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2015年10月

2015年10月31日 (土)

恐怖の組織犯罪

 月末最後の日の新聞(毎日・東京朝刊)を見て驚いた。30面、31面の社会蘭見開きの中だけでこんな大見出しのそろい踏みである。

▽東洋ゴム 防振不正99年から(4段ぬき)
▽旅客機整備ミス隠ぺい
 アイベックス 事業改善命令 (5段ぬき)
 整備部長が指示(3段ぬき)
▽くい打ち不正 東京・江東区でも
 旭化成3040件調査 発表中止(3段ぬき)
▽千葉県警 警視6人処分
 交通死過少計上 計165件(3段ぬき)
▽兵庫県警警察官70人を書類送検
 諸偽文書作成容疑(1段)

Dscf2574 すべて、データ改ざん文書偽装という中味だ。この中で「旅客機整備」だけが新しく、それ以外は続報である。かつては年に1度あるかないかの大事件だったように思うが、今月だけでこんなにあるとは。テレビカメラの前で最敬礼するシーンも、コピペのようであきあきした。

 いずれの原因も、効率優先、利益優先、成績第一の仕事が日常化する中で起きたように見えるが、旅客機の場合は見過ごせない。記事には、こうある。

 国交省によると。16件中4件は必要な整備を先延ばししたり、マニュアル違反を隠すためめに整備記録を改ざんしたりしていた。

 うち1件は、5700回の飛行につき1回は乗降用ドアのちょうつがいを点検しなければならないと製造マニュアルにあるのに、気づかずに点検しない気ままさらに約3400回飛行していた

 整備部長はその後マニュアル違反と知ったが、点検の日付を改ざんして規定通りに点検していたように記載するよう指示した。

 偽装はこのほかにもまだまだある。国交省は、事業改善命令を出すと言っているが、人命・安全第一の交通機関である。そんな生ぬるいことでいいのか。ほかの案件とは違う。免許取り消しは当然、殺人未遂でなくとも殺人予備罪で関係者を告訴するぐらいのことは、当然だと思うのだが。

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2015年10月30日 (金)

政権奪取は夢のまた夢

 20日に「見果てぬ夢、政権奪還」を書いてから10日たった。その間、政界、ことに野党の方はどうなっているのかさっぱりわからない。

 野党第2党の民主は、第4位の共産党から来年の参院選での選挙協力に関連して、「国民連合政府構想」を持ちかけられたが、岡田代表や枝野幹事長は、選挙協力には前向きに対応したいが、「国民連合政府構想」まではどうもと身が引け、「辺野古は今さら」という感触のようだ。

 前回書いたように、参院選で反自民議員を過半数を得ることは容易なことではない。仮にそれができたとしても、衆参ねじれ現象となるだけで、総理が解散して衆院選選で多数を占めない限り政権は回ってこない。

 自公に変る政権が、共産党を含めた連合政権なら、基本政策の違いを公明党のような妖怪変化政治でカバーすることもできず、忽ち空中分解してしまうだろう。

 細野政調会長は、27日の記者会見で「共産党と協力すべきではない。両党の目指すものが違うと明確に言わないと民主党が存在する意味はない」と話し合うこと自体に反対のようだ。

 憲法違反の法案を阻止できないような野党では、「存在する意味はない」ということに、まだ気が付いていないようだ。そして、同様な観点から松本剛明元外相も岡田代表を非難し、27日に離党を表明した。

 本塾も、共産党の党名変更、自衛隊や日米安保への反対解消まで踏み込まなければ無理だ、と書いたが、志位委員長はそれらを「凍結」するとまでしか言わない。解凍温めならレンジで子供でもできる。そんな不安定な政権なら塾頭も反対だ。

 問題は、安倍首相の改憲志向である。これに関連して、公明党の山口代表は28日、BS11番組の収録で、集団的自衛権の限定的行使を可能とする安全保障関連法が成立したことで「すぐに憲法改正をする必要は遠のいた」との考えを示した。

 これは、船田元(はじめ)憲法改正推進本部長から推薦された国会参考人が、集団的自衛権違憲発言をしたことの責任を問われて事実上更迭され、その後任に森英介元法相を起用することを23日の自民党総務会で了承したことに示される。

 森氏は当選9回のベテランだが、工学博士で、これまで憲法問題に積極的に関わってきたわけではなく、党内では「安倍晋三首相が来年夏の参院選までは改憲でアクセルを吹かせるつもりはないというメッセージ」(閣僚経験者)という見方が出ている(毎日新聞10/23)ことに関連しているようだ。

 ここから、安倍改憲に公明党がネックになっていることがはっきりわかる。すると、公明党に変るべき勢力として、野党第3位の維新の会や次世代の党などを改憲勢力に取り込みたいということになる。しかし、この間にも維新の党は分裂騒ぎで脱党者も相次ぎ、大阪市・府の合同選を待たずに支離滅裂の状態だ。

 こうなると、安倍首相にとって改憲棚上げが安倍談話の処理と同様、安定長命安定を担保することになり、野党にとって政権は遠のくばかりだ。逆に野党の混迷は果てしなく続くことになる。政権奪回の鍵は、民主・共産・公明の3党である。

