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2015年7月

2015年7月31日 (金)

法的安定性

 礒崎陽輔首相補佐官が、ある集会で「法的安定性は関係ない」と述べたということで参院の特別委員会に参考人喚問されることが決まった。

 塾頭は「法的安定性」という言葉を知らない。収賄事件の証人喚問と違って安倍内閣に決定的打撃になるのかどうかわからないので、まず言葉を調べなくては、と思った。

 そうしたら、弁護士ドットコムに「法はみだりに変更されないということ」とあった程度で、あまり詳しい解説は見当たらなかった。発言者は、東大法学部出で自治省の役人や大学教授まで経験している大ベテランだ。

 首相補佐官という要職を担う先生がいうからには、よほど込み入った意味のある「法律用語」かと思ったが、どうやら「業界用語」程度のものらしい。喚問時間が15分。これでは、首を取るのも難しいだろう。

 日米安保条約には、自衛権・集団的自衛権という言葉が入っている。しかしまた、両国の憲法尊重規定があり、日本の施政下の領域とか極東という地理的な制約のもとで運用されるようにもなっている。

 にもかかわらず、イラク特措法や日米ガイドラインなどで憲法違反が疑われるようなことが次々と決められ、時限立法や集団的自衛権行使に関する法制局のアクロバット的解釈で国民をゴマ化してきたのだ。

 かつて「自衛隊違憲論」というのがあったが、最高裁判決や災害復旧の活動でその存在について疑問視されることが少なくなってきた。こういった法解釈が安定性を欠いているものの、塾頭は法制局や司法の判断でかろうじて「法的安定性」を保っているのだと思っていた。

 それが「関係ない」というのは、とんでもない無責任な暴言だが、塾頭の解釈は思い過ごしで「法的安定性は業界用語」だよ、と言われれば追及のすべがない。安倍首相の致命傷とするにはまだまだ役不足ということか。

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2015年7月27日 (月)

滑空班

 21日、調布飛行場で離陸直後のセスナ機が墜落し、乗員と近隣住民8人の死傷者を出した。痛ましい事故である。「原因は?」という報道を見ているうちに、戦時中の部活「滑空班」の体験を思い出した。

 当時の中学には、部活として滑空班・柔道班・剣道班の3つしかなかったように思うがよく覚えていない。飛行機は小学生時代から関心が深かく、小遣いは『飛行少年』と『航空少年』を交互に買って読んでいた。

 それもあって、中学では迷わず滑空班を選んだ。駆け足に始まる体力づくりと、号令のもと一糸乱れぬ動作と協力という、軍事訓練の一環のようでもあった。教官は英語の先生で、グライダーは文部省型と朝日型の2機があり、われわれは機体の軽い文部省型の方を使った。
 
 搭乗訓練は17人(多分?)一組で行い、Y字形のゴムの綱をひっぱる左右7人づつの係、、滑走に入るまでグライダを水平に保つため翼端を持っている係1人、グライダーの最後尾についている固定紐を掴んでいる係1人、それに搭乗者1人からなる。

 訓練の模様はこうだ。
・向かい風となる校庭の一角角にグライダーを据え、係はそれぞれ所定の位置に立つ。
・搭乗者が左前10メートルあたりに立つ教官に敬礼、訓練種目などを告げて許可を求める。
・注意事項などを復唱、駆け足で操縦席にもどり安全ベルトを着け、方向舵(尾翼)に足をかけ操縦桿を握る。
・操縦桿は、前後に動かすと昇降舵(尾翼)、左右に動かすと補助翼(主翼の後辺部)が動く。そのため、手の甲を操縦桿につけ前後左右が同時に作動しないような握り方をする。

・号令によりゴム綱係は、Y字形の綱の左右をそれぞれ持つ。「目標、前方のモミの木」などの指示でその方向へ一斉に綱を引っ張る。その際、歩調が合わなかったりひとりでも違った方向に引っ張ると、ゴムの力で全員撥ね戻されることがある。

・「放せ」の号令で、翼端係、固定係は手を離す。後尾につけた紐は校庭に打ち込んだ杭にひと巻し、1回交差しただけで片手でも持っていられる。
・あとは、搭乗者が教官に終了の報告、講評などを受け、残ったものは機体その他をもとの位置に戻し、それぞれの持ち位置をひとりずつ交代する。

 最初は「地上滑走」だけで空は飛ばない。塾頭は地上滑走を3回ほどやって2年生になったらいきなり、「5メートル直線滑空」と言われた。地上5mの高さで飛ぶわけだ。

 普通は3年生になってからと思っていたのに早い。操縦桿は決められた位置で、前後に動かすな、と教えられる。ただ左右の傾きは瞬間的に感知して補助翼を動かす。その際、機首が左右にぶれないよう方向舵も動かすわけだが、操縦動作は地上滑走と同じ。ただ、風によっては稀に失速することもあった。

 3年生は勤労動員ですでに学校にいなかった。そしてその夏、終戦となったのである。神風特攻隊の搭乗申告まで行かなくてよかった。戦後、2機のグライダーは校長の指示で火にかけられた。

 翼日、朝礼で校長は「勢いよく燃え上がる炎を見て、残念で残念で、涙もでませんでした」と訓示した。あとで生徒の中に「涙もでないのなら、きっと喜んでいたのに違いない」と茶化した者がいた。

 その校長はやがて、公職追放を受け新任の教頭と交替した。

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2015年7月26日 (日)

「一国のみでは」の虚妄

 5月14日、新たな安全保障法制の関連11法案の閣議決定を受け、安倍晋三首相は同日夕刻、首相官邸で記者会見した。「日本と世界の平和と安全を確かなものとするための『平和安全法制』を閣議決定した。もはや一国のみで自国の安全を守ることはできない」と法案の意義を強調した。(朝日新聞)

 安倍首相は、法曹界などの圧倒的な違憲の指摘に業を煮やしたのだろう、衆院の議論が法律論に偏しているので参院は政策論でお願いしたいようなことを言っている。「一国のみでは」が賛成論者の常套語としていまだに通用しているのは、民主党の党内不一致という足元を見られているせいではないか。

