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2015年12月

2015年12月29日 (火)

慰安婦問題の合意

 日韓の慰安婦問題妥協が押し詰まった本年最後の大ニュースのようだ。

 こういったことで「勝った、負けた」を言ってはならない。国家間・民族間で勝ち負けを言っていいのはスポーツだけ。バカな人間のおかげで、こんなことが戦争の火種になる。それでも、2国間でこれだけヒートアップし、国際化まで引き起こした問題だ。

 政府の外交手腕を含め、草莽はどうしてもそこに関心が向く。

 塾頭の判定は、双方とも「負け」。その度合いは、日本は与野党ともに賛成か歓迎、韓国は野党が反対で、慰安婦と支援団体は「受け入れられない」と反発。ということは韓国の方が傷が大きく痛ましい結果になったといえる。

 そもそも、素人には何がどう決着したのかわからない。何度新聞を読み返しても、いままでと何がどう変わったのかわからない。「結局同じじゃないの?」という感じだ。

 要点は2つある。ひとつは「日本政府は法的責任を負わない」ということと、「この問題を蒸し返さない」、難しくいうと「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」したということだ。これは、日本の前からの主張を確認しただけ。

 法的責任は、これまで日本に「道義的な責任はある」としていたのを、そうでなく国家の責任を認め、賠償金を出せ、というものだ。強制連行または詐欺により拉致すれば日本の法律でも犯罪だ。しかし、それを証明する証拠はない。

 あるいは、前線における違法苛酷な扱いを受けたというなら、戦争責任、戦争犯罪ということになり、参加してなかった東京裁判は不当だからやり直せとか、国交樹立は無効であり破棄せよといっているのと同じだ。

 これはどう見ても無理筋である。韓国内にもその認識が内在していたのだろう、今回日本の主張を容認せざるを得なかった理由のひとつではないか。

 もうひとつの点は、総理大臣の謝罪と、元慰安婦支援のため、韓国政府が財団を設立し、日本政府の予算で10億円程度の資金を一括拠出するということである。これも河野談話に基づき「アジア助成基金」が設けられ、「元慰安婦の方に対する内閣総理大臣の手紙」が出されたことをおさらいしているようなものだ。

 その手紙には、歴代の首相、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎が署名している。それに安倍晋三が加わるのが目新しいが、「その先の世代の子供たちに謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかない」とコメントするのは余計なひと言。首相の正直さが発端だとは思ってないようだ。

 そして10億円の資金供与。「問題はカネじゃない」と言い続けてきた彼女たちの面目が丸つぶれにならないのかが心配。日本のマイナス点の大きな部分は、小泉首相の靖国参拝に対する中・韓の反発に打開策を模索するでもなく、安倍首相が右傾化一直線の路線をむき出しにして、東アジアの不安定化が国益を損ねていたということの問題棚上げである。

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2015年12月28日 (月)

1年を振り返って

 沢選手、皇后杯で現役最後の試合に自らゴールを決め優勝。有終の美を飾った。

 それ以外にロクなことがなかった1年。おわかりですね(ノ_-。)。

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2015年12月27日 (日)

超党派歴史勉強会を野党で

 本来、歴史を政治に従属させてはならない。それが世界の歴史的教訓である。しかし、時代の推移、人類の進歩に伴って過去の見方を変えていくこと自体、否定されるべきではない。それは、真摯な研究と叡智のもとで行われ、かつ多くの批判に耐えうるものでなくてはならない。

 自民党は、下記のような勉強会を発足させた(12/22・毎日新聞電子版

 自民党は22日午前、日本の近現代の歴史を幅広く検証する安倍晋三総裁(首相)の直属組織「歴史を学び未来を考える本部」の初会合を開いた。本部長の谷垣禎一幹事長は「政治家が歴史をろくに勉強せずに『歴史、近現代史教育を振興せよ』と言ってはいけないだろうということが一番基本にある。まずは我々が謙虚に歴史学の成果を学ぶことが極めて大事だ」と語った。

 同本部は結党60年を迎えた先月に発足した。初回は党所属の国会議員約60人が参加し、会合の進め方などを確認した。今後月1?2回のペースで開き、テーマごとに有識者らを講師として招いて意見交換する勉強会形式を取る。報告書などはまとめない方針。【中島和哉】

 塾頭の観測では、安倍首相に直接つながっていた「大東亜戦争は正しかった」式の歴史修正主義を排し、すでに定説化している史実もちりばめて、8月の安倍談話のようなものを作るのが目的だろう。時期を見て安倍主導による憲法改正の下地作りをし、あわせて教科書の統一をはかるのにも役立つ。

 国民が「この程度なら」と見過ごしてしまう。そして「一億総……」体制のもと、反論異論を封じ、百花斉放を異質のものとして排除する、この狙いが怖いのだ。塾頭はかねてから、野党も護憲のために、解釈改憲をされるような不具合な点を是正する改憲案を持て、と主張してきた。

 自民党の作ろうとしている勉強会の結論などは程度が知れている。しかし、それができてから学者や識者が各個ばらばらに批判しても、迫力に欠け力にならない。ことに、かつて歴史学の主流であったマルクス主義の教条から抜け出せないような意見では古すぎる。

 たとえば、明治維新で、日本は「富国強兵」「殖産興業」にまっしぐらに進み、日清・日露の帝国主義的植民地獲得、侵略戦争の道に走った、というようなことである。これは、歴史学が専門化し、日本史を専攻した学者に多い。

 当時の清王朝やイギリス、ロシアの実態、不平等条約のもとで開国した日本などの国際環境をつぶさに見れば、むしろ西欧諸国の侵略を予防する自衛戦争だった面が大きい。これを、第一次大戦に便乗し、中国大陸での利権確保、侵略的意図を露骨にさせたことと、厳然と区別させなくてはならない。

 塾頭は、歴史学については素人である。しかし、歴史修正主義が羊の仮面をかぶって画一的日本史を定着させるようなことを許すことは、けっして許せない。それをさせないために何ができるか。自民党主導の近現代史研究でなく、超党派の長期的国家的プロジェクトとして野党が提案・主導すべきではないか。

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2015年12月25日 (金)

大岡裁き

 「お上に盾つく不届きもの。数々の証拠もござる。申し開きあいならぬ。早々と観念せぬか」
 「は、はーっ。恐れ入りましてござります。包み隠さずすべて白状いたします」

 これが江戸時代の捕り物帳、お白洲での決まり文句だった。ところが最近はどうも違う。「恐れ入りました」などとは最後まで言わない。証拠を突きつけられても「知らぬ存ぜぬ」で押し通すか、前後矛盾するようなことでも平気で言い否認し続ける。

 裁判で情状は悪くなると思うが、「うまくすれば無罪になる」とでも思うのだろうか。あるいは、取り調べの可視化などが言われている世相がそうさせるのだろうか。
 
 全国に報道されることもあまりないが、千葉県八千代市長が公文書改ざんの疑いでもめている。その公文書とは、昨年10月1日に行われた定例部長会の議事録のことで、疑惑が発生してからすでに1年以上もたっている。

 その間の経緯の詳細は複雑怪奇で、ブログで正確に記述することは至って困難だ。かいつまんでいうとこうなる。(東京新聞・毎日新聞の地方版を参照)

