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2015年7月 7日 (火)

ijime(いじめ)

 ちょっと前のクリッピングから。 (毎日新聞6/24 東京朝刊・布施広の地球議)

 日本はijime(いじめ)に遭っているという。「いじめのリーダーは米国と中国で韓国も仲間。彼らはいつまでも日本を戦争敗者の地位に留め置こうとする。気になるのは、いじめられることを日本が楽しんでいないかという点です」

 シリア出身のジャーナリスト、カルドン・アズハリさん(59)である。日本滞在20年余。「パンオリエントニュース」社を起こし、日本の論調を海外に報じている。

 「たとえば日本人は首相が靖国神社を参拝すると『中国や韓国が怒る』と言いますね。日本の首相が国内でどこかへ行くのに中韓のビザが必要なんですか? 関係ないでしょう」

 首相参拝推進派が小躍りしそうな言葉だが、もちろん異論はあろうし、外国の意向に関係なく参拝に反対する人もいる。ただ、右だ左だというよりアズハリさんは日本人の意識構造に興味があるらしい。

 文化人類学者の梅棹忠夫を思い出した。この高名な学者は「日本人にも自尊心はあるけれど、その反面、ある種の文化的劣等感がつねにつきまとっている」(「東と西の間」)と説いた。文化水準は高くても日本には本当の文化はないという劣等感が国民の心理に「一種のかげ」のように存在する。ジャーナリズムも「進歩的」であるほど「自己批判的」で、時に「自虐的」だという。60年も前(1956年)の論考だ。(以下略)

 塾頭がかねがね感じていることだが、こういった”いじめ”は70年前からあったものではない。きわめて顕著になったのは、ここ10年、つまりこのブログを始めた頃からの傾向である。日本国内で「戦争責任論」は、かねがねくすぶっていた問題だが、国際問題として火がついたのは、小泉首相の靖国公式参拝や中国の反日暴動である。

 ”いじめ”が拡大のきざしを見せたそもそもの原因は、日本国内の意見の対立、つまり国内問題に端を発しているのだ。単純に右と左に分けてしまうのは適正を欠くが、従軍慰安婦にしろ南京虐殺にしろ尖閣問題にしろ、国内、それも極左の論調が無批判に”真実”としてとりこまれ、恰好な”イジメられっ子”に仕立てられたのだと思う。

 また、安倍首相を中心とする政府・自民党の一部が、まっとうな”歴史認識”を欠くことによって火に油を注ぐようなことにもなっている。ただし、中国や韓国に正しい歴史認識があるかと言えば、これもまた疑問だらけなのである。

 このように、この”いじめ問題”は、国内問題を国際問題に転化させるようなことをしなければたちどころに解消する性格のものだと思うが、どうだろう。10年前、いかに国内の靖国議論が沸騰していたかについて、05/0/18付の記事を再録しておく。なお、同テーマは19、22日と続けている。塾頭はその中で「そろそろ靖国からほかにテーマを振りたい」などと嘆いている。

 ”いじめ問題”についても全く同然である。

 2005年6月18日

靖国論壇

 『文藝春秋』7月号に、靖国神社等に関する識者81名の意見が掲載された。以下は、賛否の論点整理が可能かどうかという関心で一読し、そこから得られた感想である。したがって内容分析には至っていない。

*各界有識者にアンケート、となっており、大学教授と評論家が圧倒的に多く、その両者で過半数をこえる。また、アンケートを求めた人の実数や回答者選択の基準は不明。

*前文で首相の靖国参拝に世論は賛否拮抗している、としているが、ここでは賛成44、反対29、どちらともいえない8となっている。賛成の中には「別の慰霊施設が必要で、それが出来るまでは靖国参拝」というのが8件ほど含まれる。

*賛成意見のうち最も多いのが、反日は中国人特有の体質に基づくという感情論で、共産主義体制批判も含めると圧倒的多数になる。続いて弱腰、土下座外交、折れると要求をエスカレートしてくる、が多い。東京裁判無効論、戦犯救済の国会決議、中国の政治的不安定、内政干渉を理由とするものは、思ったより少なかった。また、一般化していない事件をあげて戦争を正当化しようとするものもあった。

*反対論は、参拝は侵略戦争の容認につながる、靖国の歴史的な戦死者顕彰システムが問題、A級戦犯合祀は不当、などがほぼ同数で、祭政分離がこれに次ぐ。また、善隣友好と大人の外交を求めるものが多い。しかし、賛成論にくらべ、全体に迫力には欠ける。これは、アンケートが、参拝の賛否とその理由に加え、「反日暴動についてどう考えるか」という第3の設問をしていることに関係がありそうだ。「暴動はよくない、だけど参拝はやめるべきだ」という半端な表現になってしまう。