 これまで政権交代があっても、自民主体の政治無風状態は、戦後一貫して続いている、古来政治は水ものである、崖から飛び降りるような情熱と決断が、今、政治家に求められている。日本の活性化は、安倍首相のスローガンではなく、政治家の決意以外にない。

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2015年10月29日 (木)

生態系

 Dscf2570近くの公園の池に渡り鳥のカモが出そろった。先週、一部を見かけたが、多分これで終わりだろう。写真に写っているのは、ほとんどがキンクロハジロ。ほかにオナガ、ヒドリガモも一部に見える。

 かつては、ハシビロガモが最多だったが、最近は激減。全体でも総数は最盛期の3分の2程度に減った。多分、「生態系をこわさないため、生物にエサを与えないでください」という、市の立札が立ってからだ。

 子供が、カモや鯉に目を輝かしながらエサをやっている姿がなくなった。公園まえの菓子屋では、バンくずを奉仕価格で売っていたのもやめた。やはり、なにかさびしい。「生態系」とは一体なんだろう。

 役所の禁止札に書いてあるともっともらしく聞こえるが、人間の存在も行動も生態系にほかならない。人の子供が嬉々としてエサをやるのは、立派な「生態系」だ。

 人間に害を与える生態系を拒否したり経済活動をするのも、生態系である。経済活動が原因で日本タンポポが西洋タンポポに駆逐されてしまったことをもって「生態系破壊」とするのは、なにか、勝手なような気もする。

 生態系を保護する、しないの基準はどうやって誰が決めるのだろうか。

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2015年10月28日 (水)

東アジア緊張ゲーム

 南沙諸島をめぐって米海軍のイージス艦が12カイリ以内に接近、中国側が警告を発したという報道があり、テレビなどでも外務省(外交官)出身のコメンテーターが、明日にでも経済封鎖されかねないような発言をして危機感をあおっている。

 これは、明らかに中国、アメリカそして日本政府のプロパガンダの一翼を担った行動で、マスコミの権威からすれば視聴者受けのするワイドショウのキャスターとのやり取りではなく、国際問題分析の権威者から客観的な解説をじっくり聞くことが必要なのではないか。

 塾頭は、北朝鮮がICBMや核開発に熱心でこれを盛んにひけらかす行為や、世襲制を堅持しなければならない理由、そして、韓国では大統領が異様なほど従軍慰安婦問題にこだわる態度は、両国とも「抗日戦に勝利して建国した」という立場を捨てられないからだ、と以前書いた。民族の悲願である朝鮮半島統一の主導権は、決して譲れないのである、

 同様に、南シナ海も中国・台湾の統一が絡んでいる。南シナ海のこれらの諸島は、太平洋戦争を前にした1939年までに日本が権利を主張しすべてを占領し、当時日本国であった台湾の高雄州に所属させた。この年に日米通商航海条約が不成立に終わり、戦略物資の石油・ゴム・ボーキサイト(アルミの原料)などを南方から確保するために、どうしても必要な海路にあたるのだ。

 これらの島々の存在は、古くから知っていたなどという中国側の理由は、尖閣同様意味がない。日本には、それらの島で日本人がリン鉱石の採取をしていたという記録があるが、それもない。法的に確実なのは、日本が占領して台湾に入れた島は、日本敗戦の結果返還された台湾の一部だから当然中国のもの、という理屈なら成り立つ。

 しかし、それを言うのはまずいだろう。日本の侵略を正当化し認めることになるからだ。かといって、台湾を中国の一部とする建前から、その権利は一切放棄します、とも言えない。台湾・本土双方から国の権威をないがしろにするもの、と見られるからだ。

 台湾総統選挙がこれから行われる。中国の強硬姿勢は、軍事力強化による防衛能力向上、資源獲得先行投資、アメリカとの太平洋覇権争い、そのいずれでもないだろう。アメリカと衝突しても、得することは何一つないのだ。

 そうすると、広い意味での「国内問題」と解釈するのが妥当な線なのではないか、というのが塾頭の見方で、集団的自衛権法制化には全く縁がないようである。

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2015年10月26日 (月)

在日米軍、一人1212万円

  思いやり予算今年度1899億円に米軍基地借地料など1826億円を加えると合計3725億円になる。米国防総省の2004年の統計では、02年当時で各国の駐留米軍負担割合が次のようになっている。(カッコ内は米軍1人当たり支援額、10/26・毎日社説より)

 ドイツ  32.6%(約2万ドル)
 韓 国 40%(約2万ドル)
 日 本 74.5%(約10万ドル)

 日本の負担には光熱水料から、基地従業員の給料まで含まれており、兵1人当たりでは、日本におけるサラリーマンの平均年収の2倍以上、1212万円をかけていることになる。当塾では、これまでも「アメリカ本土より日本に基地を置いた方が安上がり」とか、「米軍は雇兵か」などと書いたことがあるが、これほどとは思わなかった。

 アフガンなど、その周辺国にアメリカが基地を置く場合、逆に使用料を払っている。日本がここまでしても本気度が今一つわからないので、「集団的自衛権」の閣議決定と安保法制化をしておけば本気度が少しますかも……、という程度のことか。