 その部長会で、職員から事業仕分けに対する非難発言が出た。それに関連したものかどうかわからないが、市民から会議録の開示請求が出る。開示は1月後の11月に出た。

 ところが、当初9ページあったものが4ページに書きなおされたものであることがわかり、開示内容を不服として市民が異議申し立てをした。

 それに対して、本年3月の市議会で、部長会にも出席していた秋葉就一市長が追求を受ける。そしてj9月29日,八千代市情報公開審査会が、提示されたものは、公文書と認めず,改ざんが 「秋葉就一市長の主導で行われた」と組織ぐるみの違反行為と断定した。

  引き続き100条委員会で、市長の証人喚問や、市職員の参考人招致がおこなわれ、その概要が22日に公表された。

 それらの中から拾うと、こんな証言が出てくる。

・市職員「市長が鉛筆書きで削除や加筆を指示した」
・市長「会議録は他と同じように要点筆記ではないのか」
・職員「指示と捉えて要約作業に作業に入り、6ページまで短くした」
・職員「更に記述の削除や加筆の指示で4ページ会議録に近いものが作成されるに至った」
・市長「(9ページ快記録は)未完成という趣旨の回答があった」
・職員「そのような説明をした職員はいない」

 なお、3月の議会で,本来開示すべき9ページの会議録は「廃棄された」と答弁したが,市総合企画課でコピーが見つかっており、これも開示要求の根拠になっていた。

 やましいことがなければ改ざんする必要がない。お白洲の裁きに陰りはない。これは一地方の悪代官の話だろうか。中央でも必ず起こり得るのが昨今の政府・官邸だ。役人をないがしろにし、情報操作で切り抜けようとすると、天罰は間違いなく下る。

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2015年12月24日 (木)

反戦塾乗15/12/24

 今日は、切り抜き3題である。

アメリカが恥ずかしい「辺野古移転」 

【平安名純代・米国特約記者】映画監督オリバー・ストーン氏や言語学者ノーム・チョムスキー氏ら米国の著名人や識者ら70人は22日、ケネディ駐日米大使が17日の東京での記者会見で米軍普天間飛行場の移設先について「辺野古が最善だ」などと述べたことに抗議する声明を発表した。大使の発言は「法律や環境、選挙結果を恥ずかしげもなく軽視する行為」と非難するとともに、米国を代表するケネディ氏に沖縄の基本的人権の否定をやめるよう米市民の立場から要請している。(共同通信

詳しくなった韓国の日本王(天皇)報道

日本王は、太平洋戦争での民間人犠牲者について、「平和であったならば、社会の様々な分野で有意義な人生を送ったであろう人々が命を失ったわけであり、このことを考えると非常に心が痛みます」とも話した。また、民間人船員の犠牲を例に挙げ、「将来は外国航路の船員になることも夢見た人々が、民間の船を徴用して軍人や軍用物資などをのせる輸送船の船員として働き、敵の攻撃によって命を失いました」とし、「本当に痛ましく思います」と付け加えた。

朝日新聞は、日本王が民間船員の犠牲に言及した際には感極まった様子で言葉を詰まらせたと伝えた。同紙は、「船員の犠牲は6万人を超え、3割は20歳未満の少年だった」と伝えた。

日本王は8月15日に行われた戦没者追悼式で、公式の席上で初めて「深い反省」という表現を使うなど、安倍晋三首相の右傾化を牽制する言動を続けている。(東亜日報

「らしさ」が抜けない共産党新機軸

共産党の志位和夫委員長は24日、大島理森衆院議長と国会内で会い、これまで党として出席を見合わせてきた国会の開会式に来年1月4日召集の通常国会から出席する方針を伝えた。
 同時に、天皇陛下が一段高い席からお言葉を述べる現在の形式は「憲法の主権在民の精神からふさわしくない」として抜本的な改革を求めた。大島氏は「承った」と答えた。
 
  志位氏によると、共産党は1947年に現行憲法下で最初に開会式が行われた際に一部議員が様子を見るために出席したのを除き、一貫して開会式を欠席してきた。安倍政権に対抗して同党が野党に「国民連合政府」構想を呼び掛ける中での今回の方針変更は、共産党の現実路線への転換をアピールする狙いもありそうだ。(時事通信
 

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2015年12月23日 (水)

反知性アンケート

 前々回の「ネトウヨ・B層・反知性」で、アメリカの大統領候補トランプ氏の発言について、塾頭は「アメリカ人でなくても恥ずかしくなる」と書いた。そのアメリカ人に対して、早速アンケート結果が出た。
23日、NHKのお昼のニュース。

来年11月に行われるアメリカ大統領選挙に向けて、キニピアック大学が行った世論調査の結果が、22日に発表されました。

それによりますと、イスラム教徒の入国を禁止すべきだと主張するなど、過激な発言を繰り返している野党・共和党のトランプ氏が大統領になるのは「恥ずかしい」と答えた人が全体の50%に上り、「誇らしい」と答えた人は23%にとどまりました。

一方で、共和党支持層の間では「恥ずかしい」と答えた人は20%だったのに対し、「誇らしい」と答えた人が44%でした。また、支持率を見ますと、共和党候補の中ではトランプ氏が28%で依然として首位を維持し、クルーズ上院議員が24%で2位でした。

トランプ氏は女性を蔑視するような表現も使って、与党・民主党の最有力候補のクリントン前国務長官への批判を強めていますが、これに対してクリントン氏は、22日の演説で「イスラム教徒に対するトランプ氏の発言は危険なだけでなく恥ずかしい」と非難するなど、舌戦が激しくなっています。

 アメリカの「反知性主義調査」。「ま、そんなものでしょうね」と思う一方、安心した感じもある。似たような調査をほかの国でもやるとどうなるか……。

 日本はアメリカとほぼ同じ傾向だろうし、ロシアはプーチンを誇りに思うが圧倒的。公平な調査ができれば中国・韓国も知りたいところだ。フランス・ドイツ・イギリスなど、それぞれの違いがわかれば、最高!(*^-^)。

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2015年12月22日 (火)

一極主義・二極主義・多極主義

 このところ「反知性主義」を連続して取り上げてきた。アメリカ共和党のトランプ大統領候補の主張を「トランプ現象」としてエントリーしたのがきっかけだ。言葉として 「積極的平和主義」のように、何にでも「主義」をつけるのを好まない塾頭だが、世界的な風潮として議論されるべきであろう。

 それと同時に、アメリカの一極支配「ユニラテラリズム」という言葉は、ここ2~3年で急速に影をひそめた。それに代わって登場したのが「多極主義」である。ロシアは外交方針として公的にそれを掲げており、中国も同調する。

 ドイツのメルケル首相は、西側にありながらウクライナ問題などでロシアとの間に立ち、「多極主義」を目指しているかのように見える。アメリカのキューバ承認や、イランとの和解、シリアなどの対IS連合への妥協など、共和党の反対はあるものの、その線上にあると考えても良い。

 ところが、ここへきてやや気がかりなことがある。それは、ロシア・プーチン大統領の多国主義がこのところニ国主義に転換したのではないか、という見方である。一部の人の考えるような国際共産主義復活はあり得ないし、プーチンもそんなことは考えているしは思えない。