 揚げ足取りになってもいい。以下のようなことを指摘し政策論争の起爆剤にすべきだ。

 戦乱の絶えなかったヨーロッパで、スイスはどの国とも同盟を結ばず、一国のみで自国の安全を守り抜いた。中立の場を提供するなど、世界中に認められ、世界に多くの貢献をしている。

 第一次世界大戦は同盟国間で戦端が開かれ、第二次大戦は日独伊三国同盟が引き金となった。ソ連のアフガン侵攻、アメリカによるベトナム戦争、いずれも集団的自衛権を口実とした。

 そんな歴史的事実を上げるだけでいい。そもそも、日本は「国連」という世界を覆う「集団的安全保障」に加盟しており「一国のみ」の状態ではないと言えばいい。

 「国連憲章が、個別の自衛権、集団的自衛権を認めており、日本国憲法に、それを認めない、という記述はない」。

 これも賛成論者が使いたがる幼稚なレトリックだ。国連憲章を通読したことがあるのだろうか。集団的安全保障を定めた条文の最後の条に、「全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」、とあるるだけで、別に自衛戦争を合法化し奨励しているものではない。

 また、当初の原案では憲章に「自衛権」の記入がなかった理由、それが挿入されたいきさつ、そして、第一次大戦や第二次大戦の反省に基づいた歴史がこれらに刻みこまれている点などを指摘し、戦争に向けた安易な引用をいましめるべきだ。

 中国、朝鮮半島、東シナ海を含む北東アジアの軍事的脅威の増大は、否応なしに日本の国家の安全保障について深刻な議論を呼び起こすことになる。しかし、現在の日本にはどの選択肢を選ぶべきかという心構えが、残念ながら存在していない。

 国連からも、世界各地の紛争地域に派遣されるPKO部隊に日本も参加してほしいという要請は今後も繰り返し出てくるだろう。その要請は今のところ、国民世論を分裂させる外圧として存在し、憲法9条の改正も含めて、国民の間で合意ができていない。

 この現実を考えると、今後の国際社会での日本の進路はますます難しい。簡単に答えを出したいと願う人たちは、軍備をもっと増強し、日本のプレゼンスを高めたいと願うだろう。

 しかし重要なことは、日本が戦後、国連に加盟した時からずっと学んできた国際協調社会で生き抜くためのノウハウをできるだけ発揮することであり、国民にわかりやすい外交目標を提示し、国民の過半数から支持される外交スタイルにかえることなのである。

 以上引用した現状分析と指針は、現在のことではない。なんと、13年前、当時国連事務総長室法務担当官であった川村亨夫氏が『国連発・ニッポン改造論』(ダイヤモンド社)で、国連内部から警告していたことなのである。

 そして、日頃外交上手と言われる国のように、自国と対敵する国をなくす努力をすべきであり、長期的なグローバルな戦略を持つ必要がある、と同氏は説いている。

 安倍路線は全くこれに逆行するものであり、高速を逆走する車のようだ。幸いにして、多くの国民が暴走に気づきはじめており、一刻も早く止めさせなければならない。

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2015年7月23日 (木)

中国・台湾・戦争

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 今朝の毎日新聞を見て驚いた。第1面の記事が全部中国マターなのだ。
 「首相訪中中国が3条件」「中国ガス田新たに12施設」、下のウナギは明日24日の土用の丑の日を控え、中国からの輸入がピーク、左下の「訪日外国人」は上期で46%増の過去最高、内、中国人が2.1倍で他を圧している、などである。

 トップの記事は、日本の首相が「抗日戦争勝利記念日」の記念式典に参列するなら無条件、そうでなければ①日中間の4つの政治文書の順守②村山談話の精神の踏襲③首相が靖国神社のを参拝しない意向の伝達がなければ、首脳会談に応じないというものだ。

 本塾は前から上の3条件のようなことは、日本の内政問題で、他国が押し付けたり、ましてや脅迫めいた言辞を弄すべきことではないとしてきた。シリア出身?だったかのジャーナリストが、首相が国内の場所を訪れるのに外国のビザが必要なようなことは聞いたことがない、といったそうだがまさにそのとおり。大人げない。

 ガス田問題にしてもそうだ。タイミングを見計らって取り上げ、目くじらを立てるような問題ではない。福田首相の頃は双方敬意をもって交渉に当たっていたことだ。日本側が発表した12施設の写真のうち、調圧塔からわずかながら炎が見えたのは、塾頭の目で1か所しかなかった。

 そもそも、中国側が国営、日本は民営で、日本側は採算がとれるほどの埋蔵量がない、と腰が引けていた場所ではないか。こうなったのは、安倍、石原、野田など右派指導者の跳梁、中国の急速な大国化とか権力闘争が関係したのだろう。長い歴史の中でまれに見る異常な姿だ。

 中国マターの記事は2、3、5面にもある。台湾の李登輝元総統が22日国会内で講演した。安倍政権を支持する内容だったようだが、「総統」というと蒋介石総統を思い出す。李氏は国民党に属し、中華民国の呼称を引き継いだ。

 戦時中の日本人には、中華民国と戦ったが戦争に負けたという意識があまりない。まして、ポツダム宣言に名のない共産党軍は1軍閥として存在したものの、法的には現在の中国ではなく中華民国に降伏したことになっている。

 その中華民国が台湾になってしまったのだ。3面のコラムにはこんなことが書いてある。

 台湾の政治大学が続けている意識調査がある。2014年末の最新版では、自分は「台湾人である」と考えている人が60.6%。「中国人である」と思っている人が3.5%という比率だった。

 「中国人である」という意識がなければ、抗日戦争に勝ったという感情もあり得ない。(中略)「台湾人であり中国人でもある」という人は32.5%。この層の多くが抗日勝利記念行事に「複雑」という気持ちを抱いたはずだ。

