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2014年3月 1日 (土)

集団的自衛権は慎重審議で崩壊

 ここへきて、安倍首相の閣議決定による集団的自衛権の解釈変更は迷走を始めた。敵は本能寺、公明党はもとより自民党総務会からも疑義が噴出、石破幹事長も慎重議論派だ。

 安倍首相は国会閉会後の内閣改造人事権を振りかざして乗り切る心づもりがあったかもしれないが、さすがに無理を悟ったのだろう、閣議決定を先にする前言をひるがえし「国会の要望があれば」などと言い始めた。

 積極的応援団は、むしろ野党のみんなの党と日本維新だ。長らく中断していた参院の憲法審査会が先月26日に再開したが各党の態度が次のように表明された。(毎日新聞による)

 みんなの党・松田公太氏:国連憲章で国家の権利として(行使が)認められている。政治が責任ある解釈をすべきだ

 日本維新・清水貴之氏:国際社会の変化に合わせて(憲法解釈を)見直すべきだ

 民主党・小西洋之氏:憲法9条に解釈変更の余地はない。憲法規範の存立に関わる問題であり、絶対に許してはいけない

 共産党・仁比聡平、結いの党・川田龍平、社民党・福島瑞穂各氏:解釈変更に反対

 自民党・丸川珠代氏:憲法解釈を変えることが憲法の規範性を変えるとは思わない

 公明党・西田実仁氏:環境権などを加える「加憲」を訴え、解釈変更の是非には触れない

 みんなの党と日本維新の主張は、石破氏の賛成論でも見られるが、慎重審議する過程でそのような論理が成り立たないことが明らかになるだろう。まず、みんなの党・松田公太氏の、国連憲章至上論。憲章をよく読めばそんな意味でないことが分かるはずだ。

国連憲章 前文

われら連合国の人民は
われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、
基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小国の同権とに関する信念をあらためて確認し、
正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、
一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、
並びに、このために、
寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、
国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、
共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、
すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、
これらの目的を達成するために、われらの努力を結集すことに決定した。(以下略)

  ……▼塾頭注
 第1次大戦後の不戦条約では「國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ卒直ニ抛棄」とあるが、”自衛”のための戦争は例外という解釈があったため、国連憲章では前文の「戦争の惨禍」と後段で「第2次世界戦争」という固有名詞以外に「戦争」という文言を一切使わず、「武力行使」に置き換えた。

国連憲章 第51条[自衛権]

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当たって加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。 

 ……▼塾頭注
 緊急避難の権利は(自然権として)あるが、集団的自衛権を行使する権利があるとは読めない。なお、集団的自衛権という言葉はここに初めて出現するが、当時締結されたばかりの米州機構参加国のうち、常任理事国の拒否権にあって自衛力発揮が史実上不可能な小国のため、アメリカの要求で追加されたものである。

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