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2014年9月 9日 (火)

隔靴掻痒4題

 「隔靴掻痒(かっかそうよう)」という4文字熟語がある。最近はあまり使われなくなったが、文字通り「痒いところを靴の上から掻く」、一口で言えば「もどかしい」という意味だ。使われないのは、蚤や蚊など、殺虫剤でその数が減ったせいか。

 蚊といえば、神宮外苑で始まったデング熱伝染の犯人・ヒトスジシマ蚊。どこまで広がるかが気になる隔靴掻痒だ。

 その意味で、テニス全米OP、、有力地上波局各社はTV実況放送ができず、試合中通常番組の左肩に得点の数字だけをはめ込んですますしかなかった。これが典型的な隔靴掻痒。

 今日、東京新聞を含む中央紙各紙が揃って社説に取り上げたのが「「昭和天皇実録」の内容公表」だった。

 各紙に共通していたのは「現代史を覆すような目新しい新事実」はない(東京、毎日、読売、日経)という点で、新事実として触れた事柄は、終戦直前に戦勝祈願の勅使を宇佐神宮に派遣したという読売と日経にとどまった。

 また、すでに知られていることであるが、政治の表に出てこれない制約のもとで、天皇の平和志向、憲法尊重などが裏付けられる点に、各紙とも目を向けている。その中で、産経だけがソ連参戦がご聖断のきっかけとなったと、新事実であるかのように書いているのが目を引いた。  

これまで諸説あった終戦の「ご聖断」の経緯が明らかになった。昭和天皇が最終的にポツダム宣言受諾を決意したのはソ連軍が満州に侵攻したとの情報を得た直後で、ソ連参戦が「ご聖断」の直接原因だったとみられる。

 これは、また歴史を断片的にしか見ない偏頗な見方だ。東条角逐の頃から終戦工作があり、陛下は高松宮などを通じて知らないわけがない。また後継内閣が終戦に導くための準備であったこと、春先の東京大空襲の惨状を視察されていることなどから、ソ連参戦前から終戦の既定路線があったが、軍の一部が本土決戦に固執したというのが塾頭らの常識である。

 産経の見方では、昭和天皇が浅慮即断のそそっかしい人になってしまう。右派の発想によくそういった独断史観があることだけは、留意しておこう。ただし庶民は、来年春以降順次公刊されるまで「実録」を目にすることができないので、これもまた「隔靴掻痒」な話ではあるが。

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