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2015年11月20日 (金)

テロの根源に変化

 前々回の「ISはニセ・イスラムか」で、フランスを襲ったテロ事件は、ウサマビンラディンの主導したアルカイダと同列に置いたり、パレスチナ問題から生ずる抗争などと混同してはならないと書いた。実は、塾頭はこの時点で、ブッシュ前アメリカ大統領がいう「テロとの戦い」を分けて考える必要を感じたのである。

 以前から書いているように、塾頭は行ったことはないが、中東やイスラム教に関して何十年も前から関心を持っている。ホメイニ革命のあったイラン、石油鉱脈が関連したイラク・クエート、ウサマビンラディンを匿ったアフガニスタンなどなど。

 そのいずれもアメリカがかかわっている。フランス、イギリス、ロシア(ソ連)は、この地域を支配していたイスラムを国教とするオスマン帝国を追い出してから、勝手に国境を決めたり植民地にしたりした。しだがって、今日の混乱の根源を作った責任はあるのだが、アメリカは関係がない。

 第2次大戦末期、イギリスがそれまで国をもたなかったユダヤ人に、パレスチナで国を作ってもいいよ、と約束、金持ちのユダヤ人を多く抱え.るアメリカが、パレスチナ人の反対を押し切って新興国・イスラエルを強力に支持する立場に立ったのだ。また一方、急速に産油量を上げたサウジなどとの連携を深める。

 アラブ対イスラエルの中東戦争は、1948年から1973年までの間に大規模な戦争が4度も起きている。以上の各国の利害が複雑にからみ、代理戦争の様相を呈する。ここでの詳述はさけるが、アメリカの仲介もありエジプトなどとの妥協が成立する。しかし、第3次中東戦争で勝利したイスラエルは、パレスチナ人が集住する東エルサレムなどを併合、ヨルダン川西岸地区などを占領したままだ。

 こういったことから、パレスチナ人の抵抗運動が起き、アラブ各国をはじめ、イスラム教の聖地を巡る争いもからんで反イスラエル、ひいては反米の機運が高まる。アフガン戦争やイラク戦争などの米軍侵攻や駐留長期化は、アメリカ敵視を根深いものにした。

 その原点が、パレスチナ人のインティファーダ(反イスラエル民衆蜂起で、石を投げるなどの素朴なもの)だ。今、イスラム国(IS)の大規模無差別テロという事態を受けて、この抵抗運動を振り返って見る必要がある。アメリカの「テロとの戦い」を「文明の衝突」と評した人がいるが、今回のフランステロなどに、ISのほうから「十字軍とその協力者」というような表現で、文明の衝突論を出している。

 これは、これまでの抵抗運動ではなく、明らかなIS側からの宣戦布告で、異質なものだといわざるを得ない。20日の毎日新聞「記者の目」で大治朋子記者は、エルサレムから次のようなレポートをしている。

 パレスチナでも日本でも戦争を知らない世代が次第に多数を占めるようになる。新たな抗争のたねが、憎しみ合い殺し合う世界を招こうとしているならば、今のうちその芽を摘むよう全力を尽くさなければならない。世界の政治家にどれほどその覚悟があるのだろうか。

◇2度の民衆蜂起知らぬ世代反乱
 パレスチナ人は87~93年の第1次インティファーダ(反イスラエル民衆蜂起)、2000~05年の第2次インティファーダで抵抗してきたが、武力で制圧された。現在30代以上のパレスチナ人は、当時の挫折感から民衆蜂起に失望したとされる。だが、その挫折を知らない新世代がいま、各地で「一匹オオカミ」の波状攻撃を仕掛けている。

(中略)イスラエル治安当局は、ナイフで向かってくるのが中学生でも射殺をためらわない。若者はそれを承知で、決死の覚悟で臨む。暴力を容認するつもりは毛頭ないが、彼らがそこまで思い詰めている状況に目を向けなければ解決策は見いだせない。「テロリスト」と呼んで殺すだけでは、事態は悪化するばかりだ。

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