 それで、何度の選挙を経て辺野古移転に反対した沖縄県民の意志を踏みにじったり、若者に武器を持たしてあえて海外に派遣、他国軍に協力しなければならないなど、どうしてそれまでしてオベッカを使わなければならなのか。10年前の統計だが、塾頭にはどうしてもわからない。

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2015年10月24日 (土)

活字離れ、嘘のよう

 神田神保町「古本まつり」

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 今回買った本ではないが、224頁の次は241頁という稀覯本もあります。画面クリックするとわかります。

Dscf2568

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2015年10月23日 (金)

略号全盛時代

 今朝配達された新聞の1面に、これだけの略号がある。
1.TPP     環太平洋パトナーシップ
2.ISDS    企業や投資家と国家間の
         紛争解決手続き
3.PKO     国連平和維持活動
4.MINUSMA マリ多次元統合安定化派遣団
5.AQIM    イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ

 さらに2面へ行くと、
1.AIIB     アジアインフラ投資銀行
2.ADB     アジア開発銀行
3.ECB     欧州中央銀行

 全部拾ったらどれだけあるのだろう。塾頭がまあまあわかるのは、TPPPKO程度。新聞記者なら全部正解するのだろうか。「私ゃ、PTANHKしか知らないよ」という人だって少なくないと思うのだが。知らないと置いて行かれそうで……(泣)。

 そういえばPTAは、昔「父兄会」と言った。また「父兄参観日」というのもあったが「母姉会」とか「母姉参観日」というのはなかった。だが実際に母親が対応したのは、今と同じだ。

 これをPTAに変更させたのは、多分「美しい日本」を破壊した「憎っくきGHQ」に違いない。男女同権でないのは「封建的だ」とかといって。

 だけど、安倍首相は、もとの父兄会に戻すなどとは言わないよね。「一億総なんとやら」で、女性活躍の場を増やす大臣まで作る人だから……。

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2015年10月22日 (木)

プーチンの野望

 現在、世界で最も注目を浴びている戦場の国・シリアのアサド大統領がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。IS、ヒズボラ、イラン、アルカイダ系、反政府自由軍、クルド族が絡む果てしない内戦と各国の介入、そして世界を揺るがす難民の波をどう解決するのか。
 
 ロシアはアサド支援空爆に参入した。まさに第二のイラクとそっくりさんのシリアだ。プーチンはブッシュの過ちを繰り返すことにならないのか。ロシアはアサド政権安定化に自信はあるのだろうか。一般紙にはあまり出てこないが、ロシア広報紙は、シリアを安定させたのちアサドは退陣、新政権を発足させるとしている。

 それが傀儡政権であろうと選挙で選ばれたものであろうと、これまでに長続きした例はほとんどない。アフガンしかりイラクしかり、政権が不安定で弱体なため、アメリカはいまだに手を引けない有様だ。そして供与した兵器や訓練した兵士は敵側の手に渡ってしまう。

 ロシアは平定後の治安維持などを、同じイスラム教国であるイランやトルコ託すことを考えるだろう。イランとよりを戻したアメリカや難民流入に悩むヨーロッパも、これには反対する理由がない。それですんなりおさまれば、プーチンが点数を稼ぎ、ウクライナに再び火がつかない限り、大国の威厳を取り戻す大成功となる。

 しかし、問題はISだ。彼らは一時姿を消しても間違いなく息を吹き返し勢力範囲を広げるだろう。タリバンのようにアフガンやパキスタンだけに止まらない。イラク、イエメン、エジプト、アフリカ諸国など、旧ウンマ(イスラム共同体)復活が悲願だからだ。

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2015年10月20日 (火)

見果てぬ夢、政権奪還

  このところ、内閣支持率が1%前後不支持率を上回り、安保法案強行採決前と再逆転しているという報道が続いている。たまたま民主党元議員のホームページを見ていたら、これについて、野党の結束がはかばかしくないこと、TPPその他マスコミの経済・外交問題への政府に対する加担報道や安倍流パフォーマンスの露出の多さなどをあげ、危機感を募らせている。

 この結果は、国民の「選択肢がほかにない」ことによるものと塾頭は判断している。自民党総裁選では対立候補がなく、総選挙前のように与党のA首相と野党のB首相のどっちがいいという比較もできない。

 そういった状況は、来年の参院選まで大きく変わらないだろう。そこで安倍首相は、機を逃さず「改憲」を争点に上げてくる可能性がある。選挙協力に共産党が一石を投じているが、その程度では政権奪還どころか、参院のねじれ現象を期待することすら無理だ。

 共産党は、党名変更、安保廃棄撤回、自衛隊解消棚上げまで脱皮する。社民党の非武装中立は骨董品だ。民主党もこれまでの政策の誤りを認め、集団的自衛権の拡大解釈に反対し、原発の凍結、辺野古新基地造成反対を鮮明にし、民主主義と立憲主義を死守する姿勢を見せる。

 そして、機会あれば自民党にすり寄りたがる党員や支持者は、思い切って切り捨てる。さらに、現憲法の精神を生かした、自民改憲案の対案を作る。改訂は解釈改憲のできるような余地をなくし、「陸海空軍」など、現在あまり使われない用語をあらためるだけでいい。

