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2014年2月20日 (木)

影響圏

 今日の新聞には、「ウクライナ最悪事態に」「大規模衝突で26人死亡」という見出しがある。しかし、日本人の関心は、ソチ冬季オリンピックで、予想しなかった女子スノボに竹内選手が銀メダルをとったことと、金メダル期待の星、浅田真央選手がフィギュア・ショートプログラムで1位を取った韓国のキムヨナにはるかに及ばない16位という結果に向いている。

 6日付で「アブハジア」という記事を書いた。ウクライナ、ソチ、アブハジアいずれも黒海沿岸にある。「黒海」といえば、大相撲に次々と有力力士を送り込むグルジアを思い出すが、ソチから数キロと離れていないアブハジアは、激しい内戦を経てグルジアから独立したばかりの国である。

 前の記事では「冬季オリンピックをソチに決めたプーチンの意図が見えるような気もする」と書いた。安倍首相は近く北方領土問題などでプーチンと会談するそうだが、中国・韓国はもとよりアメリカでさえ付きあい方を知らない首相が、広大な国土を持つ海千山千のプーチンから手玉に取られるのではないか、と心配だ。

 
 旧ソ連の国々のうち、バルト三国を除いたいわゆるCIS(独立国家共同体)との関係は、ロシア外交の最重要項目の一つである。しかし、これらの国々を自らと異なる「極」ではなく、むしろ「影響圏」(sphere 0f intfluence)と見なしていることは、ロシアの対旧ソ連諸国政策が、外交というより内政に近いことを如実に示している。

 ウクライナもグルジアもカザフスタンも、ロシアとの関係を対外的政策=外交の領域に位置付けているが、ロシアの指導層の行動パターンを見ていると、必ずしも「逆もまた然り」ではないことに気付く。そもそも「旧ソ連諸国は影響圏だ」という見解が公式に表明されること自体、普通の国家間関係からほど遠い証拠である。

 このことは、ロシア人一般の旧ソ連崩壊に対する複雑な思いを反映している。国際法上は完全に別個の国民国家となった今でもなお、ウクライナやグルジアがロシアの意図を汲まない形で政策決定することを心情的に受け止めきれないのだろう。地理的にきわめて近接している国家が、ロシアの安全保障上重要だという主張は理解できる。しかし、ロシアが旧ソ連の国々における変化に示してきた反応は激烈に過ぎる部分があり、それは、指導層も含めたロシア社会に共有されている複雑な感情以外では説明しがたい。(武田善憲『ロシアの論理』)

 つまりプーチンにとって、日本が中国、朝鮮半島と仲良くなり、東アジア共同体を作るようなことなことになれば最悪で、今がチャンスだと思っているに違いない、ということである。

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コメント

日本の外務省も、同じくチャンスと思っているかもしれません

投稿: 玉井人ひろた | 2014年2月21日 (金) 11時34分

そうですね。世界で孤立、と言われずにすむし「お手柄!」と言われたいですものね。問題はそうは問屋が卸すかどうか。

投稿: ましま | 2014年2月21日 (金) 17時31分

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