の名前に戻せ」というのは、同じ理由で酷な話だろう。

 中には、有権者が党名を「民主党」と書いた場合有効となるよう、すくなくとも略称を民主党とすべきだという意見があるという。なんというセコイ話だ。党名が新しくなったことも知らない、政策・公約のチェックもしない、その程度の支持者の票は捨てた方がいい。

 むしろ、それを徹底させるためのチャンスがあつたのに、それをしないのは一方的に候補者の責任だ。選挙に大敗し、安倍内閣の暴走を止められず、党内不一致を与党からも嘲られ、支持率もあがらない。

 それに何の手立てもなければ、「民主党」という名に、嫌悪感を覚え棄権するか他党に乗り換える支持者もいるだろう。まず、しっかりした政策の対立軸が必要だ。そのため、安保法制廃案や集団的自衛権関連、原発ゼロ、辺野古埋め立てなど、かつての同党政策と異なる点があっても、反省・変更すべき点はしっかり見直すべきだ。

 もし、それに抵抗したり反対する党員があれば出て行ってもらうしかない。塾頭が支持する人ではないが、小泉元首相が、現在反原発を声高に叫んでおり、かつて「郵政民営化、賛成か反対か!」と国民に訴えた手法は、大いに参考にすべきだ。

 塾頭は、党名などどうでもいい。現状維持をすることで、党勢が回復できるという危機感のなさでは勝てるわけがない。政策の思い切った転換、全野党を結集する統率力が同党中心に生まれるてくることを願っているだけだ。

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2016年3月 5日 (土)

ランドマー「木」

 「ランドマーク」という言葉が市民権を得たのは、多分横浜の「ランドマークタワー」が名所化してからだろう。

 しかし、ランドマークに親しみ、古くからそれを利用してきたのは日本人なの ではないか。

Dscf2765 写真・三本松は塾頭の地元にある。ここに住まいを建てた頃には、たしかに老松が3本、街道を覆うような枝振りで存在した。やや離れた川岸に近いところには「一本松」という地名がある。いずれも、バス停の名として残るだけで、ランドマークの木は残っていない。

 杉も同様、大木は各地で目標にされただろう。松、杉が多く、落葉樹や灌木ではランドマークになりにくい。そして、樹木には寿命があるので、残るのは地名だけになってしまう。それも区画整理や町村合併でバス停や自治会名だけというのは、ちょっと淋しい。

 その中で、メジャークラスは赤坂・六本木と、お城や安達太良山で有名な福島の二本松市ではないか。六本木は松の木だとする説もあるが、それも定かではなくなった。とにかく、ランドマークとは、はかないものだ。

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2016年3月 4日 (金)

日中を結ぶ「お宝」検証

Dscf2763   ”三角縁神獣鏡 中国も発見?”という題で、3/2毎日新聞のコラム<記者の目>に記事が載った。手前みそではあるが、塾頭には「古代ロマン文学大賞」を受賞した既著がある。題名は『海と周辺国に向き合う日本人の歴史』である。

 うかつながら、こんな「ロマン」に満ちた「?」つきのニュースがあることにこれまで気が付かなかった。最初に報じたのはちょうど1年前の朝日新聞だったようだ。それ以後もこれほど、考古学そして古代史に決定的影響をしそうなニュースが、黙殺と言っていいほどの扱いを受けたのは何故だろう。

 それは、中国で発見されたものには発掘の学術的記録がなく、当時都のあった洛陽のあたりで拾ったとして、骨董屋に持ち込まれたものらしい。そういった類のほとんどが、巧妙な贋作であり、だまされるのはいつも日本人、という一方的な思い込みがあるようだ。もちろん、それが本物であると判定する専門家も、日中双方に存在する。

 ロマンに満ちた大昔の話とはいえ、両国の歴史認識におおいにかかわってくる。しかし、南京虐殺や尖閣領有などとは違う。不毛な衝突に明け暮れする問題ではない。相互不信のぶつけ合いをしても得るものはなく、夢をぶちこわすだけだ。

 塾頭は、むしろ「贋作さえでてくる」という点に大いに興味を持った。マスコミも専門家も黙殺ではなく、両国の交流と研究の中から古代のロマンに1ページを加える結果を出してほしい。

 毎日の「記者の目」は、これまでの経過や問題点を指摘し、塾頭と同じ結論に至ったものだが、ここで三角縁神獣鏡について簡単におさらいをしておく。

 塾頭が最初に取材で訪れたのは、JR桜井線・柳本駅を降りてすぐの黒塚古墳であった。ここは、1997年に三角縁神獣鏡が一挙に33面も発見されたことで有名である。その先をさらに東へ進むと行燈山(崇神陵)という巨大古墳に突き当たる。