 場合によれば環境権を入れるなど、公明党支持者をゆさぶる内容を付け加えてもいい。そうすれば、国民が比較検討し、どっちがいいか二者択一の選択肢ができる。しかし、断っておくが以前発表された「枝野私案」、あれは駄目だ。自民ペースに乗っただけで、なんら国民に感動・共感を与える内容がないからだ。

 そこまで行かないと、今の野党支持率では政権奪取など見果てぬ夢になってしまうだろう。

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2015年10月19日 (月)

武内宿祢復活

 「武内宿祢」と聞いて、「1円札」がピンとくるのは、塾頭と同じか上の世代である。長髭でいかめしい宿祢の肖像は、今の野口英世千円札以上に有難味のあるお札だった。最初にできたのが、明治22年、そして昭和33年に効力を失い姿を消した。

 2015_その武内宿祢が、地元の春日神社で2mの長身姿で復活した。お祭りに山車に乗って市中を練った人形である。この方は明治28年、江戸時代末期?明治時代に活躍した名工、横山朝之(ともゆき)作だそうだ。

 それが、破損がはげしく、昭和23年でお蔵入りになってしまったのは、1円札がインフレと旧弊刷新で姿を消したのと似た運命だった。しかし、人形の方は、このほど国などの補助を受けて修復復旧、公開するに至った。

 というわけで、若い人にはなじみのない顔だが、ないのが当たり前。なにしろ、なぞの4世紀といわれる時代に政府高官で、今の菅官房長官のような役割を代々つとめた忠臣である。300歳以上生きたという伝説上の人物だから、顔を知っている人などいるわけがない。

 記紀では、神功皇后前後数代の天皇に仕えたとある。その時代は、朝鮮との人物往来や文物渡来が盛んに行われ、朝鮮長征や百済から宝物の七支刀を朝貢された記録もある。武内宿祢と違って七支刀の方は、奈良県・石上神宮に彫り込まれた文字とともに物的証拠が現存する。

 菅官房長官は、しっかりとそのあたりをふまえ、現代史だけではなく古代史もよく勉強して、「七支刀は掠奪物だから返せ」などと言われないようにしておいていただきたい。

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2015年10月18日 (日)

戦前右翼考

 右傾化とか「ネットウヨ」などの言葉が飛び交う現世である。5.51事件や2.26事件など、軍部によるテロやクーデターに陰に陽に関与した戦前右翼のことは、当塾として当然研究対象である。しかし、現在の右翼とは相当違うということに、もっと目を向けてもいいのではないか。

 Yjimage12・26事件で刑死した北一輝は、彼の境遇や眼疾といった不遇、学歴の不足などにもかかわらず、彼独特の発想や世間離れした特異な行動と著述が目を引いた。また当局の監視のもとに置かれ、言論が封殺されるようなこともあった。

 しかし、そのそのカリスマ性と過激さが軍内部の不満分子の共感を呼び、連携を探るようになる。そこに超国家主義という共通点を見出し、引き付けられた若手軍人の現状打破への原動力となる。

 彼が中国を愛し、大アジア主義に立って『支那革命外史』などの大著があることも知られている。その後、法華経に傾倒し『日本改造法案大綱』を執筆するが、それは現在の右翼が想像するようなものでは全くなく、今なら「サヨ」といわれるような内容であった。

 彼の歴史認識を、日露戦争直後に北が出版した『国体論』の中から『人物・日本の歴史14』読売新聞、が解説した部分を引用しておこう。なお、同著はその後直ちに西園寺内閣により発禁処分を受けている。

(前略)維新後の明治国家の本質をいわゆる「公民国家」としてとらえている。彼のいう「公民国家」というのは、天皇が家長君主として統治した「民主国家」時代(古代)から、複数の家長君主=貴族の統治が行われた「貴族国家」時代(中世)をへて、君主も国民も、ともに全体としての国家の生存のために行動する「機関」に進化した現代国家を意味している。したがって、従来の『国体論』が「天皇の臣民」を強調し、そのために日本歴史の解釈をことごとく「万世一系」「忠孝一致」「君臣一家」の証明のために歪曲したのに対し、北は逐一歴史的事実をあげて反証につとめている。この点においては、北は優に明治期における在野史家のひとりと称されうる歴史知識を示している(以下略)

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2015年10月16日 (金)

誰か教えて!

 「決議無効訴訟、できないのか」――これは当然、先月17日の国会・安保法制委員会のテレビ中継を見て、当塾が書いた記事である。それに呼応するような動きが、1月もたってやっと現れた。

 安全保障関連法案を採決した9月17日の参院平和安全法制特別委員会の議事録をめぐり、若者団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基さん(23)や弁護士らが15日、参院議員会館で記者会見し、議事録は「改ざん」されたものだとして、訴訟も含め対応を検討する考えを示した。委員会は与野党の議員がつかみ合ったり叫んだりして混乱。奥田さんらは「議事の内容が把握できないような状況で、議事録に『可決すべきものと決定した』と記載されたのはおかしい」などと指摘した。

 今日の毎日・東京の朝刊、社会面片隅のベタ記事である。ほかには朝日が出しているらしいが、他にはほとんど無視されているようだ。なぜだろう。もしかして、その前に野党側が理事会室前で、女性議員を集めて、委員長の移動を妨害したから、その適否も含め公平・公正に扱わなければならない(自主規制?)から、ということだろうか。

