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2014年5月28日 (水)

国際関係を動かす写真

  このところ立て続けに外国の選挙のニュースガ入る。ウクライナが注目されていたが、親露派の妨害をうけながらも予測通りポロシェンコ氏が選出された。タイは軍がクーデターを起こし、次の為政者を選ぶための総選挙がいつになるのか、見当がつかない。エジプトは、やはりクーデター後の選挙が26、27日の2日間にかけて行われ、シシ前国防相の圧勝が確実視されているが投票率は低いらしい。

 この両国は貧困層、都市中間層、軍部などの対立からデモが繰り返され、それに軍が介入して権力を奪取する。また、選挙をすれば貧困層が勝ってしまうなど、よく似た経過を繰り返す。つまり、簡単に軍事独裁政権を許してしまう体質になっている。塾頭は、優秀な官僚層が育っていないからではないかと思う。

 貧富の格差解消や腐敗防止に効果的な手が打てないのだろう。ヒトラーが権力を手に入れたとき「余は強力な軍隊と優れた官僚を手にすることができた」と豪語したエピソードを思い出す。しかし塾頭が関心を持ったのはこれらではない。

 世界的な影響があるという点で、26日に大勢が判明した欧州連合(EU)の欧州議会選挙(751議席)と、同じ日にインド総選挙で圧勝して首相に就任したたインド人民党のナレンドラ・モディ氏(63)のことである。

 まず欧州議会選挙を見よう。これはEUも一つの国のように見なし、その議員を各国の人口割で選出するものである。したがって加盟国国民は、それぞれの国の議員とEUの議員の両方に選挙権がある。

 5年に1回行われるが、今回は与党の中道2会派が議席を減らしたものの過半数を維持した。しかし、現在以上の欧州統合に懐疑的なイギリス、フランス、ギリシャなどの選出議員で左右両翼の政党が2割をこえる見通しとなった。

 イギリスでは、反EUの英国独立党が議席数トップを奪い、フランスの極右政党・国民戦線が同国の最大勢力となる見通しだ。こういった統合深化批判勢力が、国連常任理事国の地位にある大国で議席を増やすことは、一見ウクライナ加盟を推進するように見えるが、国内対立の深刻さや経済面でロシアとの不即不離の関係を知り、逆に加盟が遠のくのではないか。

 もうひとつ気になるのがインド新首相の動きである。26日の首相就任宣誓式には、南アジアなどの8か国の首脳が招待された。注目されるのは、カシミール地方の歴史的な対立から宿敵とみられていたパキスタンの首相が招かれたことである。

 両国とも核兵器開発に成功しているが、カシミールの対立が呼び水となったといわれ、パキスタン・アフガニスタンの盟友関係もそこから生まれた。招かれた8か国のうちスリランカ、バングラディシュ、パキスタンでは、中国が港湾建設などの支援を通じて対印包囲網を形成する「真珠の首飾り戦略」を進めているとされている。

 また式典にはチベット亡命政府の首相も出席した。明らかに最近の中国膨張主義政策をけん制する狙いがあると思われる。これより前、ASANの会議でも、中国を名指ししなかったものの、権益拡張をけん制する声明を出したばかりである。

 折から、ベトナム沖の西沙諸島近辺における公船の衝突事故に加え、今回は漁船による衝突・沈没事故まで起きた。また、自衛隊機に中国戦闘機が30mまで接近するなど、挑戦的な危険行動が、バッチリ写真に撮られた。

 中国はその都度、責任は相手国にあり、被害を被ったと言わんばかりのことを悪態をついて主張する。しかし、ぶつかってくる中国海警と書かれた船、ミサイルを装着し、操縦士の顔が見えるほど接近した戦闘機の写真ほど雄弁に真実を語るものはない。

 新鋭戦闘機とターボプロップの双発プロペラ機。スピードと攻撃能力の差は歴然としている。脅かしている方と危険にさらされている方がどっちかなど、いうだけ野暮ではないか。さすがの中国も、明瞭な証拠写真を前に、四面楚歌となっていることに気がつき始めている。

 その焦りが、上海で開催されたアジア相互協力信頼醸成会議(CICA)となったのだろう。一方、EUもウクライナの写真報道がどの程度行われているか分からないが、影響しないわけにはいかない。

 中国対策なら、現実離れしたおとぎ話の集団的自衛権論議より、冷静な抗議と1枚の写真の方がよほど効果的だと思うのは非常識だろうか。

 

つけたし

――集団的自衛権、今国会中の閣議決定無理――
      公明党頑張れ!!。もう一息。

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