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2015年11月

2015年11月30日 (月)

戦争遺跡に冷淡な行政

Dscf2660 千葉県市川市はかつて軍都であった。塾頭自宅敷地も練兵場址である。しかし、現在はその片りんを見ることすらできない。そこに現れたのが県の血清研究所跡地にあった、かつて弾薬庫だったらしい煉瓦造倉庫1棟である。

 この存在については、以前当塾で紹介したことがある。フランス積、漆喰目地という工法で、東京駅や横浜の赤レンガ倉庫より古く、明治17・8年頃に建造されたらしいということが、今年7月、煉瓦にある刻印で改めて明らかになった。

 煉瓦建築の推移を知る上で、建築史に残す貴重な存在であることがわかり、世界文化遺産となった富岡製糸場のにある建物に匹敵する位置を占めている。しかし、この前の南京虐殺や、長崎の軍艦島などに見られるように戦争や軍隊に関連する物は、取り上げにくい面がある。

 その一方、広島原爆ドームやアウシュビッツ強制収容所の例がある。「反戦」を文化遺産・記憶遺産として前向き・積極的にとりあげてもいいはずだ。なぜそうなるか?。塾頭には特別の思い入れがあるからだ。

 塾頭が市川に移り住んだ時、兵役途中で病を得て終戦時には地方の陸軍病院にいた叔父が、「市川といえば国府台病院、あそこにだけは入りたくない」と言ったのを覚えている。ほかの、軍隊経験のある会社の先輩なども、市川というと、陸軍国府台病院を口にした。

 「あそこに入ると出られなくなる」ということ聞いたような気もするが、その理由はわからなかったし、塾頭もたいして気にかけていなかった。それが、陸軍で精神科が置かれているのはここだけ、ということに関係ありそうだ、ということが分かってきたのは、このブログを始めた2005年末ころからだ。

 それから、断続的に関連する記事を書いてきたが、11月29日に、「赤レンガをいかす会」主催の年1度だけ開催される見学会(写真右上)に参加し、予想以上の見学者が詰めかけていたこと、行政が保存利用に関する方向に動いていないこと、病院は、赤レンガ倉庫が造られた「陸軍教導団(下士官養成機関)」当時から設置されていたこと、などを知った。

 精神科を置いた陸軍病院は、戦後そのまま、国立国府台病院に引き継がれ、国立精神・神経センター国府台病院の名称も、2008年に国立研究開発法人国立国際医療研究センター国府台病院と名を変えた。そして近代風に増改築され(写真)、もと陸軍・精神病院の痕跡を残すものは何もなくなった。

 陸軍病院の実態を示す過去記事にリンクするのは煩雑になるので、整理して以後に続けたることにしたい。

Dscf2663

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2015年11月29日 (日)

来年は戦後71年

 まず当塾恒例のベタ記事を2題(毎日・東京11/29)。

安倍首相:「占領下の政策変える」 
 安倍晋三首相は28日、東京都内で自らが会長を務める保守系超党派議連「創生日本」の会合に出席した。首相はあいさつで「憲法改正をはじめ占領時代に作られた仕組みを変えることが(自民党)立党の原点だ」と強調した。その上で、「そうしたことを推進するためにも、来年の参院選で支援をお願いしたい」と訴え、参院選後に憲法改正論議を進める意欲を示した。

佐藤・自民国対委員長:来夏の衆参同日選に言及
 自民党の佐藤勉国対委員長は28日、次期衆院選が来年夏の参院選との同日選になる可能性に言及した。御法川信英国対副委員長が秋田県大仙市で開いた会合で講演し「甘く見ないで、来年ダブル選挙があるかもしれない。皆さんのご協力をお願いしたい」と述べた。

 明日1日で、今年最後の月に入る。安倍自民党は、戦後70年に集団的自衛権関連法案を議会で強行突破し、70年談話も事なきを得た。内閣支持率も回復傾向だし、野党の国会質疑の要求も、憲法解釈をねじ曲げて袖にした。

 来年は、戦後70年の重石がとれて前途洋洋、やりたい放題と思っているかもしれない。だから「戦後レジーム脱却」発言も解禁し、憲法改正の野望をむき出しにしていいと思っているらしい。ここへきて、猫をかぶっていたことをはっきりさせてきた。

 マスコミやリベラルの一部には、自民党が長期政権を保つため中道路線を模索し始めたなどと思っていた向きもあっただろう。しかし、そうはいかない。世界の潮流は変化している。戦後71年も72年もある。そして、100年、200年に向かうはずだ。

 おかげさまで、塾頭は惰眠をむさぼる暇もない。
( ̄Д ̄;;

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2015年11月27日 (金)

イスラム国&原節子

『週刊新潮』の宣伝見出しに

 イスラム国と話し合え」という綺麗事文化人
  ――報道ステーションの「古舘キャスター」
     はテロと空爆を同一次元

というのがあった。

 中身は、イスラム国では、残虐な殺戮が繰り返され、住民は弾圧の恐怖におののき、とても話し合える相手ではない、と言いたいのだろう。それは勝手読みで、あるいは、支配地域の市民は生活が保障され、イスラムの理想を実現させようと、日々希望に満ちた生活をしているかも知れない。

