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2014年8月11日 (月)

エボラ出血熱の脅威に考える

 本塾で4年半ほど前に書いた記事だが”新・マルサス「人口論」”というのがある。「はてな」の「マルサス人口論」へのベストアンサーとしてリンクされたせいか、本塾への検索で常に上位を占める。なぜそれを思い出したかというと、最近さかんに報道されるアフリカ発のエボラ出血熱報道が理由だ。

 それらによると、アフリカではジャングルの乱開発が進み、そこに住むオオコウモリや猿類を宿主とするこのウィルスの新たな棲家として人間を標的とした、という解説だ。つまり、人間が生態系を破壊しウィルスをジャングルから追い出したのだという。ところで前述の過去記事はこう書く。

 マルサスの人口論は、「子孫を多く残したいという人間の欲望から等比級数的に人口が増えて限りがない。これに対して確保しなければならない食糧を生産する土地は有限で、等差級数的にしか増やせない、そこで人類は、奪い合うための戦争や飢餓・暴動が避けられない」というものだ。

 ついでに若い時全盛をきわめた一字違いのマルクスについても書いた。地球上の大自然は無限であり、土地の私有をなくし開墾と労働により飢餓と貧困が克服できるとする考えだ。「収穫の歌」などという歌もはやった。なにか、今の新自由主義とも一脈通じるところがある。

 さらに、「新・マルサス」と題したのは、ポーランド人ジェノサイド学者、グナル・ハインゾーンの『自爆する若者たち』にある「ユース・バルジ」という新・人口論だ。15歳から29歳までを戦闘能力を有する「軍備人口」が、地域紛争や戦争を絶え間ないものにするという説を紹介したことによる。

 それによると、パキスタン、アフガニスタン、イラク、サウジアラビア、ソマリア、パレスチナなどイスラム圏各国におけるその比率が、これからも世界で最高のレベルを維持すると説いており、「軍備人口」が猛威をふるうとしている。

 これに対し、中国のユース・バルジは世界の平均的なレベルにあり、脅威ではないことになるが、膨大な人口の生活水準を高めるためという資源争奪戦の担い手になれば、やはり不気味だ。また、ユース・バルジ国ではないアメリカ・ロシアなどが、援助と称して武器や軍事介入すれば果てしない脅威に手を貸すことになり、それらの国にとっても見直す時期に来ている。

 人類がここからさき生き延びるために、今、何を考えなくてはならないか、軍拡や資源争奪、国境紛争などでない。省資源、環境保全、緊張緩和に叡智を傾け、資金を投ずることでなければならないはずだ。日本には福島第一原発という得難い教訓もある。集団的自衛権など寝ぼけたことを言っている場合ではない。

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反戦・軍縮」カテゴリの記事

コメント

マルサスの間違いですが人口論では、夫婦2人で子供を4人生めば人口が2倍になる計算なのですが、歴史的な事実は沢山生んでも成人になるのは矢張り2人程度なので人口は増えなかった。
話は逆さまで、沢山死ぬので沢山生む必要性があったのです。
人類がマルサスの人口論のように増えだしたのは医学が進歩した19世紀の先進国であり、20世紀からは後進国でも人口爆発が起きている。
しかし21世紀の先進国では例外なく逆に人口減少が進んでいます。
ですから今の後進国でも生活水準が上がれば人口爆発は止まります。
医学の進歩で人間が死ななくなったのに後進国では以前のままの『沢山生む』のままだから爆発的に増えているのです。
アメリカ人の進化生物学者ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』に依れば、病原菌と言うのは最強の兵器なのですね。エボラにも細菌兵器の悪いうわさがつきまといます。
この本では人口増で若者の1人目は親の後を継いで家に残れるが、余った2人目は外国に出て、3人目は犯罪者か革命家になるとの説も唱えています。

投稿: 宗純 | 2014年8月11日 (月) 14時35分

宗純 さま
コメントありがとうございました。

日中戦争のころまでは、日本はアジアでジャワ島に次ぐ人口密度だから、満州に行って農業を近代化し産業を興さなければならない、と人口増を警戒するようなところもありました。

太平洋戦争突入前後から「産めよふやせよ」になり、「人的資源」という言葉も生まれます。その満州殖産を演出したのは、安倍首相の祖父、満鉄調査部を舞台にした革新官僚・岸信介だった。

投稿: ましま | 2014年8月11日 (月) 15時56分

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こんな物々しい格好しても国境なき医師団は感染の危機に遭遇しているのである。 果てしなく続く熱帯雨林ジャングルの奥の奥、そこにしかいない鳥や猿の一種がその中で共存しつつ ... [続きを読む]

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