生まれてないからわからない?防衛相
下は毎日新聞の報道だが、中谷元防衛相が、防衛省の「文官統制」の法律ができた頃まだ生まれていなかったのでその趣旨がわからないという趣旨の発言があったことを伝えた。他紙の扱いは簡単で、その最後の部分は見当たらない。
中谷元防衛相は27日の記者会見で、防衛官僚(背広組)が自衛官(制服組)を監視する「文官統制」の根拠とされてきた防衛省設置法12条の規定が、軍部が暴走した戦前の反省を踏まえて盛り込まれたかどうかを質問され、「そういうふうに思わない」と語った。規定が盛り込まれた経緯を問われると「これ(同法)ができたのは1954年。私はその後、生まれたわけで、当時どういう趣旨があったかは分からない」とも述べた。
中谷氏は自衛隊出身だが、他の自衛隊出身議員と違って、慎重で見識もあり、上のようなやや投げやり発言をする人とは思わなかった。あるいは、事情は知っているがそういったことを無視して法改正をせく現安倍政権に、業を煮やした上での皮肉発言か?。
そういった逃げ口上が通じるようでは、日本もいよいよ危ないということになる。歴史認識としてというより、世界に通ずる常識として反戦塾は教材を提供しておかなければならない。日露戦争に参加し、のち海軍大佐に昇進した水野広徳(1875・5・24 -1945・10・18)は、軍国主義はなやかな時代、すでにこんなことを書き残している。
軍人というものは、戦争という国際大競技会に出場する選手のようなものだ。出場する以上は観衆によい勝ちっぷりを誇示したくなるのが人情である。相手を破って勝利の優越感に浸りたくなるのも自然の勢いかもしれない。強大な軍隊と精鋭な兵器を手にした軍人は、空砲を打つだけでは満足できなくなり、敵を求めて実弾を撃ってみたくなる。(中略)軍人が政治の実権を握る国は常に戦争の危険がある。(木村久邇典『帝国軍人の反戦』朝日文庫、所載)
そのほか、関東軍の陰謀で満鉄の線路を爆破し、敵兵の仕業として中央の方針にそわず満州事変のきっかけとして戦線拡大したこと、中国の盧溝橋で偶発的な銃撃戦が起き、政府の事態収拾方針に反して戦線拡大をした軍部など、下剋上といわれる軍部が勝手にやったことでも罰せられることはなく、その後の勝利などでかえって昇進の道が開かれるなどの事実は枚挙にいとまない。
それらは多くの歴史書、参考文献がすでにあり、一部の歴史修正主義者が奇をてらった論文などもあるか、多くを勉強し総合的な判断をすれば分かることだ。
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