 塾頭は、シリア・イラクに何らかの方法で平和や秩序が回復した時、イスラム国に属した人々も話し合いに加わらなければならない、と思っている。そんな折、原節子さんの訃報があった。「昭和、最後の名優が消える」という追悼もあった。

 このブログで何度かとりあげた「青い山脈」の映画で演じた女優である。塾頭が戦争の惨禍や死を免れ、将来に限りない輝きと喜びを見出した作品で、その主題歌は、同級生とキャンプファイアーで肩を組んで歌ったものだ。

 安倍首相が唱えていた「戦後レジーム」脱却論に乗った意見や、戦後、GHQに憲法を押し付けられ、、言論を始め自由を束縛され、国民は隠忍の日々を耐え忍んだのだ、という趣旨の書き込みに答える意味で、とりあげている。

 彼女の名を不朽なものにした「東京物語」も深く印象に残る作品である。これは彼女だけでなく小津安二郎監督や笠智衆・東山千栄子の老夫婦役、杉村春子といったバイプレーヤーに至るまで、当時の庶民感覚を彷彿とさせる名作だった。

 同様に、当時多くの名作を生み出した、監督の今井正、黒沢明作品など、名場面を次々に思いだす結果となったのが彼女の死であった。 合掌

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2015年11月25日 (水)

ロシア軍機撃墜

 トルコが領空侵犯したロシアの戦闘爆撃機をトルコ戦闘機が警告の上撃墜したというニュースが入った。これをどう考えたらいいか、当塾もお手上げである。CNNは、地上砲火で、と言っていたりして、続報の待たれるところだ。

  以下は、塾頭が掲げる無責任ポイントである。

1、トルコとロシアはもともと仲が悪い。
 ①過去何度も戦争したことがあり、クリミア半島がトルコ領だったこともある。
 ②ECには入れてもらえてないが、アメリカも加わる反共軍事同盟・NATOには入っている。
 
2、日本に好感を持つ人が多い。
 江戸時代に、海難トルコ船を救助、手厚く手当して送り返したとか、日露戦争で小国ながらロシアをやっつけたことなどで評判がいい。

3、オスマン帝国時代、イスラム教国として、中東主要部、アフリカ地中海岸、ヨーロッパの一部などを制覇し、現・イスラム国(IC)が郷愁を持つ時代を作った。

4、IS国は受け入れがたいが、同族が多いこともあってシリアとの国境管理は甘く、欧米の感覚とは温度差がある。

5、その一方でロシアとは首脳の交流もあり、イラン同様、イスラム教の国として域内和平の鍵を握る存在かも知れない。いずれにしても中東でその存在が無視できない国である。

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2015年11月23日 (月)

けったいな大阪地方選

 常識的に考えてもどうしてもわからないのが大阪府知事・市長のダブル選挙だ。反戦塾としては、選挙は欠かせない題材なのだが、地方選挙は沖縄県知事選とか、名護市長選は、先の大戦経験も含め、戦争とか安全保障に大きくかかわることなので、無関心ではいられない。

 大阪は、橋下氏の唯我独尊的な政策運営や言動に信頼性を欠くものの、一地方の首長選で橋下氏のダミー役が当選したからと言って、何の感興もわかない。大坂の皆さんがそれがいいと言って選んだ結果だ。沖縄同様、その民意は尊重されるべきだ。

 それにしても、争点のはっきりしない選挙だった。橋下氏の「大阪都構想」のまき直しだといつても、それが全国民に大きく影響するということはない。マスコミは、都構想より、今回の選挙結果をバネに来年の参院選で「おおさか維新の会」の躍進と国政への影響力獲得が狙いだという。

 右翼路線で脈絡のある松井知事と菅官房長官の緊密な関係から、改憲への賛成勢力として安倍内閣を支持する野党ができるという点で、安倍・橋下双方の期待が一致する。

 これは別に公約として掲げられたことでなく、マスコミの「タラ・レバ」だらけの勝手解釈だ。大体、今回の選挙の支持母体が支離滅裂なのだ。まず、大阪維新の会の候補に対し、支持した大政党は一党もないという「けったいな」現象である。

 それに反して、対立候補を支持・応援したのが、自民党、民主党であり共産党までこれに乗った。公明党は自主投票である。改憲を掲げる自民党だが、ここでは、反橋下の一番手だったのである。しかし、親・橋下の下心がある官邸筋は、応援にかけつけなかった。

 塾頭の関心事は「憲法」だけである。参院選で「おおさか」を頭につけた政党が全国でブームを呼ぶとは考えられないし、政界を引退したはずの言行が不安定なリーダーの存在が国政で幅を利かせるとも思えない。

 むしろ、松井知事なみの右傾指向が強まり、不出来な現・自民党改憲案の蓋があくようなことでもあれば、平和の党・公明党の堪忍袋の緒が切れる。できれば、これを期待したいものだ。

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2015年11月21日 (土)

