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2016年2月13日 (土)

鉄道と戦争

 インドネシアの高速鉄道計画で入札があり、日中が競い合っていたが、建設側の融資に政府が保証しなくてもいいという大まかな資金計画を受け入れた中国の計画に決まり、技術面で信頼の高い日本側が敗退したというニュースは旧聞に属するが、4日付読売新聞では次のような続報があった。

 【ジャカルタ=池田慶太】インドネシアの高速鉄道計画で、鉄道建設を手がける中国とインドネシアの企業連合が、事業が失敗した際の「保証」をインドネシア政府に求めていることがわかった。

 インドネシア政府の財政負担ゼロを条件に中国案が採用されたが、将来的に負担が押しつけられかねないとしてインドネシア側から懸念が出ている。

 2日付の有力紙コラン・テンポなどによると、企業連合とインドネシア運輸省は、完成後の鉄道資産を政府に譲渡する条件を巡って対立している。運輸省が契約から50年後に負債のない状態での譲渡を求めているのに対し、企業連合はより長い期間を要求し、事業破綻の場合、政府が買収するよう提案。それができなければ中国側に所有権を移すよう求めているという。

 反戦塾だから、というわけではないが、これで真っ先に思い出したのが、日本の大陸侵略のきっかけを作った柳条溝事件(満鉄爆破)である。さらに舞台が変わるが、塾頭が若い頃よく見たアメリカの西部劇の場面は、今でも通用するだろうか?。

 西部の砂漠を走る列車に馬に乗った悪党が追いつく。高価な荷物や裕福な乗客から金品を掠奪する。西部の産油地と消費地を結ぶ鉄道は、ロックフェラーなど石油資本が投資し、独占的な地位を利用して膨大な利益を生んでいた。そんな鉄道をめぐって銃撃戦が巻き起こり開拓軍が勝利する。

 かつて、帝国主義の植民地支配でまず手掛けられるのが鉄道の敷設権と鉱山の開発権であった。西欧列強は、中国本土・満州・朝鮮などでこれらの権利獲得に先を競い、日本も後からこれに加わった。前述の満鉄も、ロシアが中国から敷設権を獲得、建設したものを、日本が日露戦闘に勝利した結果撫順炭鉱などとともに接収したものである。

 これに伴って鉄道10Kmにつき15名の沿線守備駐兵権も得た。下剋上で悪名高い関東軍は、ここから育ったのだ。柳条溝事件の詳細は省くが、この鉄道線路を張学良軍が爆破したというでっち上げで満州事変の戦端が開かれ、傀儡政権樹立に至った経緯はよく知られている。

 さて、冒頭の引用の最後である。借りた建設費が払えなくなれば、所有権を中国側に移すという要求があるという。仮にそうなれば、中国は鉄道から利益を上げるため沿線の開発投資をさらに進めるだろう。その要員もここに移住してくる。

 そこへ、イスラム過激派が少なくない同国である。テロで鉄道が破壊され住民が襲われたらどうするか。資産・権益そして国民保護のため中国軍が動く。過去、それでさんざん国土を荒らされた経験のある中国だ。そのような愚を繰り返すことはないだろう。

 しかし、そう遠くない歴史でさえ忘れてしまいたい政治家が、まだどこかにいる。海外進出はあくまで商業ベースを基本とし、国は無償援助、人道援助に徹すべきだと、このニュースから感じたのだ。

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