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2014年8月

2014年8月31日 (日)

ウクライナ過剰反応の愚

 ウクライナに関しては、過激な記事だけがクローズアップされているが、時事ドット・コムhttp://www.jiji.com/にはこんな記事が埋もれている。

 【ワシントン時事】オバマ米大統領は29日、ニューヨークで非公式行事に出席し、ロシアのウクライナ介入拡大や、イラクやシリアでのイスラム過激派の攻勢などの外交安保危機について「20~30年前に比べて物騒ではないと約束する。冷戦時代の試練に相当するものではなく、われわれは対処できる」との見解を示した。
 オバマ氏は、不安定化する中東情勢をめぐり「古い秩序が通用しなくなり、新秩序が成立していない」と指摘。地域の経済は機能せず、将来に希望を持てない多くの若者が過激主義に誘惑されていると述べた。(2014/08/30-15:03)
   
  【ワシントン時事】オバマ米大統領は29日、ホワイトハウスで記者団に対し、対ロシア制裁の強化に関して、「これは(米ロの)新冷戦ではない」と強調した。また、問題解決のためにウクライナへ軍事支援を行う考えがないことも明言した。
 大統領は、欧米の追加制裁の効果について「これまでになくロシア経済に大きな影響を与える」と指摘した。(2014/07/30-10:21)

 また、毎日新聞の下記の記事(14/8/31東京朝刊)では、米側(NATO)が、クリミア半島の帰属について情報戦に負けたことを認めた。情報戦については本塾もたびたび取り上げているが、本当の戦争と同じで「どっちが正しいか」ではなく、「勝てば官軍」の世界だろう。
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 【ブリュッセル斎藤義彦】ロシアがウクライナ・クリミア半島を編入した際、特殊部隊の投入と同時に、宣伝戦を展開して一方的に独立させた新たな戦術に対抗するため、北大西洋条約機構(NATO)は今週開く首脳会議で、特殊部隊の編成などを盛り込んだ対抗策制定を始めることで合意することがわかった。NATO高官が毎日新聞に明らかにした。NATOの「即応部隊」内に特殊部隊を組織して対処する案が有力。加盟国にはロシア人少数派を抱えるバルト3国があり早急に体制を整える。

 ロシアは今春、ウクライナ・クリミア半島に記章を付けない特殊部隊を展開し、官庁や空港など重要拠点を占拠。親露派に主導させ住民投票を実施したうえで併合した。同時にロシア語放送などでウクライナ政府を「ファシスト」などと宣伝し、住民を不安にする宣伝戦を行った。NATOはこうした新たな作戦を「ハイブリッド攻撃」と位置づけている。

 来月4日から2日間の日程で開催予定の首脳会議では、ロシアの「ハイブリッド攻撃」に対し、NATO側の準備が整っていないことを確認。各国の警察、治安・情報機関のほか、国際機関といかに協力して対抗するか基本手順を決めることで合意する。NATOが短期間で域内外に展開する1万3000人規模の「即応部隊」内に特殊部隊を設立し、「ハイブリッド攻撃」に対抗する案が有力だ。具体策は今後、国防相会議などで詰める。(以下省略)

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2014年8月30日 (土)

気になるニュース二つ

 ひとつはプーチン・ロシアのあやしい詭弁。

 モスクワ発の情報が「ロシア軍はウクライナに派兵していない」から、「休暇をとった義勇兵がウクライナで親露派自衛軍に参加」に変った。昔、朝鮮戦争では中国人民解放軍の義勇兵が北朝鮮軍に加わり、38度線まで米軍を押し返したことを思い出す。

 これは中国、いや共産党かも?公認の義勇軍だ。ロシアは、そんな理由で休暇がとれるのか?。すくなくともプーチンの方針には反しているはずだ。世界一開けた民主的軍隊だね(笑)。

 プーチンは、驚異的支持率のもと軍のコントロールが利いている、といった趣旨の当塾記事は、ここにお詫びの上取り消す(某大新聞とは違う)。ただ、いいわけめいたことを平気で公表する所は、余裕があるといえば余裕がある。

 もうひとつは、ヘイトスピーチに対して海外から規制法を作れ、と言われている点だ。

 自民党の中には、言論の自由に反する、という意見があるそうだ。塾頭は、やはり同党の中にある「この際、国会周辺のデモにも規制を」というトンデモ意見よりよほどましで、法規制反対意見に賛成する。

 大体、韓国人街などでのヘイトスピーチは、黒人差別とか、ナチのユダヤ人差別のような人種差別ではない。人種からすれば、もっとも近似性のある両国だ。ただ、それだけにヘイトスピーチの内容は、近親憎悪のようで不快かつ目に余る。

 法規制をする欧米流でなく、日本人なら立派に自主規制するというところを世界に示せばいいのだ。在特会などを心情的に支える極右政治家や一部マスコミなどが、それをたしなめる方針をとれば、一挙に解決する。

 なにも欧米流にゴマをすることはない。前回記事「自賛史観」の『武士道』を見ていただければ自明の理だ。

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2014年8月29日 (金)

自虐史観と自賛史観

 日清戦争・日露戦争を「侵略戦争」とする概念が、日中韓にそれぞれ存在する。「侵略戦争」は、もっとあとでできた言葉で、結果的にはそうであっても、イギリス、ロシア、アメリカのそれは正しくて、日本のは不正というのもおかしい。

 日本がかかわった両戦争は、維新を経たばかりの日本にとって自衛戦争の色あいが強く、「帝国主義的侵略戦争」というレッテルをはるのは、「自虐史観」だと思う。かといって、大東亜戦争はアジア解放の「義戦」などとは、爪の垢ほども思わない。

 日清・日露の中間1899年、新渡戸稲造は、欧米人が疑問を持った「日本の道徳が宗教に依存するものではない」などに答えるため、『武士道』を英文で顕した。下記はそのほんの一部。これは明治時代最後の「自賛史観」である。(矢内原忠雄・訳、岩波文庫版)

第六章 礼
 作法の慇懃鄭重は日本人の著しき特性として、外人観光客の注意を惹くところである。もし単に良き趣味を害(そこな)うことを怖れてなされるに過ぎざる時は、礼儀は貧弱なる徳である。真の礼はこれに反し、他人の感情に対する同情的思いやりの外にあらわれたるものである。それはまた正統なる事物に対する正当なる尊敬、したがって社会的地位に対する正当な尊敬を意味する。何となれば社会的地位は何ら金権的差別を表すものではなく、本来はじっさいの価値に基づく差別であっからである。