権限移譲×、委譲○

 おたくのワープロソフトで「けんげんいじょう」と入れ、漢字転換するとどうなります?。塾頭のは「権限移譲」と出ます。どうやら安物を買ってしまったらしい。「委譲」が正しいようです。

 いや、機械のせいにしてはいけない。塾頭の作文で「権限移譲」となっていても、多分誤植に気付かずそのまま見過ごしたに違いありません。同志社大学の浜矩子先生が、毎日新聞(11/21)のコラムで次のように書いておられます(抜粋)。

基地問題を巡って、沖縄県と国が真っ向から対立している。事態はついに法廷闘争の領域に踏み込んでしまった。

(中略)法手続きとしては、国の行動に問題があるとはいえないのだろう。だが、ルール違反でなければ、何をやってもいいというわけではない。こんなことを、国の政治と行政に向かって言わなければならないとは、いかにも情けない。

一連の展開をみながら、頭に浮かぶのがサブシディアリティー(subsidiarity)という言葉だ。これに対応する日本語は「権限委譲」だ。

 この言葉が、しばしば誤解される。字も誤って書かれる場合がある。時として「委譲」の「委」が「移」になっていたりする。そして、意味するところは、中央から地方に権限の一部を「移す」ことで、地方自治を推進することだと理解されたりしている。

 これは違う。権限は中央から地方に移転されるのではない。地方が中央に委託するのである。主体はあくまでも地方である。地域社会を構成する市民たちだ。その市民たちが、自治を展開する中で、自らの権限の一部を中央政府に委ねる。それが合理的だと市民たちが判断するから、そのように動くのである。

 今回の訴訟にいたる過程で、政府は、外交安全保障政策は国の専管事項だという発想に立脚してきたのだろう。現状における仕組みとしては、確かにその通りだ。

 だが、そのような仕組みになっているのは、日本の市民たちが外交安全保障の領域を国に委ねたからにほかならない。あくまでも、市民たちの意思でそうなっている。何も、神様がその権限を国にプレゼントしたわけではない。

 安倍首相は、多分浜先生の意見にご不満でしょう。国会討論で質問者が、集団的自衛権などで法制局長官に質問した時、手を挙げて自ら答えようとしました。これに対して質問者が「首相ではない。長官に答えてほしい」と繰り返し要請したのに対し「私が答える。私の方が上なんだから(議事録を見てないので正確ではない)」といった光景を見たことがあります。

 一番偉いのは「国民」。質問した議員は、その国民に代わって質問をしたはずです。憲法は国民が国をしばるもの。首相が勝手に解釈していいわけがありません。こういった「誤植」が政治や役所で堂々とまかり通る。

 すくなくても、10何年前にはそうではなかったのです。憲法には、前文を含め「国民主権」を至る所で宣言しています。自戒も含めて、みんなでこれをもとに戻そうではありませんか。

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2015年11月20日 (金)

テロの根源に変化

 前々回の「ISはニセ・イスラムか」で、フランスを襲ったテロ事件は、ウサマビンラディンの主導したアルカイダと同列に置いたり、パレスチナ問題から生ずる抗争などと混同してはならないと書いた。実は、塾頭はこの時点で、ブッシュ前アメリカ大統領がいう「テロとの戦い」を分けて考える必要を感じたのである。

 以前から書いているように、塾頭は行ったことはないが、中東やイスラム教に関して何十年も前から関心を持っている。ホメイニ革命のあったイラン、石油鉱脈が関連したイラク・クエート、ウサマビンラディンを匿ったアフガニスタンなどなど。

 そのいずれもアメリカがかかわっている。フランス、イギリス、ロシア(ソ連)は、この地域を支配していたイスラムを国教とするオスマン帝国を追い出してから、勝手に国境を決めたり植民地にしたりした。しだがって、今日の混乱の根源を作った責任はあるのだが、アメリカは関係がない。

 第2次大戦末期、イギリスがそれまで国をもたなかったユダヤ人に、パレスチナで国を作ってもいいよ、と約束、金持ちのユダヤ人を多く抱え.るアメリカが、パレスチナ人の反対を押し切って新興国・イスラエルを強力に支持する立場に立ったのだ。また一方、急速に産油量を上げたサウジなどとの連携を深める。

 アラブ対イスラエルの中東戦争は、1948年から1973年までの間に大規模な戦争が4度も起きている。以上の各国の利害が複雑にからみ、代理戦争の様相を呈する。ここでの詳述はさけるが、アメリカの仲介もありエジプトなどとの妥協が成立する。しかし、第3次中東戦争で勝利したイスラエルは、パレスチナ人が集住する東エルサレムなどを併合、ヨルダン川西岸地区などを占領したままだ。

 こういったことから、パレスチナ人の抵抗運動が起き、アラブ各国をはじめ、イスラム教の聖地を巡る争いもからんで反イスラエル、ひいては反米の機運が高まる。アフガン戦争やイラク戦争などの米軍侵攻や駐留長期化は、アメリカ敵視を根深いものにした。