 しかし、神聖な議場で物理的暴力(自民党があらかじめ準備しておいた人垣戦術)をふるい議事をを妨害して、国民の発言を封じたのは与党の方ではないか。テレビ画面でそれは一目瞭然である。その結果、法的に処理されなくてはならない議事録まででっち上げられた。これに対して、野党議員やマスコミなど、何故か腰が引けている。塾頭には到底理解ができない。

 前記会見をした若者団体「SEALDs(シールズ)」の奥田さんに対しては、殺人予告やネット上の嫌がらせが殺到しているという。どこが法が支配する法治国家なのか。どこが主権在民なのか。どこが議会制民主主義なのか、どこが言論の自由なのか……。

 誰か教えて!。

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2015年10月15日 (木)

政治の劣化

  Dscf2498_3日本の参院選は来年7月、アメリカの大統領選は.11月になる。いずれも日本の将来を占ううえでターニングポイントとなるかも知れない。それは、もしかするとアメリカの方が大きくなる可能性がある。(写真は毎日新聞10/15より)

 今話題を集めているのが共和党候補のトランプ氏だ。反移民の過激発言で党内トップに位置しているが、テレビ番組のホスト役をしていた経歴もあり、おおさか維新の橋下さんのような人かもしれない。

 アメリカは、かつて2割に満たなかった、黒人・ヒスパニック系・アジア系などの非白人が今や4割に迫っており、30年後には過半数を超えて、欧州系白人は少数派になるだろうという、危機感の表れだといわれている。

 今のところ、民主党・クリントン氏との支持率の差がまだ大きいため、トランプ大統領出現は疑問視されている一方、オバマ大統領に「先進国で数カ月おきに、このような銃乱射が起きるのは米国だけだ」と言わせたように、政治や議会が機能しないような事態を含め、「政治の劣化」が目につき始めた。

 日本の安倍独走、野党の沈滞、議会の荒廃に比べれば、民主主義が機能しているだけまだましかも知れない。しかし、アメリカが多くの兵士を犠牲にして勝ち取ったイラク、アフガンそして期待されたエジプトやシリアなど、アラブの春の民主化が遠のいているのは、悲劇としか言いようがない。

 その中での日本の政治の劣化は、世界的に見ても民主主義の立場からも、由々しい問題だということを自覚を持たなければならなが、その兆候は全くない。

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2015年10月13日 (火)

北朝鮮有事

 塾頭がこれまで書いてきたように、小学生時代在日朝鮮i人の子供とともに遊んだり学んだりした経験から、朝鮮のことは、良きにつけ悪しきにつけ書きにくい。しかし60代から下の人は、かつて彼らが日本人だったということを含め、朝鮮について知らない人が多いのではないか。

 北朝鮮の脅威と言われるものをあげて見よう。まず大陸間弾道ミサイルだ。パレードにもばかでかい数えきれないほどのタイヤがついたトラックに積んで登場する。そしてアメリカが射程距離に入る、と誇示する。だが、何発かを持ったにしろアメリカの千発にはかなわない。

 しかもあんな大きなものは、発射準備の段階で衛星が捉え、発射直後に撃墜することが可能だ。だから誇示するのはアメリカ向けでなく、北朝鮮国民に向けと、もし韓国と統合するようなことがあれば、核兵器同用軍事大国として主導権を握りたいということだろう。経済力に差がついてしまったのでこれしかないのだ。

 朝鮮人は気位が高いから、どちらかが下になるような統合はしない。南北に分けられたのは日本が戦争に負けて、米ソそれぞれが二つに分けて占領したのが原因だと思っている。その責任を日本は認めようとしない。

 さらに建前上、北も南も建国の由来は抗日戦にあるとしている。前にも書いたが北は金日成の白頭山抗日パルチザン伝説、南は李承晩の上海亡命政権だ。だから北にとっては、それが依然として続いていることになる。いずれにしても朝鮮独立の本家争いをしているようだ。よそごとながら、朝鮮には檀君神話が似合うのに――、と思う。

 話が横道にそれてしまったが、200発以上の中距離弾道ミサイルが日本を狙っているという。これは山を掘り抜いたトンネルからでも発射できるし、最近は潜水艦からの発射実験に成功したとしているので、たしかに危険だ。

 原発に命中すれば大変だが、精度は悪く、パトリオットが捉えるものもあるので、たいした被害はでないだろう。それより、尖閣有事で書いたように、北は直ちに在日米軍、在韓米軍による反撃を覚悟しなければならなくなる。

 こういうと「やはりアメリカの存在をあてにしている」とか、「中国が義勇軍を派遣して北を支援する」という人がいるかも知れない。塾頭は安保条約の本文そのものに反対ではなく、それなりの自衛力を持てば、条約の改定や解消も日程に上げていいと思っている。

 また、中国人と朝鮮人の関係も、一般市民の話の端はしから察するとそう高いものではない。朝鮮戦争当時の「血の盟約」など、まぼろしの存在だろう。金正日の遺訓に「最も警戒すべきは相手は中国」というのがあると聞いたことある。

