安倍首相→幼稚園生
毎日新聞 1/7 東京朝刊
安倍晋三首相は6日夜、東京都渋谷区のイタリア料理店で俳優の津川雅彦さんら友人と会食した。出席者によると、靖国神社参拝が話題となり、首相は新たな無宗教の国立追悼施設を作る構想について「別の施設を作ったとしても、赤紙1枚で戦争にかり出され亡くなった方の家族は行かないだろう。『靖国(神社)で会おう』という一言でみんな死んでいった。その魂が靖国にある」と述べ、否定的な見解を示した。【村尾哲】
塾頭の叔父が出征して間もない昭和19年初夏、留守宅に1日の賜暇で帰ってきた。軍服と銃剣をつけた叔父を迎えたのは、叔母と2歳から6歳までの幼児、そして前年父を失い、留守宅で同居をはじめた中1の塾頭と母の6人である。
一夜だけの帰宅の理由は分かっている。海外の前線に向かうのだ。交わす言葉も少ない中、所在ない塾頭は銃剣を抜いてみたりしていた。電力会社の変電所で技師をつとめ、3人の幼児をかかえた40近い叔父が「とられる」ことはまずないだろう、というのは楽観に過ぎた。
翌朝、家族6人は駅まで見送りに行った。SLのもの悲しい汽笛でゆっくり動き出した列車の窓、叔父は最後尾のデッキまでにかけより、体を乗り出して懸命に手を振った。これが最後の別れになるかもしれない、ということは誰も口にしないが叔父、叔母、そして母と塾頭の頭にはあった。
それから1年余、敗戦の日を迎えた。内地から始まった復員は最後のソ連抑留兵帰還まで何年もかかった。復員には事前通告などなく、突然自宅の玄関に表れるという風景は各地で見られた。
叔母は、今日は、明日はという気持ちで玄関のあく音を気にしながら、日々を送っていただろう。叔父の派遣先が南方だということはうすうすわかっていたが情報は何もない。近所のおばさんの慰めの言葉が聞こえた。「お亡くなりになっても靖国神社に祭られ、天皇陛下がお参りになるんだすけ、あきらめんばならんこてね」。
そのうち、戦死の公報があったというが塾頭は見てない。フィリピン方面というだけで原因も証拠もなにもない。もちろん遺骨などあるわけがない。公報が届いた後でひょっこり帰ってきたという例もある。叔母はあきらめきれなかった。
塾頭が東京に出たのち、叔母がひょっこりやってきて靖国に参りたいという。「死んでいるか生きているかわからないけど、どこへ行けば父さんに会えるんだかねえ。もしかしてここにいればさあ」。もちろんこの時は葬式も墓もないままだ。それから、一度も靖国を訪れることなく99歳で3年ほど前に故人となった。
冒頭に戻る。安倍首相の想像力は、この程度しかないのだ。これが日本のトップにいると思うと情けなくなる。表題に書いてしまった。「幼稚園生、ごめんなさいね!!」。
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コメント
去年の4月28日のサンフランシスコ講和条約61周年目の祝賀式典の意味ですが、
今年新年の安倍晋三首相の靖国神社公式参拝を行う為の伏線だった可能性が有りますね。
普通の常識とか歴史認識では『絶対に有り得ない』祝典であり、そもそも61年目は何かの節目としても不思議すぎる。
今まで誰も祝った者が無いのです。
安倍が初めての椿事中の椿事。
たぶん、田母神とか櫻井よし子に入れ知恵されたのでしょうが、安倍晋三のA級戦犯の祭られた靖国参拝の目的は、日本が悪かった』との、
『東京裁判を否定』することです。
ところが、これは、中国韓国との関係よりも、実は『日米関係』が問題となる。
『東京裁判は受け入れられない』が、
『日米同盟は喜んで受け入れる』との、アメリカ向けパフォーマンスが去年の4月28日のサンフランシスコ講和条約61週年祝賀式典だったのでしょう。
安倍晋三は、『日本が悪い』との東京裁判は、サンフランシスコ講和条約内にはっきりと明記されているので、この二つは別々ではなくて、一つのセットになっている事実を知らなかったのでしょう。
投稿: 宗純 | 2014年1月 8日 (水) 16時47分
コメントありがとうございました。
う~ん。こんなことすら知らず4/28に天皇を引っ張り出した無知さ加減。
だれか周りで注意してあげる人はいないかですかね。たぶんアメリカの懸念表明が不思議だったのではないでしょうか。
どうかな、と思ったけど「幼稚園生」を題にしてしまいました。
投稿: ましま | 2014年1月 8日 (水) 19時35分
普通の大人と幼稚園児の違いですが、
大人なら、その時その時のTPO次第で相手や場所、立場などで言葉を選んで喋るが、これは子供では無理。
安倍晋三は靖国参拝では、①『国に命を捧げた戦没者に対する尊崇の念』と共に、②『不戦の誓い』を繰り返し強調している
理由ですが、安倍晋三としても靖国参拝は①だけだと不味い(好戦的過ぎる)と考えて②を加えて日本国民や中国韓国(アメリカ)などの非難を緩和する目的でしょう。
孫崎 享は4日前、
『安倍首相靖国参拝:支離滅裂、米国国防長官に不戦誓って喜ぶか、
朝日「小野寺防衛相はヘーゲル国防長官と電話協議、安倍靖国神社参拝は”二度と戦争NOの痛切な反省で、今後とも不戦を誓う意味で参拝”。ヘーゲル長官コメントなし」
米国防長官に不戦誓う同盟国国防大臣はまずいない。馬鹿!の反応だろ』
とツイッターで指摘しているが確かに、これでは幼稚園児程度でしかない知能程度。
この4日前の孫崎 享のツイッターに反応したのではないだろうが、何と、自民党は、運動方針の最終案で、「不戦の誓い」を削除したらしい。
2014/01/09 00:51 【共同通信】
共同通信社は、
『自民党、「不戦の誓い」削除 運動方針の最終案で』と題して、
『自民党は8日、2014年運動方針の最終案を発表した。靖国神社参拝に関する項目で、原案に記した「不戦の誓いと平和国家の理念を貫くことを決意し」との表現を削り、新たに「(戦没者に対する)尊崇の念を高め」との文言を加えた。』
と報じています。
日本ですが、これでは最悪の方向に動いています。
投稿: 宗純 | 2014年1月 9日 (木) 10時26分
そもそもことの本質を知らない人が「尊崇の根」に「不戦の誓い」をとってつけたり、人に言われたからか取り消して見たり、結局何をいっているのかわからない。
そういった発言が信用をなくしたり、軽く見られたりすることは小学生でもわかります。安倍さんや田母神さんなど、もっともっとこのような発言を続けてほしいと思います。
投稿: ましま | 2014年1月 9日 (木) 15時05分