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2014年6月19日 (木)

怖・読売の自主検閲②

 原寿雄『ジャーナリズムの可能性』岩波新書という本がある。2009年1月初刊本であるが塾頭には珍しく、買ったまま「つん読」状態になっていた。あるいは、ザッと中味を斜め読みした程度だったのかも知れない。

 最近、引っぱり出して読み直してみると、中味というより、「はじめに」と「終章」に肝心なことが書いてあった。それは、ジャーナリズムの危機が、特に日本において顕著に進んでいるいるということである。

 さらにその後、第2次安倍内閣による、特別秘密保護法や集団的自衛権に関する強引な政治手法などが、言論の気力のなさと相まって、日本国民にかつてない閉塞感や無力感をもたらしいてるという感じを持った。

 前述書の最初と最後を引用してみよう。

【はじめに】
 デジタル時代がこのまま進めば、人びとは自分の個人的な利害や趣味、関係する仕事に直接かかわる情報以外に関心を持たず、公共的な情報は、滅びてしまいそうな情勢である。情報栄えてジャーナリズム滅び、ジャーナリズム滅びて民主主義亡ぶ――そうなってはならない

【終章】
 情報の収集と発信にはデジタル・メディアをフルに利用したうえで、あるべきジャーナリズムを実現すれば、ジャーナリズムの危機は克服できるはずである。良質でオリジナルな公共性の強い情報をどれだけ収集・分析・発信できるか。それは、未来のジャーナリストの課題であるばかりでなく、現在のジャーナリストにとっても不可避の課題である。

 著者・原寿雄氏は、1925年の大正生まれで共同通信社社長を務めた人である。そして、戦前・戦中・戦後の移り変わりを実体験し、言論の弾圧が生んだ日本の悲劇的過ちや戦後のジャーナリズムの軌跡を追い続けたてきたことが書かれている。

 その中で、読売新聞の渡辺恒夫主筆、俗にナベツネという言論人を、福田元首相と小沢一郎民主党元代表の「大連立」工作など例を引いて激しく攻撃している。また、魚住昭氏のインタビュー記事を『渡辺恒夫 メディアと権力』から引き、次のような文章もでてくる。

 世の中を自分の思う方向に持っていこうと思っても力がなきゃできないんだ。俺には幸か不幸か一千万部ある。一千万部の力で総理を動かせる。小渕総理とは毎週のように電話で話すし、小沢一郎ともともやっている。政党勢力だって、自自連立だって思うままだし、……

 また、新聞界でも、自治相を務めた小林与三次が65年に読売新聞社長になってから「新聞は政府に協力するのが当然」と言明したとも書いている。現在、最大発行部数を誇る読売新聞が安倍内閣応援団の筆頭ととして君臨し、産経が最右翼としてこれを追っている。

 それに対抗するのが朝日と毎日だが、東京・中日など地方紙も野党寄りの記事を書く。これは、共同通信への依存度が高いからだ、という俗論があるがそれはないだろう。たとえば、沖縄2紙などは、基地問題などで独自の取材が目を引くし、その他各紙も長い伝統の中から地方文化を支えてきた自負心を持っている。

 塾頭の経験だが、かつて、中日の地盤であった中京地区、北陸地区域に読売がノベルティー工作(ギフトによる拡販競争)などによる殴り込みをかけ、同社のシェアーが大幅に奪われたことがあった。

 その傍若無人な振る舞いに、同社の幹部が「こうなったらもう公器として記事で争うしかない」と漏らしていたという話を聞いたことがある。ここまで来ると、社会の木鐸どころか、権力の魔窟としか言いようがなくなる。時の政府がそれを利用することで自信を得ているとすれば、まさに「怖(こわ)」の文字を当てるに値する。

 最初の前掲書の引用では、「デジタル・メディアをフルに利用したうえで、あるべきジャーナリズムを実現すれば、ジャーナリズムの危機は克服できるはず」とあるが、「金目」には全く縁がなく、いかなる権力にも程遠い弊・反戦塾もデジタル・メディアの中にいる。

 浜の真砂であっても、「利用」される可能性なきにしもあらず、とひたすら信じ、気を取り直して明日も手あかのついたキーボードに向かいたいと思う。

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