 そこでアメリカを最後の頼りとしたいのは、北朝鮮とアメリカの和解と、北・韓国・日本の非核地帯宣言への斡旋である。これは、アメリカ国内での反対はもとより、どこも反対する国はないだろう(もしかして安倍政権は反対?)。イスラエルに気を使わなくても済むイランよりは、よほど簡単なことだと思うのだが。非核地帯構想は、初めてのものではなく、かつては北の主張でもあった。

 これを機に、日本・北・韓国のわだかまりを解き、南北は時間をかけて統一の道を道のりをさぐればいいのだ。世界が望む北東アジアの安定はここから始まる。

 日本は、拉致問題解決があるが、このところ完全に頓挫しているように見える。「北朝鮮にはアメとムチ」という原則で果していいのか。アメとムチをかざして「さあ、いい返事を」と迫るのは、相手に不信感を植え付け、尊厳を傷つけるだけで進展を妨げるだけだ。被害者家族会から融和派が除名されたり、「救う会」では「被害者死亡の証拠を」というような調査回答は受け取るな、などという右翼的発言に異を唱えた人たちの分裂騒ぎもあったとも聞く。

 拉致問題が進展しないことについても、安倍首相の責任に帰するところが少なくない。これをいかに払拭していくかも大きな問題となるだろう。また、竹島も尖閣同様、占有は認めて漁業権を確保するなど、解決の道はいろいろある。
 

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お気に入り

■隣の客はよく柿食う客だ

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■朝日

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2015年10月11日 (日)

尖閣有事

 尖閣有事を考えなくてすむことならそれに越したことはない。中国が南シナ海で無人島嶼に滑走路を作ったり、リグを設置して資源開発行為を続けているのに対して、尖閣ではそこまでやろうという気配は今のところないようだ。

 日本が現在実効支配していることと、日清戦争以前から日本人による開発や占有が認められ、実効支配に至った経緯や、中国文献を含めた物的証拠も多いことから、国際世論を敵に回す無茶を避けようとしているようにも見える。

 さらに、アメリカの抑止力が働いていると解釈する向きもあろうが、衝突が絶対ないとは言いきれない。党軍部内の独走、漁船衝突事故のような民間による工作、その他偶発事故の危険性はいつでもあり得る。

 我が国の領土である限り、国民はこれを死守する決意が必要だ。もし上陸・占領などの行為をしてくるようなら、自衛隊は、阻止のため相応の反撃を加えなければならない。米軍は支援はするだろうが米軍人の血を流すようなことはしない。日本国土を守るのは一義的に自衛隊の任務だからだ。

 これがエスカレートすると、沖縄からのミサイル発射に至るかもしれない。中国側がこれに対応して米軍基地やその家族も住む沖縄の攻撃に出れば、ここで初めて「集団的自衛権(今回議論された海外の行使とはちがう)」が発動され、日米合同して防衛に当たることになる。

 日本は、攻撃されると同時に、国連安保理にこれを提訴する。安保理では常任理事国の中国がいるから、拒否権で決議を葬ることができる。しかし、ロシアはどうでるかわからず、中国が孤立する可能性もある。これには、国連憲章の背景のもとで生まれた、日本国憲法9条の存在が大きくものをいう。

 はっきりしていることは、台湾や国内問題で手いっぱいな中国や、世界の警察官で戦費をはじめその後遺症に悩むアメリカが、さらなる人的・経済的犠牲を覚悟でそのような危険に踏み込むメリットはないのだ。日本が共産主義の防波堤などと信じている向きは、アメリカより日本の方に多いのではないか。

 外交官出身の田中均氏は、「尖閣問題には解がない」と言っているが、現役時代の経験からきているのだろう。尖閣の「籍」は日本に置くにしても、軍事目的に使わず、鉱業権・漁業権その他経済上のメリットを共有し合うという、現実的な解決方法がないなどと、誰が決めつけられるだろうか。領土問題でそのような解決方法が現にあるのだ。

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2015年10月10日 (土)

平和賞、時期悪すぎ

 ロシアによるシリア空爆などを書こうと思っていたところ、ノーベル平和賞に「アラブの春」のきっかけを作ったチュニジアの団体に授与するというニュースが飛び込んだ。

 なんともタイミングが悪すぎる。シリアのアサド政権支持機運復活、イエメンやリビアの内戦状態継続、エジプトの軍事クーデター発生とその後のシナイ半島の不安定など、それ以前からあるイラクやアフガンの問題同様、イスラムの関連で何ひとつ効果が上がっていないのだ。

 チュニジア自体も、過激派によるホテルへのテロが大きなニュースになったばかりだ。憲法9条を持つ日本国民が候補にあがっているという話もあったが、塾頭は、安保法案を認めてしまったばかりなのに受賞というは、これも「タイミング悪すぎ」と思っていた。

 日本が、立憲主義に立脚する国であることを、国民が自らの力で証明できなければその資格がない。ノーベル賞委員会に後押ししてもらうようでは困るのだ。改憲勢力はGHQ押し付けだけでなく、中国同様、ノーベル平和賞を貶める作戦にでるかも知れない。

 どうせ貰えるなら、晴れ晴れとした気持ちになれる時期を待ちたいものだ。

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2015年10月 9日 (金)

