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2014年2月 7日 (金)

日韓対立疲れ

 当塾では、先月27日30日に、韓国の「義士」安重根に関し、毎日新聞専門委員・金子秀敏氏のコラム「木語」を引用して記事を書いた。昨6日付木語のタイトルも「安重根の親日系譜」で、3週連続となる。

 リンクを張っても、記事の全文が読めなくなったので、ここで要所を紹介する。

 まず、米国人の学者の研究を引いて「安重根(アンジュングン)は東アジア共同体論だ」と発言していることを取り上げ、日本政府の言う「伊藤博文暗殺のテロリスト」とも、中国、韓国政府が考えるような「反日主義者」とも違う顔だとしている。

 安重根の未完の論文「東洋平和論」は、韓国と日本と中国が手を結び、西欧列強と対抗しようという大アジア主義思想がある。大アジア主義は、日本では頭山満、大川周明など右翼が唱えるが、孫文の神戸演説にもその精神が流れている。これを、東アジア共同体の芽と見ることはできる。

 民主党に政権交代した当時、鳩山由紀夫首相や岡田克也外相なども東アジア共同体的な政見を発表していた。今は、鳩山氏がわずかに東アジア共同体研究所を主宰するものの、クローズアップされるようなことはない。当塾もカテゴリ名・中国・韓国を東アジア共同体に変えたまま宙に浮いてしまった。

 横道にそれたが、記事は最後に安重根のプロフィルに触れる。

 (前略)安重根は明治維新を高く評価した。明治天皇についても、日露戦争の宣戦布告文に「韓国の独立を守るため」とあったことから、天皇は韓国独立を認めると考えていたらしい。 

 暗殺事件の直後でも、安重根へ敬意を払う日本人はいた。裁判が行われた旅順では、監獄の看守、法廷の通訳、弁護士、さらに裁判官まで安重根の人物を評価した。安重根が「朝鮮の日本人と旅順の日本人は同じ日本人なのか」と驚いたという。

(中略)安重根には韓国親日派の改革思想が流れている。かつて韓国ではこの点が安重根評価の弱点とされたという。が、いまでは伊藤暗殺という行為だけが記憶され評価の対象となった。テロリストとしてしか見ないのと同次元の認識だ。

 どちらも実像と離れている。それで、米国人学者がひとこと言ったのだろう。

 史料を精査し、双方のデータを突き合わせれば安倍・朴で代表されるような対立は起きない。ただ韓国は中国と違って、日本と戦争をしたわけではなく、国民の力で近代化革命をしたという歴史もない。同国の歴史学者・姜萬吉氏による現代史の第一章序説は、「国民国家樹立の失敗」であり、その評価は通説といっていい。

 日韓併合問題に踏み込むとどうしてもそこへ行かざるを得ない。塾頭が痛感するのはその点ではなく、互いの歴史認識が問題化するのは、日本が韓国に独立の機会を与える王道ではなく、大陸侵略の覇道を選んことにある。それは第一次大戦以後のことで、そこに区切りをつけ論ずべきだ思うからである。

 侵略、植民地化をいうなら、その時期・テーマを決めて史料を持ち寄る、それで合意点や対立点を明らかにするのでなければ第3国から見ても次元の低い泥仕合としか見えない。気のせいか、最近一部の韓国のマスコミや世論に「日韓対立疲れ」が見えるような気がする。安倍政権などがこれにおくれをとるようなことでは、国際社会で日本に勝ち目がない。

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コメント

毎度ながら丁寧な御回答に敬服の至りです。

今回の御記事で、塾頭様のアイディアがかなり理解できたように思います。強いて申し上げれば、第一次大戦以前・以後を問わず、朝鮮統治期の日本政府に「朝鮮に独立の王道を与える」発想の可能性がそもそも有り得たようには思えない以上、時期区分に腑に落ちない点が残るのですが、これ以上の野暮な詮索は控えたいと存じます。

興味深い新聞記事の御紹介ありがとうございます。「毎日」は講読していないのですが、近いうちに図書館で目を通したいと思います。

投稿: ちどり | 2014年2月 9日 (日) 00時31分

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