 礼の最高の形態は、ほとんど愛に接近する。吾人は敬虔なる心をもって、「礼は寛容にして慈愛あり、礼は妬(ねた)まず、礼は誇らず、驕(たかぶ)らず、非礼を行わず、己の利を求めず、憤(いきどお)らず、人の悪を思わず」と言いうるであろう。(以下略)

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2014年8月27日 (水)

「性奴隷」伝説

 縄文時代に見る豊富な女性土偶、天皇の始祖になる伝説の天照大神、魏書にしるされた倭国の女王・卑弥呼などなど。紫式部も和泉式部もどうしてどうして。まさに「女ならでは夜の明けぬ国」、「原始、女性は太陽だった」日本の国だ。

 女性の地位が低くなったのは中国、朝鮮伝来の儒教による影響が大。それでも、夜明け前の日本に来てその文化や言語を研究したヘボンなどは、日本の女性が軽視されていると思うのは偏見、と喝破した。

 その下地は明治以降も脈々と続いていたが、女性参政権が認められたのは戦後になってから。しかし、その少し前まで男性も一定額以上の納税がなければ、選挙権もなかった。人権保護も考慮に入れた公娼制度が廃止されたのも戦後しばらくたってからだ。それでも韓国で妓生(キーセン)外交などといわれた時期よりは早かった。それが、歴史だ。

 「性奴隷」などあるはずがない。あったとすれば、日本の法秩序の及ばない、軍隊がすべてを支配する最前線。そこは殺人を日常とする狂気の世界だ。自由も人の尊厳もすべて禁止。何があっても不思議ではない。つまり「戦争犯罪」の巣だったのだ。

 先の戦争による戦争犯罪は、アメリカにもソ連にもある。また、被害者は日本人、朝鮮人、中国人、東南アジア等すべての戦地に及ぶ。関係した犯罪者として、軍事裁判で裁かれ刑に服したのは、証拠を突きつけられた敗戦国の日本人だけである。負ける戦争を始め、やけくその戦争犯罪に走ったのは誰か。

 その戦争犯罪者を、靖国神社は神に祀って顕彰した。そこへ総理大臣が公式参拝をする。それはやはり、まずいんじゃないか。非業の死を遂げた日本人被害者の遺族としても許せない。天皇も参拝したくないというのは道理にかなう。

 朝鮮人を怒らせて戦争に支障をきたすことのないようにするのが当時の政策だ。それに反した慰安婦強制連行の新証拠がでることは、多分ないだろう。河野談話の「総じて本人の意思に反し」というのが当たらずといえども遠からずの表現だ。

 詫びなくてはならないのは、朝鮮人に大きな傷を残した戦争犯罪だ。そういった区別やけじめを、右も左もリベラル、そしてマスコミもあいまいにしたまま。 「河野談話は変えない」。菅官房長官……さすがは苦労人。「河野談話にかわる新談話を」。高市早苗……やけぼっくりに火をつける女国賊。この問題、そろそろお開きにしませんか?――。

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2014年8月25日 (月)

プーチンの腹のなか

Dscf4251_2 塾頭は、新聞の大見出しより10行未満のいわゆる「ベタ記事」に案外真相が隠されているというようなことをよく書く。写真左上端の3件が、今日25日付の毎日新聞国際面のベタ記事で、それぞれ時事、共同、AFP時事の通信社発である。

 一番上がアブハジア自治共和国で大統領選が行われたということ。2番目は、リビア首都トリポリの国際空港を、イスラム系制圧か、という記事である。前々回、イラク・シリアで国境を越えた「イスラム国」設立宣言のことを書いたが、カダフィーなきあと、ムスムスリム原理主義連携がこの地に及ぶか、という関心はあるものの、続報がない限り即断はできない。

 塾頭が関心を引いたのは、アブハジアの方である。この国名を聞いても、大半の人が「聞いたことがない」というだろう。塾頭も実は知らなかった。知ったきっかけは、[ab]Abkhazianというれっきとした国別ドメインのアクセスが本塾にあったことによる。それを調べた詳細は、↓を見ていただきたい。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-2116.html

 さて、記事の内容は、電子版に見当たらないので次に全文を紹介する。

■グルジアの親露派地域で「大統領選」
 グルジア北部の親ロシア派分離独立地域「アブハジア自治共和国」で24日、大統領選の投票が行われた。25日に暫定結果が出る。野党指導者ハジンバ氏(56)ら元軍人4人が立候補しているが、現状維持を望むロシアのプーチン政権の意向もあり、ロシア編入は争点となっていない。

 アブハジアはロシアなど数カ国を除いて国際社会からは国家承認されていない。【時事】

 くわしくはWikipediaなどで確かめていただくとして、6年前に現在のウクライナと全く同様な状況がグルジアにあり、ロシアの大統領がメドヴェージェフ氏(現首相)であったことと、ロシア軍の侵攻がより露骨であった点以外は全く同じと言ってもよさそうだ。

 本塾は早くからプーチンにウクライナ東部に対する領土的野心はないと観察していた。東西両陣営の情報合戦で、アメリカ・ウクライナの執拗なプロパガンダがあっても、プーチンに余裕が感じられるのはその証拠を握られていないということと、87%にも達する高い国民の支持率のもと、軍隊を完全に掌握できているという自信だろう。

 プーチンにとっては、この期にいたり、旧ソ連圏から紛争含みの土地を国内に組み入れることは、早い話「有難迷惑」だということではないか。

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2014年8月24日 (日)

広島水害に流された沖縄県民行動

 この土曜・日曜のニュースは、広島の大雨による土砂災害一色だった。沖縄の新聞社は、辺野古工事に反対する沖縄県民行動が速報版・号外をだす大ニュースだったが、本土のTVショーでは、塾頭の見る限り、水害ニュース追いやられ一度も取り上げられなかった。

 広島の惨状は、東日本大震災以来の光景がくりひろげられ、心が痛む。犠牲者の冥福を祈り、被害者にお見舞いを申し上げたい。

 塾頭は、3~40年前、宅地開発とか分譲にかかわる仕事をしたことがある。被災者に差しさわりのある発言とあればお詫びするが、以下は塾頭が過去に体験したことである。

 まず、周辺地価より大幅に安いお買い得物件には手をつけない。特にがけ上、がけ下の新造成地は敬遠。階段状造成地に多い切り崩し埋め立てなど異なる土質で平坦にする工法は、地盤が不安定だけではなく、ガス管に電蝕ピンホールができる恐れがある……などである。