畑から見るツリー

2015_100800010 普段は、高層ビルの彼方に、隅田川の岸からといった東京スカイツリーの眺めがおなじみですが、畑から、というのはどうでしょう。(写真・中央、その隣唯一のビルは和洋女子大)

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2015年10月 8日 (木)

安倍政権のウイークポイント

 敗戦後、「どうしてこんな結果になってしまったのだろう」という議論が真剣に行われた。その中で今でもはっきり脳裏に残っているのは、軍国主義、封建主義、全体主義、国粋主義、国家主義という言葉だ。それらをひっくるめて相手を攻撃する時に、「保守反動」という言い方もあった。

 そういった攻撃にさらされた少数派である戦争指導者の中から芽生えたのが、現在の戦前復古主義的右翼論陣を形成しているのだと思う。しかし、そのすべてを「歴史修正主義」とか「歴史認識の浅さ」で切り捨ててしまうのは間違っている。

 戦争になったのは、前述のすべてが原因であるとはいいきれない。その時期、その人による複合的な要素が絡み合い、引き返せないところへ追い込まれたというのが実相であろう。その点、ナチス・ドイツとはやや異なる。

 安倍改造内閣改造の人事が決まり先ほど首相が会見に臨んだ。何も書くことがない。新入閣メンバーはほとんど知らない人ばかり。首相にとって無難でやりやすいメンバーを揃えただけのようだ。これまでと変化がないとすれば、軍創設改憲や戦争加担で、戦前のような道をたどらないよう、何を警戒すべきか研究しておかなければならない。

 最初に掲げた観点からすると、安倍はその著書に見られるように根底に据えているのは「美しい日本」、すなわち自虐史観を対極におく「国粋主義」であろう。さらに、側近のマスコミ弾圧発言などが首相の本音を示しているのではないかと、「全体主義」的な傾向が指摘されていた。

 「一億総活躍相」、つまり戦前、昭和14年の「国民精神総動員委員会(所管・荒木貞夫文相)」と同じ発想を採用したことにより、全体主義的体質のあることがはっきりした。

 参院選に至るまで野党がどこまでこれに迫れるか、はなはだ心許ない。国民が70年前の苦渋を味わうことのないよう、上記のような発想や誘導に警戒し、抵抗し続けることだ。

 そうすれば、戦争が向こうからやって来ることはありえない。国民の協力がない限り、無謀な戦争は避けられるのだ。

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2015年10月 6日 (火)

おおさか維新の会

 党分裂で、離婚の財産分割か慰謝料のような話しでもめている。少年時代を関西で過ごした塾頭には、そういっちゃあ悪いが「あほ、ちゃいまっか」、といった感じに写る。今は消滅した渡辺喜美率いるところの「みんなの党」と、起承転結が非常に似ている。

 父親似の風貌やもの言い、そして庶民性が、自・民の枠を超えた第三極となるとの期待で、保守政治家になりたいけど公認の枠からはずれるという新人候補を集め、ブームに乗った。しかし時がたつにつれて、国政を動かすような政策提示に失敗し、党内不一致や離合集散もあって分裂、そして解党に至った。そんな経緯を、渡辺は講演で語っている(週刊新潮)。

 以前、石原パパ(=慎太郎)がしみじみと言ってましたよ。「喜美くんなぁ、橋下くんは俺たちと違うんだよな。俺たちは人生かけて政治をやろうとしているじゃないか。だけど、橋下くんはいつ辞めちゃうかわかんねえんだよ」と。

 維新の党は分裂しかけていますが、私はいずれこうなると思っていたんです。橋下さんは、政治生命をかけて大阪都構想を実現しようとした。でも、住民投票であえなく負けた。それを復活させるには、首相官邸を動かすのが手っ取り早いと考えているのでしょう。

 でも、松野(頼久)さんや江田(憲司)さんは、次の選挙が大事なのかわかりませんが、「安倍政権なんてとんでもない」「民主党と連携するんだ」と言う。

 実はこれ、「みんなの党」が通ってきた道と同じなんです。「みんな」がキャスティングボートを握って以降、私はそれをもって安倍政権をテコの原理で動かし、政策を実現させようとしてきました。もともと金融緩和、積極財政だって、私が昔から言ってきたこと。怒られるかもしれませんが、「アベノミクス」は、実は「ナベノミクス」なんです。しかし、松野さんや江田さんは自民は反対、民主はOK。で、「みんな」は分裂した。

 橋下さんたちは、私とまったく同じ「純化路線」を取ろうとしているんでしょう。それはそれで結構ですが、問題は本気度。石原パパの言うように、彼がどこまで政治に本気であるかは、今ひとつわからないんです。

 橋下大阪市長は、任期いっぱいで政治家をやめる、と言いながら市政と関係のない発言を繰り返し、市・府同時選挙でおおさか維新の会が勝利すれば、住民投票で敗れた大阪都構想が復活承認されたものとして、国政への関与を強める、という展望を持っているようだ。

 塾頭は、最初から「維新」という名称に疑問を持っていた。明治維新にあやかりたいということだろうが「維新」は、薩長政権の官製用語である。戦前は、右翼が「昭和維新」を標榜していた。大政奉還、戊辰戦争、開国、東京遷都、この一連の流れを当時は「ご一新」と表現している。

