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2014年3月16日 (日)

愛国者諸君に問う②

 以下は前々回のコメントに対するレスポンスですが、長くなりすぎたので本文とさせていただきます。
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makoto さま
こんにちは
 以前、「あげあしとりのようなコメントには答えない」と書いたことがありますが、今回は「愛国者諸君に問う」という題なので、逃げが利きません。よく読んでいただければ makoto さまと意見が異ならないような点などをのぞき、答えさせてください。

 まず「敗戦はくやしい」の安倍発言です。これは安倍晋三『美しい国へ』文春文庫(2006年)78ページにでてます。

 (前略)いま世界中の人びとが日本につどい、日本人選手がその前で、胸のすくような活躍を見せる――敗戦のくやしさと、戦争を始めたことへの後悔をバネにかえ、強い精神力で生き抜いた世代にとっては、それは誇らしく、もっとも輝かしいときだったにちがいない。

 前回の東京オリンピックを指す部分です。安倍さんは当時小4で、「くやしい」と思った世代は塾頭などと言うことになりそうです。余計なことだが、それをいうなら戦後まもなく水泳で活躍した古橋広之進さんや橋詰四郎さんの方が適当だった。

 ともあれ、「くやしい」感覚は、終戦の詔勅を聞いた一瞬だけで、一カ月もたたないうちに「戦争に負けてよかった。もし勝っていたら軍部がどんなに威張り散らし、より悲惨な目にあうところだった」に変わりました。

 これは、終戦直後東久迩内閣が「一億総ざんげ」声明を出して国民から総反発を受けたことや、この前都知事選に立候補した細川さんのお父さんで近衛文麿の秘書だった細川 護貞『情報天皇に達せず 細川日記』などに書かれている終戦前の民情、戦争幕引きのための東条排除工作など調べればわかります。

 軍部の横暴は塾頭の周辺でも体感できました。具体例は大阪のゴーストップ事件など、Wikipediaでも調べられます。また、安倍首相の考えのもとにあるものを、前掲書から引用しておきましょう。(25ページ)

 たしかに軍部の独走は事実であり、もっとも大きな責任は時の指導者にある。だが、昭和十七、八年の新聞には「断固、戦うべし」という活字がおどっている。列強がアフリカ、アジアの植民地を既得権化するなか、マスコミを含め民意の多くは軍部を支持していたのではないか。

 それは、現在と同じと考えているからです。すこしでも戦争に批判的なことを書けば、用紙の配給を停止されてしまいます。現に廃刊にいたった雑誌は数多くあります。マスコミの置かれた立場や条件を考えず、それを民意ととる短絡的な発想は、安倍氏だけでなく戦後生まれの史家の中にも見られます。

 いま、戦後生まれと言いましたが、安倍晋太郎、江藤淳などは塾頭と同世代ですが、意見は全く違います。ただ、戦争指導者を目指していたため、「敗戦はくやしい」で固まってしまった人たちだろうと思います。

 そろそろ疲れてきましたが、makoto さまは塾頭が「世界最強の専守防衛の自衛隊を作る」と書いているのを見落としていませんか。どうして憲法を改正し「軍隊」にしなければならないのですか。海外で戦争をする能力を持つのが軍隊と普通は考えます。また、法律も一般市民とは違う法律のもとに置かれます。

 昔は、国には戦争をする権利があるという考えがありました。国連憲章には自衛や集団的安全保障に加わる権利があっても、戦争の権利があるとは書かれていません。日本国憲法九条②の「国権としての戦争」を認めてないのは、これに起因します。

 前回、戦争は侵攻・侵略を伴い、相手政府転覆を目指すと定義しました。専守防衛は戦争ではありません。本塾は「自衛隊は海外で武力行使をしない」とう一項を加えた改憲案を持っています。冷戦が終わり、アメリカ一国支配が終わり米ソが弱体化、中国の勃興という世界の転換期に差し掛かっているように思います。

 愛国者諸君は一時代前の常識を捨て、今こそ国連憲章の持つ平和志向追及に目を向けるべきだと思うのですが。

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コメント

今の日本だけの特徴ですが、売国奴が愛国者を名乗っている不思議。この売国連中が、日本を心配する本物の愛国者を自虐だの何だとの罵っているのです。
今の逼塞状態の日本国なら当然、『憂国』の気持ちが無いと愛国者とは呼べないと思うのですが、旭日旗を振り回して無邪気にはしゃぎ回るだけではく、「JAPANESE ONLY」などの挑発行為を働く。
浦和レッズのアホ臭い愛国者ですが、映像で見ると日の丸をある種のバリケード代わりに使っている。丁度居酒屋の暖簾状態なのです。
これ、間違いなく外国なら国旗を侮辱したと袋叩きですよ。
韓国紙は在日4世で7年前に日本に帰化した李忠成選手の浦和移籍後初戦を狙ったと報道しているが、確かにその可能性が高い。
日韓共催のワールドカップで華麗なボレーシュートを決めた李忠成選手は世界最高との評価のイギリスプレミヤリーグに移籍したが故障で成績が残せなかった。
この試合が浦和レッズに復帰した大事な初戦に、味方のはずの浦和サポーターが足を引っ張っているのです。
それでも試合でゴールを決めた李忠成選手はりっぱの一語。