 台湾の支配層には、外省組と内省組がある。外省組は国共内戦に敗れ台湾に逃れてきた中華民国のエリート達だ。内省組は日本統治時代から台湾に住みついている人が主で、かつては独立志向も強かった。

 日本が満州を独立させ、中国奥深くまで侵略し、人民に多大な被害をもたらした史実は何人も覆すことができない。犠牲者は台湾に逃れてきたエリート達でなく、本土に残る大衆である。

 世代が変わり、他国民が歴史に偏見を持っても、日本人自身のこととして決して失ったりすり替えたりしてはいけないのが、「歴史認識」である。これも言いかえれば国内問題なのだ。

 ひとつ付け加えておこう。

 中国が南沙諸島を埋め立てたり基地を作ったりしていることが問題になっているが、これらの島々は、戦時中日本が台湾省に帰属させたところだ。基地までは作らなかったが、ボルネオ、スマトラ島の石油資源を奪っても、この地域の海の支配権を確保しなければ、日本へのシーレーンが不安になるので確保しておきたかったのだ。

 中国が今同じようなことをしようとしている。これに平仄を合せる意味はあまりない。

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2015年7月21日 (火)

アベ生出演の怪奇

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 前回記事のコメント欄で、首相のフジテレビ生出演を予告。みんなで見ましょうとおすすめした。

 参議院での討論を前に「国民にわかりやすく説明する」ためという。「わかりました。それじゃあ集団的自衛権解釈変更の安保法案に賛成しましょう」という内容を期待していた。

 冒頭、「法律論に偏り過ぎて政策論がない」とおっしゃる。「その通り!」

世界の安保環境が変わった、などサッパリ議論がない。
「どこがどう変わったの?」と聞くと「それは企業秘密」と答えるくせに。

 そもそも、歴代法制局が堅持してきて「集団的自衛権の権利はあるが憲法解釈上行使はできない」という方針を、局長官の首をすげ替えてまでして変更したのは誰だったっけ。10ある法案を1本にまとめ、砂川判決があるから合憲などと言いだしたのも忘れているよう。

 そんなことはどうでもいいとばかり深入りせず持ち出したのが、絵ときならぬアクションフィギュアばりの玩具。

 隣の家の離れが火事になったら自衛隊が消火に当たります。ただし家には近づかず道から放水。消火器は後方支援ですから危なくないところで渡します。本家の方へは行きません。

 たしかにわかりやすい。それなら「賛成しようか」ではなく「やはり反対だね」となること必定。国民はなめられたものだ。こんなハチャメチャ論理で納得すると思われている。

 一体誰が企画したのだろう。局?、代理店?、効果に重きを置くプロの仕事ではなさそうだ。党かアベ自身か?。局には、一党一派に偏した企画はしないよう文書がきている。また、自民党議員の番組出演は禁止され断られたりしている。

 首相自らの出演だから、なにも文句をいう筋合いがない。矛盾だらけでつっこみどころ満載だ。これを通してしまうような与野党参院議員なら、存在価値なしと言われても仕方ない。

 塾頭は、我慢しきれず、大相撲名古屋場所の方に切り替えてしまった。今日は、昨日の産経系フジテレビに続き読売系のBSテレビに出演するとか。もう見る気はしない。 最後に大阪府のある町でのできごと。

 地元俳句会が選んだ、

 梅雨空に『九条守れ』の女性デモ

これを、市の公民館月報は「世論を二分するテーマ」だからという理由で掲載を拒否、言論の自由侵害で選者たちが提訴したという投書(毎日新聞7/21・東京)があった。

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2015年7月19日 (日)

内閣支持率急落

 前々回の「戦争法案を葬る近道」で、結論をこう書いた。

今使えるものは、毎週のように行われる内閣支持率の世論調査とネットによる発信だ。これらを加え、安倍政権の内部崩壊を誘発するのが、戦争誘発法案を葬る、遠いようで最も近道なのかもしれない。

 塾頭は、日頃世論調査の内閣支持率に一喜一憂しない、という態度をとっている。これは変えるつもりはないが、政治家は違う。ことに安倍与党は、国立競技場棚上げも効果なく、下記のようにグラフで書くと支持・不支持が大きくX(エックス)をえがいていることに、相当ショックを受けているだろう。

【毎日新聞】             【共同通信】             
・調査日     17、18日      同 左
・支持(前回比) 35%(↓7%)  37.7(↓9.7)
・不支持      51%(↑8%)  51.6(↑8.6)

 参院審議の過程で、安倍首相のいうように「国民が十分理解する」はずがなく、行き着くところ60日ルール―適用に追い込まれることになりそうだ。そうすると、今日のTBS「サンデー・モーニング」で、毎日の岸井成格氏もコメントしていたように、創価学会を支持基盤とする公明党など、与党の内部崩壊が始まる第一歩となるだろう。

 その意味で、内閣支持率急落、万々歳!なのである。

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2015年7月18日 (土)

「おきゃん」

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 「おきゃん」。 古い本を見ていたら、こんな言葉が目に入った。「きゃん」は漢字で書くと「侠」、江戸中期に使われていた俚諺で、気負いや勇み足の多いさまを言い、町火消など男にも使われていたとある。

 それに「お」を付けると女性向けになる。男踊り「かっぽれ」の得意な深川芸者の女伊達はその典型だ。

 最近はすっかり聞かなくなったので、死語になったかなと思い、若い人に聞いてみたらちゃんと知っていた。「お転婆のことでしょ……」。「お」と「婆」がついているからこっちは女性専用だ。

 いずれにしても、「おきゃん」は、歌舞伎の大見得にも似た日本の美意識の一角を占めた存在のようだ。欺瞞、くどくととした弁解、功利……。そんなものとは全く縁がなく、すっきりしている。

 これを死語にしてしまうのは、世界文化遺産登録の可否より惜しい気がする。

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2015年7月16日 (木)

戦争法案を葬る近道

 12日のエントリー「安倍さんが怖いのは」で、「もちろん野党ではない(苦笑)。強行採決である」と書いた。昨日の衆院委員会の模様を報道が大きく取り上げ、一般の関心が、近年では珍しく若年層にまで広まっていることを、身近に感ずるようになった。

