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2015年3月10日 (火)

戦後生まれの大誤解

 今日は有名な東京大空襲から70年目にあたる。3月5日付のエントリーで「70年前の《今》⑥」で、その総指揮をとった米軍ルメイ少将のことに触れたが、本日の毎日新聞「余禄」には、関連する次のような記録があるので、紹介しておこう。

 「語るに落ちる」は英語で「舌はいつも病んでいる歯に向かうという。やましいことはつい口に出るならば、これはどうか。「空襲の目的は都市の一般住民を無差別に爆撃することではなかった」▲1945年3月10日の東京大空襲を行った米軍の作戦任務報告書の前書きの一節である。傍点部はアンダーラインが引かれている。報告書の前書きが異例なら、アンダーラインも例がない。さぞ歯がいたんだのだろう(奥住義重他著「新版・東京を爆撃せよ」三省堂)▲いやもっと直接には、焼夷弾爆撃を指揮したルメイ米軍少将の「負けたら我々は戦争犯罪人だ」という発言も伝わっている。さらにその2年前、砂漠に作った日本の住宅地の模型で燃焼実験をし、東京の下町を焼夷弾攻撃に「最も適した地区」と判定していた米軍だ。(以下略)

 今や、戦後生まれは8割に達し、戦争を知る国会議員は1割を切っているだろう。東京裁判は勝者の裁く一方的なもので、検閲制度の下言論の自由は奪われ、国民は洗脳され、新憲法を押し付けられた。これらに対し抗議もせず、暴動も起きず、テロもおこさず、国民はひたすら屈辱を耐え忍んだ。

 これが、戦後レジームであり、安倍首相らが唱えるのはそこからの脱却である。アベノミクスだけが有名になったが、塾頭はその一連の動きをアベのミリタリルックと名付ける。戦後生まれの多くがそれに同調してないことは知っている。

 しかし、原爆投下を含め、どうして日本人はそれを追求し、抗議してこなかったのか。歴史認識と言っても、日本だけが責められるのは不公平ではないかという疑問は、戦後生まれの多くの人が抱くのではないか。

 コインの裏表のように、物事にはすべて2面がある。どちらかが正しくて他の一方は正しくないというのは、アベのミリタリルック流の決め込み方だ。ただし、ウソと本当だけははっきり見極めなくてはならない。

 まず、本当のことを言おう。8月15日の終戦の詔勅を聞いて、ホッとした人、ガックリした人、今流で言えば「頭が真っ白」になった人がほとんどで、悲憤慷慨して自殺した人など(失敗した人もいるが)、まあ、ごく少数派であろう。

 なお、終戦記念日は間違いで、「敗戦」というべきだという意見があるが正しくない。敗戦が成立したのは9月2日の米艦ミズリー号で交わされた降伏文書交換で、それまでは戦闘を一方的に停止宣言したというだけで警戒はまだ続いていた。

  GHQ(占領軍)は日本国民にどう映ったか。鬼畜米英のはずが丸腰でやってきて、子供にはチョコレート、大人には民主主義と基本的人権(男女同権・労働運動・占領政策に反しない言論の自由)を押し付け?た。

 憲法もその一環だが、もともと日本になかった考え方ではない。軍の掣肘を解き放してくれた存在だ。隠忍自重、悲憤慷慨の涙にくれた人などいない。もっとも、戦争協力者で戦後公職から追放された人の中にはいるかも知れないが。

 次は、原爆や無差別爆撃のことだ。そもそも、人道的云々を言いだしたのは、第一次世界大戦による一般市民の悲惨さを人類が味わってからだ。しかし戦争が始まってしまえば話は別。とにかく勝たなくてはならないのだ。

 勝てば、正義はすべて勝った方につく。勝った方の残虐行為は正義への道程として黙視される。負けた日本人が戦後抗議をしなかったのは、「戦争とはそういったものだ」ということを承知していたからだ。軍人と非戦闘員の区別などしていない。

 戦中、敗色が濃くなってきた頃、原爆(そういった新兵器)のようなものを開発する話を聞いたことがある。それが実現して、形風船爆弾で米本土に……などという夢想もあった。日本が先に発明すれば、躊躇なく実戦に使っただろう。化学生物兵器もそうだ。大量殺傷戦術に関心を持ったのは、お互い様なのだ。