 そして、山の辺の道を南下すると渋谷向山(景行陵)古墳があり、その先には、巨大宮殿跡と見られる遺跡が発見された桜井線・纏向駅がある。さらに駅前の踏切を渡ると、目の前に卑弥呼の墓ではないかとされる箸墓古墳が横たわる。

 以上3つの黒塚古墳以外の古墳は、いずれも全長200~300メートルに達する出現期の大古墳で、3世紀から4世紀かけての大和朝廷・大王級の墓に擬せられており、発掘は許可されていない。

 中国古典の魏志倭人伝が伝える邪馬台国の女王・卑弥呼と、『日本書紀』で箸墓に葬られたとされる、倭迹迹姫命(やまととびめのみこと)が同一人物であるかどうか、古代史最大のなぞとロマンの中心がここにある。

 もちろん物的証拠は、まだ何も発見されていない。しかし、状況証拠のようなものならまだまだ積み重なる可能性がある。三角縁神獣鏡もその一つである。魏志倭人伝に、銅鏡100枚が卑弥呼に贈られたとあり、それが魏の景初三年(239)とか正始元年(240)のこととされる。

 三角縁神獣鏡に、その年代が刻まれたものが何枚かあったので、この鏡が魏王からの贈物であるとして俄然注目されることになった。この鏡の特徴は、縁取りが三角の山形になってたいることと、伝説の神や獣がデザインの中心であることからきている。

 大和を中心とする東日本で大量に発見されるため、邪馬台国は九州でなく大和にあったとする説の補強材料になっている。ところが、発見が相次ぎ、100枚どころか540枚を越してしまった。それなのに中国からは1枚も発見されない。

 そこで日本で鋳型をとり、複製を大量生産したとか、魏で作ったが日本向けの特注品で中国には残らなかったという説、神獣デザインが好まれる南部の中国から工人が渡来し、魏鏡に似せて日本で作ったなど、さまざまな説が説かれている。そうすると、贋作は日本の方が最初ということにもなる。

 今の先進技術である同位元素でしらべるとか、多次元映像を駆使するなどの手もある。これまでもそうしてきたように、日中での1000枚を超すサンプルの比較検討で真相に近い結果が出せるかもしれない。双方が納得できる線は必ず存在する。

 2、30年以上も前の事だったと思うが、日韓双方で前方後円墳の起源が争われたことがある。しかしお互いに史料を交換し合う中で双方に納得できる定説が確立したこともあるのだ。

 以下、<記者の目>と、さまざまな問題を指摘している<第337回 邪馬台国の会>をリンクしておく。
http://mainichi.jp/articles/20160302/org/00m/030/004000c 
http://yamatai.cside.com/katudou/kiroku337.htm

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2016年3月 2日 (水)

無秩序時代

 戦後71年。今ほど無秩序だった時代はあっただろうか。答えは「なかった」になってしまう。米ソが張り合った冷戦の時代、東は東、西は西でそれぞれの秩序があった。植民地から解放された小国は、独裁国とか王国あるいは共和国として所帯を持った。

 代理戦争、部族間抗争、国境紛争、宗教の衝突があっても、それらは「地域紛争」と呼ばれた。ソ連が崩壊してアメリカ一国支配の時代が続いたものの、突如アメリカが中東紛争の後始末に失敗し、世界はかつて経験のない無秩序時代に入った。

 キリスト教に次ぐ信者と広がりを持つイスラム教は、大多数のスンニ派と少数派のシーア派があり、融合することはなかったが、共通の聖地巡礼とコーランは守られ、一定の秩序のもとでイスラム世界が成り立っていた。

 それを一変させたのは、独裁権力機構を失ったイラクとシリアで、ここはかつてのイスラム全盛時代の中心だった地だ。そこにいわゆる「アラブの春」後の混乱の中から、主にアメリカと対立していたアフガン・パキスタン生まれの過激派、アルカイダを超越して出現したのがIS国である。

 スンニ派の原理主義を信奉する彼らは、異教徒が引いた国境線や、神やカリフと呼ぶ宗教指導者ではない近代国家や、王室その他一切の権威を認めない。神の意にそわない相手とたたかうためには命を惜しまない。それが、最後の審判を受けずに至福の境地に達する近道であると、差別の多い世界から若者を集める。

 この、相手を選ばないジハード至上主義は、同じスンニ派のサウジ、エジプトや多くの湾岸諸国に違和感と警戒感を抱かせると同時に、イラク・シリアに多いシーア派住民の排除に向けられた。イランは、核問題でアメリカとの確執が解け、IS壊滅という点でロシアとも同じ土俵に立つことになったのだ。