 その原点が、パレスチナ人のインティファーダ(反イスラエル民衆蜂起で、石を投げるなどの素朴なもの)だ。今、イスラム国(IS)の大規模無差別テロという事態を受けて、この抵抗運動を振り返って見る必要がある。アメリカの「テロとの戦い」を「文明の衝突」と評した人がいるが、今回のフランステロなどに、ISのほうから「十字軍とその協力者」というような表現で、文明の衝突論を出している。

 これは、これまでの抵抗運動ではなく、明らかなIS側からの宣戦布告で、異質なものだといわざるを得ない。20日の毎日新聞「記者の目」で大治朋子記者は、エルサレムから次のようなレポートをしている。

 パレスチナでも日本でも戦争を知らない世代が次第に多数を占めるようになる。新たな抗争のたねが、憎しみ合い殺し合う世界を招こうとしているならば、今のうちその芽を摘むよう全力を尽くさなければならない。世界の政治家にどれほどその覚悟があるのだろうか。

◇2度の民衆蜂起知らぬ世代反乱
 パレスチナ人は87~93年の第1次インティファーダ(反イスラエル民衆蜂起)、2000~05年の第2次インティファーダで抵抗してきたが、武力で制圧された。現在30代以上のパレスチナ人は、当時の挫折感から民衆蜂起に失望したとされる。だが、その挫折を知らない新世代がいま、各地で「一匹オオカミ」の波状攻撃を仕掛けている。

(中略)イスラエル治安当局は、ナイフで向かってくるのが中学生でも射殺をためらわない。若者はそれを承知で、決死の覚悟で臨む。暴力を容認するつもりは毛頭ないが、彼らがそこまで思い詰めている状況に目を向けなければ解決策は見いだせない。「テロリスト」と呼んで殺すだけでは、事態は悪化するばかりだ。

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2015年11月18日 (水)

辺野古、内政干渉

ワシントン時事】米国防総省のクック報道官は17日の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に向け、日本政府が代執行を求めて県を提訴したことについて「(代執行が認められれば)日本政府のおかげで(移設)計画を前に進めることができる。日本政府の努力に感謝している」と述べた。
 
 報道官は、辺野古移設に関し「最終的には沖縄の人々にとっても最大の利益になる。実現できるよう日本政府と引き続き緊密に協力していく」と強調した。

 マスコミさん――。
こんな《露骨な》内政干渉を黙っていていいのかっsign03angry

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2015年11月17日 (火)

ISはニセ・イスラムか

 フランスのテロ事件で2回連続の記事を書いた。塾頭は、これまでISの動きに対して、アルカイダなど個人商店的過激派ではなく、国境を意識せずイスラム最盛期再現を狙う異質の存在であると見る。その点でウサマビンラディンの主導したアルカイダと同列に置いたり、パレスチナ問題から生ずる抗争などと混同してはならないと思っていた。

 TVでは、どこの局か確かめなかったが、今はやりの「わかり易い」ニュース解説をしていた。パネルのシールを次々はがして見せるあのやりかたで、「アルカイダとISは仲が悪かったが共闘するようになりました」などとやっている。十字軍と名指しされている欧米諸国ならともかく、日本国内で一把ひとからげでそういった見方が定着しては困るのだ。

 ISの原理主義は徹底したものだ。7世紀、ムハンマドが神の啓示を受けて伝えたコーランに忠実であることを基本とする。ムハンマドの伝道を間違いなく伝えていくと称する「カリフ」4代が続く中で、アラビア半島全部にアフリカ地中海岸、ヨーロッパの一部まで、ジハード(聖戦)によりイスラムのウンマ(共同体)とした。

 地域があまりにも広大になったため、改宗しないキリスト教徒やユダヤ教徒は、一神教の同じ神を信じる者として、税金をとって存在を認めた。したがって、ジハードが裕福と平和をもたらすイスラム全盛時代だったのである。

 その伝統は厳しく受けつがれた。「目には目を」でわかるように法の支配が優先され、生活を支配した。「豚を食べてはいけない」などもその一環である。しかし、地域が広大になればその解釈も柔軟にしなければらない。

 ところが、他の文化・文明・宗教が変化発展する中で、とても通用しないことをISの一部で言い始めたのだ。たとえば、「ムハマンドは奴隷の娘を妻の一員に加えた。だから、捕虜の女を兵士の妻にすることは正しい」などのことである。それが、自称カリフのバグダディーから出た言葉とは到底信じられない。カリフには、神の言葉を時代に沿った解釈で指導しなければならない任務があるはずだ。

 シナイ半島におけるロシア機撃墜にも、犯行声明が出た。イスラム教徒も乗っているかもしれない民間航空機をジハードの対象にするなど、本当のカリフならあり得ないはずだ。しかし、これはISシナイ州という分派から出たものであれば、ISの不統一を示すことになる。

 今回のフランスの無差別テロも、声明でフランス州を名乗っている。フランスにはそういったISが有効支配する地域や集団があるわけがなく、ウソッパチが証明されたようなものだ。状況は、間違いなくIS本体が関与していることを示している。多くの推戴を受け、適正にコーランを解釈運用する信頼されたカリフはいないということだ。

