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2014年1月14日 (火)

オレ、ボク、ワタシ、自分

 先週、女優の淡路恵子さんが亡くなった。80歳だった。処女作が65年前、1949年の「野良犬」だ。三船敏郎扮する新米刑事村上が「自分は」という口癖に、上司から「自分は、自分は、て言うのはやめてほしいな。ここは軍隊じゃろないんだ」といわれるくだりを、毎日の玉木研二編集委員がコラム欄で紹介している。

 塾頭は、戦中だったその5年前に全く逆の経験をしている。このブログは9年ほど続けているがそのことはこれまで何度か紹介した。

都会で入学し、すぐ田舎の中学に転校する。その町には連隊があり、軍事教練も厳しかった。整列した生徒の前を、検閲する将校がひとりひとりなめまわすように点検していく。悪い予感のとおり、用意のない私の前でピタッと止まった。

 「キサマはなぜ脚絆をしとらんか」。「ボクは・・・」。「なにい~、ボクう~。自分といえ、自分と」

 「自分」というのは長野県方面で使う地方語で、陸士などに長野出身者が多いため、いつしか軍隊用語になったようだ。最近、この「自分」をTVインタビューでスポーツ選手が使うことが多いような気がする。

 柔道界のビンタのような、旧軍隊の悪習がスポーツ界の遺伝子として残っているとは想像したくない。この前、エジプト出身の力士大砂嵐がTVで記者の質問に対し「オレが……」と言ったことに、隣にいた親方が「オレじゃないだろ、ワタシだろ」と言い直させていた。

 英語は「I」一語で済むが、日本語にはすくなくとも10通りはある。多様性よりは差別、自主性より強制力、普遍性より特殊性、そんなアベノミクスならごめんだ。冬季オリンピックを控え、東京オリンピックを目標に金メダルが増えるのは嬉しいが、「自分は」が増えるのは気色が悪い塾頭である。

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コメント

そうですね。同感です。
「自分は・・」 というのは軍隊用語として
定着していました。

そんな遺伝子がスポーツ界に残っているのでしょうか。
そんな風潮がぞろ、頭をもたげてきているとしたら
恐ろしいことです。

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投稿: あね | 2014年1月16日 (木) 00時25分

ちょっと理屈っぽいが、オレ・ボクというのはYouに対するI、自分はWeの単数のような気がします。団体の中の1分子のような没個性のような感じ。

投稿: ましま | 2014年1月16日 (木) 08時07分

大阪などでは「自分」とは「あなた」と言う意味になりますので、まったく変わってしまいますね

投稿: 玉井人ひろた | 2014年1月16日 (木) 19時29分

関西に6、7年住んでましたがそういえば

「おまえ あほ ちゃうか」
「そら 自分やないか」

などといいますね(笑)。女性は「うち」といいました。

投稿: ましま | 2014年1月16日 (木) 20時36分

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