« 平和の申し子たちへ! | トップページ | 経済制裁→経済封鎖→戦争 »

2014年8月 1日 (金)

原子力の「想定外」は犯罪

<注意義務>
 原子力発電は事故が起きると被害は甚大で、影響は極めて長期に及ぶ。原子力発電を事業とする会社の取締役らは安全確保のために極めて高度な注意義務を負う。想定外の事態もおこりうることを前提とした対策を検討しておくべきべきである。

 以上が、東電元会長らを「基礎相当」とした東京第5検察審議会の議決要旨の冒頭部分である。塾頭は、事故直後から東電や、御用学者のいう「想定外」発言で、猛烈なアレルギー反応に陥った。これは、放射能と聞いただけで反応を示す、いわゆる「核アレルギー」とは違う。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-1e91.html

 彼らの「想定外」は沢山ある。まず大津波、全電源喪失。そのほかに事故発生後の避難体制、核燃料サイクルの不成立、人為的ミスの根絶などだが、今回焦点になっているのは津波である。避難体制などは川内原発再開決定でも想定されないままだ。

 それがなくても、全電源喪失を想定しなかったというのは、塾頭は犯罪的だと思う。似たような場所に似たようなシステムで設置した4基の自家発、それが同時に機能しなくなるという想定は、原子力だからこそしなければならない想定だ。

 交通事故、飛行機墜落、工場爆発その他どんなアクシデントでも、原子力に匹敵する期間、範囲その他、人類の存亡にかかわるような損害をもたらす事故はない。そこまで考えれば、外部電源受入れ用ケーブル設置、電源車の常備、場合によれば薪でも使える蒸気機関があってもいいとすら思ったほどだ。

 そんなことを想定するのは、馬鹿げたことだろうか。原子力だからこそ馬鹿げた想定をしなければならないのではないか。しかし、しかしである。東電役員にだけその責任をおしつけるという裁判には問題がある。

 裁かれなければならないのは、安全神話の土壌をを作った原子力村全体である。裁判所で証言した御用学者、政策として旗振りをした通産省とか文科省、そしてチェックの役割を果たせなかった政治家である。

 一株式会社の取締役に、政府の方針に反する、または異議をさしはさむ行動がとれるだろうか。また、株主の利益を損ねる任務放棄の決定ができる余地はほとんどない。そうすると、これが裁判に付されてもこれまでの検察審議会による裁判の例から見ても、有罪判決を下すのは至難の技だろう。

 大飯原発運転再開を差し止め請求では、5月21日に福井地裁が「人格権」を表に出す画期的な原告勝訴の判決をした。日本国憲法を持つ日本人に、司法の限界を感じさせない名判決だったと思う。この判決を朝日・毎日は社説で評価し、読売・産経は批判した。

 仮に「想定外」が裁判にかけられ、被告無罪となっても、その判決理由の中で原子力村の「想定外」の犯罪性を明確にするなど、福井地裁に見られたような名判決再現を是非期待したいものだ。

|

« 平和の申し子たちへ! | トップページ | 経済制裁→経済封鎖→戦争 »

石油・エネルギー」カテゴリの記事

コメント

『想定外の危険』ですが、これはアムンゼンとスコットの南極点の探検とかヒラリーとテンジンのエベレストの初登頂など冒険とか精鋭的な登山では仕方が無い。
科学者の実験などでも、失敗のリスクは当然なのです。失敗の連続から、運よく極少数の成功が生まれる。
これ等では『想定外のリスクを犯す』ことが本質的に許されている。
しかし大勢が参加する、学校の遠足とか科学の授業では『想定外の失敗』などを想定することこそ、常識外れ。
東電とか政府の『想定外だから責任が無い』ですが、これは想定外のリスクを覚悟している、少数の選ばれた人だけに許される話ですね。
今回のように想定外の危険に、子供や妊婦を巻き込むなど犯罪以外の何ものでもない。
今の原子力発電ですが、人類にとって完成された技術体系とは到底呼べない。
少数精鋭の研究機関なら許されるでしょうが、今の様な暴走した時に止める技術が無いような未熟極まりない未完成の状態で、100万キロワットの巨大な原発を稼動するなどは無茶苦茶。

投稿: 宗純 | 2014年8月 1日 (金) 16時02分

コメントありがとうございました。

「沈没するなんて――想定外だった」
韓国の客船の船長さんだって言えます。

原子力村の方々、あまり恥ずかしいとは思っていないようですね。

投稿: ましま | 2014年8月 1日 (金) 17時25分

これは、どう捉えられるか分かりませんが・・・
東電は、今回のような災害などで「建屋水素爆発」、「電力喪失による原子炉の圧力上昇」ということは前もって想定していたことは、事故後に出された政府関係者の本で確認されています。

水素爆発防止装置(2号機はこれが偶然働いた結果になった)、そして圧力を下げる「ベント」と言う装置は、政府にも地元にも連絡せず(?)秘かに取り付けられていました。それもかなり最近だったようです。

今回、それがうまく作動できなかったのは「人的ミス(テロ対策も含む)」を想定して、二重三重にその装置を動かさないよな対策が取られていたことが仇となったようです。

それについての是非の判断は事故前には「是」としたことが爆発を招いたことで「非」と決定されましたよね。

地下発電、そこで津波にのみこまれ亡くなった社員がいます。たぶんそのご遺体はまだ引き上げられていないのかもしれません

投稿: 玉井人ひろた | 2014年8月 3日 (日) 08時25分

玉井人ひろた さま
くわしい情報ありがとうございました。

ひそかにとられていた措置というのは、安全神話が虚構だということを知っていたからですよね。

しかしアメリカの一部電力会社のように、原発採用を辞退するようなことはなかった。シェールガスが安くなれば、ますますそんな冒険を犯す民間会社がなくなるでしょう。

「安全神話くさいからうちではやりません」など、日本間電力会社なら口が裂けても言えません。

かつて石油会社にいましたが、石油危機の際、灯油の価格カルテルは、通産省資源エネルギー庁の指導ももと行われたのに会社幹部は裁判で有罪の判決がでました。

お上に楯突くことができなかったのです。日本の権力構造はまだまだ健在、どうかするともっと(中国に負けないよう)強力になりそうです。

投稿: ましま | 2014年8月 4日 (月) 07時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/468248/56959634

この記事へのトラックバック一覧です: 原子力の「想定外」は犯罪:

« 平和の申し子たちへ! | トップページ | 経済制裁→経済封鎖→戦争 »