 オバマと違ってプーチンは国内で圧倒的な国民の支持を受けている。それは、諜報機関出身の彼が持つ、強靭な精神的肉体的力量という個人的な魅力と、権力機構を知り尽くした周到かつ慎重な政治工作が成功しているからだろう。

 その勢いをこれからも維持し、対抗勢力に隙を与えないようにするためにどうしても必要なことは、国民の間に潜在する大ロシア(帝国)、大ソ連への民族的ノスタルジアを無視しないことである。これまでは、経済復興がそれを押さえてきたが、原油価格の暴落もあり、この先のかじ取りが難しくなった。

 しかし、このところ、ウクライナ東部にロシア軍が存在することを一部認めたり、シリアサダト政権へのテコ入れ、NATO加盟国であるトルコへの強硬姿勢など、プーチンは多極主義ではなく、アメリカに対抗できる二極主義を目指しているのではないかとの見方が出てきた。

 大ロシアへの郷愁とは、世界に繋がる海への出口を確保しておくということであろう。日露戦争でロシアが艦隊の基地としたのは、バルチック艦隊の北欧バルト海と日本海に面したウラジオストックである。黒海での基地クリミアはもともとロシア領であったが、ソ連から離脱したウクライナに所属、基地は同国から租借している形であった。

 そのクリミア半島が、ウクライナから独立し、ロシアがいち早く編入しを決めため、かろうじて維持できたのが今回の紛争の起点であった。そこから地中海に出るには、トルコのイスタンブールの狭い海峡を抜けるしかない。

 ウクライナが反ロシアでNATOに加盟してクリミアの租借を破棄したり、すでにNATO加盟国であるトルコが出口をふさいだら、南への通路が閉ざされる。これは、大ロシアにとって悪夢であった。そこで重要になってくるのが、シリアのサダト政権のもとで確保されている地中海岸のロシア海軍基地だ。

 地中海、中東、アフリカ方面に開かれた窓が無くなるということは、プーチンを支えてきた国民の人気と信頼を、ソ連解体に劣らない勢いで失墜させることになるだろう。プーチンのシリアの反体制派、ISへの空爆作戦や、トルコへの強硬姿勢は、まさにこの一点にしぼられるのではないか。

 塾頭は、プーチンが二極主義に転換したのではなく、多極主義をどうやって実現させるかというプログラムを、着実に進めようとしている姿ではないかと見ている。よくても悪くても諜報機関出身の手腕は、ここで試されることになる。

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2015年12月20日 (日)

ネトウヨ・B層・反知性

 12日に「トランプ現象と反知性」と題したエントリーを掲げた。アメリカ人でなくても恥ずかしくなるような「イスラム教徒は入国禁止にしろ」とか「追い返せ」などという、米共和党大統領候補の発言である。ここでは、塾頭にもなじみのなかった「反知性」なる言葉の由来を紹介した。

 塾頭は、今や消えかかっている「B層」や、「ネトウヨ」という言葉も使おうかと思ったが、いずれは差別語になってしまいそうな気がしたのでやめておいた。ネット右翼は、当初新右翼・街宣右翼などと同じで右翼の分類のひとつかと思っていたのが、最近の使われ方はチョット違ってきている。

 昨日の新聞の図書広告欄に、「右翼を装うB層の害毒」というコピーが見つかったが久々に聞く。「B層」のもともとの意味は全く違うのだ。それがやがて侮蔑をこめた表現に転化していったものだろう。そこが「反知性」の定義とやや違う。

 前回の続き、ということで、今回は「B層」についてもWikipediaから借用してみよう。

2005年、小泉内閣の進める郵政民営化政策に関する宣伝企画の立案を内閣府から受注した広告会社・有限会社スリードが、小泉政権の主な支持基盤として想定した概念である。

スリードの企画書では国民を「構造改革に肯定的か否か」を横軸、「IQ軸(EQ、ITQを含む独自の概念とされる)」を縦軸として分類し、「IQ」が比較的低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層を「B層」とした。B層には、「主婦と子供を中心した層、シルバー層」を含み、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を何となく支持する層」を指すとされる。

上記の企画書がネット等を通じて公に流布されたため、資料中に使用された「IQ」という知能指数を示す語や露骨なマーケティング戦略が物議を醸すところとなり、国会でも取り上げられた。

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2015年12月18日 (金)

韓国の裁判、画期的か

 前回の題は「判決3題」であったが、今度は韓国の判決である。 産経新聞前ソウル支局長の名誉毀損訴訟で無罪判決が出た背景には、今回の事件が「言論の自由」の侵害だと国内外から強い批判を浴びていたことや、日韓関係に与える影響を裁判所側が考慮したという見方が多い。

 日韓双方で、よくて刑期が短い執行猶予付き判決か「宣告猶予」を予想していた向きも多かったようだ。塾頭は、これまで韓国については「書きづらい」などと何度も言ってきた。それは小学生時代、金君や李君など友達が大勢いたことや、長い朝鮮の歴史が周辺からの圧迫など、屈辱に満ちたもので、その痛みがよくわかるからである。

 また、70年にわたり南北に分断され互いに張り合わなければならない情けない運命のもとにあるということもある。北朝鮮は、美女合唱団を北京に派遣し、共産党や国家首脳を招いて公演する予定だったのを急遽中止し、そのままの帰国の途に就いたというニュースがあった。

 理由は、北京当局が、あまりにの金正恩礼賛の曲ばかりなので変更するよう申し出たのに、断って帰ったということらしい。違う次元の話だが、どうしても朴槿恵大統領のゴシップ関係判決と並べて考えてしまう。

 韓国に関して言えば、歴代、先軍主義をとなえ、ミサイルや水爆実験で大国を認めさせたい北に対し、自由と民主主義国を指向し、経済成長を成し遂げ、さらに一段と高い水準に達するためには三権分立や言論の自由などのレベルを高め、国際的認知を高めることが、有力な対抗手段ということになる。

 そこで、日韓の連携が強固になれば、安全保障面で米軍の存在に新たな意味が出てくると同時に、米中への発言力も高くなる。日本でも、日韓併合前後に生じた朝鮮人蔑視や、大戦で受けた大きな民族的被害や、国家分裂の原因などに目を覆ってはならない。

 民主主義や言論の自由などと共に、大局的な歴史認識の共有は避けて通れない。韓国の裁判が、その一里塚というには、まだまだほど遠いものがあるだろう。それより、日本国内にその方向付けに目をそむけ、逆行を意図する傾向すら一部にあるということに、もっと警戒の目を向けなければならない。

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2015年12月17日 (木)

判決3題

 今日の特大ニュースは、女性の地位などに関する最高裁の判決だ(そうでない新聞もあるが……)。夫婦は同じ名字を名乗るという現在の法律について、最高裁は16日、憲法違反にあたらない、夫婦別姓の禁止は合憲という判断を初めて示した。

 判決は、「いずれの姓を名乗るかは夫婦の協議に委ねており、規定には男女の形式的な不平等はなく、憲法違反とはいえない」とか「姓を変えることによるアイデンティティーの喪失は通称の使用などで補える」としており、なにか奥歯に物の挟まったような表現になっている。