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 その「強行採決」ぶりが紙面や映像の上で踊っている。野党は、委員会席でブラカード作戦という新手に出た。中には、「自民党、感じ悪いよね」というカードもある。安倍内閣の身内、石破大臣の発言からとったものだ。

 与党内では「パフォーマンスだ」という、苦りきった声も出ているようだが、採決の音頭をとった浜田特別委員会委員長でさえ「(既存法案を含め)10本をまとめたこと自体いかがなものか」という疑問を呈している。

 今日も5野党が退席する中で衆議院本会議で採決が行われた。「安倍さんが怖い」強行採決がこれで2回になった。しかし本当に”怖い”のは、もっと後のことなのである。

 討議は参議院に場を移すが、オリンピック競技場問題、終戦記念日と戦後70周年の談話、中国訪問問題の行方、北朝鮮拉致問題それらにまつわる世論調査の反応など、首相にとっての難関が続く。

 その中での参院審議、この特別委員会の委員長に、自民党は鴻池祥肇氏を充てる予定だが、かつて郵政民営化に反対したり、女性問題などのほか、とかく問題発言に事欠かない人のようだ。果たして、安倍さんの思惑通りにいくかどうか疑問が残る。

 この法案が参議院で可決成立するためには、次の過程が必要となる。

①参議院特別委員会で可決→本会議へ回付②へ
  過半数が得られず否決→廃案(まず、ありえない) 
②参院本会議で過半数で可決→成立へ
  否決、またはこれから60日(休日除きで)9月24日までに可決できない場合→衆議院に差し戻される。→③へ
③衆議院再審議、3分の2以上の賛成で可決→成立へ
  3分の2に達しない場合否決→廃案

「強行採決」は、2回目が終わったばかりで、これからまだ続く。ぎりぎりを迎える9月の日程は次の通り。
 9月20日 自民党総裁選
   24日 60日ルール最終日、②参照
   27日 通常国会最終日
   下旬 首相が国連総会出席

 そこで「安倍さんの怖いのは」いつになるかである。上記①が最大の焦点である。旧盆や行事の多い8月中で終わらせるというのは参院軽視ととられ、無理に通そうとすれば露骨な「強行採決」になる。9月に入っても20日の総裁選が近づくにつれ、選挙対策のための「強行採決」と言われかねない。

 こうして、60日ルールの期日が迫れば、憲法違反の恐れがあって、衆院の再議決を必要とするような法案の決議には、棄権するしかない、という自民総裁選の対抗馬がでてくるかも知れない。また公明党も、さすがにつきあいきれないという議員がふえれば、安保法案を葬る可能性がなきにしもあらずだ。

 労働組合の一部に法案反対のスト権確立を目指すという動きもある。また、学生をや若者を中心にデモ参加者の広がりも見られる。

 しかし、1350万人の請願署名、580万人が参加した安保改定阻止第2次実力行使、33万人による徹夜国会包囲デモにもたじろがず、「野球見物をする声なき声」の方を尊重すると言ったのが、岸信介お祖父さまだ。安倍首相の腰折れはないだろう。

 当時にはなく、今使えるものは、毎週のように行われる内閣支持率の世論調査とネットによる発信だ。これらを加え、安倍政権の内部崩壊を誘発するのが、戦争誘発法案を葬る、遠いようで最も近道なのかもしれない。

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2015年7月15日 (水)

ハチャメチャ政治

 自民党は14日、安倍晋三首相らが出演した13日の党インターネット番組で、民主党の辻元清美衆院議員に関する不適切発言があったとして辻元氏に文書で謝罪した。

 番組では自民党の丸川珠代参院議員が辻元氏設立の非政府組織(NGO)「ピースボート」を取り上げ、「海賊が出る海域を通る時に自衛隊に護衛を頼み、守ってもらった」と言及。首相は「海賊対処の法案を出した時に民主党は反対した。しかし、いざ危なくなると助けてくれということなんだろう」と述べた。

 辻元氏は事実と異なる発言として撤回と謝罪を要求。自民党は「誤解を招く表現で不快の念を与えたとすればおわびする」と陳謝した。(産経ニュース)

 同じような記事が毎日ではベタ記事で出ていた。1面トップにするような記事ではない。また、一流紙の品格をそこねかねないと思えば、それもできないということだろう。

 首相自ら陣頭に立って、安保法案を「わかりやすく、懇切丁寧に国民に説明する」という中味がこれだ。小学生でさえ笑ってしまいそうな、友達のアソウ君が暴漢に襲われて……などというたとえ話、国会では見せないお愛想顔、それにろくすっぽ調べてもいない受け売りデマを全国民に向けてさらけだす。

 議員の劣化は、いわれて久しいが、首相が国民に話しかけるということは、過去の歴史の上でも大変なことだった。今でももちろんそうだろう。当然1面トップものだ。ただし、議会に上程し国会で審議している問題を首相に一方的に語らせる。これはルール違反だし、独裁国ならともかく、マスメディアがそんなオァーに応じられるわけがない。

 そこに、上記の報道だ。官邸や自民党の中枢部がこの程度ハチャメチャぶりというなら、国家の一大事、1面トップの記事になる。この前の百田氏を招いた若手研究会もそうだが、戦前にもかつて見られなかった政治のレベルダウンがこのまま続くとすれば、その病原はジャーナリズムにもあると言えそうだ。

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2015年7月14日 (火)

70年前の《今》⑩

◆高見順『終戦日誌』より(当用漢字に転用

七月六日
 昼近く、また空襲警報。(中略)
 店でF氏が、鎌倉はたとえ戦禍を被らなくとも、食糧に窮し、餓死の危険性があると力説した。食料のある平野に今のうちに逃げておいた方がいいというのだ。――もちろんその方がいい。安心だ。だが鎌倉を離れて、居食いは出来ない。金のある者が結局生きのびるのだなと思うのだった。

