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2015年6月28日 (日)

自衛隊機が沖縄爆撃?

 真夏の夜の怪談にしてはちょっと早いが、これは36年ほど前の話だ。すこし長いのを我慢して読んでいただきたい。プロの軍人の証言である。アマチュアの安倍首相とは違う。

 (前略)遅退作戦がこうなると、かなり難しくなるが、理屈どおりにいかないのが現実なのである。作戦上のペースより、住民の下がる速度に、遅退行動の時期を合わせざるをえない。住民がまだ残っているのに、その住民を見殺しにして、自衛隊だけが作戦上の都合で、勝手に後退することはできない。

 もし、住民の引揚げが予定の遅退行動に間に合わない場合は、自衛隊は住民とともにそこにとどまる。そして玉砕することも考えられる。

 ついでにひと言つけ加えると、これと逆のケースも考えられる。つまり、勝ち目がないなら「ムダな抵抗はやめてほしい」と住民が求めるのではないか、というケース。自衛隊が抵抗するからソ連軍に爆撃され、破壊され、殺される危険が増すというわけだ。

 たしかに北海道は米、野菜、牛肉など食料を自給自足することは可能であろう。”北海道独立”ということになる。しかし、工業地帯がほとんどないから本州と離れたら細々と生活する以外にない。石油なども東欧諸国のようにソ連などから配給してもらうということになるだろう。生活水準が、一気に下がることも覚悟しなければならない。(中略)

 ただし、五百万の道民が多数決でそう決めるなら自衛隊としても認めざるを得ない。そうなったら、北海道はそれまで日本の領土であっても、それ以後は違うということになる。逆に、本州からの米軍や自衛隊の爆撃にさらされることもありうる。無抵抗をいうなら、そうした事態まで考えていわねばならない。

 栗栖弘臣『仮想敵国ソ連ーわれらこう迎え撃つ』に書かれていることだ。話を、北海道は沖縄、ソ連を中国に置き換えてみてほしい。沖縄県知事選や名護市を含む自治体選で一致した普天間基地辺野古移転反対の民意が示されも一顧だにされていない。このままでは「独立だ」という声まである。

 また、全島民の付託を受けた知事側が妥協する道もふさがれている。最後はどうなるのか。安倍政権が続く限り、自衛隊と米軍による沖縄爆撃が絶対ないとは言い切れないのだ。「自衛」とか「集団的自衛権」の屁理屈でいけばいい。ばかげていると人は言うだろう。

 しかし、あり得ない、あってはいけないばかげた戦争に、突っ込んだいったことが現にあったのだ。それを忘れている人が多すぎはしないか。今の安保法制化の議論を聞いていると、つくづくそれを思う。戦争の口実はすべてといっていいほど、存亡の危機をかけた「自衛」なのだ。

 満州事変は、日本経営の鉄道を日本軍が爆破し、相手のせいにして始まった。イラク戦争は存在しない大量破壊兵器があるというにせ情報が開戦の理由だ。その理由・きっかけは謀略で簡単に作れる。力を過信するあまりその誘惑に乗りやすいのが権力だ。

 辺野古の膠着が続くと政府は実力を使いたがる。百田の沖縄の新聞をつぶせ発言は、そのきっかけを作るための挑発かもしれない。県民はよくよくそれを警戒し挑発に乗らず、息の長い堂々とした主張・行動で反対運動を続けてはしい。

 沖縄基金はすでに3億円を超えた。ヤマトンチュウの熱い声援はこれからも決して衰えない。

【塾頭注】故・栗栖弘臣氏は、帝国海軍出身で自衛隊制服組トップの統幕議長を務めていた。「第一線部隊指揮官が超法規的行動に出ることはありえる」などの発言が問題視され解任されだが、これは戦前の軍人の心得で、栗栖氏にしてみれば当然のことを言ったまでと思うだろう。

 ソ連の膨張主義を過大視する偏見が過大なのではないかと思うが、国民の自衛意識のなさや、非武装中立が拡張主義国の野望に火をつけたり、周辺国から不安要素として警戒されるという観点は、塾頭と認識が合う部分もある。

 また、当時すでにアメリカの力が相対的に落ちてきているので、日米安保があっても、アメリカが国益を最優先し、北海道を見捨てる可能性がある、ということを同書で明言している。

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コメント

栗栖弘臣氏の考え、それが自衛隊の装備のほぼ7割以上が北海道に集約されている理由なんですね。(たぶん)

投稿: 玉井人ひろた | 2015年6月29日 (月) 19時57分

彼は配備されている第2師団、第5師団だけでは、ソ連との兵力差で対抗できず、後退に後退を重ねる事態を予想していたようです

投稿: ましま | 2015年6月29日 (月) 20時45分

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