 以上、余談に走ったが、沖縄のニューがこういったことでかき消されるのは大問題である、というのが今日のテーマである。これはローカルニュースではない。日本の将来の安全保障を左右する象徴的な情景であり、来年にかけての国内外の政治に大きな影響をもたらす出来事である。無視することは、県民差別と見なされてもやむを得ないのだ。マスコミの猛省をうながしたい。

 沖縄2県紙は、当然今日の社説に取り上げている。中央では朝日新聞1社だけであった。概要をご存知ない方のため、24日付沖縄タイムスの社説から一部を引用しておく。

米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設に反対する「止めよう新基地建設! 8・23県民大行動」が23日に開かれた。

 実行委員会の目標2千人を大きく上回る3600人(主催者発表)が集まり、沖縄防衛局が海底調査を開始して以降、最大規模の反対集会となった。安倍政権は、これをしっかり受け止め、工事をただちに中止すべきだ。

(中略)首相は6月、ボーリング調査について記者団の質問に「しっかりと地元の方々、県民の皆さまに説明していきたい」と述べている。

 ところが辺野古の海で繰り広げられている光景は、この言葉のかけらもない。国は一方的に立ち入りを禁止する制限水域を拡大した。海上保安庁の巡視船やボートで厳重な監視を行い、反対派の市民の乗ったカヌーやボートを力ずくで排除している。22日、カヌーの男性が、海保職員の排除行動によって頸椎(けいつい)捻挫で全治10日のけがを負った。

 憂慮される事態である。

 国は今回のボーリング調査で日米地位協定に基づく刑事特別法の適用も視野に入れているとされる。米軍政下の沖縄では、人々の土地が暴力的に接収された。基地建設のための圧倒的権力の行使が、今なお繰り返されるのは、沖縄に対する構造的差別というほかない。

 「このままでは、そのうち死者もでますよ。沖縄の人は我慢強いかいざとなると強い行動に出る。」こういった地方議会議員の発言を別の番組で見たことがある。今回は、けが人ひとりを出してしまったが、決して死者はだしてもらいたくない。

 抗議活動は一段と強化していただきたい。それを無視して政府は強引に実績づくりを決行するだろう。調査の実績は作られても仕方がない。ただ、死者だけは出さないでほしい。それを乗り越えて11月の知事選には、仲井間候補を圧倒的大差で打ち破る結果をだすよう願ってやまない。

 国民の権利と民主主義が守れるのかどうか、日本もアメリカもそこで正念場に立たされることになる。そして、辺野古を地方の問題として矮小化することが許されるかどうか、次は日本国民全体で判断を下さなければならなくなる時が来る。

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2014年8月23日 (土)

米、イスラム国打倒へ

 9.11を画策した容疑のウサマビンラディンをかくまったという理由でアフガンのタリバン政権を倒したり、大量破壊兵器を隠し持っているというニセ情報をもとにイラクのフセイン政権を倒したアメリカ。近代兵器を投入した戦争には違いないのだが、それら一連の行動を「テロとの戦い」と位置づけた。

 シリアからイラク北部にかけて突如現れた「イスラム国」。アメリカは、地上軍は派遣しないと言いながらこれに空爆をかけている。理由は、少数民族クルド族救援や米国人記者処刑への報復だ。

 根に「アルカイダからは除名されたが、ビンラディンの系譜を引く最過激反米テロリスト集団という位置づけのせいではないか。新聞は「イスラム国打倒へ」というタイトルを掲げているが、相手が国ならテロとの戦いではない。

 毎日新聞の22日東京夕刊では次のように伝える。

 【ワシントン西田進一郎】ヘーゲル米国防長官は21日、国防総省で記者会見し、イラクとシリアで勢力を拡大するイスラム過激派組織「イスラム国」について、高度な軍事力や豊富な資金などが結合した「これまで見たことがない組織だ」と強い警戒感を示した。また、同席したデンプシー統合参謀本部議長は、イスラム国を打倒するにはシリア国内でも空爆を行う必要があるとの認識を示した。ただ、米軍が直接空爆する可能性を現時点では否定した。 
      
 ヘーゲル長官は、イスラム国は「単なるテロ組織の枠を超えている」とし、「あらゆる事態に備えなければならない」と強調した。米国はイスラム国に対抗する長期的な戦略を追求するとし、「米軍の関与は終わらない」と語った。また、シリア国内でのイスラム国への空爆について「引き続きあらゆる選択肢を考えている」と排除しない考えを示した。

 日本の新聞は、産経がアメリカの行動に賛成、読売がそれに次ぎ、毎日・朝日は慎重な態度をとるが、ヘーゲルのいう「これまで見たことがない組織」で「単なるテロ組織の枠を超えている」点についての分析、解説はまだ見ない。

 なぜ「国」を名乗るのか。アラビア語の感触がわからないが、国連加入を目指す近代国家のそれとは違うような気がする。「国」を宣言した最高指導者アブ・バクル・バグダディは、自らを「カリフ」と自称する。

 イスラム教では、ムハンマドは神が遣わした最後の伝道者であり、彼の死後正統な後継者として選ばれたものをスンニ派では「カリフ」という。750年から1258年まで、イスラム帝国と称されるアッバース朝が成立した。首都をバグダードに置き、経済的にも文化的にも繁栄の極に達する。

 カリフ体制はこの時までで、以後モンゴル軍の侵攻を受け有名無実の存在となり、広大なイスラム世界(コーランていうウンマ=イスラム共同体)が分裂・散在するようになった。イスラム国は、あきらかにこの古き良き時代「ウンマ」を意識しているようだ。

 同じスンニ派であっても、部族・王族の国サウジアラビア、軍事独裁政権の国エジプトは、ムスリムを糾合したウンマではなく、カリフを政治的・軍事的に上位に置く体制を認めるはずがない。シーア派であるイランは、カリフそのものの存在を認めていない。

 その他、ムスリム同胞団などイスラム系諸組織からも、その過激さ故に敬遠されているようだ。四面楚歌の中、地元のイラク・スンニ派住民から支持を受けていても、空爆や反対勢力に対する武器援助で簡単に制圧できるという見方が有力になっているのだろうか。

 しかし不気味なのは、他の反体制派武装組織から移籍した戦闘員約800人のほか、外国人はアラブ諸国や欧州、中国などの約1300人で、その多くは最近になってトルコ国境から流入したという。建国を宣言した後の約1カ月間に約6300人が新たに組織に加わったとの報道もある。

 ネットで、アメリカ人をナイフを持って処刑する覆面の男性を見た人も多いだろう。彼の英語の訛りから見て、イギリス・ロンドンの近くの育ちだという。つまり、国の支持はなくても、既存勢力に不満をいだくムスリムの国境を越えた支持があるという現象だ。