 以後鎌倉には連日日夜を問わず空襲警報が発令され、高見は「死」とどう対応するかを毎日日記に書きつづける。ちなみに、高木はこの年、30歳代後半である。

七月十一日
 ――手がかりは掴めた。手ごたえがある。生の問題。
 問題を掴んだのだ。問題が与えられたのだ。生の充実感ぐらいで、生そのものを掴んだなどと早まってはならぬ。しかし、たしかに手がかりは掴めた。

生命を信ずるのだ。今日の生命を。刻々の生命を。
――生命の躍動と燃焼を。
そこに生がある。
未来を考えない。信じない。今日の生の充実のみ信ずる。
そこに私の生がなくてはならない。(以下略)

 前に一度採録したことがあるが、この年の二月の日記を掲げておこう。徴兵される若者のやけくその叫び声だ。わずか半年足らずで、高見も死に向き合わざるを得なくなったのがこの年だ。

二月二日
戸を開けると雪景色。
 昨日もそうだつたが、電車が通ると、時に車輪の音にまじつて、バンザーイ、バンザーイという声が聞こえる。海兵団に入る若者が窓から叫んでいるのだ。外の道を誰も通つてなくてもそう叫んでいるのだ。海軍の言葉でいえば「娑婆」――「娑婆」にそうして別れを告げているのだ。

 これも再録になるが、後に厚生省が発表したこの年の平均寿命を掲げておく。仮に敗戦が2年遅れたら、塾頭も寿命以下の命だっただろう。

平均寿命
         男    女
昭和10年  49.9才  49.6才
   20    23.9   37.5
   22    50.1   54.0
   42    68.9   74.2
厚生省調べ『図でみる生活白書昭和43年版』

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2015年7月12日 (日)

安倍さんが怖いのは

 もちろん野党ではない(苦笑)。

 それは――、「強行採決」である。

 そのわけは――、野田聖子、公明党など一部与党議員の造反である。

 昨日(11日)テレビ東京の番組に出演したジャーナリスト・田原総一郎、後藤謙次の二人は、アナウンザーの「自民党の総裁選で安倍首相の対抗馬が出ると思いますか?」の問いに対し、用意されたカードのYes、◎印をサッとあげた。

 「もしよければお名前を……」との問いに、「野田聖子」と、これも同じ答え。これを信じていいかどうか、塾頭にはわからない。総裁選は、安保法案が最終決着する前に行われる。

 したがって、安倍首相は無投票で再選されるのではないかという解説がこれまで多かった。政府の目論む集団的自衛権が憲法違反だという圧倒的な専門家の意見などもあり、国会議論がわからないという世論調査が8割をこえ、内閣支持率も下降線をたどる中で、現状が急転換するとは思えない。

 野田が名乗りを上げるには20人の推薦人が必要である。安倍との対立軸を掲げるとすれば安保問題しかない。初当選は安倍と同期であり、現・党総務会長のキャリアも総裁候補としての資格に不足はない。

 かつて、郵政民営化で自説を徹し党を出たこともある。安倍イエスマンでこのまま終わってしまうような人ではなさそうだ。しかし、いかに世論と違うからと言って安保法制化案に反対投票するという、党議に反することはできないだろう。

 除名覚悟の推薦人をそれだけ集めるのは困難になる。そこで残る手は、憲法に抵触する恐れのある法案の強行採決には加わらない、という常識的な線である。その口実を使えないよう、安倍首相は、気味の悪いほど維新の会に色目を使っているわけだ。

 同じことが公明党にも言える。法案をまとめた頃と客観情勢が大きく変った。平和で世界に貢献しようという創価学会の教義と、これほど大きな矛盾を抱えたままでは、組織が持たないだろう。

 反対陣営の攻勢が揺るがず、今国会での審議が未了となれば、安倍退陣も意外に早いかもしれない。

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2015年7月11日 (土)

当世大不信(ウソツキ)番付

    leo当世大不信(ウソツキ)番付cancer
―――――――――――――――――
     (東)           (西)
安倍内閣    横綱   自民党(一部除)
東京電力    大関   東芝
理化学研究所 関脇   群大付属病院
マスコミ     前頭   インターネット
公明・民主   十両   維新・共産
石原       幕下   橋下

      行司 おれおれ詐欺

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2015年7月10日 (金)

新・古墳ブーム

 このところ古墳に関するニュースが相次いでいる。ニースではないが、今朝のワイドショウの中で「女性の間で古墳ブーム」というのを見た。古墳のまわりを巡ったり、拝んで見たり、登ってみたり、石室の内部を見たりして、「コフンにコーフン」するのだそうだ。

 同好の間では、前方後円型のペンダントや枕まで出回っているというから、ビックリ。本塾では古代史に触れることが多いが、負けたね。これは……。

 最新のニュースで、沼津市で2008年に発掘された「高尾山遺跡」を、道路のつけ替えて破壊するというのがあった。出土土器の編年を基に3世紀前半(古墳時代最初期)の西暦230年頃の築造、西暦250年頃の埋葬と推定されている62.18mの大型前方後方墳であったことが分かっている。

 市や県の当局者は、果たしてこの古墳の価値がわかっているのだろうか。詳しくはこれからも調査が続くだろうが、卑弥呼の墓とされる最古の大型前方後円墳と同じか、それよりわずかに古い古墳ということになる。

 箸墓の4分の1程度の大きさだが、弥生の墳丘墓というよりその後各地に造営される古墳にくらべ遜色がない。また、前方後方墳は東国に多く、畿内に発生した天孫民族の前方後円とは別の系譜を引く東国の雄を葬ったのではないか、という仮説も成り立つ。

 邪馬台国が箸墓のある纏向周辺だという説が高まるとともに、その対抗勢力として魏志倭人伝に描かれる狗奴国は、東の静岡県あたりではないかとする説も有力になってきた。そうすると、倭人伝のいう男王・狗古智卑狗(くこちひこ)の墓ということにもなりそうだ。