 しかし、一旦IS国によって点火された原理主義の理念は、連合軍の空爆などでイラク・シリアから勢いをそいでも、すでにリビア、シナイ半島など各地へ飛び火しており、軍事力で消滅させることは不可能と言っていい。世界の無秩序の発生源ともなっている。

 アメリカは大統領の予備選挙の真っただ中である。トランプ優勢、このまま米大統領になるようなことになったらどうなるか?。「強いアメリカ」どころか、国内に大混乱を招きかねず、世界の無秩序に拍車をかけることになるだろう。

 「韓国や日本がアメリカに国を守ってもらいたいなら、もっとカネをだせ」。これがトランプ氏の口調である。これを彼の口調で言いかえすとこうなる。

 日本が居心地がいいというから基地を置いてやっている。ここから中東へも米軍が行き来している。日本で不動産を借りたりすると、家賃のほか敷金・礼金も払わなければならない。それどころか、思いやり予算といって、増改築費はもとより、お手伝いの人件費や電気代など光熱費まで払ってあげてる。それも知らないで、脅かし文句が利くと思っている。そういうのを、日本では「悪徳不動産屋」という。

 日本の政治の無秩序は、すでに始まっている。憲法無視、強行採決、政治家の放言・非行、言論圧迫……。世界はおくとしても、われわれは、まずここから秩序回復を始めなくてはならない。

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2016年3月 1日 (火)

東電、強制起訴へ

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、勝俣恒久元会長(75)ら旧経営陣3人が29日、業務上過失致死傷罪で強制起訴された。この件では過去2度にわたり検察官が不起訴にしているが、これを京第五検察審査会がくつがえし、起訴議決をしたため弁護士が検察官役をつとめて開かれるものである。

 簡単に言うと、「わかっていたのにトップが必要な措置を取らなかったため、事故が原因の死傷者を出してしまった」というものである。

 その、「わかっていたこと」というのは、国の地震調査研究推進本部が02年7月に出した「福島第一原発の沖合を含む日本海溝沿いでマグニチュード(M)8クラスの津波地震が30年以内に20%の確率で発生する」との予測に対し、東電が福島第一原発に高さ15.7メートルの津波が押し寄せる、との試算結果を出していたことだ。

 それについて、起訴された3人のうちすくなくとも武藤栄元副社長(65)は、当時立地などに責任を持つ担当役員をつとめており、知らぬ存ぜぬは通用しない立場だ。無罪を主張するものと見られるが、早い段階で防波堤の高さが10メートルしかなく、「判断スミスがありました」と頭を下げていれば、こんなことにならなかったかもしれない。

 本塾は、事故発生当時より原子力村、特に東電役員の発言には不信感を持っており、それは日を追って強くなった。事故発生当時の3月14日付毎日新聞によると、東電は、非常用発電機は原子炉やタービンと同じ重要度で、もう少し標高の高い場所にあるが、ポンプなどは重要度がやや落ち、津波に冠水したといい、さらに小森常務が次のようにコメントしている。

 「あまりに想定外の高さだった。原発はかなりのタフネス(頑健さ)を持っていると思っていたが、電源の重要性を再度、しっかり考えなければならない。重い、厳しい教訓だと、率直に受け止めている」と唇をかむ。

 最初にカチンと来たのが「想定外」だ。こういった面は過去何度も取り上げているが、2014年には”原子力の「想定外」は犯罪”という記事も書いた。塾頭は、原発とは比較にならない小さな公共施設の安全管理を仕事にしていたことがある。

 想定外の事を想定して事故に備えるのが安全管理である。とくに原発の事故は、放射能被害という取り返しできない苛酷な事態を生む。津波の高さは想定外であっても、電源喪失の可能性は想定外というわけにいかない。

 事故を聞いて、原発ならそれに備えて電源車の常備はもとより、電気がいらず水にも強く、石炭か薪で動く蒸気ポンプぐらいあってもいいのにと思った。事故が起きる前から、原発の安全性について学者や専門家の議論は盛んであり、裁判もたびたびあった。

 放射能のこわさは、元会長は、広島・長崎を知っており、第五福竜丸事件の知識もある。その他の役員は身近に体験したことがない。だから「想定外」などと平気で言えるのだろか。

 新聞各社は、この裁判をそれぞれ社説で取り上げており、その意義について解説しているが、5大紙のうち産経だけが「識者からは強制起訴制度そのものの見直しを求める声も出ている」と、東電・政権よりに書いているのが目立った。

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