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2015年12月 4日 (金)

日韓関係に変化の兆し?

 このところ、日韓関係に微妙ではあるが変化があるようなことをマスコミが報じている。首脳が国際会議て言葉を交わしたとか、事務レベルの接触があったとかそんなことである。韓国と言っても朴槿恵大統領がどう思っているかはわからない。同様に安倍首相に大きな心境の変化があったとも考えられない。

 知りたいのは、韓国国民の多くがどう考えているか、また、オピニオンリーダーがどの方向を向いているのかである。そこで、韓国の代表的新聞のひとつ朝鮮日報を日本語の電子版で見てみた。日本人向けなので特別に編集されたものかも知れないが、昨日早朝の段階で「主なトピックス」という見出しは次のようなものだった。

・「靖国爆発音、直前に防犯カメラに写った男は韓国人」12/03 ・慰安婦:大沼保昭氏「韓国社会と韓国メディアも共犯」12/03 ・慰安婦:大沼氏「基本的な事実が韓国では誤解されている」12/02 ・>韓国に大沼氏ら「良心的日本人」を説得する戦略はあるのか12/02・慰安婦:朴裕河教授「被害者の名誉傷つけていない」12/02 ・ソウル大教授ら「『帝国の慰安婦』に学問的裏付けなし」12/03 ・【コラム】誇らしい歴史、恥ずかしい史料11/29

 以上最初から7項目まで、すべて日本関連記事である。その中から鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員が書いた【コラム】誇らしい歴史、恥ずかしい史料11/29 、というのが塾頭がかねて知りたかったオピニオンリーダの生の声に近いと見て、取り上げさせてもらう。

【コラム】誇らしい歴史、恥ずかしい史料

帝国主義時代の日本と左派が発掘した恥ずかしい史料が山ほどある
これらを取り除かなければ誇らしい歴史は空念仏に終わるだろう

 先日、東京都内の書店で「朝鮮王公族-帝国日本の準皇族」という本を見つけた。本の帯には「帝国日本への歪んだ忠誠」という文字と共に写真があった。日本の軍服を着て、日本の皇族の列の端に立つ朝鮮王族3人の姿だ。高宗(朝鮮第26代国王、大韓帝国初代皇帝)の息子・英親王(李垠〈イ・ウン〉)と高宗の孫の李ゴン(イ・ゴン)、李ウ(イ・ウ)が靖国神社で祭祀(さいし)を行う姿だという。この本は、日本による植民地支配時代以降における朝鮮王族26人の人生の流転を取り上げたものだ。ただの嫌韓本だろうと思いながら数ページ読んだところ、多くの史料に基づき綿密に書かれた本だということが分かった。不愉快ではあったが、そのまま置いていくことはできなかった。

 その前日に東京都千代田区の赤坂プリンスホテル再建現場を見学したのも、この本が手放せない理由だった。2005年にこのホテルのシングルルームで英親王の一人息子、李玖(イ・グ)が死亡しているのが発見された。国が独立状態を保っていれば、皇帝になっていた人物だった。東京特派員をしていた当時、その寂しい最期を取材したが、李玖が亡くなっていた赤坂プリンスホテルは、かつて日王(天皇の韓国での呼称)が与え、父・英親王の東京都内の邸宅「旧李王家邸」があった所でもあるという。朝鮮王の孫だった李玖は生まれた場所で死んだのだ。その数年後、ホテルが取り壊され、建て替えられる際に旧李王家邸も消えるかと思われた。ところが、今回行ってみたところ、その近くに文化財として保存されていた。大金を投じて5000トンもある建物を丸ごと移設したそうだ。[以下略]鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員

 鮮于鉦論説委員がお幾つぐらいの方かわからない。また、同紙政府与党を支援する反左派系新聞なので、その線を踏み外す記事にはならない。しかし、このコラムで見られる筆者の複雑な葛藤と、民族が背負った歴史上の宿命のようなものが文面からあふれ出ている。それと、歴史が持つ冷酷なかつ動かしがたい史実、これをどう調和させるのか解決に苦しむ――というように読み取れた。
 
 本来、歴史と民族の誇りは無関係である。さまざまな史料から歴史は生まれる。歴史から誇りを生み出そうというのは本末転倒であり、邪道である。日本はこの過ちの深みにはまり、敗戦の憂き目を背負ったのだ。

 歴史のどの部分に誇りを感じ、また何を恥とするかは、それぞれ個人の感情で決まる。決して国や教科書で押し付けるものではない。名誉だから強調し顕彰する、恥だから抗議をし消し去る。これは歴史ではない。

 「歴史を正視する」とは、これに徹することである。鮮于鉦論説委員は、後段で朴大統領がいう「誇らしい歴史」は、それの裏付けとなる史料発掘に努めなければならないと説く。引用の最後にある「旧李王家邸」を移設復旧させたのがいいことなのか悪いことなのか、そこまで書いてない。

 「歴史を正視する」ということは、一方通行だけで決められない、ということを、同論説委員か一番強く認識しているのではないか。上述の記事で塾頭はそう感じとった。

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