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2015年2月22日 (日)

安倍サーカス

 集団的自衛権容認の閣議決定を受けて、安全保障法整備の与党協議が進められる。改憲路線をひたはしる安倍首相の顔には、最近あせりも見え始めている。そこでのキーワードは「後方支援」と「地理的概念」だ。

 難しい話になるので、「おやじ談義」風に書いてみよう。まず「後方支援」である。
 「後方支援は、戦闘地域ではない場所で行う物資や兵員の輸送などを指すのだから、戦争や軍事行動に当たらない」などといっている。

 そこには、敵から見れば、という視点が全く抜けている。日中戦争を含め、これまでの戦争の常識から見るとナンセンスだ。敵地奥深くまで攻め込んだ攻撃兵も、連日戦い続けるわけにいかない。食糧や弾薬も補給がなくなれば守備側の方が有利になる。

 そこで、長く伸びた補給線を急襲し混乱させる。それが少ない兵力で可能な、効果的戦法だからだ。戦闘地域でないなどの理屈は、全く敵には通用しない。「戦闘になったら逃げてくる?」とんでもないことだ。逃げるという行為は、最大の犠牲を覚悟しなければできない話だ。

 朝鮮戦争を例にとってみよう。北朝鮮軍は破竹の勢いで半島を南下してきた。米軍の反撃は当然予期されたものだ。その出撃基地は日本国内にあり、物資も日本国内で調達して送られる。これが「後方支援」で、遠いアメリカからの補給ではない。

 現に北九州への攻撃をおそれ、警戒警報まで発令された事実がある。上陸地点の機雷除去に参加した海上保安庁の船が触雷・沈没して犠牲者を1人を出した。北朝鮮から見れば日本は敵国であり、アメリカと38度線で停戦するがいまだに戦争状態が続いているのだ。拉致は知っていても、韓国のように国交回復50周年などとは言えない関係にあることを知らない人がほとんどだ。

 次が地理的概念だ。安倍首相の祖父・岸総理の時代にできた安保条約をあらためて読んでいただきたい。地理的概念は「極東における国際の平和及び安全」が3回でてくる。これは在日米軍の任務の範囲と読める。

 もうひとつは第5条である。「各締結国は、日本の施政下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和および安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とある。

 5条はまさに「集団的自衛権」そのもので、前文にしっかりその精神をうたったいる。ただ、その地理的条件を日本の領土・領海・領空に限っており、アメリカの安全は、在日米軍を含む日本に滞在するアメリカ人およびその財産と見なされる。

 それを、恒久法で全部外し、地球全体まで広げようというのだから暴挙だ。たとえ、軍事行動にでなくても、前段でいったように戦争ができる国の軍隊と共同作戦の最中に、途中で「やーめた」といって日本だけ帰って来るというのは至難の技である。戦争とはそんな生易しいものではない。

 この法制化は、憲法に違反するだけではなく、日米安保条約を改定しなければできない性格のものだ。裁判による司法のチェックもあるし、アメリカでも当然議論が起きる。自公でごちゃごちゃやってはみるが、どだい無理な話しなのだ。安倍一派はそれを承知の上で綱渡りをしている。

 そんなに無理ならば、憲法の方を変えましょ、さあ、国民の意見を聞きましょ、というのが彼らの究極の作戦に違いない。本当は、あっさりこの法律を通してしまった方が安倍一派は困るのではないか。国民はそんな下手なサーカスを見たくはない気持ちだ。

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コメント

日本の航空自衛隊の戦闘機はミサイルをたった2本だけしか積まない規定になっています。

それに対し、中国や韓国、ロシアの戦闘機はフル装備(ミサイルは6~8本)で飛来してきています。

自衛隊員の防御と言う点でも、まずは、その辺の規制の検討をしたほうがいいように思うのですが、これは危ない考えなのでしょうかね?

投稿: 玉井人ひろた | 2015年2月23日 (月) 19時52分

スクランブルをかけたり、逃げたりするにはその方がいいからでしょうか?。

投稿: ましま | 2015年2月24日 (火) 07時50分

仰る通り、戦闘機は退避する場合装備を軽くして最高速度まで上げられるようにします。当然、緊急時にはミサイルなどの装備は捨てるようになります。

しかし日本の場合は少しはその要素も有りますが、政治的な理由からです。
共産党を中心に、軍事費縮小を訴えてきた人々に対応するように「戦争しないのだから」という理由で、必要最小限の装備という理由からミサイルは2本になっているようです。

戦闘機のミサイルは2本一組で発射されます。つまり、航空自衛隊のパイロットはたった一発だけでスクランブル発進し、フル装備の領空侵犯した外国戦闘機に向かって行ってることになります。

これは、警察官が拳銃に球を1発だけ入れて現場に行くのと同じことですよね。

投稿: 玉井人ひろた | 2015年2月24日 (火) 19時13分

与那国島で自衛隊配備の常民投票が行われましたが、駐屯するなら完全装備、中途半端なものならしない方がいい。

登山でもそうですが、完全装備で行くか、軽装で危険を避けいつでも避難できるようにするかを決めるてかかるべきです。

領海侵犯の取り締まりは、海保の警察行為です。領空も警察行為のスクランブルなら警告射撃程度の装備でいいのではないでしょうか。

中途半端が一番いけない。まして、政治的配慮がらみでは現場が気の毒。

投稿: ましま | 2015年2月24日 (火) 20時35分

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