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2014年6月 1日 (日)

「国家的犯罪」という言い回し

 拉致問題で交渉が進む中、マスメディアの中で「国家的犯罪」という言い回しが増えている。北朝鮮という国が、中世でも稀に見るような残酷非道な政治手法用いる国であることは、いうまでもない。

 しかし、この言葉を国際良識派と目される有名評論家が使っていることに驚いた。被害者家族が言う分には、その感情をおしはかる上で無理ないものと思う。しかし、そういった発言をし、補償や謝罪をあらためて要求するようでは、解決に水をかけるようなことにことになりかねない。

  朝鮮にとっては、南北ともに独立後70年、南北の朝鮮戦争が起きて65年近くたつ。当塾で何度か触れてきたが、南北ともに建国の基盤を日本との独立戦争においている、ということである。日本人は、先の大戦は連合軍に戦争で負けたと思っていても、朝鮮と戦争していたとは誰も思っていない。

 ところが、北では金日成将軍が白頭山を拠点に抗日パルチザンを率い、日本軍と戦って国土を回復したという神話が、また南では、中国に置いた抗日亡命政権の代表者・李承晩が初代大統領となり、サンフランシスコ講和条約への参加を希望したが米・英などに断られたという経緯がある。

 現在の韓国政権はその系譜をふむものという憲法上の規定がある。日韓両国は、1965年(昭和40年)6月22日に現・朴槿恵大統領の父親・朴正煕大統領と佐藤栄作首相との間で「日韓基本条約」が締結され国交を回復した。

 このように、両国は日本を敵として戦争をした国、ということになってる。だから韓国も戦犯合祀の靖国神社参拝は、反省がなくけしからん、ということになるのだ。一方北朝鮮は、金日成が日本を敵にして戦ったあと、今度は、韓国・アメリカそして日本が敵国となり、朝鮮戦争に突入したということになっている。

 米兵の多くは、日本の基地から出撃し、日本は、多大な軍需品を後方支援として米軍に供給したため好況に沸いた。なお、元山港の水雷処理のためアメリカの要請を受けて海上保安庁掃海艇が出陣し、触雷のため1名の戦死者がでていることも歴史の影に隠れている。

 このように、日本は米・韓同様同国との戦争がまだ続いていると見なせる状態にあるのだ。金正恩の体験にはないが、拉致が盛んだったころは朝鮮戦争の熱い戦争は停戦中でも、お互いの内部攪乱のためには何をやってもよかったという時代だ。

 工作員の潜入、工作に使える要人や市民の拉致は、北の方が多いにしろ、戦争の継続で韓国にとって「犯罪国家」という認識はあまりなかったものと思う。これに反し、日本は敵とは思っても見なかった北からの工作を受けた。このため、韓国内では拉致の人数が日本の比ではないが、拉致問題として取り立てられる度合いは少ない。

 かといって、日本人拉致が合法化されるいわれは一切ない。しかし、一度は現場のやり過ぎとして金正日が謝罪したことを、頭ごなしに「犯罪国家」と決めつける態度は、決して利口なやり方ではない。外交当局はその程度のことは分かっているとは思うが、塾頭にとっては余計な懸念である。

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コメント

反戦塾までが冒頭で、
『北朝鮮という国が、中世でも稀に見るような残酷非道な政治手法用いる国であることは、いうまでもない。』
と書き込まないと記事を掲載出来ないほど、我が日本国は右傾化していますが、
この原因は日本経済の停滞による閉塞感も大きいが、
12年も続いている北朝鮮バッシングですよ。隣国に対して、このようなことを行えば偏狭なナショナリズムが高揚して必ず右傾化する。
経済不況なら、現状に満足している保守が減る分、現状に不満の右翼や左翼などが増え二極分化するんですが、我が日本では左翼が消滅したので右翼だけが残ったのです。

隣国は基本的に選べないのです。
いくら不満でも、仲良くする以外の選択肢が無いが、日本は真逆な方向に走っている。
これで右傾化しなかったら嘘ですよ。
今の北朝鮮ですが、一番似ている国家は、安倍晋三など右翼が大好きな昔の日本国ですよ。
「拉致事件は北朝鮮による国家的犯罪です。」ですが、
これは元外交官の天木直人も同じように主張しています。ほんとうに困った話ですね。

投稿: 宗純 | 2014年6月 3日 (火) 10時46分

ご批判ですが、政敵をその係累まで含めていきなり公開処刑したり、不満分子を家族ぐるみ強制収容所に隔離するというのは、右翼の宣伝でしょうか。

闇から闇に葬る手法は近代国家といえるでしょうか。

反戦塾のモットーは、右であろうが左であろうが、歴史を変造し、基本的人権を蹂躙し、武力による脅迫を繰り返し、「戦争」のねたを作るような動きには、すべて批判の矢を向けることです。

投稿: ましま | 2014年6月 3日 (火) 12時43分

ましまさん、どうして『ご批判ですが、』などと思ったのでしょうか。
不思議でなりません。
単に、今の日本国の現状を説明した文章ですよ。
今のニホン国では左翼が消滅しているのは残念ながら紛れも無い事実ですよ。
自民党ですが、昔の国民政党を標榜していた時は保守政党だったが、今は極右政党になっている。
消滅した左翼ですが、確かに、今でも日本共産党と言う名前の政党は以前と以前と同じに存在しているが、あれは左翼では無い。
中身が完璧に変質していて、長年の支持者として贔屓目に見ても穏健な保守かリベラルであり、左翼などおこがましい限り。
いま、日本国全体が大きく右側にスライドしているのです。
左翼の消滅は事実です。今の共産党ですが昔なら自民党のリベラル程度の主張を行っています。
自民党幹事長経験者が何人も赤旗で発言しているが、彼らは自民党ではなくて、今までは天敵だった共産党の方に親近感を感じている。
いまの共産党が保守党化しているのです。
長年共産党をウオッチしていた身には、絶望感しかありません。
目の前の事実を指摘されて、むきになり、反論する今の態度はまさに右翼の真似。
自分たちにとって、良い情報は大事ではない。
否定したい、良くない情報こそが危機管理には一番大事であるのです。
それに、そもそも先の私のコメントの趣旨ですが、折角良い記事を書いているのに、
冒頭に、
『北朝鮮という国が、中世でも稀に見るような残酷非道な政治手法用いる国であることは、いうまでもない。』
との『断り』を、
書き込まないと北朝鮮の記事を掲載出来ないほど、
今の我が日本国は右傾化してる現状を指摘したものであり、
記事自体は一言も批判していない。
批判どころか、この記事は、政治的に見て非常に良い着眼点です。


北朝鮮の異常ですが、
ある意味では当然で『戦争をしている国』に共通する異常ですね。
彼等は今でも本気で朝鮮戦争を半世紀も継続中なのです。
北朝鮮の正常化には矢張り、朝鮮戦争の終結以外の良い方法は無いでしょう。

投稿: 宗純 | 2014年6月 3日 (火) 14時13分

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