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2015年11月10日 (火)

アウンサンスーチー

 ミャンマーの総選挙は8日が投票日で、今頃その結果がわかるのかと思ったら、最終結果が出るのにあと2~3週間かかるのだそうだ。しかし、アウンサンスーチーさん率いる野党NLD(国民民主連盟)の独自集計によると、70%の議席を確保し政権獲得に十分な結果が出ているとのことだ。

 与党、連邦団結発展党(USDP)もこれを認めているというから、ほぼ確実なのだろう。なにがともあれ、「おめでとう」と言いたい。塾頭にとっては、ミャンマーでなく「ビルマ」、そしてビルマ建国の父と言われた父上のアウンサン将軍、共に懐かしい言葉としてよみがえる。

 アウンサンは日本に学び、日本軍と協力し、また時には反目し、そしてイギリスからの独立を勝ち取った。その娘がアウンサンスーチーである。軍政、独裁、貧困の続く故国に乗り込み、民主化の旗頭となろうとしたが、軍政のもと自宅軟禁され、その都度抑え込まれた。

 ようやく議員となることはできたが、議員の4分の1を軍関係枠にするとか、身内に外国籍のものがいる(アウンサンスーチーの子息は英国籍)場合は国家元首になれないといった憲法があり、政治活動は大幅に制約を受けていた。彼女はそれにもめげず戦い続けてきたのである。

 そして、大統領になれなくても、それを越える存在になると自ら言う。国名はビルマに戻るのだろうか。首都は伝統あるラングーンに再び遷都するのか。軍政に別れを告げ、温厚な仏教国となり、国境山岳地帯の少数民族やバングラディシュに近い海沿いのムスリムと融和して、本当の平和を勝ち取れるのか。ここが正念場である。

 注目されるのは、経済の活性化とASEANでの発言力強化である。それらよって中国は新たな対応を迫られる。中国は国境の雲南省からビルマを抜けてインド洋に達する流通ルートができれば、南シナ海を経ずにインド洋へ達することができる。

 南シナ海への支配力強化でASEANは一致した見解を出せないでいる。そこでビルマの発言や態度が大きな影響力を持つことになる。中国から経済的メリットは得たいが、国の権益を損ねるような軍事的圧力は拒否したいということだ。

 日本の外交がこれにどうかかわっていくのか。ASEANから「日本はアメリカの顔色見てものを決めると」評価されている限り、アジアの平和は遠のくばかりである。

 アウンサンスーチーも安倍晋三も世襲政治家である。二人が「憲法を超えた存在」といってもその目指すところはま反対に見える。片やノーベル平和賞受賞者である。学識、国際感覚、取り巻く政治環境、などいずれをとっても見劣りするようなことの無いように振舞ってほしいものだ。

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コメント

もし、憲法改正が叶いスーチーさんが元首となった場合には、その成り立ちによっては内戦になる可能性が非常に高いらしく、スーチーさんもそれを知っているため性急な政権交代は危険だと考えていると聞きます。

