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2014年9月16日 (火)

イスラム国空爆は失敗必至

 これまで全く実態のつかみようがなかった「イスラム国」の輪郭が徐々に見え始めてきた。
 
 スンニ派原理主義→シリアの反アサド・アルカイダ系過激派→イラクに手を広げてシリア・レバント・イラク・イスラム国→アルカイダから破門→イスラム国宣言→カリフ指名→旧フセイン時代のエリートである軍事・行政のプロが参画→集団指導→一見イランや旧アフガンのアルカイダ政権と似た組織に→戦闘員は外国人が千の単位、総勢で万の単位。

 これまでとの違いはネットを使って一部の兵士だけでなく世界のムスリム全体に呼びかけている点である。シーア派のイランはもとより、同じスンニ派でも盟主国を任じるサウジなど閉鎖的な王国から敵対視され、欧米各国をはじめ、世界中から悪魔扱いされている。

 それでも地元イラクや、欧米からの若者の参加が後を絶たないというのは、彼ら彼女らにとって神に従うものこそ正義で、それに叛くのが悪魔ということであろう。ムスリムに害を加えようとする異教徒などと命を懸けて戦うのがジハードであり神に近づく最短の道である――という固い信念だ。

 米英国人処刑の映像公開は、イスラム国強化に向けた究極かつ高度な広報戦術で、欧米向けというより同志をつのろうとするムスリム向けという感じがする。

パスクアメリカーナという過去の幻影にすがろうとするアメリカ保守層(安倍首相もそうだが)は、慎重なオバマにイスラム国空爆を急ぎ立て、英仏などもこれに同調する構えだ。アメリカのイラク侵入も空爆から始まった。

 塾頭は、ベトナムの例から見ても空爆では解決できず泥沼に足を突っ込むことになるぞ、と思ったが、長い目で見てそれがいまだに続いており、「イスラム国」というとらえがたい「国」を相手にしてしまったため、戦争はこれから果てしなく続くのではないかと憂慮している。

 それならば、どうすればいいのか。アメリカは持てる力のすべてをかけて、パレスチナ問題に決着をつける。そのあと中東はできるだけ国連に任せ、一切の介入はしない。アメリカのあとを狙って中東覇権を試みようなどというおバカな国はでてこないだろう。ロシア・中国だって国内にムスリムを抱えている限り、あえて火中の栗は拾わない。

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コメント

日本では今でも『自由と民主主義のアメリカ』の正義を無邪気に信じているのですが、・・
アラブ世界でのアメリカの信用度は極端に低い。
パレスチナに限ってならゼロに近い。イスラエル=アメリカと思われているのです。
その意味では、
『アメリカは持てる力のすべてをかけて、パレスチナ問題に決着をつける』
以外には無いのですが、これがアメリカでは一番難しいと言うか、不可能ですよ。
実はアメリカとは新イスラエルのことなのです。
パリで開かれたISIS(イスラム国)対策の国際会議では、
マスコミではシリアやイランが参加していないと報道されているが、
実は今回のパリ会議にはロシアが参加している(招待されている)意味が大きいでしょう。
信用力が極端に落ちたアメリカとNATOだけで世界を仕切るのは無理があり、
今後の解決策ですが、中国やロシアとの和解と協調しか道はありません。

投稿: 宗純 | 2014年9月17日 (水) 16時22分

宗純 さま
コメントありがとうございました。
『一番難しいと言うか、不可能』であることは分かっています。

しかし、何十年かかってもそうするしかない。イスラム原理主義を根絶させたり、ロシアの軍門に下る方がもっとむつかしいのではないでしょうか。

アメリカにおけるユダヤのパワーは以前ほどではなくなったように見えるのですがどうでしょう。

投稿: ましま | 2014年9月17日 (水) 20時02分

アメリカが『ロシアの軍門に下る』ではなくて、
アメリカにとって単独ではISIS(イスラム国)が解決出来ず、
現実問題として、ロシア(中国)の助けを必要としてると言うことでしょう。
狂犬集団であるアルカイダとかISIS(イスラム国)ですが、実はあれは中東のアメリカの最大の同盟国のサウジアラビアのことですよ。
アメリカ自身が、ソ連向けに育てていたが、ソ連の崩壊後にはリビアやシリアなどに向けて使ってたが、制御しきれなくなって暴走しているのです。
ISISの旗は黒地にアラビア語でイスラム教の標語が書いてあるのですが、
サウジアラビアの国旗は生地が緑色の違いだけ。
アメリカが壊滅を目指すイスラム国とサウジアラビアの国旗が、実質的に同じなのです。
中東世界では、黒地も緑もイスラム教を象徴している特別な色なのです。
アメリカが打倒したいシリアですが、この国旗がナセル大統領(汎アラブ主義の)のエジプトとのアラブ連合の国旗を使用しているのですが面白いですね。
アメリカの何ともインチキ臭い対テロ戦争ですが、
本当に打倒したかったのはフセイン政権では無くて、実は汎アラブ主義を標榜するバース党政権だっかも知れません。

投稿: 宗純 | 2014年9月18日 (木) 11時42分

正統カリフの時代を目指すとみられるイスラム国は、ワッハーブ派といわれるサウジ王制より1000年近く前を見ていると思われます。

したがって、王制や大統領率いる世俗国家とは敵対関係になります。カリフが最高権威であとは集団指導という。似ているといえば、急カルダンか現・イランかな……と思った次第です。

カリフを認めないシーア派ではない、というだけで、スンニ派に分類してますが、サウジがスンニ派の盟主のように振る舞っていることを見下しているはずです。

ロシアはシリアのアサド政権を沙ボートしているものの、イスラム王国を叩くことは痛しかゆしの面があり「さわらぬ神にたたりなし」でしょう。

投稿: ましま | 2014年9月18日 (木) 12時58分

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