 自民党の一部など、右翼っぽい議員は「家族の一体感が失われる」として、別姓に反対しているが、そう思う人はそうすればいいので、別姓が建て前の中国や韓国などでは、家族がばらばらという事実もなさそうだし、同じになるのは「いや」ということだろうか。

 もうひとつは、前に出された最高裁判決の衆議院議員選一票の格差についてである。違憲状態などとされたことに関して「衆院選挙制度に関する調査会」が設けられ、16日に小選挙区は「7増13減」により6議席削減し、比例代表は「1増5減」で4議席減らすことを提案した。

 これにより、格差は1.788倍から1.621倍、わずか0.167減るだけだ。本当は格差なしが理想だがせめて、1.5倍以内にできないものか。参院は5倍以内が目途とされているが、衆院とと異なった見地から衆院をチェックするのがその役割だ。

 塾頭の極論だが、参院は全国区だけにし、政党公認はやめてすべて推薦制にする。例えば、都道府県など自治体推薦、政党推薦、業界団体・宗教団体推薦、労組推薦、婦人団体推薦などなど、推薦者に資格は不要で、個人でもいいし、自信のある人なら推薦なしでもいい。

 そうすれば、投票者は推薦者や人を見て投票するだろう。全国区はカネがかかる、というがネットの時代、有権者への政見発表にはそんなにカネがかからないはずだ。また、党議拘束など、衆院のコピーなどと言われなくとも済むようになるかも知れない。

 最後は、大阪市の職員などに当てたアンケートが、思想信条や団結権などを犯すという市に対する訴訟である。一審の有罪判決に続き、昨日高裁でも有罪判決が出された。しかも賠償金は倍額の80万円に増額された。

 橋下市長、政治家を辞めたら弁護士稼業に戻るそうだが、一審、二審とも有罪判決を受けるような人に弁護を依頼する人などいますかね。これも「けったいな大阪」である。

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2015年12月15日 (火)

けったいな都構想

 先月23日に「けったいな大阪地方選」という記事を書いた。かつて大阪市の隣に住んでいた塾頭だが、大阪都構想とか、大阪維新の会というのがどうもよくわからない。だいたい大阪の人は「維新」とか、日本にひとつしかない「都」のことをよう知ってはるのやろうか。

 憲法改正で安倍自民党と相乗りできるというけど、95条の[特別法の住民投票]というのが都構想の邪魔をしているから改正したいというのだろうか。関係ないところに住む国民から見ると、勝手で迷惑でしかない。

 「明治維新」それは、後で権力側のだれかがつけた新造語で、当時の庶民は「ご一新」と言っていたというようなことを以前書いた。薩長土肥ならともかく、大阪にふさわしい名とも思えない。さて、その頃始めて市制を敷いた東京市はどうだったか。

 品川・大崎・渋谷・原宿・千駄ヶ谷・大久保・早稲田・高田・巣鴨・駒込・谷中・金杉・三ノ輪・押上・亀戸の諸村は入っていない。若者の町から、都の西北である早稲田、お年寄りの町巣鴨も東京スカイツリーも郊外の府下だったのだ。

 それが、区部や市域がけた外れに膨張し、水源地奥多摩から小笠原諸島までを管轄する「都」とした。大坂とはまるで規模やいきさつが全く違う。背伸びばかりせす、もっと別の知恵がないものか。なにか、それだけにこだわるから「けったい」に見えるのだ。

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2015年12月14日 (月)

さすがフランス!

 前回の記事「トランプ現象と反知性」に早速回答が来た。本塾の予測通り「反知性」が惨敗した。

http://www.afpbb.com/articles/-/3070137?pid=

【12月14日 AFP】13日に行われたフランス地方選挙の第2回投票は、1週間前の第1回投票で記録的結果を残していた極右政党の国民戦線(FN)が、全ての地域圏で勝利を逃す結果となった。

 FNには、今回の選挙を2017年大統領選挙でのマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首(47)勝利への足掛かりとする狙いがあった。

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2015年12月12日 (土)

トランプ現象と反知性

 米大統領選で共和党の指名候補争いの首位に立っているドナルド・トランプ氏は7日、イスラム教徒の米入国を禁止するよう主張した。カリフォルニア州で先週発生した銃乱射事件の犯人はイスラム教徒だったらしいという報道を受けてのものだ。

 大統領になれるかどうかは別だが、ワシントンをはじめ世界史に残る名大統領を生んでいるアメリカも、「遂にここまで落ちたのか」との思いが強い。もっとも、よその国の事は言えない。ウソであろうとはったりであろうと、大衆受けする大言壮語で人気や票を集める方が勝つ、という傾向がこのところ日本でもはやり出した。

 さすがに、共和党内からも対立候補ブッシュ氏から「彼は錯乱状態」という批判も出ており、同国内を始め、フランスやイギリスなどの首相からも批判を浴びている。しかし、世論調査では共和党内でダントツを譲らず、これに乗じたムスリム襲撃も絶えないようだ。一方、ヨーロッパでも地方議会で排他主義をとる右翼政党がトップを占めるなどの傾向が続いている。

 古代ギリシャの衆愚政治からナチズムに至るまで、様々な試行錯誤の中からヨーロッパの文化・芸術・哲学などが生まれ、知性が育まれた。民主主義と中道の尊重もその一環である。極端なレイシズムは、知性を尊重する連立政権により排除されるだろう。

 知性という言葉に対し、最近「反知性主義」という言葉がよく使われる。不勉強な塾頭は、これを日本の新造語だと思っていた。知性に反する思想なのか、知性を信奉する人への反感なのかははっきりしない。それに、何にでも「主義」を付ければいいということが、それこそ反知性的だと思えたので、使ったことはなかった。

 ところがなんと、Wikipediaをさぐると英語、Anti-intellectualismがもとでアメリカ生まれなのだ。以下、その由来を引用しよう。(参考文献表示は省略)

 知的権威やエリート主義に対 して懐疑的な立場をとる主義・思想。言葉自体は1950年代のアメリカで登場したとされその後、リチャード・ホフスタッターが『アメリカの反知性主義』(Anti-intellectualism in American Life、1963年)で示したものが知られる。

 一般には「データやエビデンスよりも肉体感覚やプリミティブな感情を基準に物事を判断すること(人)」を指す言葉として思われているが、実際にはもっと多義的な観点を含む。また、その言葉のイメージから、単なる衆愚批判における文脈上の用語と取られることも多いが、必ずしもネガティブな言葉ではなく、ホフスタッターは健全な民主主義における必要な要素としての一面も論じている。むしろ、知的権威、エリート側の問題を考えるために反知性主義に立脚した視点も重要だとも説く。

 反知性主義という言葉がにわかに登場したのは1950年代、特にマッカーシーの赤狩りや、1952年のアメリカ合衆国大統領選挙を背景としたものが挙げられる。

 このアメリカ大統領選挙では、政治家としての知性、キャリア、家柄とどれをとっても遜色なく弁舌の腕もたち、知識人からの人気も高かったアドレー・スティーブンソンが、戦争の英雄といえど政治経験は皆無でおよそ知的洗練さとは無縁、むしろ政治家でないことをアピールして大衆の支持を得たドワイト・D・アイゼンハワーに圧倒的大差で敗れており、反知性主義の象徴的な出来事として挙げられる。

