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2015年4月 1日 (水)

中国はどこまで脅威か

 歴史的にも地政学的にも、共同体またはそれに準ずる組織がないのは、中東と東アジアぐらいになった。そういつたことが世界から不安視されていることに、日中韓3国政府は、最近ようやく気付き始めてきたように見える。

 しかし、政府首脳、政治家、マスコミ、その他右翼論陣の排他主義的発言・発想には、何の変化も見られない。対立緩和より、むしろ激化をを指向する言論も依然として健在だ。安倍首相は世界中を駆け回っているが、それは、単に日本の仲間になってもらいたい、という趣旨のようで、それも具体的成果があったようには見えない。

 戦後70年。冷戦から平和共存、地域紛争からテロ、イスラム大混乱と世界は変動し続けている。そして、バスクアメリカーナと称されるアメリカ一極主義に対し、ロシアは多極主義を指向、それがウクライナ情勢に独・仏の仲介という形で微妙に反映した。

 その多極主義は、発展途上国の盟主といった形で中国も採用している。昨今の新聞によると、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の参加表明国が、50に迫る勢いで、これには、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアなどヨーロッパのG7がすべて加わり、カナダも参加を検討しているとされる。

 主要国ではアメリカと日本だけが慎重で、アジアの中でもASEANや韓国が参加する中、日本は特異な存在になっている。もともと、こういった国際金融の仕組みは、国際通貨基金(IMF)や世銀、アジア開発銀行など、米欧主導で進められてきた。

 中国は、金融問題でも一極支配を打破したいという狙いがあったのだろう。この狙いは今のところ成功しそうである。むしろ、一極主義に固執しているのが、アメリカと日本だけという、孤立感を味わされる結果になっている。

 そのアメリカも、一極主義に限界のあることを知って修正を加えようとしたのがオバマの出現だった。しかし、バスクアメリカーナは、多民族国家アメリカをまとめる大きなたがの役割を果たしていたことを無視するわけにはいかない。次期大統領選を前に、すこしでも「弱腰」ととられることはしたくない。

 その一極主義をアメリカ以上に堅持・支持したいという、唯一の奇特な国が日本だ。安倍内閣の集団的自衛権促進で、抑止力という影武者になってほしいと願い出ている。これをむげに断りきれない事情がアメリカにもある。

 問題は、中国が安全保障上の脅威になるかどうかである。結論からいうと、日本が一極主義から脱却し、9条を持つ現憲法を維持するかぎり日本を攻撃してくるようなことはない、と塾頭は考える。

 中国の太平洋進出や南シナ海支配は、アメリカの覇権主義が台湾の独立や大陸反攻を助けるようなことにならないようけん制するということだろう。中国の多極主義のひとつに、日本ではあまり報じられないが上海協力機構(SCO) というのがある。

 中国とロシアのほか、旧ソ連圏のカザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの計6か国による多国間協力組織、もしくは国家連合である。「なんだ、旧共産圏のお仲間組織か」という人がいるかもしれないが、かつて中ソは、国境問題で戦火を交えたこともある隣国だ。

 また、インド・パキスタン・モンゴルなどがオブザーバー参加しており、共同軍事訓練などが計画されている。これに、一時アメリカがオブザーバー参加を打診したようだが、あっさり否決された。これほどアメリカに対しては信頼度がないとも言える。

 何を言おうとしていたかというと、中国は隣国とも多極主義で臨もうとしているということで、話し合いにより紛争や拡張主義を閉じ込めようとする方針をとっているということである。

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コメント

それにしても『価値観外交』だとか『地球儀を俯瞰する』外交だといって短期間に50カ国も訪問した安倍首相(日本)ですが、
中国包囲網の完成どころか、気がつけば日米以外の世界の主要な50カ国がAIIBに参加。これでは日本(安倍晋三)の面子が丸つぶれですよ。
4月末には米議会での演説と言う晴れ舞台があり、これはミレニアムの小渕総理(平成の借金王)以来の出来事。
大事件です。
今年は敗戦後70年で、50年の節目で出された村山談話(日本が悪かった)をなんとかして無効にしたい安倍と、そのお友達。
米議会演説の3日前にはインドネシアで開かれるバンドン会議60周年の首脳会議に出席するが、何を言うか今から心配です。
無難に、今までの平和国家日本を継承すると言うのか。(世界は納得するが『日本は悪くない』との日本の右翼が納得しない)
それとも念願の靖国路線(日本は悪くない)を世界の前で表明する心算か。
二つに一つなのですが、どちらにしても大騒ぎに成ります。
これは安倍晋三一人の話では無くて、日本国としても進退窮まる正念場です。

投稿: 宗純 | 2015年4月 2日 (木) 09時59分

外務省は事務次官より偉いのが米国大使。
中には優秀なキャリアがたくさんいると思いますが首相の趣味に合った意見しか聞かない。

耳に痛い話は「レッテル貼り」だとか「定義がない」と退け、要職から退けるようなことしてるんでしょう。

安倍流人事を見てるとそうしか思えない。学者はW・SとかY・Sなどの説しか聞かない。このまま子供の支配を続けると、党そのものもダメになりますね。

投稿: ましま | 2015年4月 2日 (木) 17時07分

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