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2014年10月26日 (日)

どうなる「イスラム国」

 
 朝日新聞デジタル(10/25)によると、エジプト・シナイ半島北部のアリーシュ近郊の軍検問所で24日、自動車爆弾などによる連続襲撃事件があり、治安部隊の兵士少なくとも31人が死亡した。アハラム紙(電子版)が伝えた。シーシ大統領は同日、シナイ半島北部の一部に3カ月間の非常事態を宣言したとエルサレム発で伝える。

 この事件は、速報として各紙で伝えられており、読売はカイロ発でロイター通信などを引き次のように伝えた。

エジプト北東部シナイ半島のアリーシュにある軍の検問所で24日、車を使った爆弾テロが2件発生し、同国軍兵士ら少なくとも33人が死亡した。

同国政府は同日夜、緊急会議を行い、半島北部で非常事態宣言の検討に乗り出した。犯行声明は出ていないが、イスラム過激派組織「アンサール・バイトルマクディス」の犯行の可能性がある。この組織は、過激派組織「イスラム国」との関係が指摘されている。

 塾頭は、この事件に深い関心を持っており後続の情報が待たれる。エジプトでは昨年7月にイスラム系のムルシ政権が軍主導クーデターで倒れた後、軍や警察を狙った過激派の攻撃が相次いでいる。

 前述の朝日記事によると、今年2月におきたシナイ半島で観光バス爆破事件では、イスラム過激派「エルサレムの信奉者」が犯行声明を出したとしているが、本当の犯人は全く見当がつかない。

 この地域は、イスラエルとエジプト(シナイ半島)を挟んだ形でガザ地区(パレスチナ)が存在し、過去の中東戦争の原点といっていい位置にある。それぞれの国境に秘密地下トンネルなどがあり、武器・人員を流出入させているなどとされ、已然として火種をかかえた場所である。

 ガザ地区を支配するハマスや、エジプトで最近まで権力支えていたのがいずれも「イスラム原理主義」集団とされている。またムスリム同胞団は、国境を越えた慈善活動などで民衆の支持があり、誘拐とか残虐に精出す一匹狼的過激派集団とは違う。

 そういった中で忽然と現れたのが「イスラム国」である。イスラムの原点に帰れ、というのは他の原理主義と同じである。ただ大きく違うのは「現実とどう折り合うのか」という点で、イスラム国は妥協を一切排除しているように見えることだ。

 その、現実否定の頑なさが、現実逃避を求める世界の若者を引き付けているような気がする。アメリカ、カナダで個人による殺傷テロが連続して起きた。日本でも北大生のシリア渡航計画が露顕した。身辺取材によると、いずれもイスラム教典やアラビア語はにわか勉強で、どこまでコーランを理解しているか疑問だ。

 どうやら、イスラム国を自殺の聖地と考えたのだろう。一種のブームになっても、世界が心配するような事態にはならないように思う。それより、パキスタン・タリバン運動の一部やアフリカで活動する過激派が、イスラム国と同調するという傾向の方が心配だ。

 さらに、あり得ないと思うがムスリム同胞団や、リビア、ロシア、中国のイスラム勢力などが弾圧を受け、その一部にしろ「イスラム国」になだれを打つよう事態になれば、世界の不安定さが一挙に表面化することになるだろう。

 

 【追補】
 まだ確認した情報ではないが、26日午後7時のNHKTVのニュースで、イスラム国がレバノンに侵攻しヒズボラと戦闘中。イスラム国は、レバノンのスンニ派イスラム教徒の支持を得て、地中海沿岸に拠点を得ようとしている、といった内容のようだった。

 ヒズボラは、レバノン・シリアのシーア派軍事組織で、これまではイスラエルにとって、前述のシナイ半島の反対側に位置する敵対勢力だったが、イスラム国がとって代わろうとしていることになる。レバノンは、キリスト教、イスラムシーア派、同スンニ派3勢力の均衡で保たれた政治基盤のもろい国だ。

 塾頭は、アラブ国空爆などの姑息な手段でなく、アメリカが全力を尽くさなければならないのは、パレスチナ問題解決のためにイスラエルに働きかけ、解決を急ぐべきだとしてきた。

 しかし、下手をするとそれも手遅れとなりかねない。イスラム国自体が自爆して終息するか、中東最終戦争にまで拡大するのか。「神のみが知る」という混とん状態になりかねない様相を呈してきた。

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