 また、マッカーシーやその支持者達は対共産主義という枠を超えて大学教授や、知識人の家系といった知識人層を攻撃した。このように反知性主義とは反エリート主義の言い換えといった側面がある。

 反知性主義はアメリカで前例があったのだ。その例によると、単なるトランプ現象では選挙に勝てないということになっているが、近くはCIAやニセ情報に踊らされてイラクで戦争を起こしたブッシュの例がある。

 戦争を好む庶民はいない。しかし、9・11というショッキングな事件でブッシュはナショナリズムをかきたて戦争に持ち込んだ。敵はウサマビンラディンをかくまったアフガニスタンでイラクではない。中東の戦火は果てしなく続き、平和志向のオバマ大統領も、いまだに抜け出せないでいる。

 日本は、昭和8年、満州独立を承認しない国際世論に反旗を翻して国際連盟を脱退した。この演説をして席を蹴った松岡代表に喝采し、代表の帰国を万歳で埠頭に迎えた国民は、これがやがて米英との戦争を誘発することになるとは考えなかった。

 この風潮を危険視した知性派は少なくなかったものの、景気復興と軍国日本の大陸制覇に気をよくした声の中でかき消されてしまった。知性喪失国が行き着く先に気が付くまで、あと10余年を要することになる。

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2015年12月11日 (金)

拉致問題もアメリカだのみ

 10日に参院拉致問題特別委員会の集中審議が行われている。この報道が一般紙やTVではほとんどなく、下に引用した11日付毎日新聞でも、電子版では大幅にカットされているので、加藤勝信拉致問題担当相の答弁などを中心に東京版紙面から収録しておく。

 (前略)「ストックホルム合意からもう1年半近くたつが、すべての拉致被害者の帰国に向けた具体的な道筋はいまだ見えていない」と認めざるを得なかった。

 民主党の有田芳生氏は10月に北朝鮮を訪問した際、北抽選側から再調査の報告書が「ほぼ完成している。一方的な公表もあり得る」と説明を受けたとし、認識をただしたが、岸田文雄外相は「その発言を確認していない」と述べるにとどめた。

 一方、自民党拉致問題対策本部は、拉致疑惑のある米国人男性について米国議会の対応を促すことで、事態の進展を図る構えだ。

 古屋桂司本部長は今月上旬に訪米して、外交関係の上下両院議員らと面会。中国で失踪した男性の帰国を求める決議を議会として行うよう働きかけた。帰国後の8日に記者会見した古屋氏は「自国民が拉致されれば軍隊を出してでもとりもどせ、というのが米国人の考え方だ。議会決議で多くの米国人がこの問題を知れば、北朝鮮への圧力になる」と説明した。安倍晋三首相も9日に古屋氏から官邸で説明を受けた際、「そのまま進めてほしい」し指示した。【加藤明子】

 以上の内容に何もコメントすることはない。「安倍内閣で必ずこの問題を解決するという強い決意」とは裏腹に、内閣は、「全員帰国に反するような報告は受け取れない」とするだけで、情報の糸口さえつかもうとする気がない。

 ISの人質事件と全く同じ。他国頼みで相手のふところに迫る努力を最初から放棄している。そういった政府を頼りにした被害者家族が気の毒というしかない。

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自公「離婚」はしない

 安倍政権を退陣に追い込むためには、何が必要か。1、来年の参院選で野党が圧勝し、過半数以上の議席を占めること、2、消費税率軽減措置で自民党が一歩も譲らず、公明党が連立から離脱すること、3、自民党内で反安倍首相勢力が勢いを増すこと、のいずれかである。

 3、は3年後の総裁選まで反安倍が過半数にならない限り望み薄。2、は安保法制化の違法強制突破が、創価学会内に相当フラストレーションをため込んでいるため、消費税で譲歩が得られなければ離婚の要求が出てくるものと思った。

 それがアベの一声で、公明要求を丸呑みしたため離婚話しは棚上げとなる。これは、仮に離婚などのようなことになれば、維新や他党から脱党して入党を希望する右翼議員が大勢いるというアベにとっての保険が、維新の分裂でやや望み薄になったことが大きい。

 上記1の野党連合構想が依然として頼りない現在、このまま参院選に入って、どのくらい公明票が自民を支えるだろうか。かつてなら比類ない宗教組織の団結とおつとめとしての行動がものを言ったが、平和を標榜する信念に何のゆらぎもない。 

 沖縄・宜野湾市長選が来年1月24日に行われる。自民は普天間基地移転促進をかかける現職を推すが、翁長知事を実現した野党連合は新人を立て、沖縄の強い意志を再確認させる。

 自民は、この段階でどうしても、負けられない選挙だ。公明党の票が唯一の頼りで、今回の譲歩もそれを期待してのことともいう。仮に公明党で現職支持を決めても、そんな見え見えの取引に、創価学会員が盲目的に従う程ヤワではないだろう。

 また、参院選に公明党が嫌う衆院選を被せるダブル選が取りざたされている。これで、衆参共に3分の2の与党勢力を確保し、一挙に改憲へ走り出そうということだ。

 公明党は、もう一度そこで離婚を考えなければならなくなる。

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2015年12月10日 (木)

トップの知名度

 「世界各国で現在トップの政治家(宰相)が誰か、知っている順に名を挙げてください」というアンケートを世界でやったらどうなるだろう。1位オバマ、2位プーチンはまず揺るがない。一時は核保有以外はどん底を歩んだロシアを引っ張り上げたプーチンの活躍が目覚ましい。

 ヨーロッパは、EUやNATOで一括されるせいか、最近突出してクローズアップされる人が少なくなってきた。その中では、難民問題、ウクライナ問題などで指導的な役割を果たしているメルケルさんがピカ一だ。

 東洋ではどうだろう。もちろん安倍首相だ。ただし、半分は「悪名」としてかも知れない。次いで朴槿恵さんか習近平主席だが、習さんはキャラが地味なのを南シナ海でカバーしている。ダークホースは、特異な存在・金正恩北朝鮮第一書記と大統領の上を行くというビルマのアウンサンスーチーさんだ。

 それ以外の地域では、国でなくて国と称する世界の鬼子・ISの指導者バグダディと、国であって国でないようなシリアのサダト。彼らのために世界中が振り回されている。

 以上の外は、最近、国名を言われてもすぐにパッとでてこなくなった。ここまで、アンケートではなく塾頭勝手の独断でした。

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2015年12月 8日 (火)

法律珍解釈乱用内閣

 ◆憲法9条関係(安保)
・有識者の多数が違憲とする集団的自衛権行使を可能にした安保法制強行採決。
 <コメント>周知の事実につき詳細説明省略

  ◆憲法53条関係(臨時国会)
第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

・野党が憲法53条に基づいて要求した臨時国会の召集を、首相の安倍晋三は首脳外交や予算編成などの過密日程を理由に見送る。年間を通し、国会を通常国会の1会期しか開かないのは戦後初。大揺れとなった安全保障法制に続き、憲法学者から違憲説や「立憲主義の緩み」を問う指摘も相次ぐ。(日経新聞)
 <コメント>通常国会を早めに開くからいい、だってさ。憲法をなめきっている。