 だから、負けておきながらそんなことは恥ずかしくて言えなかったのだ。広島の原爆碑に「過ちは繰り返しません……」とある。その主語がない、と問題にする人がいる。碑の作者の意向は知らぬが、日本人が被曝犠牲者に訴えているのだ。

 人類が再び原爆を使うような過ちは、日本人が先頭に立って阻止します、という願いと誓を書いたものというのが、塾頭の考えることで、それに尽きるのではないか。つまり、現憲法の存在こそ戦後70年の日本の平和を支え、これからの世界人類の平和を先導するかけがえのない礎になり得る財産だと読むのが至当で、アベのミリタリルックの考えが及ぶところではない。

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コメント

先日NHKの特集番組「東京大空襲はなぜ行われたか」というばんぐみで、ルメイが提唱する絨毯爆撃に最後まで反対し軍事施設爆撃を提唱し続けた「ハンセル少将」のことが紹介されていました。
その結果は、ハンセルの攻撃は効果が無いとされ左遷され、ルメイが指揮の全権をになうことになりました。
ところが、その絨毯爆撃も効果が無いことが判り、日本全土を焼き尽くす計画へとルメイは進んでいくというストーリーでした。

このように、あのときに隠蔽された事実がこれからもどんどん出てくるのでしょうね

投稿: 玉井人ひろた | 2015年3月10日 (火) 19時26分

玉井人ひろた さま

私も詳しいことを知りませんが、ここがアメリカの情報公開制度のものすごい所だと思います。

個人の権利や人種差別その他日本と違って葛藤の多い国ですが、バイ・アメリカンという点では一致する。

日本の秘密保護法など、とても及ぶところではありませんね。

投稿: ましま | 2015年3月10日 (火) 20時46分

ずいぶんアメリカを買ってますね。

これが、戦後を生き抜いた方からの言葉だから恐れ入る。
それだけ、進駐軍が実行したWGIPが効果があったという証拠でしょう。

投稿: makoto | 2015年3月11日 (水) 16時04分

江藤淳受け売りですか。

そうだとしても、そのどこがいけないんですか?。

投稿: ましま | 2015年3月11日 (水) 20時15分

いや、いけないとは言ってないけど、ずいぶんアメリカに好意的だなと思って。

>GHQ(占領軍)は日本国民にどう映ったか。鬼畜米英のはずが丸腰でやってきて、子供にはチョコレート、大人には民主主義と基本的人権(男女同権・労働運動・占領政策に反しない言論の自由)を押し付け?た。

ここの特に、「占領政策に反しない言論の自由」って言葉。
反アメリカの言葉は徹底的に禁止してたでしょ。
それと、戦争中日本がいかに悪かったかってことを、ラジオ番組などを使って宣伝しまくったし。

あなたの意見を読むと、GHQの狙い通りに成長したんだなって思います。

今のアメリカは吐き気がするほど嫌いだが、
日本国民を一部の軍部の極悪指導者から解放してくれたあの当時のアメリカ様、ありがとうございます、って感じですか。

投稿: makoto | 2015年3月12日 (木) 01時48分

makoto さま

<コインの裏表のように、物事にはすべて2面がある。どちらかが正しくて他の一方は正しくないというのは、アベのミリタリルック流の決め込み方だ。ただし、ウソと本当だけははっきり見極めなくてはならない。

 残念ながら、この部分を味わってもらえませんでしたね。反米と好米、反日とか嫌韓。どうか二者択一を卒業してください。

投稿: ましま | 2015年3月12日 (木) 10時25分

二者択一?

でも、ましまさんは、
戦前の日本は悪だった
ということを、絶対の真理のように信仰していますよね。
二者択一にもなっていない。

投稿: makoto | 2015年3月12日 (木) 16時19分

これもよく読んでいない。

「お互いさま」「勝った方が正義」と言ったでしょう。

物事は四方八方から見るようにしてください。

投稿: ましま | 2015年3月12日 (木) 20時30分

少なくともあなたよりは見ています。

投稿: makoto | 2015年3月13日 (金) 16時20分

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