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2014年7月29日 (火)

慰安婦問題は解決できる

 その前提は、朴槿恵大統領と安倍首相が引退することである。両者とも支持率がこのところ下降気味であるが、朴大統領は、客船沈没事故以降の不人気を支える上で、舛添都知事に示したように一歩も引く構えはなさそうだ。

 安倍首相は、靖国神社からA級戦犯を分祀するなどの方向転換をするのは、A級戦犯で処刑をまぬかれた祖父・岸信介のてまえと、多くの排外主義の有権者や議員の支持がたよりの彼にとって、考えの及ばないところだろう。

 この問題に対する塾頭の考えは、以前述べたことがあるが、あまり触れたくないという気持ちだ。その理由は、まず、真実を知らないことが第一である。また、それが存在した時代を知っており、今の世間常識ではまったく理解されない、というのが第2である。

 さらに、それぞれの状況において判断しなくてはならないのに感情だけを先行させ、単一の問題として白か黒かの一方に決めつけ、真の姿をねじ曲げてしまう傾向についていけないことだ。具体的に見て行こう。

 まず、強制連行があったかどうかである。2番目にその施設のあった場所である。そして最後は河野談話の評価である。これとは別に、中世にはすでに存在した日本や朝鮮における売春や公娼制度を社会的にどう位置づけ、人権を守り、文化にまで昇華させたかということについては、世界に通用せず、現代人感覚からかけ離れるので省略する。

 強制連行であるが、場所は朝鮮半島である。人集めは民間業者が行う。もちろん、軍人を含め教員、警官、公務員など、日本出身者が各地にいた。しかし、人集めなどは言葉の不自由な日本人があたったとは思えない。

 当時は、それまでなかった兵役の義務を朝鮮にまで及ぼし、日本の労働力不足を補うため徴用令も適用された。これは皇民化政策の一環でもあった。それもあって、教員・公務員などは差別扱いを厳しく禁じられた。

 そのような状況下、嫌がる若い女性をむりやり連行することは、国内法にも触れ犯罪になる。親の同意もなくてはならず、朝鮮人がだまって見過ごすとは考えられない。ただし、甘言によって、あるいは騙されてひそかに、ということはあり得るだろう。

 日本人女性の場合、希望して前線に出て行ったケースもあるようだが、河野談話の「総じて本人の意思に反して」という表現は、韓国側とのつきあわせの結果とはいえ、当たらずといえども遠からずかも知れない。

 次に慰安施設のあった場所である。台湾、満州、北京、上海など、軍隊のほかに日本の官僚の出先があるような場所は、それぞれの施設を所管する出先が業者を管理監督し、軍の管轄外で、娼婦自身の廃業の自由もあったはずだ。

 問題は、軍と行動を共にし、前線に出て行った施設だ。移動から一切の行動を管理運営する機関は軍しかなく、死生をわけるような環境にさらされていたことは想像できる。兵士に自由がないのと同然、慰安婦の人権もないに等しくなっただろう。

 性奴隷といわれても仕方ない状況下にあり、女性の強制的現地調達があったことも明らかにされている。そういった犯罪行為で軍事裁判を受け、処刑された軍人もいる。つまり、国際法上の戦争犯罪だ。しかし、そのすべてを「強姦施設」などと呼ぶのは不当であろう。

 塾頭は、戦火の危険をのがれ、助け合ったとかいつくしみ合ったという話は聞くが、逆の話は聞いたことがないのである。冒頭に書いたが、塾頭はそれを見たわけでもなく知っているわけでもない。最後に、韓国でも感情より実態・史実を尊重する議論が出始めているようなので、それを紹介しておこう。

 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/07/09/2014070904084.html
2014年 07月 9日

【ソウル聯合ニュース】韓国で出版された「帝国の慰安婦-植民地支配と記憶の闘争」が旧日本軍の慰安婦被害者を「売春婦」「日本軍協力者」と侮辱したとして、被害者らが同書籍の販売差し止めを求めた仮処分申請の初審理が9日、ソウル東部地裁であった。出廷した慰安婦被害者5人は著者の朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授が被害者の名誉を毀損(きそん)し、精神的な苦痛を与えていると訴えた。