 実態は今一つ不明瞭だが、空爆の効果は限られている。反面、イスラムの長い歴史体験の中で、アメリカが今後何世紀にもわたって、際限なくテロの対象から逃れられないという危険をおかすことにはならないか。

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2014年8月21日 (木)

歴史の教訓は役に立つか

 アーネスト・メイ、進藤栄一[訳]『歴史の教訓 アメリカ外交はどう作られたか』という書が岩波文庫にある。このもとは、中央公論社刊の『歴史の教訓――戦後アメリカ外交分析』で、1977年までさかのぼる。

 複雑な外交政策、それもアメリカ内部での判断・思考の推移を追うという、かなり難解な書物である。塾頭は、その本文ではなく、頭書の末尾にある訳者解題の一文に関心を持った。

 アメリカでは、ベトナム戦争の作られた動機、封じ込め、代理戦争、空爆の効果、そして泥沼と化した戦線、そして敗北など多くの教訓を残した。それが、ブッシュ・ジュニアの代に教訓としてどう活かされ反映されたか。

 また、日本では中国・韓国から、一旦解決したかに見えた「歴史認識問題」を執拗に追及され、安倍政権はその標的になっている。その安倍首相は、戦前から戦中・戦後を通じて歴史の中核を知悉する祖父の岸信介からどのような知識・教訓を得て、今の集団的自衛権容認などの政策判断に至ったのか。

 それを直接言っているわけではないが、過去を知らない人より知っている人の方が過ちを繰り返しやすい、という分析を克明に記している。塾頭は、安倍首相の「無知」に焦点を合わせることが多かったが、この記述に慄然とするものを改めて感じた。以下、やや長いがその引用である。

 本書で著者が提示した命題は、外交政策形成者は現在の問題を処理する時にしばしば”身近な過去”から類推を行い、未来を予測する時に過去との歴史的対比の中でよく政策をつくるという点にある。しかも通常彼らは、その過去、すなわち歴史の類推を誤用しがちだというのである。なぜなのだろうか。

 著者は、哲学者サンタヤナの警句――「過去を知らない人は過去を繰り返すことをもって非難される」――を逆転させ、その逆にこそ真理があると説いて、歴史家シュレジンジャーの言葉を引用する。「過去を繰り返すことをもって非難されるのは過去を記憶できる人である場合が、あまりにも多い。」

 人は不安に襲われた時、それも限られた選択肢の中で緊急の決断を下さなければならない時――すなわち危機に直面した時――に、なじみの過去に類推例を求めて不安を除去しようとする。国家も同じように危機状況下にあって、過去に類推例を求めてそこから”教訓”を得ようとする。そしてその教訓から得た言説によって”脅威”をつくり、自らを一連の行動へと駆り立てて行く――

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2014年8月19日 (火)

原発より屁発へ

 日本国総理大臣アベチャンたちは、屁(へ)みたいな話だと思うだろうがなかなかそうでもない。ついでだから戦時体験の与太話をひとつ。中学に入ると(軍事)教練が始まる。最初に知るのは、「整列!」の号令で直立不動の姿勢をとる。そうすると、代用食でイモばかり食っているから屁がでそうになる。

 その時は我慢せずに、大声で申告する。「屁にはブー、スー、ピーの3種あり。ブーは音たかけれど臭い低し。ピーは音低けれど臭い高し」。「ブーッ」。「終わりッ!」。といった調子だ。

 やはり初めての化学の時間、炭素から4つ枝がでてそれに水素がひとつずつ付くのがメタン。「屁にはメタンガスが含まれる」となど教わる。火をつけると燃えるかもしれないということで実験し、ケツにやけどを負う悪童がいたかどうか。今なら、悪玉菌が多ければ……などという話になりそうだ。

 6月25日、トヨタ自動車が来年末までに燃料電池車(FCV)を700万円程度で販売すると発表した。ホンダは来年末が目標だ。これらには200万円程度の政府補助金がつくらしい。この車は電動モーターで走る。

 その電気を起こす原料が水素で、排出するのは水。つまり水の電気分解の逆を車の中でやることになる。スピードも走行距離も全く問題がない。理屈は前から知られていたが、こんなに早く実現するとは塾頭も思わなかった。

 水素の充填時間も、バッテリーへの充電とは比較にならないほど短い。ネックは水素スタンドが普及していないことと、水素を電気に変える際の触媒、白金が高いことだ。しかし、こんなことは、高速増殖炉はおろか、安全な原発を作ることよりははるかに簡単な技術開発でOKになろう。

Dscf4248_2 さて、その水素の原料が、三題話ではないがメタンなのである。現在、都市ガスやプロパンガスから容易にとり出せる。これにも触媒がいるが、白金のような貴金属でなくていい。その際、熱も発生するので、すでに「エネファーム」の名で家庭用、集合住宅用に発売されている。(右:週刊エコノミストより)

 これ1台で、電力、暖房、給湯がまかなえるとなれば、家庭生活で完全なエネルギー自給が実現する。山奥の別荘なら、電気もガスも引く必要がなくなり、これ1台で災害時でも生活エネルギーは万全だ。メタン原料の将来は明るい。

 今、アメリカではシェールガス開発がピークに達し、国内価格の値下がりに困っているが、ロシアなどでもこの開発が着実に進むだろう。また、現在開発途上の日本近海の底に眠るメタンハイドレー採掘が進めば、純粋な国産エネルギーとなる。一方、森林間伐等の廃材によるバイオマスで、メタンガスを採取する事業がすでに始まるなど、供給源は多彩で環境負荷もすくない。

 化石燃料からではなく水からも水素は作れる。稼働中の太陽光、風力などの不安定な電源で、稼働時に水の電気分解して水素をとりだせば、そのまま保管、移送が可能になる。「燃料電池」と言われる所以で、既存技術の活用で果てしない展望か開けてくる。

 ただ、それだけに原発とは違って大企業が独占できる余地がすくないとも事実だ。政府の基盤整備という後押しさえあれば参加企業も増え、決して屁のような話しではなくなるのである。小泉純一郎さんも、細川さんもねらいはそこらにあるのだろう。
 

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2014年8月17日 (日)

情報戦はロシアの勝ち

 ウクライナのマレーシア機撃墜事件から今日で1カ月という。インド洋で行方不明になった旅客機と違って、ボイスレコーダー、フライトレコーダー、機体の残骸など、直接証拠となるようなものはすべて揃っている。

