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2013年11月26日 (火)

富国強兵と防空識別圏

 中国の防空識別圏設定が波紋を呼んでいる。そのこと自体は独立国の行為として別段の問題はない。しかし、国交のある他国が領土として実効支配している島を、いきなりその範囲に入れてしまう。これでは、国際ルールもなにもあったものではない。

 民間に払い下げた島が返却され、元の国有地に戻すのとは次元が違う。支持しない政府ではあるが日本の厳重抗議は当然で、アメリカをはじめ第三国の非難もこれまでになく強い。塾頭は、習近平の意向というより、内政でいろいろ問題をかかえる政治に対する軍部の先走り、と見る。

 「富国強兵」は、今の中国にとって金科玉条である。だれも異を挟むことができない。明治維新から敗戦に至るまで日本もそうであった。ただし、明治時代と第一次大戦後の大正から昭和前半は、全く違う。

 日本も広く世界に目を開くなら、抗議する点はしっかり抗議し、軽々しく挑発に乗らずに「デン」と構えていることだ。その方が、小手先の「集団的自衛権」をいじくりまわしたり、不出来な改憲案を目指したりするより、よほど世界の支持を獲得できるだろう。

 幕末以来、中国がアヘン戦争などで西欧列強の餌食になっている実態や、インドなど植民地の悲惨な有様を知り、また、西欧の科学技術や諸制度、軍事力の差を身をもって体験したことが、明治維新につながった。そして、文明開化や富国強兵を急務として取り組んだのが明治時代だ。

 いまの中国と似ている点があるが、全く違うのが諸外国の評判を気にする点と、国際法重視である。明治時代には、日清戦争、日韓併合、日露戦争などがあったが、昭和になってからのように、満州国傀儡政権樹立、国際連盟脱退などのような、世界から孤立するようなことはしなかった。

 榎本武揚は、幕府海軍として北海道五稜郭で最後まで官軍に抵抗したことで知られるが、後には明治政権の要職についている。榎本が官軍に降る時のエピソードを下に引用しよう。文中の『海軍規律の書』は『海律全書』ともいい、当時の国際法を網羅している。(大鳥圭介『幕末実戦史』)

 薩州の参謀池田某より、已に軍艦も失ひたる上は早く謝罪然るべき旨を述べしを申贈れるなり、素より今に及び降伏すべき様なし、何れも潔く戦死せんと誓ひしなり、但我曹一両人罪に服し自余の者に蝦夷地の中相応の場所を給らば朝裁に就かんと答へ、榎本の予て翻訳せし海軍規律の書は海内無二の良書なれば今共に戦場の灰燼となすも遺憾なれば、願くは之を留めて永く皇国の重宝となし給はゞ則ち予が寸志も空からず、と書贈り、(以下省略)

 なお、この書の返礼として官軍の参謀から酒樽数樽が送られてきた。将兵は、これで投降前の最後の酒宴をおこない、皇国の発展を願って解散したという。

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付録・「6党推薦候補」選挙結果
 http://hansenjuku.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-c27f.html
で書いた地元地方選の結果である。 

市長選
当 57595 大久保 博 64 無(現)
          自・公・民・維・生・社推薦
  22134 田中 長義 63 無(新)共推薦

市議補選
当 43691 松井 努 66 自(元)
  33933 長友 正徳 66 無(新)

 前記事は、6党推薦とは、政策について無責任・無節操の極みで投票意欲をなくするという趣旨だった。同日、市議の補選も行われたがむしろこの方に興味があった。当選したのは、自民党公認の県議・市議の経験を持つ元職である。

 片や、宇宙開発センター長などの職歴はあるが、「平和憲法を護ります」という政策項目が目についただけで既成政党の推薦が全くない、ほとんど無名といっていい対立候補だった。数字を見てもらえばわかるが、その差は1000票を割る善戦である。

 市長の対立候補・共産党推薦氏も善戦したが、当選者の3分の1以下の得票に終わり、市議の無名候補にも大きな差をつけられているのが印象的だった。

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