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2015年12月27日 (日)

超党派歴史勉強会を野党で

 本来、歴史を政治に従属させてはならない。それが世界の歴史的教訓である。しかし、時代の推移、人類の進歩に伴って過去の見方を変えていくこと自体、否定されるべきではない。それは、真摯な研究と叡智のもとで行われ、かつ多くの批判に耐えうるものでなくてはならない。

 自民党は、下記のような勉強会を発足させた(12/22・毎日新聞電子版

 自民党は22日午前、日本の近現代の歴史を幅広く検証する安倍晋三総裁(首相)の直属組織「歴史を学び未来を考える本部」の初会合を開いた。本部長の谷垣禎一幹事長は「政治家が歴史をろくに勉強せずに『歴史、近現代史教育を振興せよ』と言ってはいけないだろうということが一番基本にある。まずは我々が謙虚に歴史学の成果を学ぶことが極めて大事だ」と語った。

 同本部は結党60年を迎えた先月に発足した。初回は党所属の国会議員約60人が参加し、会合の進め方などを確認した。今後月1?2回のペースで開き、テーマごとに有識者らを講師として招いて意見交換する勉強会形式を取る。報告書などはまとめない方針。【中島和哉】

 塾頭の観測では、安倍首相に直接つながっていた「大東亜戦争は正しかった」式の歴史修正主義を排し、すでに定説化している史実もちりばめて、8月の安倍談話のようなものを作るのが目的だろう。時期を見て安倍主導による憲法改正の下地作りをし、あわせて教科書の統一をはかるのにも役立つ。

 国民が「この程度なら」と見過ごしてしまう。そして「一億総……」体制のもと、反論異論を封じ、百花斉放を異質のものとして排除する、この狙いが怖いのだ。塾頭はかねてから、野党も護憲のために、解釈改憲をされるような不具合な点を是正する改憲案を持て、と主張してきた。

 自民党の作ろうとしている勉強会の結論などは程度が知れている。しかし、それができてから学者や識者が各個ばらばらに批判しても、迫力に欠け力にならない。ことに、かつて歴史学の主流であったマルクス主義の教条から抜け出せないような意見では古すぎる。

 たとえば、明治維新で、日本は「富国強兵」「殖産興業」にまっしぐらに進み、日清・日露の帝国主義的植民地獲得、侵略戦争の道に走った、というようなことである。これは、歴史学が専門化し、日本史を専攻した学者に多い。

 当時の清王朝やイギリス、ロシアの実態、不平等条約のもとで開国した日本などの国際環境をつぶさに見れば、むしろ西欧諸国の侵略を予防する自衛戦争だった面が大きい。これを、第一次大戦に便乗し、中国大陸での利権確保、侵略的意図を露骨にさせたことと、厳然と区別させなくてはならない。

 塾頭は、歴史学については素人である。しかし、歴史修正主義が羊の仮面をかぶって画一的日本史を定着させるようなことを許すことは、けっして許せない。それをさせないために何ができるか。自民党主導の近現代史研究でなく、超党派の長期的国家的プロジェクトとして野党が提案・主導すべきではないか。

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