 ところが、真相はいまだに闇の中。国際調査団は今月末に中間報告をまとめるというが、機体の残骸写真など情報機関なら容易に入手可能だろうし、発表されていない傍証を積み上げるだけで真相に近いところが見えてくるはずだ。米・露の情報機関は、すでに真相をつかんでいると塾頭はにらんでいる。毎日新聞(東京8/17)は次のように伝える。

 ウクライナや欧米主要国は、親露派武装集団のロシア製地対空ミサイル「ブク」による攻撃だったとの見方を強めている。今月7日には、マレーシア機の撃墜現場から北西数十キロの地点で、親露派が政府軍の戦闘機ミグ29を撃墜。戦闘機への地対空攻撃は難度が高く、親露派が保有を否定したブクが使われた可能性が高いとみられる。

 対するロシアは海外メディアに反論の声明文を送付。(1)マレーシア機の機首部分の大穴といった破損状況は戦闘機による攻撃の可能性が高い(2)親露派支配地域から地対空ミサイルが発射されたと米国は主張するが、上空の米衛星は弾道ミサイル探知用で対空ミサイル発射の記録は困難−−などとし、ウクライナ軍の攻撃と改めて示唆した。

 さらに、最近では引き続き親ロシア派軍とウクライナ政府軍の戦闘が続き、ロシアの難民向け救援物資の通行が拒否されたとか、一部は入ったとか、また、ロシアの装甲車が国境を越え、撃破されたというウクライナ側発の報道に対し、ロシアは「そんな事実はない。妄想だ」という反論をするなどの情報が入り乱れ、何が本当かわからない。

 ロシアは、直接の当事者であり米・西欧は間接的な伝聞証拠や衛星情報であることから、どうしてもロシアの冷静なコメントの方に重みを感じる。また、アメリカや日本を含む西側には、冷戦までの国際共産主義の膨張政策が依然としてロシアから消えていないという色眼鏡を感じてしまうからだ。

 そういった意味で米露双方の国民がどう観察しているかを見ると、全く反対の現象が示されており、その点で「オバマの負け」が鮮明になっているようだ。

オバマ大統領の支持率が就任以来、最低となった。低迷が止まらない。

 アメリカのNBCテレビとウォール・ストリート・ジャーナル紙が先月30日から今月3日までに行った最新の世論調査で、大統領の仕事ぶりを支持する人は40%と、これまでで最も低くなった一方、不支持は54%と半数を超えた。

 政策別に見てみると、大統領の外交運営を評価するとした人は36%にとどまり、ウクライナや中東など外交政策でのつまずきが政権の求心力を損ねていることがうかがえる。

 秋に控える中間選挙では、上下両院とも野党共和党が多数を占めることになるとの見方が強く、与党民主党内にもオバマ大統領と距離を置く動きも出始めるなど、政権は苦境に立たされている。
(日テレnews)
http://www.news24.jp/articles/2014/08/07/10256698.html
 

【モスクワ=佐々木正明】ロシアでは、マレーシア機撃墜事件を機に、プーチン政権支持の機運がますます高まる一方、反米感情がまるで旧ソ連時代のように強まっている。世論調査で「対米関係が悪化している」と答えた人は、旧ソ連崩壊後最高水準の74%に達した。国内では「欧米の制裁がロシアを団結させた」との指摘も出ている。

 3月のクリミア併合後から高水準だったプーチン氏の支持率は事件後、さらに上昇し、独立系調査機関レバダ・センターの今月の調査によると87%に達した。百貨店ではプーチン大統領を柄にしたTシャツが飛ぶように売れている。

 16日は1999年にプーチン氏が首相に就任し「プーチン時代」が始まった節目の日。主要紙はこの15年間の功績を伝える記事を掲載し、「大統領は国家発展のための力強いエンジンを構築した」とたたえた。

 大半の国民は欧米産農産物を禁輸する政権の対抗措置も支持している。
(msn産経news)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140816/erp14081622540007-n1.htm

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2014年8月15日 (金)

69回目終戦記念日

 来年は戦後70周年になり、中露米英なども一層にぎやかなことになるだろう。本塾にとっては開塾9回目の終戦記念日。

 来年のその時、安倍首相はまだ続いているだろうか。最近あからさまになったが、こんなに外交で失敗している首相はない。就任以来、隣国中韓のトップ会談ができずロシア・プーチン大統領の来日招聘どころか、北方領土での大軍事演習に抗議しても一蹴される始末。

 集団的自衛権でアメリカに恩を売ったつもりだろうが、中国を敵に回し、北からの拉致被害者問題進展で見返りを約束する態度に、オバマの反応は冷たい。TPPも遠くに行ってしまいそうだ。

 外交の失敗で首相が退陣するというのは、あまり聞いたことがない。近くは鳩山が考えられるが、それは自民など親米勢力が喧伝しているだけで、小沢幹事長に道ずれとして引きずり降ろされたという面が強く、世界のどこからもつめたくされたわけではない。

 オット待った。安倍の外遊の数は、9月に予定する南西アジアのバングラデシュ、スリランカ訪問で、歴代首相でトップとなる。2012年12月の第2次政権発足以降49カ国となり、現在1位の小泉純一郎元首相(48カ国)を抜く。

 ただし、小泉氏は5年5ヶ月かけて行ったのに対し、安倍総理はわずか2年にも満たない。しかし、その多くが、多数の大企業関係者を同行するトップセールスで、相手に期待を持たせることがあっても、わざわざ行かなければならない国とは思えない。あえて言えば人気取り効果だけ。

 安倍首相には、それまでに何とあっても引っこんでもらいたい。69年前の塾頭は中学2年。新学期が始まってから授業は皆無だった。上級生は工場動員で不在。1、2年は田植え手伝い、松根油の根っこ掘り、滑走路作り、雨の日は講堂で「動員学徒の歌」歌唱指導。

 その中に、校門前にある小山の防空壕掘りがあつた。われわれが4、5人立ったまま入れる程度のものでそれ1回だけだった。最近、昭和史研究家の調査により、道脇に穴を掘り、爆弾を抱えた中学生などを潜ませて、上陸した米軍が来たら体当たりをするという作戦を軍が考えていたそうだ。

 本土決戦が近そうだという知識はあった。日本海側の田舎町、太平洋岸に敵が上陸してもここまで来るのには時間がかかるだろうと思った。もし来たら武器は竹槍しかない。捕虜にならないよう徹底的に立ち向かって銃で撃たれれば、その点で人生終わり――。漠然とそう考えていた。

