« やればできる自・公 | トップページ | 安倍チャン、困ったな? »

2015年2月13日 (金)

「立憲デモクラシー」

 ちょっと旧聞に属しますが、去年の4月18日、法学者・政治学者など約50人により「立憲デモクラシーの会」が結成されました。ただそれだけでは、なにを主張する会なのかよくわからないと思います。

 その発表の場で、中野晃一・上智大学教授は設立趣旨を次のように語っています。

 『壊憲』の動きが進みつつある中で、今私たちが目指すのは『護憲デモクラシーの会』ではない。護憲・改憲の立場を越えて、立憲主義の立場で連帯することだ。

 また、石川健治・東京大学教授は、デモクラシーを「絶対主義的」と「立憲主義的」の二つに分け、「絶対主義的デモクラシーとは、多数者の専制のことだ」として退けました(以上『週刊金曜日』14/4/25、5/2より)。

 「立憲主義」とは、そのほとんどが王政だったヨーロッパで、王様の勝手な振る舞いで政治をしてはならない。こういう方針でこれを守らなくてはならないという、民衆が為政者に制限を加えた契約が「憲法」であるという考えです。

 したがって、「国民はこれこれをしてはならない」という麻薬取締法のような一般の法律とは全く違うわけで、立憲主義憲法は先進国のほとんどで採用されています。しかし、自民党の改憲案には「国民の義務」的な表現がちりばめられており、この点から問題視されています。

 どうして、こんな古い話を持ち出したかというと、立憲主義に関係はないのですが、過日、ある裁判員裁判(一般市民が指名により参加する裁判)で、容疑者に死刑判決をくだしたところ、最高裁で無期懲役に変更されるという事件がありました。

 これに対して、「一人しか殺していない容疑者を死刑にはしないという判例を根拠に、最高裁が判決を覆すのはおかしい。司法改革を後退させる愚挙だ」と、おおいに立腹する投書が新聞に載っていました。そうしてこういった考えが一般的になったのかな、と感じたからです。

 裁判官は、法令に従って判決に参加します。法令のない場合は判例を法律同様に尊重して判断を下します。法令や判例は時代とともに変るもので絶対とはいえません。しかし、そういった規範を無視して一時の感情で判決がなされたらとんでもないことになります。

 政治についても同じことがいえます。気に食わなければ、政治家になって法律を変えればいい、多数さえ得られれば、大阪都構想も官公労規制も思いのまま、憲法の解釈を変えれば、議会の過半数で法律を作り、事実上の軍隊も持てる――それが民主主義だとする、つまり上記の「絶対主義的デモクラシー」に当たると思います。

 私見ですが、王制の歴史がなかったアメリカには、ややこれに似た発想があるように思えます。町の掟、民衆裁判、州法など、自由と民主主義は尊重されるが、伝統というものは根付いていません。

 小泉時代に進展したいわゆる「規制緩和」や○○改革では、こういったアメリカ流民主主義によるものが多く、明治時代に独法や英法を基礎とする日本の法律と、やや齟齬をきたしているのではないかと思えるのです。

|

« やればできる自・公 | トップページ | 安倍チャン、困ったな? »

憲法」カテゴリの記事

コメント

これは議院内閣制の負の一面なのかもしれませんね。
やはり、いまだからこそ参議院の改革が必要な時なのではないでしょうか。
日本の参議院にもアメリカの上院のように、何か一つ衆議院とは異なる決定権限があれば、日本の政治は変る気がするんですがね。

ただ、日本の議会はイギリスを模範にして出来上がりましたが、その師であるイギリスでも日本の参議にあたる貴族院は、ほとんどの権限(財政、司法など)がはく奪されお飾りにされてしまったようですから、改革は難しいのかもしれません(議決の1年間延長権はまだある)


投稿: 玉井人ひろた | 2015年2月14日 (土) 16時45分

玉井人ひろた さま
詳しい解説ありがとうございました。

そういえば参議院というのがありましたね(失礼(゚▽゚*))。

同じような選挙制度、政党という選択肢、どっちでもいいような見栄えのしない候補者……。

二院制がうまく機能しているお手本というのはないのでしょうかね。

投稿: ましま | 2015年2月14日 (土) 17時28分

( ̄ー ̄)ニヤリ
日本の報道の自由度は、五十何位まで下がったそうですが、
そんなに日本は言論の自由が束縛されているのですかね。
最近の安倍政権下では、その傾向が強いとは思いましたが、そこまで自由でないとは・・

投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2015年2月15日 (日) 04時20分

特に総選挙前の自民党から各社への「公正申し入れ」文書が出てからテレビの「自主規制」はひどいようですよ。

プロジューサーとか司会者の干渉ぶりは、出演者の話として、雑誌系を中心に多々明らかになっているようです。

投稿: ましま | 2015年2月15日 (日) 15時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/58921715

この記事へのトラックバック一覧です: 「立憲デモクラシー」:

« やればできる自・公 | トップページ | 安倍チャン、困ったな? »