 無差別テロは、多数のムスリムにとって夢を実現する方途ではなく、全く逆を行くものとしか思えない。イスラム国以外に、ムスリムの理想を再現できる本物のカリフは出現する可能性はあるのだろうかか。その答えは、”インシャアッラー”~もしも神がそのようにお望みになれば~と言うしかない。

 インシャアッラーは、ムスリムの日常会話によく出てくる。例えば翌日再会する約束をしても、こういう答えが返ってくる。さきほど「法の支配」と言ったが、日本人の几帳面さからすると、なんともいいかげんで頼りない反応に聞こえる。

 日本人にとってもう一つのこわもての国、中国にも似た慣用語がある。「没法子(メイファーズ)」という。この言葉 は、「すべてを尽くしてもうやることはない。後は天に任せるだけだ」と解釈される。日本でも昔「ケ・セラセラ」という言葉がはやった。

 もとはアメリカ映画の主題曲で、「♪ケセラセラ、なるようになるさ、あとのことなどわからない」というような歌詞であった。スペイン語だというが、その点はあやしい。何が言いたいかというと、どこの国であろうと民族であろうと、庶民は支配者が言う突っ張った融通の利かない気分を好まない、ということだ。

 イスラム統一の夢は尊重されるべきだが、ISのような他人迷惑をものともせずでは、今どき通用しない。ムスリムの殆どはそう思っているはずだ。

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2015年11月15日 (日)

続・パリでテロ

 昨日は、事件第一報の頃からニュースを追っていたのだが、今朝の段階で死者は129人にのぼった。重傷者も沢山いるのでまだ増えるかもしれない。続報で、イスラム国(IS)がネットを使って犯行声明を出し、犯人の一人は難民としてギリシャ経由で入国していた、などのことも伝えた。

 新聞は、組織的な同時多発テロの現場取材を中心に、その残虐ぶり非道性に多くの紙面を費やしている。各国首脳は口をそろえてテロ、そしてISを糾弾し、テロとの戦いを強調する。そしてヨーロッパの右翼は、ここぞとばかり移民・難民の排除を主張する。

 さあ、日本はどうすればいいか。ISは日本に「十字軍に手を貸す者」と位置づけているが、歴史上十字軍であったことはない。マスコミに取り上げられる有力な学者・識者の意見は、キリスト教中心の欧米・ロシアとは別の立場を活かして、宗教対立の第3次世界大戦に拡大させることの無いような筋道を真剣に考えるべきだ、とするものが多い。

 中国も十字軍と関係がないが、日本と違うのは、ウイグル自治区というムスリム居住区をかかえていることである。しかし、ニュース報道では、ISを非難する点で、ロシアと足並みをそろえている。これは、珍しいことではないか。

 つまり、国連安保理常任理事国すべてが同じ認識を持っているということだ。ロシアはISを駆逐したら、ひとまずアサドが国を安定させ、といった思惑を持っていそうだが、そこらの違いは、安保理5大国で協議すれば解決できないことではない。

 それで、信教の自由否定や、奴隷制を肯定するような人権の無視の過激派集団を制圧し、イラク・シリアに平和を取り戻す、という強力な国連決議を出せばいい。日本は、憲法上戦争に参加できないが、自衛隊のPKO参加には道がある。ここで「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位」を占めればいいのだ。

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2015年11月14日 (土)

パリでテロ、第2の9.11か?

 11/14、午前8時前後に入ったニュース。

パリで発砲や爆発30人死亡 人質数十人か(NHK)
パリで銃撃・爆発・立てこもり、少なくとも40人死亡(JNN)
パリで銃撃相次ぐ 死者60人、百人人質か(NNN)
153人死亡 劇場やサッカー場など(CNN=10:36)

 発砲・爆発はパリ中心にあるレストランとコンサートホールで、現地時間の午後9時ごろ。コンサートホールでは、まだ数十人が人質になっている。

 また、パリ郊外のサッカースタジアムの出入り口付近で相次いで爆発が起きた。オランド大統領も観戦だったが、その後内務省に戻り「、「前例のないテロだ。事件はまだ続いている」とする声明を発表した。

 東京でこんなことが起きたら、と思うと、ゾーッとする。集団的自衛権で対・テロ戦争に参加すれば同じ目に合う。すでにカネは出している。

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2015年11月13日 (金)

菅直人氏の「立憲の会」提唱

 民主党では、前原誠司元代表が12日、自民党に対抗するため年内に民主党を解党し、維新の党と新党を結成すべきだとの考えを岡田克也代表に伝えた。前原氏には細野豪志政調会長も同調し、党内の路線対立が再燃した形になっている。

 これとは別に、菅直人氏が自身の公式HPで、自民圧勝をなくすため、「立憲の会」立ち上げを提唱しているがマスコミにはほとんど無視されているようだ。モデルは1989年の参院選の「連合の会」にある。この選挙では自民党が惨敗し、その責任や女性問題もあって宇野首相は退陣した。

 しかし、いかにも古い。そして、それがイメージできる人はほとんどいないといってもいいだろう。「連合の会」の連合は、労働組合の連合である。路線対立のほか組織拡大を競い合っていたいくつかあった労働組合の一体化が進み、全国組織「連合」が誕生した年だ。