 しかし、前述の作戦が決行されれば、命は年末まで持たなかったはずだ。なぜならば、終戦の日までに制空権は完全に奪われ、この地でも爆音が聞こえれば敵機ということになっていた。また、長岡や秋田も空襲被害を受けた。  そして、聯隊のあったこの町に駐留軍がやってきたのは、日を覚えてないが秋深まるころだったと思う。

  すでに、教練用銃器や模擬手りゅう弾などは処分されていたが、個人所有の剣道用木剣のたぐいまで、この時武装解除された。

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2014年8月14日 (木)

新型!稲目の古墳

 奈良県明日香村の都塚(みやこづか)古墳(6世紀後半ごろの小型方墳か円墳)の存在は、前から知られていた。これが今回、基部までの発掘調査で一辺41m×42mの大方墳で、しかも、石を階段状に5段以上積みかさね上げたピラミッド状のものであることがわかった。

 同様なものは、北朝鮮と中国東北部をまたぐ旧高句麗時代の古墳にある。権勢を誇った蘇我馬子とされる巨大な石舞台古墳に近く、一帯が蘇我氏の勢力範囲であることから、先代・蘇我稲目の墓ではないかとされている。

 大和朝廷の勢力範囲を示すと言われる前方後円墳も、この頃より畿内から姿を消す。天皇陵を示す八角形型などもあるが定型とはならず、やがて古墳時代も終わりを告げる。蘇我氏といえば、馬子、蝦夷、入鹿と天皇をしのぐ権力を誇り、乙巳の変で、中大兄や中臣鎌足から皇極女帝の面前で入鹿が殺され、大化の改新につながることで有名だ。

 先祖は神功皇后に仕えた大臣・武内宿祢とされているが、めちゃくちゃな長寿であることなどから、伝説上の人物であろう。蘇我氏は、そういった応神王朝時代の最後に、突如として現れる。そして、朝廷を支えた物部、中臣氏などの反対を押し切り、朝鮮伝来の仏教導入を図る。

 経済、貿易実務に明るく、陶芸・織物・武具製造など工業、土木・建設技術、軍事などを韓人(からひと)で固め支配していることからも、先祖は朝鮮からの渡来人という説が強かった。しかし最近の説はそれに否定的だという。

 塾頭は詳しく知らず、批評できないが、最近の右翼用語では「在日」がどうかで、大問題にするだろう。もともと、日本に自然発生した日本人などはなく、アフリカからユーラシア大陸を経て何万年か前に住み着いたのだ。どちらでもいいではないか。

 日韓間の従軍慰安婦問題も含め、目前のことでぎくしゃくすることではなく、古今の両国間歴史研究が着実な発展を遂げればいいな、というのが塾頭の古墳発掘をきっかけに考えたことである。

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2014年8月12日 (火)

真夏の風景

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(乞・画面クリック)

ひまわり・畑・農夫=南欧風

白い壁・棕櫚・森=アメリカ南部風

満艦飾の洗濯物・ネギ=和風

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2014年8月11日 (月)

エボラ出血熱の脅威に考える

 本塾で4年半ほど前に書いた記事だが”新・マルサス「人口論」”というのがある。「はてな」の「マルサス人口論」へのベストアンサーとしてリンクされたせいか、本塾への検索で常に上位を占める。なぜそれを思い出したかというと、最近さかんに報道されるアフリカ発のエボラ出血熱報道が理由だ。

 それらによると、アフリカではジャングルの乱開発が進み、そこに住むオオコウモリや猿類を宿主とするこのウィルスの新たな棲家として人間を標的とした、という解説だ。つまり、人間が生態系を破壊しウィルスをジャングルから追い出したのだという。ところで前述の過去記事はこう書く。

 マルサスの人口論は、「子孫を多く残したいという人間の欲望から等比級数的に人口が増えて限りがない。これに対して確保しなければならない食糧を生産する土地は有限で、等差級数的にしか増やせない、そこで人類は、奪い合うための戦争や飢餓・暴動が避けられない」というものだ。

 ついでに若い時全盛をきわめた一字違いのマルクスについても書いた。地球上の大自然は無限であり、土地の私有をなくし開墾と労働により飢餓と貧困が克服できるとする考えだ。「収穫の歌」などという歌もはやった。なにか、今の新自由主義とも一脈通じるところがある。

 さらに、「新・マルサス」と題したのは、ポーランド人ジェノサイド学者、グナル・ハインゾーンの『自爆する若者たち』にある「ユース・バルジ」という新・人口論だ。15歳から29歳までを戦闘能力を有する「軍備人口」が、地域紛争や戦争を絶え間ないものにするという説を紹介したことによる。

 それによると、パキスタン、アフガニスタン、イラク、サウジアラビア、ソマリア、パレスチナなどイスラム圏各国におけるその比率が、これからも世界で最高のレベルを維持すると説いており、「軍備人口」が猛威をふるうとしている。

 これに対し、中国のユース・バルジは世界の平均的なレベルにあり、脅威ではないことになるが、膨大な人口の生活水準を高めるためという資源争奪戦の担い手になれば、やはり不気味だ。また、ユース・バルジ国ではないアメリカ・ロシアなどが、援助と称して武器や軍事介入すれば果てしない脅威に手を貸すことになり、それらの国にとっても見直す時期に来ている。

 人類がここからさき生き延びるために、今、何を考えなくてはならないか、軍拡や資源争奪、国境紛争などでない。省資源、環境保全、緊張緩和に叡智を傾け、資金を投ずることでなければならないはずだ。日本には福島第一原発という得難い教訓もある。集団的自衛権など寝ぼけたことを言っている場合ではない。

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2014年8月10日 (日)

9条の会にお願いしました

Dscf4247 先月末、本塾でなかにし礼さんの詩「平和の申し子たちへ!」を紹介しましたが、集団的自衛権の危険をすこしでも若い人に知ってもらいたいなあと感じ、地元「九条の会市川」」に協力をお願いしました。

 その希望が叶い、下記のようなメールをいただきました。また、チラシの内容も添付されていました。

 集団的自衛権の解釈変更反対の世論は水面下ですこしつづつ増えている感じです。このブログも来年4月で10年目を迎えますが、ストップ ザ アベが実現するまで頑張り続けます。

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なかにし礼さんの詩を、今日の「9の日」宣伝(市川駅北口:午後3時から)の チラシに使いましたので、参考まで添付します。 また、「九条の会」全国一斉行動の呼びかけに応え、「九条の会市川」は、10/25(土) 大洲防災公園で 「九条の会・全国一斉アクション 市川 いちかわ ICHIKAWA・・・・」 を開くことになり、そこでも、なかにし礼さんの詩を朗読することを企画しています。

公園で開くのは、市川市内の300人以上収容のホールが少なく、借りるのが 困難なためですが、閉会後に、市川駅までのデモ(パレード?)を行います。

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【再掲】
二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々(まがまが)しい
暗黒時代へともどっていく
そしてまたあの 醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回り始めたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいていないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和がつづいた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争など真っ平ごめんだ
人殺しどころか喧嘩もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は臆病なんだ 俺は弱虫なんだ
卑怯者? そうかも知れない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも 勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々(すがすが)しい風が吹くじゃないか
怖れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生まれた時
君は命の歓喜の産声を上げた
君の命より大切なものはない
生き抜かなければならない
死んではならない
が 殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!