*ついでながら、中国の表現を用いなかった回答者に、「中共」3、「チャイナ」1、「シナ」3、「支那」2などがあった。また、終戦まで使っていた旧制かなづかいで回答した者も1人あった。

 なお管理人は、小学生当時の若林・土井垣バッテリー以来の阪神ファンだが、なぜか読売・渡辺恒雄氏の意見と波長があってしまったので、引用させてもらう。

A級戦犯の七人は、戦死でなく、刑死である。私は、東京裁判の判決が絶対正義だとは思わぬが、太平洋戦争の何百万という内外の犠牲者を出した責任、あの凶暴な陸軍の行動基準を推進した責任(陸軍二等兵だった私は、今でも許せないと思っている)、憲兵、特高警察による暴力的思想統制の立案、責任等については、日本国民自身による歴史検証を経たうえで罪刑の普遍的妥当性を判断すべきだ。

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コメント

>日本の首相が国内でどこかへ行くのに中韓のビザが必要なんですか? 関係ないでしょう」

いかにもイスラム圏の人の強い信念を感じるコメントだと思います

投稿: 玉井人ひろた | 2015年7月 7日 (火) 22時08分

そういえばそうですね。

・遊牧民、ベトウイン=牧草のあるところへどこでも移っていく。勝手に砂漠に国境をひかれても関係ない。

・商人、らくだか船があれば利益のあるところどこへでも出かけていく。

・旅人、親の仇でもまずは歓迎。

・イスラム国、イラク?シリア?リビア?、乱暴には国境不要。

投稿: ましま | 2015年7月 8日 (水) 07時03分

イジメ問題では、いじめられる側には負の攻撃性があるとの説が有るが、
矢張り、『相手から反撃されない』との条件が重要ではないでしょうか。
世界遺産の登録で、韓国側の言い分とは第二次世界大戦当時の戦時徴用の話であり、
主張している時間軸が何十年か日韓で外れている。
従軍慰安婦にしろ、今回の世界遺産にしろ、韓国が言いたい放題なのは、幾らいじめても日本から反撃されないことを知っているからですよ。
日本の和歌山の田舎町の捕鯨がアメリカの映画『コープ』に描かれアカデミー賞の授賞し、シーウルフの攻撃対象になっているのですが、
韓国のウルサンが捕鯨の町として大繁盛してるがシーウルフは何もしない。
韓国のウルサンでシーウルフが何もしない理由は簡単で、日本の妨害には放水程度だが、韓国の捕鯨を妨害すると本気で反撃されるので躊躇しているのです。

投稿: 宗純 | 2015年7月 8日 (水) 16時57分

国会で安保や辺野古移転となるとあんなに強引なのに、世界遺産でもイルカの捕獲でも戦う前から負けてますね。

同じ政権とは思えない。弁解にも反論にもなっていない。アメリカの後ろ盾がないからでしょうか。

投稿: ましま | 2015年7月 8日 (水) 18時20分

どくろの旗を振りかざして散々海賊行為を繰り返す環境保護団体を自称するシー・シェパードですが、ドイツ語の『シェパード』の意味は牧羊犬。
不当表示も極まれりで、中身は間違いなく牧羊犬では無く、獲物を漁る悪賢いオオカミ(ウルフ)集団ですよ。日本が反撃しないから好き放題に暴れているのです。
今回の世界遺産の登録ですが、矢張り安倍晋三のお友達グループの面々が大活躍して、山口県の村おこしを行った。
産業遺産とは言いがたい松下村塾とか萩の城下町を無理やり入れているが、
高くついて、奴隷島とか強制労働の英文の文字を日本が飲まされるが、
この原因とは、NHKの籾井などと同じ極小数の極右のお友達であり、
これは過疎の限界集落の各種の催し物と同じ原理で、
『集まり』の名称か色々違っているが、集まってくる顔ぶれは何時も同じメンバーなのですが、自虐と言うか売国と言うか。日本にとって、とんでもない裏切り行為です。

投稿: 宗純 | 2015年7月 9日 (木) 09時34分

やっぱりね!!……ですね。

明治の近代化に寄与した人力石油・天然ガス掘削機、これは今でも千葉県に保存会があり、東南アジアとかアフリカ奥地など、動力が得にくい場所で水井戸掘削機として活躍しており、感謝されています。

上総掘りといいます。これを本当の「文化遺産」というのでしょう。

投稿: ましま | 2015年7月 9日 (木) 11時37分

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