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2013年11月17日 (日)

日米安保は「まぼろし」

 以下のふたつの表現は、集団的自衛権の論議の中で護憲、改憲の立場の違いを問わずあたりまえのように使われている。最初の言葉が、「(自衛隊が)地球の裏側まで行って……」である。この人は、1960年1月19日安倍首相の祖父・岸信介がワシントンで調印した「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」を読んだことがあるのだろうか。

  わずか全10条のうち、前文、第四条、五条、六条と4か所も「日本国の施政下」とか「極東」という適用地域が示されている。下にそれを示すが、面倒な人は読み飛ばしてもらっていい。「地球の裏側」を云々するなら、その前にこの条約そのものを変えなくてはならないのだ。

前文
(前略)
 両国が極東における国際の平和および安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
(後略)

第四条 締結国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締結国の要請により協議する。

第五条 各締結国は、日本国の施政下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することしを宣言する。(以下略)

第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。(以下略)

 インド洋やイラクは、中東と言っても極東とは言わない。それでも自衛隊は出かけて行った。「戦闘地域?、そんなの私が知るわけないでしょ」という小泉首相など、ごちゃごちゃした議論の中で解釈の変更や条文無視を重ねた結果だ。

 「極東」は地域の概念ではない、こんな国民をばかにした暴論さえ聞こえてきた。日米安保は違憲ではないといった裁判所の判断も、「一見してきわめて明白」な法律無視まで許せるはずがない。裁判所より、国会議員の方が偉いんだなどという、無知丸出しの自民党新人議員は、法治国家日本からすぐ出て行ってほしい。

 次の発言もよく見る。「自衛隊員の生命に危険が及ぶ」などという「はてな?」だ。「アメリカは鎗、日本は盾の役目」も同類だ。日本を守るため、アメリカ人は血を流す役割を負い、日本は前線に行かない、こんなことをアメリカ人が承知すると思うのは相当能天気だ。

 かつてアメリカや西側諸国は、共産主義国家が世界制覇をすることを恐れた。朝鮮戦争やベトナム戦争の頃と同じと考えている人が、相当偉い人の中にもまだいる。そういう人に限って「自分は愛国心がある」と思っているらしいが逆だ。

 愛国心は、自ら水際に立って外敵の侵攻を寸土も許さないという強い覚悟のある人のものだ。日本人全体がそういう強い意志を持っていれば、危険をおかしてまで攻めてくる国はない。もちろん、その任務を負う自衛隊員に「命を惜しむような腰抜け」はいないものと信ずる。

 2国間の集団的自衛権というのが、そもそももう古い。ベトナム戦争やソ連のアフガン侵攻がその例だが世界の支持を受けることもなく失敗に帰した。ブッシュ時代のネオコンならいざ知らず、今頃もちだすことに奇異な感じがする。今や、安保条約そのものがすでに「まぼろし」と化しているのだ。

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