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2014年11月 9日 (日)

日中韓に風向きの変化が?

 日中首脳会談が行われる見通しとなったことに関し、両政府は7日、4項目の合意文書を発表した。合意した内容は、次のようなものである。

 (1)日中の戦略的互恵関係を発展させていく(2)歴史を直視し、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた(3)尖閣諸島など東シナ海の海域で近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態を回避する(4)政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努める。(NHK)

 これらに関し、対日強硬姿勢で足並みをそろえていた中国と韓国のマスコミの風向きに明らかな変化と違いが見られる。中国はトップニュースで合意を伝えた。その内容は、緊張緩和を評価するものの、これを日本側の譲歩で中国外交の勝利としている。ただ、両首脳の会談については直接触れず、「会見」はあるものの「会談」ではない、という苦しい言い訳をしている。

 一方、韓国は日本などの報道を引用するだけで、最近の関心は「独島(竹島)入島支援センター」の建設保留措置に向いている。それは、全く韓国政府の外交政策の後退であり、敗北感さえただよわせたものだ。 

 有力各紙の社説も、韓国政府への不信感は共通しており、朝鮮日報の8日付社説は、「韓日協力委」決議文すら出せない現状、と題して最後をこうくくっている。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/11/08/2014110800554.html

日本政府報道官に当たる菅義偉官房長官は5日、韓国政府が独島(日本名:竹島)入島支援センターの建設を中止したことについて「(日本は)冷静で平和的に紛争を解決する考えを伝えてきた。そういう意味で韓国側が判断したのでは」と述べた。
韓国政府の決定がどのような苦悩や考慮の末に下されたのかをきちんと確かめることないまま、まるで戦闘に勝利したかのように語れるなら、安倍内閣の程度が知れるというものだ。本当に韓日関係を元に戻すのが難しい所まで追い込もうとしているのか、問わざるを得ない。

 日本への攻撃的表現はそのままだが、要は「ちょっとは、こっちのことも考えてよ」といっているようで、中身はこのところ急墜している朴槿恵大統領の人気をどう立て直すのか。朝日新聞誤報問題などもあって、従軍慰安婦だけでは神通力を保てなくなった、それこそ「苦悩や考慮」があったのだろう。

 実は当塾で、鳩山内閣が成立した頃、それまでにあった「中国・朝鮮」というカテゴリを、折にふれ紹介してきた欧州共同体になぞらえ、民主党公約への期待も込めて「東アジア共同体」というカテゴリに変えた。しかし、沖縄の普天間基地移転先問題などで同内閣が崩壊すると、急にその機運が遠ざかり、同時に中国・韓国との関係も悪化の一途をたどる。

 アメリカが鳩山を敬遠したのは、普天間問題ではなく、仮に日中韓でECのようなものができたら、アメリカの世界における経済の主導権が完全に脅かされる、その芽は小さいうちに摘んでおきたいからだ、という説がある。

 日米同盟と東アジア共同体が併存できない理由はないが、アメリカにとってはユーローのアジア版のようなものができれば、ドルが世界通貨としての地位を保てなくなるという危機意識を持つのは当然だろう。

 中国がそれを知らないわけがない。急成長に陰りが見えれば、やはり日中韓のトータルなネットワークを考えたくなる。それを誰が主導するのか。欧州は、チャーチルの提唱が功を奏したが、今のところアジアに求心力となるべき大政治家はいない。

 そして、韓国大統領は3国のうちで最も遠いところにいるという評価になるのだ。最近、潘基文(パン・ギムン)事務総長を次期大統領候補に、という動きがあるという。普通なら、ガセネタとして一笑に付してしまうのだが、大新聞の社説(中央日報11/6)に載るほどだから噂の範囲を超えている。

 塾頭は、かねてから現近代だけのことではなく、長い間歴史の中で大陸と日本の間にあって、朝鮮人がさらされた悩みや痛みを理解しなくてはいけないという信念を持っていた。しかし、それを言うと「日本人の同情など受けたくない」と反発を招くこと必定だ。

  在特会やネトウヨに受けるような政治家が日本を代表するようでは、日本もまたその求心力になれる政治家が育つわけがない。安倍首相の功績は、北朝鮮にしろロシアにしろ「毒をもって毒を制する」程度で終わるだろう。それも成功への道筋は程遠く、起点になれるかどうかもおぼつかない。

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