 詩経からとったという「維新」とは微妙に違う。「ご一新」には庶民のエネルギーを感ずるが、昨今の橋下「維新」には全くそれが感じられない。みんなの党と同じ轍を踏むようでは、おおさか府・市民どころか全国民を愚弄して終わり、ということになるのではないか。

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2015年10月 3日 (土)

「数カ月」と「一億」

 「先進国で数カ月おきに、このような銃乱射が起きるのは米国だけだ。私たちは(銃乱射事件)にまひしている」

 こう言ったのは1日、米西部オレゴン州の大学で発生した乱射事件を受けて緊急記者会見したオバマ大統領の怒りをこめた表現だ。

 塾頭は、渡米した折に目にした「○○日限定、特価○○ドル」という、ライフル銃の写真入りチラシを見て驚いたことを、かつて記事にしたことがある。銃規制は米国憲法のからむ問題だが、解釈改憲で議会を通すなどの荒業はとれない。

 このオバマの怒りは、国内はもとより日本をはじめ世界中に発信されただろう。オバマはこうして与論喚起するしか手がないのだ。

 「一億」の方は、安保関連法案成立後の先月24日、安倍首相首相が会見で次の目標として「1億総活躍社会」というスローガンを示したそうだ。全く知らなかったし意味もわからない。

 それもそうだろう。翌日読売新聞が1段見出しに使っただけだったようだ。しかもイメージが悪い。塾頭なら戦中の「一億一心火の玉だ」、終戦内閣・東久迩首相の「一億総ざんげ」を思い出す。それに戦後は「一億総白痴化」など。「一億」にロクなものがない。

 要するに、オバマとの違いは人の心情をとらえる自分の言葉を持っているかどうかとセンスの問題だ。毎日新聞の山田道子紙面審査委員は、3日の同紙面でこう書いている。

「その言葉は使わないほうがいいのでは」と止める人は首相周辺にいなかったのでしょうか。だとしたら、それも怖い気がします。

【追記】「1億総活躍相」というポストができるとやら。余計なことだが、それが内閣の命取りになることを心配してあげた方がよさそうですね。山田さん。

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2015年10月 1日 (木)

買ってしまった『正論』

 先月29日の記事「アメリカ石油生産トップに返り咲き」で、日本の「敗戦の原因は、原爆やソ連参戦ではなく、精神論だけで科学的判断が下せなかったを軍部の責任である。開戦の段階で充分予測できたことなのに、見通しもなく突っ込んでしまったからだ」と、石油輸入ゼロのもとでの無謀な戦争だつたことを書いた。

 そしたら、今朝の新聞の広告欄で、雑誌『正論』――大東亜戦争は無謀ではなかった、とあるのを見つけた。「おもしろそう!」。ほかにも保守系雑誌御常連”西”トリオ(中西輝政・西尾幹二・西部邁)そろい踏みで、安倍首相談話の内幕をつく記事もある。

 塾頭の本棚には中西、西部の2~30年前の単行本があるが、たしか「歴史修正主義」などという言葉がはやり出したころ買ったものだ。その後はとんと御無沙汰しており、ご高説は拝聴していなかった。それもあって、つい駅の本屋まで行って780円を払う破目になった。

 早速、「無謀ではなかった」論の石油関連部分を紹介する。まず、題字脇にはゴシックでこう書いてある。

 開戦決定は、合理的な計算と判断に基づいていた――。
 戦後に消し去られた「真実」を解き明かす

 その内容は、開戦直前の昭和16年11月15日に大本営政府連絡会議で決定された「対米英蘭蒋戦争終結に関する腹案」に依っており、著者である林千勝氏は「科学的で合理的な戦争戦略」と形容している。

 研究リーダーは秋丸次朗陸軍中佐で、秋丸機関とも呼ばれ、石油に関する部分は、同機関の報告書「独逸経済交戦力調査」から抜粋している。以下それを引用する。

「(前略)持たざる国が最後の勝利を得る為には(中略)不足する生産力素材の確保を目指す」こと、「軍事行動によって占領した敵国領土の生産力をも利用し得る」こと、そして「長期化されれば、同盟国、友邦、更には占領地を打って一丸とする広域経済圏の確立も次第に可能となり、この広域経済圏の生産力が対長期戦の経済抗戦力として利用され得る」ことを明示します。日本にとり広域経済圏は大東亜共栄圏です。

 実際、蘭領東印度の獲得で石油は当初計画をはるかに上回る量を数年に亘り確保できました。だから連合艦隊は大海原を大いに動けたのです。以上は秋丸機関の報告書「独逸経済交戦力調査」(昭和十六年七月)に明記されています。

 戦争が起きた後のことを、起きる前の報告書に明記されている、というのはナンセンスで編集上の手違いかも知れない。事実は、翌年度が10,524千bℓが南方から送られ予想を上回ったが、19年度は半減、20年度はゼロになった。

 連合艦隊が大いに動けなくなり、輸送路の制海権・制空権が奪われ、船の多くが撃沈されたためだ。つまり、上記の報告自体、タラ、レバの多い希望的観測で、科学的でも合理的でもないお粗末な図上作戦であったことが、史実で証明されている。「消し去られた真実」とは、有力学者も参加していたということらしいが、本質的な問題ではない。

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