 古代のロマンがこれでぐっと広がる。もうひとつのニュースは、日本最大のいわゆる仁徳陵・応神陵などの巨大古墳を含む百舌鳥・古市古墳群につて、世界文化遺産登録を推進する議員連盟ができたという話だ。

 軍艦島でさんざんケチをつけられた世界文化遺産登録――。日本の古墳文明はそんなレベルのものではない。青森や北海道、沖縄をのぞく日本全土に及び、古代のほとんどが語れる雄大な財産だ。

 沼津の古墳破壊は一時保留という形になっているようだが、高松塚古墳の例もある。そんなことの起きないよう、国家が全力を挙げて文化活動の保護育成に当たるべき対象だ。そのために、まず宮内庁の調査立ち入り制限などをはずし、広く国民に解放されることから始めなくてはならない。

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 ご当地最大の古墳・法王塚古墳全長58m。大学構内にあるため自由に入れない。
 

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2015年7月 9日 (木)

暗黒の木曜日

 昭和4年(1929)10月24日の木曜日、ニューヨーク株式市場は大暴落を演じ、大恐慌の時代が始まった。金解禁で世界経済への扉を大きく開いた日本は、容赦なく吹き込む世界恐慌の嵐と井上デフレの二重の打撃をこうむり、昭和恐慌の深淵に沈み込んだ。(『昭和経済史上』日経新書)

 9日の木曜日、午前の東京株式市場は、日経平均株価がギリシアの金融不安、中国株式市場に続き、前日の米国株安を受け大幅に続落して始まった。下げ幅は一時前日比で400円を超え5月8日以来約2カ月ぶりの安値となった。

 昭和恐慌は”娘の身売り”や”ルンペン(今でいうホームレス)”、そして「大学はでたけれど」の流行語を生んだ時代である。金解禁→TPP、赤字公債・デフレ政策→アベノミクス、エロ・グロ・ナンセンス……。なんと似ていることか。

 農村の疲弊は何よりも右翼ファシストの危機感をあおった。もともと農本主義的だった民間右翼はむろんのことだが、とくに農村出身の青年将校には直接に国防の危険、国家の存亡にかかわることと思われたのである。かれらのテロリズムをきっかけに、日本が急速にファシズム化し、戦争へとのめり込んでいく道がこうして準備されていった。(前掲書)

 ブラック・サーズデーの株式暴落直後、日米の経済学者や関係筋はこの先、戦争に結び付くような世界恐慌になるとは誰も思っていなかった。翌年11月、浜口首相が東京駅プラットホームで右翼に狙撃され、翌々年9月には、満州事変に突入、いわゆる15年戦争が始まった。

 今日がブラック・サーズデーにならないようにするためには、国会で安保法制化を阻止すること、それができなければ自民・公明の自壊を促し、安倍総裁を失脚させること、それができなければ来年の参院選で改憲をねらう自民党に打撃を与え、少数党にすること。

 これしかない。

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2015年7月 7日 (火)

ijime(いじめ)

 ちょっと前のクリッピングから。 (毎日新聞6/24 東京朝刊・布施広の地球議)

 日本はijime(いじめ)に遭っているという。「いじめのリーダーは米国と中国で韓国も仲間。彼らはいつまでも日本を戦争敗者の地位に留め置こうとする。気になるのは、いじめられることを日本が楽しんでいないかという点です」

 シリア出身のジャーナリスト、カルドン・アズハリさん(59)である。日本滞在20年余。「パンオリエントニュース」社を起こし、日本の論調を海外に報じている。

 「たとえば日本人は首相が靖国神社を参拝すると『中国や韓国が怒る』と言いますね。日本の首相が国内でどこかへ行くのに中韓のビザが必要なんですか? 関係ないでしょう」

 首相参拝推進派が小躍りしそうな言葉だが、もちろん異論はあろうし、外国の意向に関係なく参拝に反対する人もいる。ただ、右だ左だというよりアズハリさんは日本人の意識構造に興味があるらしい。

 文化人類学者の梅棹忠夫を思い出した。この高名な学者は「日本人にも自尊心はあるけれど、その反面、ある種の文化的劣等感がつねにつきまとっている」(「東と西の間」)と説いた。文化水準は高くても日本には本当の文化はないという劣等感が国民の心理に「一種のかげ」のように存在する。ジャーナリズムも「進歩的」であるほど「自己批判的」で、時に「自虐的」だという。60年も前(1956年)の論考だ。(以下略)

 塾頭がかねがね感じていることだが、こういった”いじめ”は70年前からあったものではない。きわめて顕著になったのは、ここ10年、つまりこのブログを始めた頃からの傾向である。日本国内で「戦争責任論」は、かねがねくすぶっていた問題だが、国際問題として火がついたのは、小泉首相の靖国公式参拝や中国の反日暴動である。

 ”いじめ”が拡大のきざしを見せたそもそもの原因は、日本国内の意見の対立、つまり国内問題に端を発しているのだ。単純に右と左に分けてしまうのは適正を欠くが、従軍慰安婦にしろ南京虐殺にしろ尖閣問題にしろ、国内、それも極左の論調が無批判に”真実”としてとりこまれ、恰好な”イジメられっ子”に仕立てられたのだと思う。

 また、安倍首相を中心とする政府・自民党の一部が、まっとうな”歴史認識”を欠くことによって火に油を注ぐようなことにもなっている。ただし、中国や韓国に正しい歴史認識があるかと言えば、これもまた疑問だらけなのである。

 このように、この”いじめ問題”は、国内問題を国際問題に転化させるようなことをしなければたちどころに解消する性格のものだと思うが、どうだろう。10年前、いかに国内の靖国議論が沸騰していたかについて、05/0/18付の記事を再録しておく。なお、同テーマは19、22日と続けている。塾頭はその中で「そろそろ靖国からほかにテーマを振りたい」などと嘆いている。

 ”いじめ問題”についても全く同然である。

 2005年6月18日

靖国論壇

 『文藝春秋』7月号に、靖国神社等に関する識者81名の意見が掲載された。以下は、賛否の論点整理が可能かどうかという関心で一読し、そこから得られた感想である。したがって内容分析には至っていない。