 ◆行政不服審査法(辺野古埋め立て承認取り消し)
第一条   この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

  ・94人の行政法研究者が声明を発表! 国が「私人」になりすます行政不服審査制度の濫用に抗議!――「辺野古埋立承認問題における政府の行政不服審査制度の濫用を憂う」
 <コメント>何度読んでも国民が行政に対して行うもので、国の権利じゃないでしょう。

 ◆憲法90条関係(秘密保護法)
第九十条    国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

・特定秘密保護法第10条では、会計検査院に提供できる秘密は、個人秘密関連だけに限られ、安保関連などはのぞかれていることが分かった。
 <コメント>憲法には「すべて」と書いてあるよ。政府は必死で逃げているみたいだけど。

  いずれにしても早く退陣してもらわないと、この国がめちゃめちゃにされてしまう。

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2015年12月 6日 (日)

すじ雲

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これまでなんとなく眺めていた雲ですが、すじ雲は東西の「すじ」でしょうか、南北の「すじ」でしょうか?

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2015年12月 5日 (土)

ISと中国

 イギリスがIS空爆に参加して、これで国連常任理事国で不参加国は中国だけになった。塾頭は、核保有や拒否権行使などで国連に迷惑をかけているばかりの常任理事国が、全世界を代表してシリア・イラク安定化に貢献したらいいと考えていた。

 個別の国の軍事介入で、一時的に制圧できても結局以前にもまして混乱が増すのは、もはや世界の常識だ。イスラム教徒としては、異教徒が侵入してきて狼藉の限りをつくし、その傀儡政権が権力を行使しつづけるのを許すようなことは、神の教えに背くことになる。

 その点、中国は昔から十字軍に参加したこともなく、キリスト教の支配する国でもない。だから、平和回復後の新秩序を作る上でも、国連の和平安定化工作を「異教徒による支配」、という感じから薄める効果があると思った。

 ところが、中国はフランスのテロなどを受けて「テロは決して許せない、徹底して戦う」と口先介入するだけで、動こうともしない。その原因が内政上の不安の種であるウイグル問題にあることは容易に想像がつく。

 ウイグル自治区で反乱がありこれを弾圧しても、「テロリスト摘発のため」ということにする。民族問題とはとらえないでおくのが一番だ。同地区からISに参加しようとする人の流れは、否定できない。しかし、中東のイスラム問題と一体化するおそれは、今のところ少ない。

 そうだとすれば、なにも西欧諸国と同一視されるような「火中の栗を拾う」ことはない。中国得意のダブルスタンダード、よく言えば実利主義だ。

 是の故に、知者の慮は必ず利害に雑(まじ)う。利に雑じりて而ち務め信(まこと)なるべきなり。害に雑じりて而ち患い解くべきなり。

 こういうわけで、知者の考えというものは、[一つの事を考えるのに]必ず利と害を交え合わせて考える。利益のある事には害になる面を合わせて考えるから、その仕事はきっと成功するし、害のある事には利益を合せて考えるから、その心配事も無くなるのである。(金谷治訳注『孫子』岩波文庫)

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2015年12月 4日 (金)

日韓関係に変化の兆し?

 このところ、日韓関係に微妙ではあるが変化があるようなことをマスコミが報じている。首脳が国際会議て言葉を交わしたとか、事務レベルの接触があったとかそんなことである。韓国と言っても朴槿恵大統領がどう思っているかはわからない。同様に安倍首相に大きな心境の変化があったとも考えられない。

 知りたいのは、韓国国民の多くがどう考えているか、また、オピニオンリーダーがどの方向を向いているのかである。そこで、韓国の代表的新聞のひとつ朝鮮日報を日本語の電子版で見てみた。日本人向けなので特別に編集されたものかも知れないが、昨日早朝の段階で「主なトピックス」という見出しは次のようなものだった。

・「靖国爆発音、直前に防犯カメラに写った男は韓国人」12/03 ・慰安婦:大沼保昭氏「韓国社会と韓国メディアも共犯」12/03 ・慰安婦:大沼氏「基本的な事実が韓国では誤解されている」12/02 ・>韓国に大沼氏ら「良心的日本人」を説得する戦略はあるのか12/02・慰安婦:朴裕河教授「被害者の名誉傷つけていない」12/02 ・ソウル大教授ら「『帝国の慰安婦』に学問的裏付けなし」12/03 ・【コラム】誇らしい歴史、恥ずかしい史料11/29

 以上最初から7項目まで、すべて日本関連記事である。その中から鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員が書いた【コラム】誇らしい歴史、恥ずかしい史料11/29 、というのが塾頭がかねて知りたかったオピニオンリーダの生の声に近いと見て、取り上げさせてもらう。

【コラム】誇らしい歴史、恥ずかしい史料

帝国主義時代の日本と左派が発掘した恥ずかしい史料が山ほどある
これらを取り除かなければ誇らしい歴史は空念仏に終わるだろう

 先日、東京都内の書店で「朝鮮王公族-帝国日本の準皇族」という本を見つけた。本の帯には「帝国日本への歪んだ忠誠」という文字と共に写真があった。日本の軍服を着て、日本の皇族の列の端に立つ朝鮮王族3人の姿だ。高宗(朝鮮第26代国王、大韓帝国初代皇帝)の息子・英親王(李垠〈イ・ウン〉)と高宗の孫の李ゴン(イ・ゴン)、李ウ(イ・ウ)が靖国神社で祭祀(さいし)を行う姿だという。この本は、日本による植民地支配時代以降における朝鮮王族26人の人生の流転を取り上げたものだ。ただの嫌韓本だろうと思いながら数ページ読んだところ、多くの史料に基づき綿密に書かれた本だということが分かった。不愉快ではあったが、そのまま置いていくことはできなかった。

 その前日に東京都千代田区の赤坂プリンスホテル再建現場を見学したのも、この本が手放せない理由だった。2005年にこのホテルのシングルルームで英親王の一人息子、李玖(イ・グ)が死亡しているのが発見された。国が独立状態を保っていれば、皇帝になっていた人物だった。東京特派員をしていた当時、その寂しい最期を取材したが、李玖が亡くなっていた赤坂プリンスホテルは、かつて日王(天皇の韓国での呼称)が与え、父・英親王の東京都内の邸宅「旧李王家邸」があった所でもあるという。朝鮮王の孫だった李玖は生まれた場所で死んだのだ。その数年後、ホテルが取り壊され、建て替えられる際に旧李王家邸も消えるかと思われた。ところが、今回行ってみたところ、その近くに文化財として保存されていた。大金を投じて5000トンもある建物を丸ごと移設したそうだ。[以下略]鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員

 鮮于鉦論説委員がお幾つぐらいの方かわからない。また、同紙政府与党を支援する反左派系新聞なので、その線を踏み外す記事にはならない。しかし、このコラムで見られる筆者の複雑な葛藤と、民族が背負った歴史上の宿命のようなものが文面からあふれ出ている。それと、歴史が持つ冷酷なかつ動かしがたい史実、これをどう調和させるのか解決に苦しむ――というように読み取れた。
 
