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2014年11月21日 (金)

「平和主義」詐欺

 我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。

 自民党の憲法改正草案前文である。塾頭はこの草案の文章が至って未熟であることをかねてから指摘している。太字の部分「平和主義」は、誰の主義なのか、どういう意味なのか、自民党に聞けばいいのだが、あなたはわかりますか?。

 そこで、『広辞苑』を開いてみた。

しゅ-ぎ【主義】(Principleの福地源一郎による訳語)①思想・学説などにおける明確な一つの立場。イズム。「自然-」「マルクス-」②特定の制度・体制または態度。[資本-]「民主-」③常々持っている意見・主張。「事なかれ-」「肉は食わない-だ」-・しゃ【主義者】一定の主義を持つている人。かつて、俗に社会主義者・共産主義者・無政府主義者などを指した。

へいわ-主義【平和主義】(Pacifism)①平和を理想として一切を律する思想上・行動上の立場。②狭義には一切の戦争(民族解放戦争などをも含めて)を悪として否定する立場。「絶対-」

 塾頭の常識とそう違いはない。すると、たいした意味もなく「肉は食わない主義」のようにただ飾りにつけただけなのか。それではあまりにも軽率・不謹慎の極みだ。「いやそんなことはあるまい」と思い返し、若手学者・松元雅和が書いた『平和主義とは何か』という本を買ってきた。

 しかし、政治哲学として言葉の意味を分析した学術書なので、自民党案にある意味は分からずじまい。ただ、広辞苑の「平和主義」にある2分類が①「平和優先主義」②「絶対平和主義」として紹介されていた。

 ②は、クエーカー教徒のような、宗教的信条か、ガンジーの無抵抗主義に通じるもののようでWikipediaなどはそれをメインに解説している。塾頭など、自衛隊の専守防衛を認めるのは①に含まれるのであろう。

  平和優先主義といっても、現在の世界では「正しい戦争」と「不正な戦争」を区別して判断し、正しい戦争には買ってでも加わらなければならないという風潮が軍事大国などにある。自衛のためなら、すべてが「正しい戦争」になる。

 太平洋戦争は、日本が自衛のためであればアメリカも自衛のためである。近代になって、「自衛」を掲げなかった戦争は1件もないと言っていいだろう。フォークランド紛争でも、湾岸戦争でも侵略者に「自衛」の口実が成り立たないわけではない。

 国連安保理が拒否権にあい機能不全になっているという非難は当たらない。むしろ、平和主義に立てばこそ、軽率に「正しい戦争」のお墨付きを大国に与えることができないでいるのだ。つまり正常に機能していればこその結論だ。

 極論すればこうなる。国連常任理事国に「平和主義」はない。米英仏ソ、国連結成後何度も戦争で手が汚れている。また、中国も拡張主義的軍備拡張に余念がない。東大名誉教授の油井大三郎はアメリカを「好戦の共和国」と断じているほどだ。

 そのアメリカと、軍事同盟上の集団的自衛権を容認しようとという安倍内閣である。「平和主義」を唱えるとなると、これはあまりにも見え透いた詐欺というほかないではないか。前掲書では、平和優先主義に軸足を置くにしても、次のような平和への道筋をえがいて見せる。

 非暴力の価値を「最大多数の最大幸福」に帰結させること、つまり「およそいかなる平和も、たとえそれがどれほど正しくないものであろうとも、もっとも正しいとされる戦争よりも善いことは確実である」という16世紀以来存在する思想的淵源に由来している。

 この種の平和主義が「国内的な変革が国際的な協調に繋がる」というアイデアが「民主的平和主義」として発展させることができれば、というのがやや荒っぽい要約ながら、同書の結論となっている。

 日本国憲法9条の精神を生かして、如何なる名目であろうと海外への武力行使は一切行わない、戦争回避のための平和構築に協力を惜しまないという、北欧やニュージーランドなどの有志国連合を盛り立てること、これが当塾が考える「平和主義」だと言っておこう。

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日本国も「政治」も迷宮から脱失できずますます暗闇に向かって突き進んでいるように思えます。そしてこの先の見えないないトンネルから先に「あるであろう」見えない光を「あるか ... [続きを読む]

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