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2014年12月 1日 (月)

モンロー主義

 「モンロー主義」、アメリカを語る時必ずと言っていいほどでてくる言葉である。それが、いい意味であったり悪い意味であったり、使う人により位置によってそれぞれ変わってくる。すでに死滅した歴史的用語として引き出しにしまっておればいい、という意見もあるが、塾頭はそうは思わない。

 オバマ大統領が、変転する世界情勢の中で迷走気味にみえるが、よしあしは別にして、アメリカにモンロー主義が建国以来生き続けている証拠のように見えるのだ。半世紀以上ひとことも変わっていない「日米安保条約」、その同盟の相手方に対し、集団的自衛権容認などを言う前に、そう長くはないアメリカの歴史を熟知しておく必要がある。

 モンロー主義といわれるのは、建国後ほぼ半世紀を経た1823年に、第5代大統領・ジェイムス・モンローが、ヨーロッパの権力政治から切り離した民主主義に立脚するアメリカの西半球大陸を築くためとして、ヨーロッパ諸国の干渉を避けることを目的に、同盟、密約などを一切排除し孤高を保つ「モンロードクトリン(教書)」を発表したことによる。

 これは、その時に始まったのではなく、建国の祖ジョージ・ワシントンが大統領退任演説で「世界のいずれの国とも恒久的な同盟を締結しないことこそが、我が国の真の方針である」といっている。日米同盟はこれに反しているわけだ。

 その後、第一次世界大戦でモンロー主義を固守していたウッドロウ・ウイルソン大統領は、ドイツ潜水艦による米国旅客船攻撃で大量の米国民の死者が出るに及び、中立国に対する違法行為を見逃せないとし、戦争を終わらせるため、なくするためのやむを得ない措置として参戦する。

 第二次大戦も、真珠湾への不意打ち攻撃が「悪を殲滅する」ための対日宣戦布告となり、3日遅れて、独・伊も対米宣戦布告した。この戦争も末期に至り戦争再発を防ぐ国際機関再建が議論されるが、第一次大戦後のウイルソンの意向を受けついだものだろう。

 しかし、大戦のあとのソ連による「革命の輸出」が警戒され、朝鮮戦争・ベトナム戦争など米ソ対立の代理戦争が続発した。自由・民主主義を国是とするアメリカは危機感を強め、防共包囲網として日米同盟やNATOの結成により、モンロー主義終焉を思わせた。 

 ソ連圏の改革・解放が進んだのちも、ジョージ・W・ブッシュが始めたテロとの戦い、ならず者国家などという言辞のもとの中東紛争への介入、そして、行き場を失ったようなオバマの世界戦略が続く。「世界の警察官」という発想は、モンロー主義主張の一環として「米州大陸の警察官」位置づけで生まれたものだ。

 今のアメリカは、混迷の国際政治からモンロー主義の原点に立ち戻り、平和の維持発展、自由と民主主義を立国の根幹に据えた立国の理想をこれからどう再構築するか、模索の時期にさしかかっているように見える。

註)ワシントン演説は、西崎文子『アメリカ外交とは何か』より。

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