 さらに、自民党は竹下内閣がこの選挙の前月まで続いており、リクルート収賄事件や春先の消費税新設で内閣支持率が7%(朝日新聞)までおちこんでいた時であった。右翼街宣の「竹下首相褒め殺し」などという社会現象まで起きている。

 選挙結果は、社会46、自民36、公明10、共産5、「連合」11だった。それにもかかわらず後の衆院選では自民が圧勝し、自民単独内閣は93年の細川野党連立内閣まで続く。しかし、来年の参院選の目標は、まず安倍首相を退陣に追い込むことだ。

 若き日の体験からでた、元首相・元代表の立場からの提案だとすれば、前原提案よりよほどユニークで注目に値する。菅提案は、安保法制反対で共闘した弁護士会メンバーなど無党派の人が中心になることが好ましい、としており、民主党現執行部や地方組織など、ほとんど党に受入れられる見込みはない。

 それには仕掛け人が必要である。民主党の一員として提案することが無理なら、同調者をひとりでも多く道ずれにして党を出るしかない。そして、他の野党や場合によれば与党まで手を広げる勢いがなくてはならない。

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2015年11月12日 (木)

ひさびさの国産機

 国産初のジェット機、MRJ(三菱リージョナルジェット)が昨日小牧空港で初飛行に成功した。マスコミは、大勢の見物客がおしかけ感激に浸ったと伝える。

 塾頭が航空少年だったことは前にも書いた。小学1年か2年の頃、誕生日祝いにブリキ製の双発旅客機のおもちゃを買ってもらった覚えがあるが、モデルは何だったか記憶にない。関心を持ったのは多分それより後のことのようだ。

 Ki431まず、陸軍の単発戦闘機「隼」(写真右)。引込脚採用で有名だが、引き込むというより、離陸すると根元から内側へたたむように折り曲げるという感じだった。「加藤隼戦闘隊」というのが映画にもなって、少年のあこがれの的だった。

 戦争末期には、米軍をてこずらせた「ゼロ戦」が有名になったが、隼よりずんぐりしていて恰好は隼がまさった。双発で格好良かったのは「新司偵」で、これも性能を誇った。塾頭の住んでいた近くでは二式飛行艇が生産されており、これは4発だ。その高性能は今も世界で評価されている。

 Piaf27lahore308611戦後、初めて旅客機に乗ったのは、アメリカ製のダグラスDC4だった。国産機・YS11には、高松空港から乗ったのが最初だ。また、オランダの名機・フレンドシップ(写真左)は高翼(翼が機体の上部についており、下の景色が見やすい)では、羽田・富山間を飛んだ。

 ジェット機はこのところみんな形が似てきて、個性が感じられなくなった。しかしファンの見どころは別の所にあるのだろ。安全性が第一だが、カナダ、ブラジル、中国なども加わって、世界で中型機の競争が激化するようだ。

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2015年11月10日 (火)

アウンサンスーチー

 ミャンマーの総選挙は8日が投票日で、今頃その結果がわかるのかと思ったら、最終結果が出るのにあと2~3週間かかるのだそうだ。しかし、アウンサンスーチーさん率いる野党NLD(国民民主連盟)の独自集計によると、70%の議席を確保し政権獲得に十分な結果が出ているとのことだ。

 与党、連邦団結発展党(USDP)もこれを認めているというから、ほぼ確実なのだろう。なにがともあれ、「おめでとう」と言いたい。塾頭にとっては、ミャンマーでなく「ビルマ」、そしてビルマ建国の父と言われた父上のアウンサン将軍、共に懐かしい言葉としてよみがえる。

 アウンサンは日本に学び、日本軍と協力し、また時には反目し、そしてイギリスからの独立を勝ち取った。その娘がアウンサンスーチーである。軍政、独裁、貧困の続く故国に乗り込み、民主化の旗頭となろうとしたが、軍政のもと自宅軟禁され、その都度抑え込まれた。

 ようやく議員となることはできたが、議員の4分の1を軍関係枠にするとか、身内に外国籍のものがいる(アウンサンスーチーの子息は英国籍)場合は国家元首になれないといった憲法があり、政治活動は大幅に制約を受けていた。彼女はそれにもめげず戦い続けてきたのである。

 そして、大統領になれなくても、それを越える存在になると自ら言う。国名はビルマに戻るのだろうか。首都は伝統あるラングーンに再び遷都するのか。軍政に別れを告げ、温厚な仏教国となり、国境山岳地帯の少数民族やバングラディシュに近い海沿いのムスリムと融和して、本当の平和を勝ち取れるのか。ここが正念場である。

 注目されるのは、経済の活性化とASEANでの発言力強化である。それらよって中国は新たな対応を迫られる。中国は国境の雲南省からビルマを抜けてインド洋に達する流通ルートができれば、南シナ海を経ずにインド洋へ達することができる。

 南シナ海への支配力強化でASEANは一致した見解を出せないでいる。そこでビルマの発言や態度が大きな影響力を持つことになる。中国から経済的メリットは得たいが、国の権益を損ねるような軍事的圧力は拒否したいということだ。