*各界有識者にアンケート、となっており、大学教授と評論家が圧倒的に多く、その両者で過半数をこえる。また、アンケートを求めた人の実数や回答者選択の基準は不明。

*前文で首相の靖国参拝に世論は賛否拮抗している、としているが、ここでは賛成44、反対29、どちらともいえない8となっている。賛成の中には「別の慰霊施設が必要で、それが出来るまでは靖国参拝」というのが8件ほど含まれる。

*賛成意見のうち最も多いのが、反日は中国人特有の体質に基づくという感情論で、共産主義体制批判も含めると圧倒的多数になる。続いて弱腰、土下座外交、折れると要求をエスカレートしてくる、が多い。東京裁判無効論、戦犯救済の国会決議、中国の政治的不安定、内政干渉を理由とするものは、思ったより少なかった。また、一般化していない事件をあげて戦争を正当化しようとするものもあった。

*反対論は、参拝は侵略戦争の容認につながる、靖国の歴史的な戦死者顕彰システムが問題、A級戦犯合祀は不当、などがほぼ同数で、祭政分離がこれに次ぐ。また、善隣友好と大人の外交を求めるものが多い。しかし、賛成論にくらべ、全体に迫力には欠ける。これは、アンケートが、参拝の賛否とその理由に加え、「反日暴動についてどう考えるか」という第3の設問をしていることに関係がありそうだ。「暴動はよくない、だけど参拝はやめるべきだ」という半端な表現になってしまう。

*ついでながら、中国の表現を用いなかった回答者に、「中共」3、「チャイナ」1、「シナ」3、「支那」2などがあった。また、終戦まで使っていた旧制かなづかいで回答した者も1人あった。

 なお管理人は、小学生当時の若林・土井垣バッテリー以来の阪神ファンだが、なぜか読売・渡辺恒雄氏の意見と波長があってしまったので、引用させてもらう。

A級戦犯の七人は、戦死でなく、刑死である。私は、東京裁判の判決が絶対正義だとは思わぬが、太平洋戦争の何百万という内外の犠牲者を出した責任、あの凶暴な陸軍の行動基準を推進した責任(陸軍二等兵だった私は、今でも許せないと思っている)、憲兵、特高警察による暴力的思想統制の立案、責任等については、日本国民自身による歴史検証を経たうえで罪刑の普遍的妥当性を判断すべきだ。

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2015年7月 6日 (月)

衆愚政治

 5日に投票が行われたギリシャの国民投票は、半数の投票所の開票が済んだ時点で緊縮策への反対が61%を上回り、アレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相は勝利を宣言した。(AFP・時事)

 「民主主義」は古代ギリシアのアテネで生まれた。しかしそれし同時に「衆愚政治」という欠陥も生み出すことになった。塾頭は、今回の投票がそれだとは思っているわけではない。ただ言葉を思い出したまでだ。Wikipediaではこう定義する。

 有権者の大半が知的訓練を仮に受けていても適切なリーダーシップが欠けていたり、判断力が乏しい人間に参政権が与えられている状況。その愚かさゆえに互いに譲り合い(互譲)や合意形成ができず、政策が停滞してしまったり、愚かな政策が実行される状況をさす。

 衆愚政治になるかどうかは、その結果により歴史が決めることである。結果がわかるにはそんなに時間がかからないだろう。ギリシアもさることながら、このところの日本が、衆愚政治と言われるような結果にならないことを念ずるばかりである。

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2015年7月 5日 (日)

世界遺産は妥協を排せ

 韓国からいちゃもんがついて、「明治日本の産業革命遺産」の登録審査が持ち越されることになった。百済遺跡地区の申請が、日本などの賛成で認められたあと、双方の歩み寄りをひっくり返すような要求があったようだ。

 従軍慰安婦問題と二重写しになるパターンだ。登録欲しさに下手に妥協すると、戦時中に労働者を強制連行したことを公認することになるからだ。本塾は、この申請で松下村塾を入れていることが、史的に見てこじつけにすらならないような不自然さがあることを指摘したことがあるが、申請そのものについては特に意見がない。

 前にも書いてきたことだが、戦時中は、朝鮮人に対し「皇民化政策」があり、国の政策として人種差別は強く戒められていた。当時、公然として使われていた用語「人的資源」に朝鮮人を加えたいという理由があったにしてもである。

 小学生であった塾頭の友達李君は、食用蛙釣りがうまく放課後を待ちかねてよく遊んだ。張君は習字がうまく、いつも5重丸ぐらいついて張り出されていた。先生は俺よりうまいと頭を掻いていた。決闘(喧嘩)があっても、人柄から見て朝鮮人の子の方の肩をもつ級友の方が多かったりした。

 そんなことから、国の政策・挙国一致に反する強制連行や性的奴隷売春があったとは信じられないのだ。しかし、塾頭は現場を見たことがない。したがって絶対なかったとも言いきれない。戦争というものは、平常の神経、特に前線では判断が麻痺し狂ってしまうからだ。

 強制労働は、塾頭自身が体験している。これもかつて書いたことだ。中学生になってから学科の授業がそのうちなくなった。松根油用の根っこ掘り出し、これは女学生にも個数の割当があったようだ。暗渠排水工事、これは泥田を掘り下げ、泥を背丈より高いところまであげる重労働。

 ほかに田植えや山林開墾・ソバ畑化などもある。これらに報酬をもらった覚えは一度もない。正直なところ、白米の炊き出しを無制限に受けたり、カレーライスにたっぷり鶏肉が入ったりすることもあったので、楽しみでもあった。

 言いたいことを曲げてまで、世界遺産にこだわることはない。これを奇貨として集団的自衛権などでなく、世界への発信力をまともなものにする努力をしたらどうだ。

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2015年7月 3日 (金)

日本のはじまりは奴国か

 これからは、邪馬台国論争より奴(な)国論争になりそうだ、と書いたのは1カ月前の「邪馬台国前史が始まる」である。卑弥呼の時代より300年以上前のものと見られる銅鏡の鋳型が発掘されたことによる。