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2014年8月 8日 (金)

辺野古工事に大成建設?

 まだ発行されていない「赤旗日曜版」8/10、8/17号の予告が出ている。

 スクープ 本体準備工事
 大手ゼネコン五十数億円
 知事選前に既成事実づくり

 これがトップ記事だ。大手ゼネコンは大成建設。ちょっと待てよ、大成建設はやはり政府助成の予算がついた識名トンネル工事で疑獄騒ぎになり、裁判も続いている会社じゃないか。おまけに、週刊文春記事で、仲井間知事の女性関係を騒ぎ立てられたおまけまでついている。

 3か月先に迫った知事選に影響しないわけがない。県外ではあまり騒がれていないが、場合によれば、国際問題に影響するかも。

参考ウエブ
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_weekly/
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-214057-storytopic-1.html
http://n-seikei.jp/2012/06/post-9391.html

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2014年8月 6日 (水)

口ほどにもない朝日とオバマ

 朝日新聞は、5日付で特集を組み、吉田清治氏の「慰安婦を強制連行した」との証言について「虚偽だと判断し、記事を取り消します」とした。「女子挺身隊」は、本土でも使われていた言葉だが、これを慰安婦と混同した記事についても触れている。

 そんなことは、今や常識となっているので、誤報として記事取り消しや訂正があったものと認識していたが、今頃それを明かすとは驚き果てた。

 さらに、「戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできない」ともいう。5W1H(いつ、だれが、どこで……)は、新聞記者の金科玉条だが、そこまでいかなくても、最近当塾が書いた「慰安婦問題は解決できる」で指摘したように、それが、監督官庁が存在しない最前線で秩序や道徳も失われている場所かどうかぐらいは区別しなければならない。

 当時、公娼制度のもとでの施設は合法的で「姓奴隷」施設ではない。そこでの彼女たちを「姓奴隷」呼ばわりするのは著しい偏見であり、朝鮮人は日本国民であっても採用しないなどということになれば、むしろ人種差別として問題になったのではないか。

 そのあたりをよく分析し、なお戦争の理不尽と責任を追求していく。朝日新聞に名誉回復の道があるとすればこれしかない。

 もうひとつは、オバマである。

 いずれ、とりあげることになるかもしれないが、今日の新聞記事(毎日)だけを載せておく。これが「Yes I can!」と言い、ノーベル平和賞を受け、少数意見を尊重するアメリカ式民主主義の国の大統領だろうか。今日は広島・原爆の日である。あなたは、安倍首相とは違うはずだ。

【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は4日、イスラエルの防空ミサイルシステム「アイアンドーム」向けに2億2500万ドル(約231億円)をイスラエルに追加支援10+件する法案に署名し、成立させた。

 ホワイトハウスは署名に関する声明で、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスなどからのロケット攻撃などに対抗し、イスラエルが自衛する権利への支持を改めて示した。アイアンドームについて「数え切れないイスラエル人の命を救った」と評価している。

 米議会調査局によると、米国は1985年以降、毎年約30億ドル(約3077億円)の援助をイスラエルに実施。近年はほとんどが軍事援助で、イスラエルの国防予算の約20%に及ぶ。約75%が米国からの武器・装備の購入などに使われる。

 米国はガザ地区への攻撃で急増する民間人の死傷についてイスラエルを厳しく批判する一方、「最も強力な同盟国の一つ」(アーネスト米大統領報道官)に軍事援助を続けている。

 今回のガザ紛争発生後も、米国防総省はイスラエル国内に備蓄してあった米軍用弾薬のうち迫撃砲弾などを7月下旬に供与。同省報道官は「イスラエルの自衛能力強化は米国の安全保障にもかなう」と説明した。

 こうした援助の背景には、米国で伝統的に根強いイスラエル支持がある。ギャラップ社が7月下旬に米成人約1000人を対象に行った調査では、イスラエルのハマスに対する行動を「正当化できる」との回答は42%で、「正当化できない」の39%を上回った。一方、ハマスのイスラエルに対する行動は「正当化できる」は11%にとどまった。

 ただ、オバマ大統領の与党・民主党支持者や無党派では、イスラエル批判層が46〜47%で、支持の31〜36%を上回った。女性や非白人層、49歳以下でも同様の結果だった。

 米国の軍事支援について、米コネティカット大政治学部のジェレミー・プレスマン准教授(中東研究)は「イスラエルは(中東という)困難な地域における同盟国であり、民主主義や宗教的な価値観を共有し、米議会の支持が非常に強いことが背景にある」と説明した。
http://mainichi.jp/select/news/20140806k0000m030052000c.html

 

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2014年8月 5日 (火)

集団的自衛権行使反対、若年層で7割

 7月1日の集団的自衛権閣議決定から1カ月余りたった。当時”国民世論は、「難しい」 だ”と題して次のように書いた。

各新聞社等が世論調査をしているが、朝日、毎日対読売、産経など社論の違いにより自社に都合がよくなるような設問をしているので結果が一様でない。

 また、TVでは市民の声を聴くとして賛否の両方から収録しているが、はっきり「反対」を明言する人以外は、「環境が変化しているから」とか「ある程度は」という消極的賛成か、「難しくて分からない」「関心がない」というのが多い。

 それが、日を追うごとに反対が増えているようだ。この勢いを止めてはならない。1か月後となる共同通信調査を、琉球新報5日付社説は次のように伝える。

(前略)集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲の閣議決定について、賛成が31%なのに対し反対は60%に達した。
 国民の大多数が反対することを、内閣が勝手に決めたことを雄弁に物語る。しかも1カ月前に比べ賛成は3ポイント余減り、反対は6ポイント近く増えた。反発は薄れるどころか強まっているのだ。民意不在の強権政治は許されない。早急に信を問うべきだ。