民族紛争の火種が多いのが当たり前の大陸の国家というのは、日本人には理解しがたい国の事情が沢山あるようですね

投稿: 玉井人ひろた | 2015年11月10日 (火) 18時19分

日本は失敗した2・26以降クーデターはないわけですが、アジア・アフリカ・南米ではまだまだあるでしょうね。

「革命は銃口より生まれる」という発想と権力闘争の両方。世界○半分以上はまだ卒業しきれていないようです(;ω;)。

投稿: ましま | 2015年11月10日 (火) 19時21分

アジアの平和の、一番の障壁になっているのは中国でしょうが。
なんで中国の非難はしないかな。
先日の日本の「核廃絶決議」に反対したのはどの国だよ。

だいたい、安倍首相が「憲法を超えた存在」?
冗談も休み休み言ったらどうですか。

投稿: makoto | 2015年11月11日 (水) 01時59分

安倍首相の憲法軽視は学者や世論の多数が認めています。
この記事は中国ではなくビルマがテーマです。冷静な分析・判断力の涵養をお願いします。

投稿: ましま | 2015年11月11日 (水) 09時54分

リーマンショック以後に若干成長率が落ちたが、それでも中国が世界で一番経済成長が大きい。
その急速に拡大する中国経済とコインの裏表の関係にあるのが穏やかに死につつある日本経済であり、
『中国が諸悪の根源』だとする単純で御バカなネットウョの主張ですが、結論だけなら実は正しいのです。
少しも間違っていない。
日本政府とか経団連などが、目先の利益を優先して製造業の拠点を全て中国に移したから、今の若者たちの深刻すぎる苦境が生まれたのです。
特にビルマですが欧米が経済制裁したために、中国との結びつきがことのほか大きい。
2011からの民主化も、このままでは中国に飲み込まれるとの危機感からでしょう。
台湾は言葉が同じなので、日本以上にもっと空洞化が進んでいる。
8年間の国民党政権ですが、次回選挙では政権交代が確実なのですが、ミャンマーと同じで台湾市民の『このままでは中国に飲み込まれる』との危機感が影響している。
中国無しの経済は有り得ないが、これ以上影響されたく無いのです。
此処で不思議なのが日本で、何故、拡大する中国の経済の影響を言わないのか。
マスコミが問題とする中国軍の軍事力など、旧ソ連の数十年遅れ程度ですよ。

投稿: 宗純 | 2015年11月11日 (水) 15時05分

makoto さま

無知をさらし、礼儀を知らない投稿は、本塾の方針に反するので削除させていただきます。

投稿: ましま | 2015年11月11日 (水) 18時28分

宗純 さま

 近代戦は、国土の面積が広く人口の多い方が勝つという信念を持っています。日本は、そうでないのに大和魂と神国で神風が吹くから勝てると大真面目に考えていました。

 内乱でも起きない限り中国は世界一強い国になりつつあります。しかし、どの国にでも大きくなりすぎると自壊現象が起きます。

 特に経済問題の扱いが重要です。今の中国首脳部が長い歴史からそれを学んでいれば、今限界に近づきつつあることを承知しているはずです。

投稿: ましま | 2015年11月11日 (水) 20時06分

欧米が天まで持ち上げるスーチーさんですが、夫や子供は旧宗主国の英国人。もしもこれが日本なら到底首相の器ではない。
日本のマスコミでは米中対決を盛んに宣伝するが、
そもそも今のように中国が発展した原因とはアメリカの新自由主義ですよ。同じく日本が苦しんでいるのもヒトモノカネなど、すべてが自由に国境を超える新自由主義です。
南沙諸島の人工島ですが、ここは暗礁なのでいくら造成しても領土にはならないと肝心の中国の専門家が言い出したとか、
3000メートルの滑走路とか6階建てのビルも、実は5年前にアメリカのリゾート会社との合弁事業であり、軍事とは無関係との報道もあります。
もっと不思議なニュースは元中東軍司令官とかアフガン軍の総司令官など対テロ戦争のトップからCIA長官になったべトレイアス陸軍大将が中國脅威論を言いながら、
その対策とはTPPへの中国の参加だとか中国のAIIB銀行へのアメリカの参加。話が逆さまなのです。
中台トップ会談の翌日には台湾もAIIB銀行に加盟することが決定するなど、中国包囲網などといっているのは日本だけらしい。

投稿: 宗純 | 2015年11月12日 (木) 10時50分

宗純さま 
民主党が政権を取ったとき、鳩山首相や岡田外相は、「東アジア共同体」とか「東北アジア非核地帯」といったことを公然と語っていた。

それを一番恐れていたのは、アメリカでしょうね。日韓中がEUのような経済圏を作れば、たちまち経済で世界をりーどするようになり、基準通貨ドルはユーローとともに意味をなさなくなるかも知れません。

これはアメリカにとって耐えられないことです。深慮遠謀がそんなところにあるとすれば、南シナ海など些末現象かも知れません。

投稿: ましま | 2015年11月12日 (木) 13時10分

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