けったいな大阪地方選
常識的に考えてもどうしてもわからないのが大阪府知事・市長のダブル選挙だ。反戦塾としては、選挙は欠かせない題材なのだが、地方選挙は沖縄県知事選とか、名護市長選は、先の大戦経験も含め、戦争とか安全保障に大きくかかわることなので、無関心ではいられない。
大阪は、橋下氏の唯我独尊的な政策運営や言動に信頼性を欠くものの、一地方の首長選で橋下氏のダミー役が当選したからと言って、何の感興もわかない。大坂の皆さんがそれがいいと言って選んだ結果だ。沖縄同様、その民意は尊重されるべきだ。
それにしても、争点のはっきりしない選挙だった。橋下氏の「大阪都構想」のまき直しだといつても、それが全国民に大きく影響するということはない。マスコミは、都構想より、今回の選挙結果をバネに来年の参院選で「おおさか維新の会」の躍進と国政への影響力獲得が狙いだという。
右翼路線で脈絡のある松井知事と菅官房長官の緊密な関係から、改憲への賛成勢力として安倍内閣を支持する野党ができるという点で、安倍・橋下双方の期待が一致する。
これは別に公約として掲げられたことでなく、マスコミの「タラ・レバ」だらけの勝手解釈だ。大体、今回の選挙の支持母体が支離滅裂なのだ。まず、大阪維新の会の候補に対し、支持した大政党は一党もないという「けったいな」現象である。
それに反して、対立候補を支持・応援したのが、自民党、民主党であり共産党までこれに乗った。公明党は自主投票である。改憲を掲げる自民党だが、ここでは、反橋下の一番手だったのである。しかし、親・橋下の下心がある官邸筋は、応援にかけつけなかった。
塾頭の関心事は「憲法」だけである。参院選で「おおさか」を頭につけた政党が全国でブームを呼ぶとは考えられないし、政界を引退したはずの言行が不安定なリーダーの存在が国政で幅を利かせるとも思えない。
むしろ、松井知事なみの右傾指向が強まり、不出来な現・自民党改憲案の蓋があくようなことでもあれば、平和の党・公明党の堪忍袋の緒が切れる。できれば、これを期待したいものだ。
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コメント
「投票率は低下」と各紙に書かれてますが、私からみると、こんな「けったいな」選挙にこんな大勢の人が投票所へ足を運ばされたのかと思うと、大阪のまじめな有権者が気の毒に思えます。
投稿: ましま | 2015年11月23日 (月) 16時01分
まさに、「けったいな」としか形容できない不思議な結果ですが、毎日新聞で精神科医の香山リカが『店じまい効果』であると喝破する。
多分、これが正解でしょう。
それにしても不思議な選挙でしたよ。何とも静かなのですよ。真面目に選挙活動をしていたのは共産党ぐらいで、あとは誰も何もしていない。
半年前の住民投票で維新は6億円も使ってメディアを使って大宣伝していたが今回はゼロ。
自民党は新聞広告を出したが、メインは安倍晋三であり、肝心の知事選の候補はとんでもなく小さい。最初から、やる気が全くないのです。
投稿: 宗純 | 2015年11月23日 (月) 15時39分