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2015年5月26日 (火)

中東の「迷子」アメリカ

 アメリカの大手通信社CNNはこう伝える。

ワシントン(CNN) イラク中西部の要衝ラマディがイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)に制圧されたことについて、カーター米国防長官は「イラク軍に戦う意志がなかったことが主な原因」との見方を示した。24日放送のCNNの番組で語った。

カーター長官は「イラク軍の部隊は戦う意志を全く示さなかった」と述べ、「兵員の数が敵を下回っていたわけではない。むしろはるかに勝る状況だった」と指摘した。

ラマディが先週陥落してから、米政権当局者が公の場でこれほど強い言葉を口にしたのは初めて。

 軍事関連報道としては、あまり聞いたとのない内幕暴露だ。「勝てるのに戦意がないから負けたのだ」という弁解、アメリカが教育・訓練に励んだイラク兵の事だ。アメリカとイラクのかかわりを1980年から追うとこうなる。

①国境紛争などに端を発したイラン・イラク戦争は、ホメイニ革命でアメリカ大使館を占拠された恨みを持つアメリカは、社会主義的独裁者フセインの支配するイラクをかげで支持し、軍事的な支援もしていた。

②停戦後、イラクの軍事力は強大化し、パレスチナ問題を抱えるイスラエルにとつて脅威となる一方、石油鉱脈争いなどを理由にイラクはクエートに侵攻、アメリカが最大利権を有するサウジアラビアに迫った。湾岸戦争となり、アメリカなど多国籍軍がイラク軍を押し戻した。

③アメリカのブッシュ政権は、イラクが大量破壊兵器を隠し持っているというニセ情報で国連決議のないまま再度イラクに侵攻。隠れていたフセイン大統領を:刑死させ、イスラエルにとって最大の脅威を取り除いた。しかし大量破壊兵器は発見されず、その後の作戦目的を「自由と民主主義を定着させるため」に切り替えた。

④民主的?に国政選挙をしたため、国民の多数を占めるイスラム・シーア派の政権ができた。オバマは公約により軍隊を漸次撤退させた。その後民主化は、チュニジアでアラブの春と呼ばれる独裁政権転覆にはじまり、リビア、エジプト、イエメン、シリアと続いたが定着したところは1国もなく、シリア、イエメンでは果てしない内戦が続くことになる。

⑤そこへ起きたのがイスラム国(IS)の勃興だ。民主的?なイラクは分断され、アメリカに「助けてくれ」ということになった。一方、イランは同じシーア派だからスンニ派のイスラム国に勝たせてはならない。スンニ派の盟主・サウジアラビアは、イスラム国が王制に反対する過激派だから潰さなければならない。こうして、敵も味方も入りまじり、訳が分からなくなった。

⑥アメリカは、イラク救援でイランと共通目標ができ、核で話し合う糸口もできた。イスラエルが盛んにやきもちを焼くが、それだけ聞いていたのでは身が持たない。内心は、早く出口を探して中東から抜け出したい気持ちだ。

 冒頭の引用にもどる。

 「カーター米国防長官閣下、戦う意志がなかったのは、本当はアメリカじゃないの?」

 今日から安保法制化の議論が国会で始まる。ホルムズ海峡が機雷で封鎖されたらどうのこうの……。なんと能天気なことよ。←自虐史観。

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