 その場所は、福岡県春日井市にある須玖遺跡、すなわち中国(後漢)と史上初めて交渉を持ったされる倭奴国(わのなのくに)の本拠があったとされる一帯の中にある。その物的証拠が江戸時代に発見された金印である。

 ところが魏志倭人伝で、奴は2万戸からなる一地方都市とされたため、日本の国王・卑弥呼が住む7万戸の都、邪馬台国はどこかに関心が集まった。奴国王が後漢の光武帝から「漢委奴国王」と刻んだ金印を貰ったのは西暦57年である。卑弥呼が魏に遣使した238年より181年も昔だ。

 卑弥呼の方の物的証拠は、景初三年などの銘が入った記年鏡で、魏から100枚贈与された三角縁神獣鏡に含まれる。これは各地の古墳から出土するが、合計すると100枚以上になる。倣製鏡という国内産の複製があることは前から知られていたが、その技術が300年以上前から奴国にあったとすれば、卑弥呼の鏡もそれほど有難味のあるお宝ではなくなる。

 この地域で、銅剣、銅鐸、銅鉾、ガラス製勾玉などを生産していたことは以前から知られていた。鏡・剣・玉は3種の神器として代々受け継がれるが、神話の時代は天皇家に限らず権威や祭祀の象徴として各地で使われていた。

 銅鐸がはやったのは、地元九州ではなく、大量発掘の見られる山陰や淡路島など東の方だ。弥生時代を通じて奴国が祭祀用品大供給源だった可能性は高い。そうすると、邪馬台国連合以前に奴国連合があったとしてもおかしくない。

 だから、奴国への金印は、今の概念でいう県知事や市長にあてたものではなく、倭(日本)を代表する地位を認めてのものではなかろうか。中国の文献をもとに、神武東遷神話の出発点は奴国とする「奴国東遷説」があることは前から知っていた。そこで、も一度確かめてることにした。(和訳は『中国正史日本伝(2)』かっこ内は撰者)

・『旧唐書』(劉?887~946)
倭国は古の倭奴国なり。(中略)日本国は倭国の別種なり。その国日辺にあるを以て名となす。あるいはいう、倭国自らその名の雅ならざるを悪(にく)み、改めて日本となすと。あるいはいう、日本は旧小国、倭国の地を併せたりと。

・『宋史』(脱脱1314~1355)
日本国は本(もと)の倭奴国なり。(中略)後漢より始めて朝貢し、魏・晋・宋・隋を歴、皆来貢す。唐の永徽・顕慶・長安・開元・天宝・上元・開成中、並びに使を遣わして入朝す。

・『元史』(宋濂1310~1381)日本国は東海の東にあり、古は倭奴国と称す。(後略)

 いずれも、冒頭の書き出しは奴国に触れている。『新唐書』は表現が『旧唐書』とほとんど同じため抜いたが、後漢書以来中世に至るまで、奴国は省けない存在となっているのだ。それに反して日本の正史・日本書紀にはなぜか出てこない。

 ただ、宣化紀や斉明紀に現・福岡港のあたりを、那津とか娜大津(なのおおつ)としており、「津」は「港」で、地名が「な」であったことが示されている。塾頭は、福岡を代表する繁華街中州もそこを流れる那珂川も奴(な)の名残を残しているのではないかと思う。

 中国の史書に連続して出てくるのは、以前の正史をそのまま引用してきたからだ、というのが通説である。だが、上記のように、それぞれで多少表現が違う。仮に通説が正しいとしても、宋史の頃には、遣隋使、遣唐使などにより人的往来も頻繁になり、日本に対する知識も相当高まっていた。阿倍仲麻呂のように唐の図書館の司書のような役人から唐政権の高官にまで出世した人物もいる。

 当時の日本の常識に反するような記述が日本伝の冒頭に出てくれば、訂正される機会がいくらでもあったはずだが、奴国の評価にそれほど抵抗がなかったということだろう。奴国東遷説は、考古学上結びつく証明がないという弱点がある。

 倭と奴の関係、そして大和朝廷との結びつき、つまり弥生時代から古墳時代を結ぶ空白を考古学で埋められるかどうかに、今後の大きな期待がかかってくる。

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2015年7月 1日 (水)

ニュースは民放!

 7/1、下は正午前のテレビ朝日で聞いたニュースの内容だ。同様なことをNHK正午のニュースで何か言うかと思ってチャンネルを切り替えた。

 言うわけがないよねえ。民放が報道番組に力を入れているのに対し、NHKはこのところあたらずさわらずで滅法つまらなくなった。かつては12時とか7時のニュースは時報と共にチャンネルの定位置にあったNHK。視聴料を払うのも、それなりに納得していたものだ。

 安倍応援団が希望するつぶれてほしいマスコミ。もし、つぶれてしまったら困るのは国民なんだよね。

(政治部・千々岩森生記者報告)
 週に一度は必ず昼食をともにして固い結束を図ってきた安倍総理大臣と谷垣幹事長ですが、お互いを支える議員の間には少しずつ溝が生まれています。谷垣幹事長は1日朝の会合で、公明党側に「大変、ご迷惑をお掛けしている。心からおわび申し上げる」と陳謝しました。ただ、足元の自民党幹事長室では先月30日、谷垣幹事長に対して「処分で若手が萎縮する」など安倍総理に近い議員らから疑問の声が上がりました。谷垣幹事長が反発を押し切って処分に踏み切ったことについて、安倍総理は周辺に「谷垣さんのグループも、死んだふりしてるけど、そうでもないんだな」とつぶやいています。さらに、先日の会期延長の判断でも、短かくしたかった官邸の意向を自民党側が押し切る形で戦後最大の延長幅となりました。政治スタイルの違う安倍総理に対して、これまで一歩引いてきた谷垣幹事長が、ここへきて自分のカラーを出し始めたことで、両者のバランスに微妙な変化が生じています。.

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