« 花のない月 | トップページ | 命名は「アベノミクス解散」 »

2014年11月13日 (木)

「道徳」より「修身」の方がまし

 小中学校の「道徳」が教科外活動から「特別の教科」に格上げされることが決まった。「道徳」や「愛国心」はこの十数年、右派内閣の誕生を機にたびたび議論の的になっていたようだ。

 ”塾”を名乗るからには、「教育問題は全く素人で……」という言い訳は通らない。そこでちょっと一言あってしかるべきか。一体「道徳」とは何だろう。塾頭の感じからすると、「道」も「徳」も中国の儒教、つまり孔孟の教えに端を発する。

 王たる者、道を尊び徳を積まなければならない。また臣は礼を尽くし忠節を第一とする。個人というより国や王のための規範だ。英語のモラルや倫理の方がよさそうだが、それではちょっと中身がわかりにくい。

 日本語の「しつけ」「たしなみ」をしっかり身につけるということなら反対の理由はない。英語でいえばマナーだ。「愛国心」とセットになる「道徳」は、どうもうさんくさい。それならば一層のこと、塾頭、子供の頃の「修身」という言葉の方がまだいい。

 「修身」の本来の意味は、自分の行いを正し、身をおさめととのえること(『広辞苑』)で国家的規範ではなかったはず。あくまでも、個人中心だったものを、教育勅語が「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」とごっちゃにしてしまったのが、戦前の「修身」だったのだ。

 「道徳」という教科を画策したのは、文科相の諮問機関・中央科学審議会(中教審)だ。委員の任期は2年。安倍首相はその交代時期に、お友達・桜井よしこ委員を参加させた。有識者ではなく友色者である。

 桜井女史は、張作霖謀殺事件を「ソ連の諜報機関による陰謀」などといって、日本陸軍の大陸侵略を疑問視、田原総一郎をあきれさせた人である。右翼論客の中でも、耳を傾けさせる意見を持つ人もいるが、この人にとってはまず「修身」が必要だ。

 安倍シフトで、子どもにウソや偏見をを押し付けることだけは、願い下げにしてほしい。

|

« 花のない月 | トップページ | 命名は「アベノミクス解散」 »

エッセイ」カテゴリの記事

コメント

櫻井よしこ氏については特段の思いも無い私ですが、
「張作霖謀殺事件のソ連の諜報機関による陰謀説」は少し興味があります。

これは2000年ごろロシアのジャーナリストのポロホロフ氏が発表した「ソ連工作員ナウム・エイチゴンの実行説」を引用したんだと思います。

さらに、東京裁判以前と以後に2度この事件について調べたイギリス情報局が発表した「事件は日本軍がやったのではなく、ソビエトの実行したのだと考えられる」というものも引用しているのでしょう。

さらに、実行犯とされた河本参謀の証言はすべて中国軍が作ったもの、有名な同氏の手記も本人が直接書いたものではないことなどが疑問視されているからでしょうと思います。

実際に謎が多い事件ですが、一番得をしたのはソ連だったことも間違いないようです

投稿: 玉井人ひろた | 2014年11月13日 (木) 15時05分

玉井人ひろた さま
コメントありがとうございました。

昔のことで忘れましたがソ連云々の話はあとから出てきたためにする陰謀論だと思います。

当時の証拠品、関係者に関する事件に直接関係のない現地人の証言、軍部、内閣、天皇までさまざまなかかわった人物の多さ、質などを見ても、陰謀論との比較ではなく、歴史を覆すような納得のいく説明は不可能だと思います。

投稿: ましま | 2014年11月13日 (木) 18時56分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/57973416

この記事へのトラックバック一覧です: 「道徳」より「修身」の方がまし:

« 花のない月 | トップページ | 命名は「アベノミクス解散」 »