 日本の外交がこれにどうかかわっていくのか。ASEANから「日本はアメリカの顔色見てものを決めると」評価されている限り、アジアの平和は遠のくばかりである。

 アウンサンスーチーも安倍晋三も世襲政治家である。二人が「憲法を超えた存在」といってもその目指すところはま反対に見える。片やノーベル平和賞受賞者である。学識、国際感覚、取り巻く政治環境、などいずれをとっても見劣りするようなことの無いように振舞ってほしいものだ。

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2015年11月 8日 (日)

続・生態系

 先月29日に書いた記事の続き。上が昨日付の市・広報紙、下は今日付けの毎日・県版です。人間って勝手だと思いません?。イノシシ・シカの縄張りに勝手に入って行ったのは、誰?。国際問題にも似たようなことがよくあります。(写真はクリックすると拡大します)

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2015年11月 7日 (土)

『古事記』に見る基礎工事

 『古事記』の天孫降臨は、なにしろ天から「八重たな雲を押し分けて」筑紫の日向の高千穂の嶺に天下りするわけだから、受け入れる宮も空に届く高層建築で、しっかりしたものを作らなければならない。

 つまり、高層マンションにふさわしいような立地と頑丈さが要求されるのだ。見晴らしがいいこと、日当たりがいいことも必須条件だ。杭が地盤に届かないような建築では、とても天孫が降りてこれない。

 「此地は韓国に向かひ、笠沙の御前(みさき)を真来通りて、朝日の直刺す国、夕日の日照る国なり。故、此地は甚吉き地。」と詔りたまひて、底つ石根に宮柱ふとしり、高天の原に氷掾たかしりて坐しき。(岩波文庫)

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2015年11月 6日 (金)

70年前の《今》⑫

 このシリーズは、終戦の日までで終わったつもりだったが、高見順の『敗戦日記』から付け足しておくことにした。

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十一月六日

 帰りの電車で。(中略)

――私たちの傍に、工員風の青年が二人いたが、
「黒ン坊の奴……」
 侮辱的な語調だつた。そして、膝の上に無造作にのせた片足のくるぶしをいわば威嚇的に示威的に叩いて、
「英語ナンテ俺は知らねえや。一つ知っている。シガレット……」

 大きな声で言った。明らかに「不良」染みていた。そのうち二人は黒人兵の前の空席にツカツカと行って腰かけた。例の中老の紳士の隣である。終電のひとつ前で、車内はすいていた。何か喧嘩でも売りに行つたのではないかとひそかに憂えられた。

 しかしやがてその二人の顔にニヤニヤ笑いの浮かんでいるのが、こっちから見られた。間もなく、ニヤニヤ笑いは哄笑になった。

 一人が席から立ち上つた。黒人兵の前へ行く。
「……?」
 煙草を貰つているのだった。手の先に白い煙草を捧げてピョコンと頭を下げている。その卑屈な笑い顔は、正視しがたいものだつた。

 黒ン坊の奴と口汚く罵つていたその当人が、黒人兵から煙草を貰つて大喜びだ。どうやら煙草を貰いに黒人兵の前に行つたらものしい。

 尊大と卑屈が隣り合つている。びたりとくつついている。それはこの下品な、粗暴な、恥かしい二人の行為だけのことではないのだと私は思つた。

 支那人を何かというとひつぱたいていた大陸の日本人たちは、今、支那人たちに逆に監禁されて、さて、どんな態度を取っていることか。(後略)

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2015年11月 5日 (木)

3例目?謎の墜落

 TBS系のJNNが、エジプトの新聞報道として 「エジプト・シナイ半島で墜落したロシアの航空機のブラックボックスを解析した結果、機内で異常が発生し、機体後方の右側部分の壁面が破損したことがわかった」と伝えた。また、アメリカのCNNなども、今日詳報を伝えているがNHKにはない。

 操縦者と何の連絡も取れず原因解明が進まないマレーシア航空機の前2例に次ぐ3例目になるのだろうか。分析には、エジプトやロシア、フランスなどの専門家が参加している。またさらに、こうした解析結果は、ミサイルによって撃墜したとするイスラム国(IS)の主張を否定しているとしている。

 塾頭は、これまでブラックボックスとフライトレコーダーがあれば大抵のことがわかるとのだ、と思っていた。この前のドイツ機の墜落でも、一時は謎に満ちていたが、自殺願望の副機長が機長を締め出したようなとんでもない事件であるという推定が、フライトレコーダーなどで可能になった。

 以上の3件はそれぞれ状況は違うが、操縦者の声がとれていないということに加え、いずれも世界的に耳目を集めている紛争地の上空ということである。最初のマレーシア航空も、現在注目を集めている南沙諸島の手前で大方向転換をしている。2回目はウクライナ東部上空だった。

 今回のシナイ半島での事故は、ロシア、エジプト両政府ともシナイ半島の不安定には無関係であるような態度をとっているが、それは願望であってそうでないかも知れない。5日のAFP=時事によると、英首相官邸は、「調査が進行中の間は、ロシア機の墜落原因を断定はできない」とした上で、「だが、より多くの情報が明らかになるにつれ、同機は爆発装置により墜落したのかもしれないとの懸念を抱くようになった」と声明を出した。

