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2015年2月 6日 (金)

旧・イラク国歌

♪バース党の戦士よ 堅固なるすみかのライオンよ
 輝かしき勝利のために前進せよ
 我らが大地に
 カリフ=ハルン・アル・ラシッドの御世を復し給え……

 もうそろそろイスラム国ネタを抜けたいと思っていたが、古い本をあさっていたら見つかったのが上の歌だ。湾岸戦争ぼっ発直後の1991年に書かれたj松井茂『イラク・知られざる大国』と題する中公文庫にあった。

 一読したあとの結論は、独裁者フセインの時代がイラク国にとって、アメリカ侵攻前よりずっと幸せだったのではないかということである。もうひとつは、当時支配していたバース党讃歌ではなく、カリフの時代を目標としていることである。

 まさか、今のイスラム国がそれだ、とは思っていないだろう。産経紙によると、国会で首相の言動を疑問視する発言などにに対し、「彼はイスラム国の支持者」などというレッテル貼りが始まっているというから、用心が肝要だ。

 塾頭は、イラクに出向していたプラントメーカーの社員と交際があったので、フセイン時代の国情などを聞く機会があったが、独裁者・サッダーム・フセインの圧政に国民が苦しんでいるなどの話はなかった。

 大統領は、隣国クウェートを不法侵略した独裁者で、極悪非道の政治家というイメージが定着したのは湾岸戦争後のプロパガンダのせいであろう。シリアのアサド大統領と同じバース党による社会主義政体であった。

 また、国内人口からすると少数派のスンニ派出身であるため、多数派のシーア派やクルド族への配慮も、民主的にシーア派から多数で選ばれた現マリキ政権よりコントロールされていたようだ。すくなくとも今のような露骨な国内対立はなく、独裁的だから可能だったのではないか。

 以前にも触れているが、目標としたカリフの時代を前掲書から引用しておこう。

イラクの抱えるメソポタミア(二つの河の間の土地という意味)は、世界の四大文明の発祥の地の一つであり、世界最古の文明都市が開花した。古代バビロン帝国は周辺諸国を制圧し、地域のセンターとなった。さらに、後のアッバース朝の時代には、バグダードはイスラム世界の中心となり、中でもカリフ(教主)のハルン・アル・ラシッドの時代は栄華を極めた。

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