 本来、歴史と民族の誇りは無関係である。さまざまな史料から歴史は生まれる。歴史から誇りを生み出そうというのは本末転倒であり、邪道である。日本はこの過ちの深みにはまり、敗戦の憂き目を背負ったのだ。

 歴史のどの部分に誇りを感じ、また何を恥とするかは、それぞれ個人の感情で決まる。決して国や教科書で押し付けるものではない。名誉だから強調し顕彰する、恥だから抗議をし消し去る。これは歴史ではない。

 「歴史を正視する」とは、これに徹することである。鮮于鉦論説委員は、後段で朴大統領がいう「誇らしい歴史」は、それの裏付けとなる史料発掘に努めなければならないと説く。引用の最後にある「旧李王家邸」を移設復旧させたのがいいことなのか悪いことなのか、そこまで書いてない。

 「歴史を正視する」ということは、一方通行だけで決められない、ということを、同論説委員か一番強く認識しているのではないか。上述の記事で塾頭はそう感じとった。

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2015年12月 2日 (水)

誰も知らない戦争のかげ

 「戦争遺跡に冷淡な行政」で始め、3回連続のシリーズにしたが、今回で一応締めくくることにした。最初に紹介した赤レンガ建築物が建造されたのは、明治23年に帝国憲法が発布される前である。

 近代国家建設を急ぐ国が、帝国大学その他の教育機関建設するためこの地を買収していたが、都心から川を隔てた遠さと水利の便が良くなかったなどから、陸軍が肩代わりすることになって、下士養成機関である「陸軍教導団」が誘致された。

 赤レンガの倉庫のほか、弘法寺境内に仮病舎もこの時期に設置された。病舎は後の陸軍病院となり、今の国立病院に続く。その後、野砲聯隊が3聯隊集まり、軍馬にあふれる街になった。さらに野戦重砲兵聯隊が編成され近代化される。その間、日清・日露戦争の中核をなす兵士を送りだし、最後は沖縄で全滅した部隊が含まれるなど、各戦争で大きな役割を果たした。

 国家のために尊い命を捧げた英霊に感謝する意味で遺跡を保存し、記録を展示するだけでは、靖国神社の修猷館と同じになってしまう。将来に向けては、その陰にあるもの、あったものをしっかり後世に伝えなければならない。

 前回の「兵隊になれない兵隊」では、すでに明らかにされた研究資料からいくつかを抜粋したが、「入りたくない病院」「入ったら出られなくなる病院」とは、一体何だったのだろう。

 前回の記事でもわかるように、健常者であっても脱走を試みたり命令に服さず規律を乱す者、PTSDにかかるような「帝国軍事人にあるまじき」軟弱者、反戦思想を持つ者など、原隊に置いておくと迷惑な者を「痴愚」とか「愚鈍」などの病名で送り込んだ可能性がある。

 こういった兵隊を除隊にすれば、兵役免除の近道とばかり、その手を使う者が激増するだろう。だから退院させず、厳重に有刺鉄線を張り巡らした病院に置いておくしかないのだ。外部との連絡も簡単ではないだろう。病院と言っても軍事施設だ。軍事機密保護を理由に通信の自由は無い。

 そして、軍人の身分である限り、一般の法秩序が適用されず犯罪は軍事法廷で裁かれる。以上は、実例に基ずくものでなく塾頭の想像だ。しかし、これらもやがて調査が進めばわかってくるかも知れない。

 それが、忘却の彼方に追いやられないようにするためには、今、どうすべきかを考えるなくてはならない。残された時間はあまりない。戦争遺跡保存がそのきっかけになれば喜ばしいことだが、残念ながら森田健作県知事で安倍首相では無理かも知れない。(この項の主な参考図書、『放置と崩壊の危機にある市川国府台の赤レンガ建築物――その保存と活用を求めて――』赤レンガをいかす会)

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2015年12月 1日 (火)

兵隊になれない兵隊

 前回、「戦争遺跡に冷淡な行政」でかつての軍都千葉県市川市に唯一残る煉瓦造倉庫を取り上げた。幸い、周辺は風光に恵まれ、また利用できる建物もあって、その一帯に存在した旧・陸軍病院の貴重な史料を展示公開することができる。これらは再び戦争の愚を繰り返さない人類の貴重な歴史的遺産ではないか。

 以下は、当塾の古いエントリーも利用しながら、再編集するものである。

2005年12月5日付

戦争と精神障害

 アメリカのイラン帰還兵のうち、6人に1人がPTSD(心的外傷後ストレス障害)など精神的な問題をかかえ、パニックに襲われたり幻覚に悩んだりしていると伝えられる。過去、日本が戦った戦争ではどうだったのだろう。

 2005/12/5付毎日新聞は、元軍人ら84人が今も入院という記事をのせている。それによると、1937年(日中戦争開始)から1945年度にかけて障害を負った大半が国府台陸軍病院(現国立精神・神経センター国府台病院、千葉)に送られ、その数は1万人以上に達していたが、戦後は各地の病院に転院し、また死亡、退院などで数が減ったものの、現在でも各地の病院合計で84人が退院できず、通院している元軍人らも59人いるという。

(中略)なお、上記のような療養者は、もともと軍人として不適性だったとして、恩給の対象から除外されていたという。したがって、社会復帰もままならぬものがあっただろう。

 (追記)最近のアメリカからの報道によると、現在、イラク・アフガンなどで多用されている無人機による空爆は、アメリカ国内にいる軍人が朝、子供に手を振って出勤、職場につくと映し出された映像に向き合ってゲームさながらの銃爆撃に精出す。

 これがPTSD発症の原因となり、戦場にいるのと変わりないことになる。最近は、この業務を民間委託しだしたというから、米国自体が抜け出せない深みの中で病んでいるとしか言えない。テロとの戦争はこうしたことの繰り返しで、日本は、海外派兵さえしなければいいということにはならなくなる。

2006年8月25日付

いまなお未復員

 雑誌『世界』2006年9月号で、埼玉大学名誉教授・清水寛氏(障害児教育学)が、この件に関する追跡を「死に行く“未復員”兵士たち」としてレポートしている。また、同氏編著で『日本帝国陸軍と精神障害兵士』が近日不二出版から刊行されることになったという。その紹介もかねて上記レポートで引例された資料の一部を採録させていただく。

●国府台陸軍病院での軍医による問診への陳述(歩兵上等兵、31歳、精神乖離症)
 「河北省ニ居タ時(略)隊長ノ命デ付近ノ住民ヲ七人殺シタ/銃殺シタ/ソノ後恐ロシイ夢ヲ見、自分ガ正規兵ニ捕レタリ部落民ニ捕ハレタリ/又殺シタ良民ガウラメシソウニ見タリスル/頭ノ具合ガドウモ悪ク不眠トナッタ(略)/山東省デ部隊長命令デ部落民ヲ殺セシコトハ自分ニモ同ジ様ナ子供ガアッタノデ余計嫌ナ気ガシタ」

2007年Ⅰ月26日付

逃亡兵

 ここに記すテキストは、(映像略) 近刊、清水寛・編『日本帝国陸軍と精神障害兵士』不二出版、によるものである。貴重な研究書であることは言をまたないが、戦争をテレビやアニメを通じて理解しようとする戦後世代にとって、神風特攻隊など美化とは縁のない、裏側にひそむ生への執着や不条理に目を向けさせる好書である。