(中略)今回の世論調査では20~30代の若年層で反対が7割に上った。1カ月で18ポイントも上昇している。戦争になって命を失う危険がより切実な世代だ。その切実性に照らせば、懸念はうなずける。
 世論調査で賛否の一方が7割にも達するのは異例である。ほぼ総意だと言ってよい。

 戦争を知らず、安易な決定しか下せない安倍首相のまたその子の世代にこの危険性をどう伝えるか。自公の不毛な議論に乗ってしまうと、ますますわけのわからないものになってしまう。そこに、なかにし礼さんの詩「平和の申し子たちへ!」が発表され、これだ!と思って飛びついたのが、7/30日のエントリーだった。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-45b3.html

 しかし、安倍一派が簡単にシッポを巻くわけがない。公権力、謀略その他麻生さんじゃないが、ナチスの手ををまねて何をしでかすかわからない。その野望をうち砕く力は、まだ国民の間にある、と固く信じて止まない塾頭である。

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2014年8月 4日 (月)

経済制裁→経済封鎖→戦争

 今、アメリカが音頭をとってロシアに対する経済制裁をたきつけている。「要人の海外口座の封鎖」など、腕力を使わない”いじめ”の一種だ。NATO諸国や日本は、ガキ大将からにらまれないよう、いやでもそれにのってしまう坊ちゃんだ。

 いじめでも間違うととんでもないことになるのは、ご承知の通り。それがさらに発展すると「経済封鎖」になる。必需品のすべてを輸入できないようにしよう、ということで、臨検やルートの破壊で軍事力がかかわり事実上の「戦争」が始まる。

 中東のガザがまさにその状態といわれるが、ひるがえって日本は……。政府のだした集団的自衛権行使の閣議決定に関連して示された文言、なかにし礼の「平和の申し子たちへ!」から表現を借りると、「禍々しい」限りの前提条件を見てみよう。

あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置

 これで、ホルムズ海峡に敷設された機雷除去という軍事行動を合法化しようという。また戦闘状態が起きれば逃げるんだという。そんな戦争などあったためしがない。第一、アメリカはそんな共同作戦に乗るだろうか。

 前述の前提条件はあまりにも抽象的概念すぎて、「禍々しい」というより、あほらしくて笑っちゃう。旗揚げしたばかりの「次世代」さんたちがよく言う。太平洋戦争は、ABCD(米英中蘭)の包囲網で石油輸入のルートが途絶えたことによる。開戦の責任はアメリカの方にあるのだそうだ。

 もとは学者が言ったのかもしれないが、「よくもまあ……」といった感じだ。最初に「援蒋(蒋介石)ルート」を絶つといって仏印(ベトナムなど)へ出兵、中華民国の経済封鎖をしたのは、誰だったけ。石油輸入がゼロになる、今なら確かに大混乱になる。

 世界から孤立すれば別だが、今、ホルムズ海峡が閉鎖されたぐらいではゼロにならない。また太平洋戦争突入当時は、自家用車などほとんどなかった。また電力は豊富な水力がウリで、火力は石炭だった。次の表を見ていただきたい。

石油製品配分計画(内閣企画院)単位千bl
――――――――――――――――
1942(昭和17) 1943   1944
――――――――――――――――
陸軍  5700   6300   7600
海軍 17600   15700  15700
民間 12600   12600  12600
――――――――――――――――
合計 35900   34600  35900

 ほぼ3分の2が軍用で、「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態」などはなく、「根底から覆される」のは帝国陸海軍だけだったのである。終戦間際には急速な食糧難に陥るが、これは徴兵・徴用で農村の働き手が欠乏したせいでもある。

 肝心なことは、経済制裁、経済封鎖などが、「戦争したがる人間」にとって、いつも開戦の口実に使われるということである。

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2014年8月 1日 (金)

原子力の「想定外」は犯罪

<注意義務>
 原子力発電は事故が起きると被害は甚大で、影響は極めて長期に及ぶ。原子力発電を事業とする会社の取締役らは安全確保のために極めて高度な注意義務を負う。想定外の事態もおこりうることを前提とした対策を検討しておくべきべきである。

 以上が、東電元会長らを「基礎相当」とした東京第5検察審議会の議決要旨の冒頭部分である。塾頭は、事故直後から東電や、御用学者のいう「想定外」発言で、猛烈なアレルギー反応に陥った。これは、放射能と聞いただけで反応を示す、いわゆる「核アレルギー」とは違う。
http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-1e91.html

 彼らの「想定外」は沢山ある。まず大津波、全電源喪失。そのほかに事故発生後の避難体制、核燃料サイクルの不成立、人為的ミスの根絶などだが、今回焦点になっているのは津波である。避難体制などは川内原発再開決定でも想定されないままだ。

 それがなくても、全電源喪失を想定しなかったというのは、塾頭は犯罪的だと思う。似たような場所に似たようなシステムで設置した4基の自家発、それが同時に機能しなくなるという想定は、原子力だからこそしなければならない想定だ。

 交通事故、飛行機墜落、工場爆発その他どんなアクシデントでも、原子力に匹敵する期間、範囲その他、人類の存亡にかかわるような損害をもたらす事故はない。そこまで考えれば、外部電源受入れ用ケーブル設置、電源車の常備、場合によれば薪でも使える蒸気機関があってもいいとすら思ったほどだ。

 そんなことを想定するのは、馬鹿げたことだろうか。原子力だからこそ馬鹿げた想定をしなければならないのではないか。しかし、しかしである。東電役員にだけその責任をおしつけるという裁判には問題がある。

 裁かれなければならないのは、安全神話の土壌をを作った原子力村全体である。裁判所で証言した御用学者、政策として旗振りをした通産省とか文科省、そしてチェックの役割を果たせなかった政治家である。

 一株式会社の取締役に、政府の方針に反する、または異議をさしはさむ行動がとれるだろうか。また、株主の利益を損ねる任務放棄の決定ができる余地はほとんどない。そうすると、これが裁判に付されてもこれまでの検察審議会による裁判の例から見ても、有罪判決を下すのは至難の技だろう。

 大飯原発運転再開を差し止め請求では、5月21日に福井地裁が「人格権」を表に出す画期的な原告勝訴の判決をした。日本国憲法を持つ日本人に、司法の限界を感じさせない名判決だったと思う。この判決を朝日・毎日は社説で評価し、読売・産経は批判した。

 仮に「想定外」が裁判にかけられ、被告無罪となっても、その判決理由の中で原子力村の「想定外」の犯罪性を明確にするなど、福井地裁に見られたような名判決再現を是非期待したいものだ。

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