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2014年12月17日 (水)

新・千夜一夜①

 塾頭の古い友人でオマル三木(仮名)さんという、当時としては珍しい国際カメラマンがいた。いつ入信したのかわからないが、ムスリムである。以下、彼から聞いた話だが、なにしろ古い話なので、正確さを欠く。語り手を「私」=オマルさんとした創作として聞いてほしい。

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 今回は、原油の積出港のあるペルシア湾のバーレーンからサウジアラビアに入ることにしました。
 ペルシア湾というのは、イランの湾という意味で、サウジでは仲の悪いイラン=ペルシアを使わずアラビア湾と呼びます。(塾頭⇒韓国では日本海を東海といいたいのと同じね)

 すぐ近くに、小さな半島だがカタールという王国があります。やはり、石油のおかげで有り余るほどのお金があります。使い道に困ってジェット戦闘機を買いました。王さまはどう使っていいのかわからないので、王妃や王子たちを屋上に集め、アクロバット飛行を見せ楽しんでいるそうです。

 サウジは観光ビザなどなく、就業ビザか巡礼ビザが主です。だから一般の人はなかなか入れません。(塾頭⇒そういえばTVの観光番組など見たことがない)。日本から首都リヤドへの直行便はなく、普通はヨーロッパまで行って乗り換えるか、東南アジア・バーレーンと2回飛行機を乗り換えるかです。

 私は、長旅になりますが途中産油地帯を通って行く鉄道を使うことにしました。その車中でハプニングがありました。日本でいえばグリーン車ですが、地位の高そうな人と乗り合わせ、草履のはな緒を切らせ困っているのです。

 見かねて私がそれをすげてあげると、大変喜びました。(塾頭⇒その頃まで下駄ばきの多かった日本では誰でも簡単にできたこと)。そして、リヤドで「招待するから王宮においで」というのです。なんと、王子さまだったのです。

 その日、王宮の前まで行くと人が並んでいます。聞くと、毎週1度国民なら誰でも王様に会って意見や話ができる日が決めてあるそうです。この国には、議会とか選挙はないが「最も優れた民主主義がある」と自慢していました。

 大変なおもてなしを戴いたのですが、女性は一切客の前に姿を現しません。こういったことは実に徹底しています。リヤドは、整然とした立派な街で、まわりは砂漠ですが、高層アパートが整備され公園には噴水や草花など緑も豊富です。

 今回は、この国のベドウィン(遊牧民)取材が目的なので、その後砂漠に出かけ、彼らのテントを訪れました。そこでの話です。

 「リヤドでは立派な公営アパートを建て、空き家も多いそうですが、どうして砂の上がいいんですか?」
「そりゃあ、空気きれいだし寝心地なら砂が一番だからさ」
「排泄物とか生ごみなどは?」
「みんな近くに捨てるよ。1週間と同じ場所にいないから。何年かあとに同じ場所に戻った時は、清潔なもとの砂漠さ。自然がきれいにしてくれる」

 「飲み水は?」
「らくだがいるだろ。やつらは、掘ったら出てくる塩水でも平気で飲む。羊もたくさんいるしね。やつらの乳を飲んでいれば不自由はしないね。必要なものは商人が回って売りにくるし羊なども買ってくれる」

 「だから客人は大切にするよ。たとえ親の敵でも3日は大切にもてなせとね。コーランの教えだ」(塾頭⇒日本の任侠がいう一宿一飯の仁義と似ているが、前にアフガンでウサマ・ビン・ラディンを匿ったことについて関連付けたことがある)。

 「牧草地を求めて移動する生活ですが、最近は国境でもめています」
「砂漠に戦が引いてあるわけでなし、俺たちは行けるところなら草を求めてどこへでも行く。関係ないね」

 「リヤドでも石油採掘・精製工場でも働いているのは、ほとんどがインド人、パキスタン人、フィリピン人など外国人。石油は神から与えられた贈り物、信者全員で分け合うのがイスラムの掟。政府はそういったことからも新しい仕事で都会に定着させたいようですが」

 「ごめんだね。一か所で毎日朝から晩までメーターとにらめっこ。男のやる仕事ではないよ。まあ、タクシーの運転手なら、自分の意思で動き回れるからやってもいいがね。同じ場所にいなければならないのは不潔だよ」

(以下次回)

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