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2016年1月22日 (金)

Do you know 安保⑤

 在日米軍基地の面積で7割超が沖縄に存在するということに、本土の人間は、
 「そりゃあ大変だ。しかし、土地を貸している人は多額の地代が入るし、基地の存在で生計を立てている人も多い。辺野古の海の自然が破壊されるというが、美しい自然はほかにもたくさんあり、それで観光資源が損なわれるという程ではない。日本の安全が保たれるのであれば、多少のことは我慢してほしい」――
という感覚を持っていないか。

 独立国の1%に満たない土地でも外国軍基地ができ、兵士がわがもの顔で振舞ったらどうなるか。ウサマビンラディンは、湾岸戦争でサウジに駐留した米女性兵士の行動に目をそむけ、9・11テロの動機とした。また、イラクの復興支援をうたった自衛隊基地も、地元武装勢力の標的になった。

 日米安保条約と同時に締結された協定に、「日米地位協定」というのがある。そこでは、米軍人の犯罪は、協定17条で身柄が米側にあれば起訴まで米側が拘禁すると定める。日本側捜査に支障が大きく、95年の沖縄の少女暴行事件で協定改定の要求が強まったが、両政府は運用改善で対応。「殺人または強姦という凶悪な犯罪」で日本が起訴前に身柄引き渡しを求めれば米側は「好意的考慮を払う」ことで合意した。

 また、公務執行中の犯罪執行中と認定されれば第一次裁判権が米側にあり、交通事故を起こしても基地内に逃げこめば容疑者の捜査もできない。沖縄国際大学構内にヘリコプターが墜落した際は、現場を封鎖し、警察・消防・学校関係者などの立ち入りを禁止した。

 米兵による事件、事故が多い沖縄では「治外法権」(仲井真弘多知事)との批判が根強いが、両政府は改定でなく運用改善での対応を重ねているだけで、アメリカは他国のケースに影響を及ぼすという理由で譲歩する気配はない。

 したがって、どこの国でも外国軍の存在を嫌うのは当然だが、日本ではそれを理由にテロで報復するということはしない。政府は「辺野古移転が住宅に囲まれた普天間飛行場の危険を回避する唯一の解決策」というが、全県あげての反対運動の本質は、全く違うところにあることを理解していない。

 このシリーズで「日本は米国の属国」と書いてきた。その用語は、毎日新聞の15日付「特集ワイド」が見出しに使っている。そこから抜粋したものをこのシリーズのしめくりとしたい。

ある在日米国人男性が最近製作した映画が静かな話題となっている。タイトルは「ザ・思いやり」。日本が負担する在日米軍駐留経費、いわゆる「思いやり予算」について「なぜ日本はそこまでするのか」との素朴な疑問を投げかけるドキュメンタリーだ。市民グループなどが各地で自主上映会を開いている。

 この予算は1978年、金丸信防衛庁長官(当時)が「思いやりというものがあってもいい」と発言、基地従業員の人件費の一部62億円を負担したのが始まりだ。その後、施設整備費や光熱水費なども加わり、現在は5年ごとに額を大きく見直している。2011〜15年度は年平均1866億円を支出。日本政府は昨年、16〜20年度分の減額を求めたが米側は受け入れず、逆に総額で130億円増の同1893億円で決着した。

 映画では、基地内のリゾートマンションのような住宅から、学校、教会、ゴルフ場、銀行、ファストフード店に至るまで、米兵が快適に暮らすための数々の施設が日本の税金で整備されていると説明する。そして、米カリフォルニアの街頭で「この事実、どう思う?」とインタビューを敢行。「(在日米兵)1人当たり1500万円? ワオ!」「国際開発に使え。その方がより平和的だ」。問われた米国人やフランス人、インド人らは驚いたり、自分のことのように憤ったりする。

 監督した英語講師のリラン・バクレーさんは、製作の動機をこう語る。「米軍厚木基地(神奈川県)の近くに16年住んでいますが、数年前、米兵のぜいたくな生活のために日本の税金が使われていると知って驚いたんです。東日本大震災の被災地には、隣家のくしゃみが聞こえるほど壁の薄い仮設住宅に住み、ストレスを抱えている被災者がいるのにどうして? 日本は米国の属国ではないのだから、この矛盾を考えてほしい」

 なお、同特集によると、02年の各国の米軍駐留に対する支援額計上は次のとおりで、光熱費まで払う国はなく、アフガン出兵の際の周辺国に設けた基地など、逆に迷惑料を払っている。

・日本    44億1134万ドル
・ドイツ    15億6392万ドル
・韓国     8億4311万ドル
・イタリア   3億6655万ドル

 安倍内閣は70年間一度も憲法を改正しなかったという。しかし、10年に1度見直す機会がある日米安全保障条約は、55年間そのまま。日本の安全と民主主義が破壊されつくされようとしていることに、国民が本気で怒らないと、いつか来た道をたどってしまうことになりかねないのだ。

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