 慰安婦被害者らは6月、同書籍が慰安婦について、「基本的に日本の軍人と同志的関係を結んでいた」などと記述したことに反発し、朴氏を名誉毀損で告訴した。

 慰安婦被害者の一人、イ・オクソンさんは審理で、「強制的に連れ去られた私たちを慰安婦というのはあまりにも悔しい。言うことを聞かなければ撃ち殺し、刺し殺す慰安所は人を殺す屠殺場と変わらなかった」と証言した。

 朴氏は答弁書で、「慰安婦被害者を『売春婦』や『日本軍協力者』と記述したのは歴史的な事実に基づくもの」と主張。「『何も知らない純粋な少女が軍人に強制的に連れ去られた』というのが一般的な認識だが、慰安婦制度は基本的に賃金労働だった」と述べた。その上で、「朝鮮人の慰安婦を『協力者』と記述したのは、植民地だった朝鮮の現況を正確に見るためだった」と説明し、「その協力に『心』が存在したかどうかは関係がなく、慰安婦被害者を罵倒したものではない」とした。

 慰安婦被害者らは審理後に記者会見を開き、「歴史の生き証人がここにいる。(朴氏が)親日派でないのならば、売春婦という言葉を口にすることはできないはずだ」と批判。「日本の妄言を防ぐどころか、日本と同じ論理の本を出して金を稼ぐ人間が学生を教える教授なのか」と嘆いた。

 次の審理は9月17日に行われる。

【産経MSN】

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140729/kor14072908250002-n2.htm
問題となった同書について、韓国の主要紙、朝鮮日報(電子版、7月12日)が韓国のKAIST大教授の書評を掲載している。「慰安婦問題では朝鮮人も責任を避けられない、という指摘は認めざるを得ない。娘や妹を安値で売り渡した父や兄、貧しく純真な女性をだまして遠い異国の戦線に連れて行った業者、業者の違法行為をそそのかした区町村長、そして何よりも、無気力で無能な男性の責任は、いつか必ず問われるべきだ」と朴氏の主張に一部、同調している。また「本書を細かく読んでみると、韓日間の和解に向けた朴裕河教授の本心に疑う余地はない。元慰安婦を見下したり、冒涜(ぼうとく)したりする意図がなかったことも明白だ」と擁護している。

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コメント

アメリカ議会とか韓国などは『日本は従軍慰安婦問題に対して謝罪も賠償もしていない』と批判しているのですが、
第二次世界大戦時にアメリカが日系人を強制収用した人権侵害に対してレーガン大統領の時代に謝罪と保障を行ったのと同時期に同額の見舞金を支払っているし、歴代総理の謝罪文も添付いた。
アメリカと同等の戦後処理を行ったのです。
ところが名目がアメリカは国家事業だったが日本政府の方は、民間基金だった。
民間基金とは実は擬装で9割以上は国家予算なので実質はアメリカと同じなのです。
この時に,台湾と韓国では反対運動が起きて、見舞金を受け取らない元従軍慰安婦が出て、これが今の大騒動に繋がっている。
この反対運動ですが台湾と韓国だけだったのですよ。
他国では起きなかったので成功したが、日本の右翼勢力とも関係が深い、台湾韓国の反対運動の動きが不思議なのです。
反対したのは、人権団体らしいのですが、調べたが正体不明ですね。
これだけ大きな日韓の国際問題に発展したのですから、20年前の従軍慰安婦の基金に反対していた組織とか運動の検証が必要でしょう。

投稿: 宗純 | 2014年7月30日 (水) 10時11分

コメントありがとうございました。
ウクライナの民間機撃墜と同じで「それをすることにより誰が得をするか」です。

元慰安婦たちは、見舞金を拒否すれば、額がもっとふえる、と教えられていたとすると、笑えない悲劇になってしまう。

これも「敵は本能寺」と考えざるを得ませんね。東京裁判は公正無謬とは言いませんが、それを認めるところから世界の戦後史レジームが始まる。それを拒否する指導者がいる限り、この問題は永遠に解決しません。 

投稿: ましま | 2014年7月30日 (水) 11時18分

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