投稿: 宗純 | 2014年3月17日 (月) 09時53分

安倍晋三「いま世界中の人々が日本につどい」
..どう考えても、つどいにくい国になっていますね。私が外国人の立場なら「JAPANESE ONLY」の国へ行きたくありません。内側に敵を捏造し、外側へ虚勢をはる自称愛国者は、自分の首(次の世代の首までも)を絞めていることに気付かないのでしょうか。
話が変わるようで実はつながりますが、李忠成選手はほんとに立派ですね。立派な『個人』です。U19韓国代表時代には半日本人と呼ばれ、自らのアイデンティティに悩み、本名での帰化を選んで大舞台で活躍。なのに、また...。彼は国歌を歌った感想を問われた時、「最高でした」と言ったんですよ。
今後、李忠成のような日本人がでてこなくなってしまうのではと危惧します。

追記:つまらない揚げ足取りをする人がいるかもしれないので、(悪意のない)指摘を事前にしておきます。
李忠成が華麗なボレーを決めたのは、2011アジア杯決勝です。延長後半、後のない時間帯の劇的なゴールでした。

投稿: 元谷駅前 | 2014年3月17日 (月) 12時29分

宗純さま
歴史を直視しない、というより”知らない”人が歴史に学ぶことを拒否し、不都合なことに反省も謝罪もしない……、それが美しい国で愛国者のあり方だという風潮。

亡国の始まりがここにある――という、ごく当たり前の教養を、少なくとも3分の2の人に持ってもらいたいものです。

投稿: ましま | 2014年3月17日 (月) 13時32分

元谷駅前 さま

 私はサッカーに詳しくないので、情報ありがとうございました。

 同じスポーツにもかかわらず、野球、相撲などはますます国際化し、そういったことが起きないのに、サッカーだけは特異な気がします。

 どうしてでしょう。

投稿: ましま | 2014年3月17日 (月) 13時43分

大分昔の大事な国際試合での劇的なダイレクトボレーだったと記憶しているので『日韓共催ワールドカップ』と調べもせずに書いたら、ワールドカップは12年も前の2002年の話だった。
12年前といえば、今回モンゴルでめぐみさんの81歳の両親が孫娘と面会したのですが、存在が明らかになったのは矢張り2002年。実の孫娘に合いたいのは自然な人情ですが、『拉致被害全員の帰国』との日本政府とか『救う会』の方針で、いままで12年間も実現しなかった。
個人の感情よりも、国家の方針が優先した悲劇ですね。
本来は国家の受け持つ仕事なのです。
個人で出来ることには限りがあるのに無理やり大きな責任を背負わされたのですが、可哀想な話です。

李忠成選手がボレーシュートを決めた日付は3年前の2011年2月5日のオーストラリア戦ですが、その日付以上に、何かとんでもなく古い過去だったと記憶していたのです。
日本では、2011年の3月11日、大震災と福島第一原発事故が発生している。あの3・11の日以後には日本はとんでもないことが連続しているので、時間の流れが通常とは大きく異なっていたのでしょう。

投稿: 宗純 | 2014年3月17日 (月) 16時48分

ましまさん

こんにちは

>以前、「あげあしとりのようなコメントには答えない」と書いたことがありますが、

そうでしたね。
でも、揚げ足取りと言うよりも、あなたのご意見の矛盾点を突いているつもりなんですがね。
揚げ足取りというのは、例えば、

「あなたが前のコラムのコメントに書いた『おもねた』は、『おもねった』が正しいですよ。しかもここでは、『おもねった』は言葉の意味から考えても適切ではありません。」

などと、細かい間違いをいちいち指摘することでしょう。

>まず「敗戦はくやしい」の安倍発言です。これは安倍晋三『美しい国へ』文春文庫78ページにでてます。
(前略)いま世界中の人びとが日本につどい、日本人選手がその前で、胸のすくような活躍を見せる――敗戦のくやしさと、戦争を始めたことへの後悔をバネにかえ、強い精神力で生き抜いた世代にとっては、それは誇らしく、もっとも輝かしいときだったにちがいない。

引用してくださった言葉
「敗戦の惜しさと、戦争を始めたことへの後悔をバネにかえ…」
の主語は誰ですか。
あなたも下に書いているように、「強い精神力で生き抜いた世代」でしょう。
安倍首相ではありませんよね。
それをあなたは前のコラムで、安倍発言として「戦争はくやしい」と、さも安倍首の心情であるかのごとくに挙げていましたよね。
しかも言葉尻を変えて。
そうやって変えた言葉を安倍首相の発言として、彼が好戦的な証拠だとして挙げています。