 明治35(1902)年は日露戦争の前、雪の八甲田山で演習に参加した兵隊が210人中199人凍死した年である。この年「陸軍懲治隊」という特殊部隊ができた。目的は「知的能力の低さもあって、軍令・軍率違反を犯した兵士」を「懲罰と教化」するためである。

 後に「陸軍教化隊」と名を改め(1923)たが、海軍も含めた「軍専用刑務所」とさして変わるところがない存在だった。同隊に編入された兵士の約60%は、はじめての犯罪が入営後に起きており、そのうちの80%近くが逃亡あるいは離隊にともなう犯罪であった。同書はその誘因事例を次のように原資料から引用している。

①「家庭関係」(「父死亡のため家事整理に窮す」「姉が娼妓なることを一般に知らるる」等)
②「妻(内縁の妻を含む)に関するもの」(「妊娠せる妻を処置するため」「妻子生活難のため」等)
③「情婦に関するもの」(「情婦を慕ふ」「情婦の変心を憤る」等)

④「酒色に関するもの」(「上等兵、古参兵其他上官に誘惑せられ遊郭に遊ぶ」等)
⑤「飲酒に関するもの」(「外出先にて飲酒酩酊す」等)
⑥「諸種の原因に依り遅刻し処罰又は古参兵の虐待を恐れ自暴自棄となりたるもの」

⑦「上官より叱責せられ、或は其叱責を恐れ、若は不平を感じたるもの」(「官給品を紛失す」等)
⑧「私的制裁に関するもの」(「古参兵の叱責厳酷」等)
⑨「軍隊生活嫌忌に関するもの」(「学術科劣等にして軍隊に見込なしと感ず」「身体虚弱にして演習其他激務に堪へず成績不良」等)

⑩「前科あるものヽ猜疑心に因るもの」(「前科の記入しある軍隊手帳を恥づ」等)
⑪「不良行為の発覚を恐れたるもの」(「飲食の代に官給品又は他人の時計等を入質す」等)
⑫「悪友の誘惑に因るもの」(「軍隊生活を忌める戦友に勧めらる」等)
⑬「其他」(「特殊部落民たることを苦悶す」等)

2007年Ⅰ月27日付

思想要注意兵

 前回エントリーの「逃亡兵」で、逃亡したきっかけを13項目も列記したが、「精神障害」と直接結びつくものはない。しかし精神状態の診断等で精神医学者との連携は緊密に行われていたようである。姫路に設置された陸軍懲治隊における1911年の調査では、50人中44人が「病的異常者(狭義ノ精神病ナラズ)」で残り6人が健常者としている。そして、病型として「痴愚」「魯鈍」「変質者」などに分類し、入隊者の多数が「家庭教育が劣悪」で不就学など「学歴」に問題あり、というとらえ方になっいてる。

 このなかで1人だけ特異のケースが上げられている。以下参考図書より引用する。

 氏名は、「○川○寿」、1888年1月生まれ、原籍は神奈川県、所属は近衛砲兵3聯隊。当時23歳6ヵ月の青年兵士である。懲治隊に収容されるまでの犯罪行為は、「横領及軍用物破壊一[回]」であり、「懲罰」を2度受けている。犯罪の動機については記載なく不明。高等小学校を卒業している。

 その小学校時代の勉学状態については、「勉強心アリテ進歩モヨシ」とあり、「現時ノ智力」の欄には、「頭脳明晰記憶良 文章家ナリ」と記されている。しかし「気質」欄には、「怜悧 尊大ニシテ敬意ヲ欠ク」とある。

 記入者がこの懲治卒に抱いている印象・評価とは別に、厳しい軍紀に屈せず、昂然と自らの信ずるところを貫こうとする一人の青年兵士の姿が彷彿としてこないであろうか。

 当人の「入営前ノ不良行為」に関する記載の全文は次の通りである。「一六歳頃ヨリ雑誌講義録等ヲ講(ママ)読シ社会主義ヲ鼓吹スルニ至ル」、「社会書義者幸徳一派ト気脈ヲ通ジ過激ナル言ヲナス」。

 こういった「思想要注意兵」の年を追っての記録は不明だが、「教化隊」に改名された後も含めて8名あったとされる。この例でもわかるように少年時代からマークされていた者が徴兵され(懲罰的に前線に配属されるなどという噂もあった)、原隊から教化隊へとフダ付きのままたらい回しされたものだろう。

 教化隊では、「容易に改悛の状なく、一般に悪影響を及ぼす虞あるものは、一般教化兵と全く隔離する等、特殊の取り扱いをする」という方針のもと、各室に便所・洗面所を設け、相互の交通・談話ができないようにしたという。非常に好待遇のように見えるが、次の同隊の記録をどう読んだらいいのだろう。

 思想対策、即要注意者の索出、不純思想の感染防止及左傾者の善導、策動防止等は、当隊独特の教育取締及施設で概ね目的を達することが出来る。

2007年2月 1日 付

戦争神経症

 前掲書『日本帝国陸軍と精神障害兵士』が、「戦争神経症」や国府台陸軍病院とどう結びつくのか。患者総数約1万余名うち約6%が痴愚、魯鈍などと分類される知的障害患者で、約42%の精神分裂症が第一位、以下ヒステリー、外傷性てんかん、精神衰弱そして知的障害の順となっている。

 当然、米軍のイラク派兵などで問題にされている心的外傷後ストレス障害(PTSD)という分類はなく、戦争によるトラウマ関連の研究もなかったように見える。その裏には「皇軍の精鋭に精神障害者などいない」という建前と、兵士自身にも「こわさ」とか「おびえ」は、口が裂けてもいえなかった事情もありそうだ。

 しかし太平洋戦争激化にともなう入院患者の増加もあり、「戦時神経症」の名で追跡調査がはじまったが、特に「平時」の症例と異なる対症療法があったわけではなかった。その中に、中国戦線で上官の命により多数の住民や、自分の子と同じ年頃の子まで銃殺したことに対する自責の念が起因、という記録も残されている。

 戦争神経症は、目黒克己氏の調査によると、第二次世界大戦での精神障害の中で戦争障害の占める割合は、日本21%、ドイツ23%、米国63%であるという。また、国府台病院では、終戦直後に患者の病像に変化が見られ、約29%が早期恢復を示したという。同書はさらに訴える。

 戦後初期、戦傷病者は「未復員者給与法」によって療養の給付を受けた。その後、援護法制は変わったが戦傷精神障害元兵士の多くは「精神病」にたいする偏見・差別もあって、精神的・社会的にいわば<未復員>状態が続いたようである。2005年3月末現在、「戦傷病者特別援護法」等による入院精神障害者は全国で84人(平均年齢80代半ば)である。

 上記のように<未復員>状態に置かれたまま、遂に祖国に戻れなかった韓国・朝鮮の元兵士・軍属そしてBC級戦犯もいた。また、徴兵ではないイラク派遣自衛隊員も、表面化しないだけで決してらち外あるわけではない。「戦争神経症」は過去の話でなく、まさに現在の問題なのである。

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