 塾頭は、アフガン、イラク、シリアの次に火がつくとすればシナイ半島だと懸念している。IS(バグダディの率いる)の犯行にしては多くの疑問が残るが、シナイ半島が中東の次の火薬庫にならない保証はない。

 エジプトはアフリカの国である。その一方、スエズ運河を隔ててシナイ半島が横たわり、東側はイスラエルと国境を接する。ここでかつて何度も戦争があった。イスラム教徒とユダヤ教徒の衝突だ。だが、大昔、双方が経典とする旧約聖書にシナイ山でモーセとイスラエル人は神から十戒を授かったとするゆかりの地でもある。

 かつては戦争もしたイスラエルだが、その後和解、承認をしている。そんなことから、エジプトがサウジアラビアと並ぶ中東のイスラム大国であり、軍事的にも抜きんじているが、他のイスラム諸国の評判は決してよくない。国内では1981年に大統領・サダトが暗殺され、2011年のジャスミン革命の連鎖でムバラクも辞任に追い込まれた。

 こうして独裁者統治の時代は終わり、選挙で政治家を選ぶようになったが、その結果国民の支持が多いムスリム同胞団系のムハマンド・ムルシーが選ばれた。ところがわずか1年余後の2013年7月に軍部クーデターで倒され、ムスリム同胞団はテロ組織にされてしまった。
 
 ムスリム同胞団は「穏健派イスラム原理主義」と称され、パレスチナで医療・教育・食料援助で活躍し、エジプトでも貧困層への無料奉仕を通じて底辺からの支持は高い。彼らがシナイ半島を本拠としてガザ地区を支援していたが、軍部の弾圧を受けたとすれば、一部がアルカイダやIS系の過激派に走ったかも知れない。

 軍部には、世俗派市民の支持があるというが、このまま落ち着くのか、混乱の拡大をねらって戦争拡大に持ち込みたい勢力が、シナイ半島に火をつけようとするのか、ここしばらく目が離せない。

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2015年11月 2日 (月)

『満州』

 「満州生まれ」とか「満州引揚者」などという日用語がだんだん「特殊用語」になってきた。二人とも満州生まれの、なかにし礼と加藤登紀子が、今日の新聞紙上で対談をしている。紙面では満州を、”満州(現・中国東北部)”と表現している。

 いつからかは知らないが、新聞は戦後ずーとそうしてきている。理由はあとで述べるが、中国が「満州」という地域名を好まないからだ。そのうち「満州」という言葉がなくなるかも知れない。折しも、日中韓3か国首脳会議が開かれている。

 「過去を直視して未来志向……」がうたい文句だが、日本が過去に向けて歴史を直視する上で、中国侵略のきっかけを作った「満州事変」や「満州国」を採りあげ、反省しなければならないのは当然だが、満州のかわりに「中国東北部事変」や「中国東北部国」では、まるでさまにならない。

 現在、中国が支配する巨大な版図は、現在の台湾へ逃げ込んだ中華民国のその前、清国の時代に確立したものである。その清国は日清戦争に負けて、賠償として台湾を日本に割譲した。

 そもそも清国皇帝は満州の出身で漢民族ではない。中国全域を侵略し、満州族(女真族)の風習・弁髪(頭髪を中央だけ残して編み上げ後ろにたらす)を強制したため、漢民族にとって快い存在であるはずはない。

 その皇帝・愛新覚羅氏の最初の支配地をマンジュ国と定めた。マンジュシュリ(文殊菩薩)に由来するという説があり、漢字で書くと満州になる。そして、愛新覚羅家最後の皇帝が、辛亥革命で隠遁していたところを日本軍が探しだし、新・満州国皇帝に祭り上げたのだ。漢民族から見て「満州」はイメージが悪く、消してしまいたい気持ちなのはよくわかる。

 しかし、歴史を直視すればそうなるのだ。中国政府・共産党はともかく、歴史学者や教養人ならそういった史実をだれも否定できない。日中韓3国の関係が、小泉靖国参拝以前に戻るようになるまで、過去の直視は学者や文化人に任せておいた方がいいのではないか。

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2015年11月 1日 (日)

民主党、辺野古移設を再検討

 民主党の細野豪志政調会長は31日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、「名護市辺野古への移設が本当に正しいのか、検証に入らないとならない時期だ」と述べ、現行計画の是非を再検討すべきだとの考えを示した。那覇市内で記者団に語った。(時事通信10/31) 

 遅い!!。
 本来は、鳩山由紀夫首相が初志を貫徹すべきだった。そうさせなかったのは、役人だけでなく党内にも大勢いる。次の機会は、沖縄県知事選挙の前後にあった。これも見直しの千載一遇の機会を逃したことになる。

 これから再検討するなど、沖縄県民から見れば愚弄もいいところだ。参院選前の党利党略と見られても仕方ないだろう。しかし、しないよりした方がいい。移設を容認した前政権である野党第一党が反対に転じたということは、アメリカに対して相当なインパクトを与えることになるからだ。

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