下のコラム「物分りがよ過ぎる」では、引用の際に十分気を付けているようなことを書いらっしゃいますが、実際にやっているのは、自分の意見に説得力を持たせるために、引用する言葉を修正までしますか。

あなたがなさっていることは、証拠の捏造に近いと思いますが。
悪いと知らずにやっていたのなら、小保方さんレベル。
確信犯的にやっていたのなら、佐村河内レベルですね。

この私の指摘も揚げ足取りとされますか。

>前回の東京オリンピックを指す部分です。安倍さんは当時小4で、「くやしい」と思った世代は塾頭などと言うことになりそうです。

今さらそれを言っても遅いですよ。
前回のコラムでは、そんなことまったく触れずに、安倍首相の言葉というニュアンスで出したんですから。

>ともあれ、「くやしい」感覚は、終戦の詔勅を聞いた一瞬だけで、一カ月もたたないうちに「戦争に負けてよかった。もし勝っていたら軍部がどんなに威張り散らし、より悲惨な目にあうところだった」に変わりました。

貴重なご感想をありがとうございます。
以下に、昭和17,18年の新聞記事に関して、戦争に批判的なことを書けば、廃刊にさせられるから書けなかったとありますが、では、開戦当時はどうでしたか。
みんなこぞって戦争を賛美していたではありませんか。

>makoto さまは塾頭が「世界最強の専守防衛の自衛隊を作る」と書いているのを見落としていませんか。

見落としていません。
この言葉、もしくは意見はおかしいと思ったんですが、書き間違いだと思い、それこそ揚げ足取りになると思い放置しました。
ではお聞きしますが、「世界最強の専守防衛」は、どういう意味ですか。
「世界最強の自衛隊を作ろう、その軍事力は専守防衛だが」という意味ですか。
アメリカよりも中国よりもロシアよりも?
無理ですよね。

もしくは、「専守防衛の軍隊を持っている国々の中で世界最強の国防軍を作ろう」という意味ですか。
専守防衛を宣言している国ってどれくらいありますかね。
それらのなかで世界最強になったところで何の意味があるんでしょう。
自分からは絶対に攻めない、と宣言している国は相当な覚悟が要りますよ。
スイスが良い例です。
国民皆兵で、徴兵制度があり、全家庭に小銃を支給し…。
日本にそこまでできますかね。

今の自衛隊は、立派な軍隊でしょう。
戦闘機、軍艦、戦車、ミサイルを装備している。
これのどこが軍隊じゃないんですか。
言葉遊びは止めましょうよ。
軍隊を軍隊という名称にする。
何が不満なのかさっぱりわかりません。
軍隊、という名称にした途端、侵略するんですか。海外で人殺しをするんですか。
では、なぜ「軍隊」という名称の軍を持っている幾多の国は、海外で戦争をしないんですか。
日本は、「軍隊」を持つとすぐに海外に侵略するとか、人殺しをするとか決めつけるその短絡的な思考から脱したらどうでしょう。

投稿: makoto | 2014年3月18日 (火) 04時28分

憲法やスイスの軍事力については、百田尚樹氏の意見が参考になると思います。
これをどうぞ。
ようつべで、「百田尚樹の主張」と打ってください。
感動すると思いますよ。

>愛国者諸君は一時代前の常識を捨て、今こそ国連憲章の持つ平和志向追及に目を向けるべきだと思うのですが。

国際連合の欺瞞については、また書かせていただきます。

投稿: makoto | 2014年3月18日 (火) 04時33分

「あげあしとりのようなコメントには答えない」方針は変えていません。しかしmakotoさまのコメントにはできるだけお相手したいと努力しているつもりです。

とはいうものの、とっても疲れるのです。「あげあしとり」というのは「木を見て森を見ない」人にものをいうのと同じという気がしてきたのです。

たとえば「日本の敗戦くやしい」の引用についてですが、安倍首相の著書全体を読めば、敗戦がそして占領期が「くやしい」というという意識で貫かれていること、それをその体験に乏しい首相が祖父をはじめ先輩全体の感覚ととったことです。

文章の脈絡と無関係に片隅を取り上げるという点はあげあしとりの常とう手段です。makoto さんの要望に応えたことに、この反応ですから疲れるわけです。

次に「おもねた」「おもねった」は昔から両方割かわれており間違いではありません。調べた(調べった、とはいいません)よくわかります。

「反戦塾」だから、スイスのことはあなたに聞かなくてもよく知っています。
<日本にそこまでできますかね

あなたのような「愛国者」がいればできます。その他のご意見は当塾でたびたび取り上げているのでふれません。

makoto さまも持論があれば、ぜひご自分のページをもち、そこで展開してください。早速「揚げ足取り」に行きますから。ヽ(´▽`)/

投稿: ましま | 2014年3月18日 (火) 10時52分

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