原発より屁発へ
日本国総理大臣アベチャンたちは、屁(へ)みたいな話だと思うだろうがなかなかそうでもない。ついでだから戦時体験の与太話をひとつ。中学に入ると(軍事)教練が始まる。最初に知るのは、「整列!」の号令で直立不動の姿勢をとる。そうすると、代用食でイモばかり食っているから屁がでそうになる。
その時は我慢せずに、大声で申告する。「屁にはブー、スー、ピーの3種あり。ブーは音たかけれど臭い低し。ピーは音低けれど臭い高し」。「ブーッ」。「終わりッ!」。といった調子だ。
やはり初めての化学の時間、炭素から4つ枝がでてそれに水素がひとつずつ付くのがメタン。「屁にはメタンガスが含まれる」となど教わる。火をつけると燃えるかもしれないということで実験し、ケツにやけどを負う悪童がいたかどうか。今なら、悪玉菌が多ければ……などという話になりそうだ。
6月25日、トヨタ自動車が来年末までに燃料電池車(FCV)を700万円程度で販売すると発表した。ホンダは来年末が目標だ。これらには200万円程度の政府補助金がつくらしい。この車は電動モーターで走る。
その電気を起こす原料が水素で、排出するのは水。つまり水の電気分解の逆を車の中でやることになる。スピードも走行距離も全く問題がない。理屈は前から知られていたが、こんなに早く実現するとは塾頭も思わなかった。
水素の充填時間も、バッテリーへの充電とは比較にならないほど短い。ネックは水素スタンドが普及していないことと、水素を電気に変える際の触媒、白金が高いことだ。しかし、こんなことは、高速増殖炉はおろか、安全な原発を作ることよりははるかに簡単な技術開発でOKになろう。
さて、その水素の原料が、三題話ではないがメタンなのである。現在、都市ガスやプロパンガスから容易にとり出せる。これにも触媒がいるが、白金のような貴金属でなくていい。その際、熱も発生するので、すでに「エネファーム」の名で家庭用、集合住宅用に発売されている。(右:週刊エコノミストより)
これ1台で、電力、暖房、給湯がまかなえるとなれば、家庭生活で完全なエネルギー自給が実現する。山奥の別荘なら、電気もガスも引く必要がなくなり、これ1台で災害時でも生活エネルギーは万全だ。メタン原料の将来は明るい。
今、アメリカではシェールガス開発がピークに達し、国内価格の値下がりに困っているが、ロシアなどでもこの開発が着実に進むだろう。また、現在開発途上の日本近海の底に眠るメタンハイドレー採掘が進めば、純粋な国産エネルギーとなる。一方、森林間伐等の廃材によるバイオマスで、メタンガスを採取する事業がすでに始まるなど、供給源は多彩で環境負荷もすくない。
化石燃料からではなく水からも水素は作れる。稼働中の太陽光、風力などの不安定な電源で、稼働時に水の電気分解して水素をとりだせば、そのまま保管、移送が可能になる。「燃料電池」と言われる所以で、既存技術の活用で果てしない展望か開けてくる。
ただ、それだけに原発とは違って大企業が独占できる余地がすくないとも事実だ。政府の基盤整備という後押しさえあれば参加企業も増え、決して屁のような話しではなくなるのである。小泉純一郎さんも、細川さんもねらいはそこらにあるのだろう。
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