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2013年11月 5日 (火)

アメリカの心変わり 1

 「大砂嵐」は昨日の記事の最後に触れた新入幕力士の四股名である。出世が速くまだ21歳の若さで、イスラム圏、アフリカ大陸から来た初の外国人相撲取り、出身はエジプトだ。そのエジプトは、目下一寸先もみえないような政治的大砂嵐に見舞われかねない。まずそこから話をはじめよう。

 2010年12月18日に起きたチュニジア革命に続き、翌年1月25日に始まったデモにより翌2月11日、30余年続いたムバラク政権が崩壊した。その後リビアや中東で続々に発生する民衆運動による独裁政権打倒を「アラブの春」などと呼んだが、シリアでの春の大嵐はいつ終息するのか、またエジプトは大砂嵐を避けられるのかどうかの瀬戸際にある。

 その詳しい経緯や内情については省略する。エジプトには、権力機構として軍部、裁判所、、そして大統領と議会がある。この順番は強い方を先にしている。民衆としてデモの主体をなすのはムスリム同胞団と世俗派そしてインテリなどである。

 ムバラク政権を倒したのは、そういった民衆の力の結集のたまものであった。その後軍部の暫定政権のもとで、議会選と大統領選が行われた。そこまでは、アラブを代表する国の民主化ということでアメリカが最も歓迎する筋書だ。

 ところが、選挙結果は慈善事業などで貧困層に根を下ろすムスリム同胞団の代表モルシ氏が勝利した。ムスリム同胞団はエジプトだけではなくパレスチナガザ地区、シリアなど周辺の各国でも国境を越えて強い支持基盤を持つ。

 コーランに忠実で原理・原則を重んじ、信心深いが過激派ではない。そこの代表が大統領になったので、世俗派や軍部はあまり面白くない。そして行政の失敗も加わり、再び起きたデモ・流血騒ぎに便乗した軍部が、クーデターで権力を奪取した。

 裁判所も議会選挙を無効としたり、反政府デモを弾圧し死者を出したなどの理由で大統領を逮捕し、現在裁判にかけている。裁判は報道管制をしているといわれるが、昨日今日の報道ではモルシ前大統領が囚人服を着ることを拒み、「選挙で選ばれた私が大統領だ」などと叫んで裁判無効を叫び、また傍聴人なども騒ぎ出すなど大荒れのようだ。

 さて、そこでアメリカはどう出るか。民主化は遠のくばかり。もともとエジプトへは、イスラエルと親交のあるムバラク政権時代から毎年13億ドルの援助を続けてきた。その援助はこのところ一部をひっこめたり、またケリー国務長官を訪問させ、暫定政権と接触させ、裁判の透明性を要求したりで、腰が定まらない。

 本音は、イスラエルとの妥協を拒むイスラム同胞団がエジプト支配するより、民主化に目をつぶってもアメリカの支援を期待する軍部に期待したいだろう。しかし、イスラエルに隣接するシナイ半島には、アメリカの最も嫌うアルカイダ系の武装組織が力を蓄えているという。

 イスラム同胞団を怒らせて、過激派の影響力が増せばより厄介な火種を抱えることになる。いたしかゆしのアメリカは、中東随一の大国・エジプトに影響力を保ちたいものの、結局どっちつかずの孤立主義(モンロー主義)以外に選択肢はないのではないか。

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